12月の冬至の週は年に一度のお楽しみ、ボクの大好きな神田まつやの冬の風物詩"ゆずきり"の季節です。
もう何年も前から食べ続けていて、当然今冬も芳しい柚子の香味を楽しもうと息巻いていたのですが、ダメでしたシクシク涙orz.....
今シーズン(2024年)のゆずきり提供期間は、12月18日-12月21日の四日間。18日は出遅れ(忘れてた)、19、20日は品切れ。21日(土曜日)は行列の長さに心が折れました。
毎年楽しみにしてたけど、寒空の中長蛇の列に加わるほどMではないので、ターゲットをチェンジすることにしました。
神田まつやのある神田須田町界隈は、神田まつやもそうなんですが、いせ源(あんこう鍋)、竹むら(甘味)、ぼたん(鳥すきやき)と東京都選定歴史的建造物に指定された趣のある木造建築が軒を連ねています(1回焼けちゃったかんだやぶそばもかつては指定されていた)。
いせ源は二度、竹むらでは何度も食べてるので、まだ行ったことのない"ぼたん"をセレクトして、ガッツリ鳥すきを食べてきました。以下、メモです。
ぼたん memo (visited Dec. 2024)
住所:千代田区神田須田町1-15
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
お通しの蒸し鶏のほぐし身は、クセのないウルトラ淡白な味。
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
鳥すきやき1人前、お新香、ご飯、果物のコースで、締めを親子丼、おじや、おつゆかけご飯から一つセレクト。
鳥すきやきは、備長炭と鉄鍋で供される。
正肉(皮も付いてる)、レバー、砂肝、つくね、焼き豆腐、白滝、葱の鍋で、割り下はかなり濃いめの甘じょっぱい味。
モモ肉は、このムネ肉してこのモモ肉ありと言った感じで、締まった中にも軟らかみにある食感で、ピュア感のある綺麗な旨み。
皮まで締まった感触で、清楚味わいなのにはびっくりした。
鶏肉はそのまま食べてもいいんだけど、やっぱり溶き卵ととても良く合いますね。
で、ここでちょっと思ったのが、鶏肉には内部まで味が染み込まないのでツユをちょっぴり啜りながら食べたいんですが、ツユを掬うレンゲ的な物がないんですよね。そこで重宝するのが白滝。
ツユをふんだんに担持した白滝を加えてお肉と一緒に頬張るといい感じの味の濃さに。
ただ、白滝には限りがあるので、ボクは継ぎ足し用の割り下を溶き卵にちょい足しして鶏肉を味わいました。
あと、つくねが味わい深かったです。お肉は粗めに挽かれていて、粒々感としっかりした味のアンサンブルがかなり美味しいです。
鍋の中に滲み出たエキスを全て吸い込んだ”おじや”が一番美味かったです。
お櫃の中の白いご飯をある程度残しておいてもらえるので、器にとっておいたお豆腐と葱とツユを掛けて食べたんですが、これがまた旨いです。
やっぱ。白い飯は最高ですね。
それから、セットのお新香が超絶美味しかった。
普通に超絶旨い(こういうのがいいのよ)。
〆のデザートである本日の果物は、和歌山のポンカン。
思いの外あっさりしたお味で、よく出来たみかん水を想起させるテイスト。
コースの最後を締め括る口直しとして、とても良かったです。
燗をつけてもらいました。
寒い冬は燗。これでいいのよ。
閑話休題
こんな論文を読んでみました↓
Bench-Stable 2‐Halopyridinium Ketene Hemiaminals as Reagents for the Synthesis of 2‐Aminopyridine Derivatives
Org. Lett., 2024, 26, 9805-9810.
2-アミノピリジン合成用試薬のお話です。
2-アミノピリジンはドラックライクな化合物に頻出する構造で、それゆれエクセレントな合成法が望まれています。
最も安直な合成法は2-ハロピリジンのSNArや遷移金属触媒を使ったクロスカップリングとかですが、前者は反応条件がキツく、後者は遷移金属のコンタミが問題となることがしばしばです。
著者らのこれまでの研究から、N-(1-エトキシビニル)-2-ハロピリジニウム塩がマイルドな条件でSNArすることを見出しました。
J. Org. Chem., 2021, 86, 13025-13040.
N-(1-エトキシビニル)基が環の活性化基とピリジンの保護基となっているのがミソですね。
以前の報告はプレリミナリーなものでしたが、本報ではより実用的かつブラッシュアップした2-アミノピリジン合成法を報告しています。
まずは一段階目のSNArの最適化です。
ここで問題となるのがイミノピリジン経由のピリドンの副生で、求核剤(アミン)を過剰に用いたりトリエチルアミンのような有機塩基を添加して反応を行うとより顕著になります。
また、副生する求核剤(アミン)の塩酸塩の除去が面倒で複数回の精製が必要になるそうです。
ということで、イミノピリジンの形成を回避しつつコンバージョン向上目指し、種々additive (base)と溶媒について鋭意検討したところ、ジクロロメタン中、40℃、additive (base)としてK2CO3を作用させるという最適条件を見出しました。
26 examples, up to 98% yield
基質一般性について色々と試していて、
ベンジルアミン誘導体は、中程度からいい収率。ベンゼン環の電子状態に関わらず推し並べて高収率で、ベンジル位に置換基のある嵩高い基質で中程度。
二級アミンも中から高収率。
ちょっと収率がイマイチなのは、こんな化合物達↓
ジベンジルアミンやジイドプロピルアミンの様な嵩高い二級アミンであったり、ベンズアミドやベンゼンスルホンアミドといった強い電子吸引性置換基を持つ求核性の低い基質だとインコンパチブルでピリドンしか取れてきません(先に、目的の生成物が有機塩基存在下、イミノピリジン経由で加水分解してピリドンになると書きましたが、原料も加水分解し易いんですかね)。
続いて、二段階目のSNArプロダクトのの開裂反応(脱保護)です。
開裂反応は、酸、熱、酸化的条件で達成されます(酸化的条件では、対応するピリジンN-オキシド得られます)。
13 examples
secondary amines (10 examples), 53-99%
tertiary amines (3 examples)
conditions
Acidic method : 3 M HCl in MeOH, rt. or 3 M HCl in MeOH, 40℃ or 4 M HCl in 1,4-dioxane, 40℃ or conc. HCl; basic workup
Thermal method : 2-PrOH, 125℃ (sealed vial)
Oxidative method : AcOOH, AcOH, rt.
何でか分かんないけど、ジベンジルアミン誘導体はN-(1-エトキシビニル)基の開裂が殆ど進行しません。
ハイ、最後に著者らはアミン以外の求核剤を使ったSNAr反応のバラエティーを拡充しています。こんな感じ↓
オット、そう言えばベンチ・ステーブルなこの試薬(N-(1-エトキシビニル)-2-ハロピリジニウム塩)の調製法について全く言及していなかったですね。
合成法はこちらです↓
Org. Synth., 2024, 101, 242.
OSで6-8 gスケールで合成できてるので大丈夫です(キリッ)。
ウン、そこそこいい感じに使えそうな化合物なんじゃないでしょか。
あと素朴な疑問なんですが、インドールと4-ペンチン-1-オールを熱的条件でSNArさせる反応でどうして溶媒にベンゼン使ってるんでしょうか?トルエンじゃだめなん?ベンゼンがいいんか?どうしてもベンゼンがいいんか?
以上、二流大出のテクニシャン(研究補助員)のベンチ・ステーブル・リージェント・メモでした。
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