とある化学の超ガテン系

実験嫌いの実験化学者が綴る企業の研究員の日常 (このブログはMac OS Xに最適化されています)




Sunday, October 4, 2009

4th Quadrant

ブラック・スワン」を読了しました↓











先日コンキチが読んだ「まぐれ」の著者、NNTの本です。
see http://researcher-station.blogspot.com/2009/08/cygnus-atratus.html

上下2巻で、やや冗長な趣もなきにしもあらずですが、秀逸な書籍と思いました。っていうか、(まあ、この本は著者曰くエッセイなのだけれど)、一般的に学問の世界では、自身の唱える仮説の有効性(汎用性)をアピールするために、数多くの事象において、その説をサポートする事実を例証しなければならないと思います。なので、やや冗長と感じる部分は、著者の良心なのだと割り切って我慢して読みましょう。

ちょっと脱線しますが、先日、とある人が本を読んでいて、とある頁の見出しがコンキチの目に飛び込んできました。で、その頁の見出しなんですが↓


ひとつのことを全てのことのように「一般化」して表現する


なんていう非常におバカで非科学的なタイトルでした。コンキチは、こういった軽薄な本ではなく、多少冗長でも密度の高い本を読むことをお勧めします。


閑話休題


以下、コンキチが気になったことをメモします↓


a) 物言わぬ証拠の問題
この非常に興味深いテーマについて、上巻で1章(第8章)費やされています。
例えば、「溺れる信者の話」。神に祈りを捧げる敬虔な信者達が、船で難破したが生き残ったとしよう。で、彼らは神に祈れば難破しても生き延びられると語るかもしれない。しかし、溺れ死んだ信者はそれとは真逆の経験を吹聴することはできないのだ。
あるいは、「フェニキア人の文化について」。フェニキア人はアルファベットを発明したと考えられているのに、文学作品はあまり書かなかったという話がかつてあったらしいです。で、文化性が俗物チックで「商業民族」なんてあげつらう人もいたそうです。しかしながら、フェニキア人の時代、彼らはけっこういろいろ書いていたらしいのですが、いたみ易いパピルスに書いていたため、微生物によって分解され原稿の大半が失われてしまっただけと言います。
そして極めつけは、「ハリケーン•カトリーナの話」。ハリケーン•カトリーナの被害者達を救うのに、政治家が公金(税金)を投じた。ところで、ハリケーン•カトリーナで死んだ人よりも、ガンで死んでいる人の方が多いという。税金を投入するとうことは、ガン患者が生きながらえるため(の研究)に使われるはずの資金が奪われたことになるかもしれない。ガン患者はカトリーナの被害者のようにテレビに露出することもなく、人々の注意も向けられない。そんな彼らを死にかりたてる物言わぬ犯罪が起きているという。

b) 情報をろ過する
<引用開始>
経験上の現実について得る情報が詳しくなればなるほど、目にするノイズ(つまり逸話)も多くなり、それを情報だと勘違いしやすくなる。私たちが目立つものに惑わされるのを思い出そう。週刊誌を読むより、ラジオで毎時のニュースを聞くほうがずっとたちが悪い。間隔が長いほうが少しは情報をろ過できるからだ。
<引用終了>

c) ジャイアン
「(政治と経済の)専門家」の一般的な欠陥: 自分がたまたま当たったときは、自分はよくわかっているからだ、自分には能力があるからだと言う。自分が間違っていたときは、異常なことが起こったからだと言って状況のせいにするか、もっと悪くすると、自分が間違っていたことさえわからずに、また講釈をたれてはしたり顔をする。自分がちゃんとわかってなかったんだとは、なかなか認めない。でも、こういう持っていき方は、私たちのありとあらゆる営みに現れる。私たちの中の何かが、自尊心を守るように働いているのだ。」だそうです。まるでジャイアンみたいだと思いませんか?

d) 4th Quadrant

不確実性には次の四つがあるとNNTは考えています↓

1st/ 弱い不確実性•単純な結果
2nd/ 弱い不確実性•複雑な結果
3rd/ 強い不確実性•単純な結果
4th/ 強い不確実性•複雑な結果

金融や政治、経済といった社会科学の世界に黒い白鳥(4th quadrant)が潜んでいるのです。


以上、硬派で軟派な良書、「ブラック・スワン」の感想でした。

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