2012年12月9日日曜日

金属ヒドリドで切れるんです

←先日、また竹やぶに行ってきました(今度は、守谷にある鬼怒川竹やぶね)

-鬼怒川竹やぶ せいろそば (750 JPY) memo-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
ツユは濃厚。芳醇な鰹節の香りが凄い!トップが甘くてフィニッシュがちょい辛のツユに仕上がっている。
蕎麦はモチモチの柔らかい細麺。弾力に富み、フィニッシュに胡桃のような香味がやんわりと感じられる。美味いです(けど、ボク的には千寿竹やぶの方が力量が高いと思う)。

鬼怒川竹やぶは、リバー(鬼怒川)サイド蕎麦屋で、店内からすぐ脇を流れる鬼怒川の美しい姿を眺めながら蕎麦をすすれる雅なお店に仕上がっています。写真の門も趣を感じさせると思いませんか?でも、店本体に隣接する母屋は普通の家(せっかくの趣が台無し)でちょっとガッカリです。

あと、参考までにお品書きはこんな感じね↓



閑話休題


こんな文献を読んでみました↓

Reductive Detriflylation of N-Triflylamides using Red-Al
J. Org. Chem., 2012, 77, 8317-8320.

徳島大の研究グループの報告で、トリフリルアミドのトリフルオロメチルスルホニル基を金属ヒドリドで切断するっていうお話です。

4 examples, 58-87% isolated yield


この反応、Red-Alを10 eq. も使用しなければならない(3 eq.だと収率激減)という下品な反応なんですが、トリフリルアミドのトリフルオロメチルスルホニル基が切断されちゃうというには驚きです。Red-Al大好きなコンキチにとっては、しっかり覚えておきたい反応と思います。

溶媒効果が顕著で、toluene > CH2Cl2, THF。しかも、CH2Cl2やTHFをチョイスすると、開環したトリフリルアミドの生成が増加するそうです。

代表式はアジリジンを基質に使った例だけど、鎖上のトリフリルアミドの例もあります↓

ちなみに、R = R' = Prの基質をLAH (87 eq., Et2O, 70℃, 14 hr)で還元すると、開環トリフリルアミドが得られます(31 %)。

あと、一置換アジリジンだと環が開いちゃうみたいです↓


この反応を行うと、強烈な"S"臭がするそうで、(ワークアップ過程の)水層を酸性化すると酢酸鉛紙でH2Sが検出されたそうで、このことから、少なくとも部分的な、S2-イオンの形成が示唆されます。

Red-Alは60-70%のトルエン溶液として市販されていて、LAHなんかより圧倒的に取り扱いが容易で安全。それゆえ起業化プロセスにもよく用いられてる"いいヤツ"です。なので、このトランスフォーメーションは心に留めておきたいと思いました。
(ていうか、今どきLAHをファーストチョイスする人って気違いだよね)

2012年11月26日月曜日

有機分子で触媒的にオレフィンを開裂せよ

←なんか(個人的に)安くて旨いワインを見つけたのでメモしてみます。

-Freixenet Mia Tinto 2011-
ラベルにはFRUITY & FULL-BODIEDと記載されているが、裏面日本語ラベルには「ミディアム」の表示。実際に飲んでみるとミディアム。女性醸造家、グロリア・コレルがスペインのぶどう品種にこだわり、フルーティーで果実味豊かな味わいに仕上げ、なめらかな口当たりが魅力という。
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
ムホッ!floral, vegetable, fruityのpowerfulな香り。所謂「猫尿臭」と言われるような匂い。少しpowdery。蜜の甘さ。薬品っぽい匂い。そこそこ滑らかで軽やかな後味。旨いね
ボクの大好きな[yellow tail]よりsweetと思いました。
-DATA-
alc./ 14%
-COMPANY-
FREIXENET, S.A.
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閑話休題


こんな論文を読んでみました↓

Metal-Free, NHPI Catalyzed Oxidative Cleavage of C–C Double Bond Using Molecular Oxygen as Oxidant
Org. Lett., 2012, 14, 4158-4161.


分子状酸素を使って、触媒的にオレフィンを開裂させちゃうっていうチャレンジングなお話です。

オレフィンの酸化的開裂は、トランスフォーメーション的には古典的ですが、実用性という観点からはかなり改善の余地があると思います。まあ、いろいろな方法があると思いますが、代表例をいくつか列挙↓

(1)

(2)

(3)

Synth. Commun., 1995, 15, 769.; Tetrahedron Lett., 2009, 50, 2312.; J. Am. Chem. Soc., 2007, 129, 2772.; J. Am. Chem. Soc., 2009, 131, 1382.; Org. Lett., 2010, 12, 5640.

(4)

で、This Workはこちら↓

15 examples, 26-85% yield, R1=aryl; R2=alkyl, aryl, 2-thienyl, H; R3=H, CH3

必ずしもパワフルな反応じゃないけど、有機分子が触媒的に二重結合を酸化的に切断するっていうのは純粋に凄いなと思いました。

ところで、著者らがこういった着想に至ったのは、これまでに行っていた酸素の活性化に関する研究に起因しています↓

24 examples, 43-92% yield, R1, R2=aryl,alkyl
Angew. Chem. Int. Ed., 2009, 48, 7895.


J. Am. Chem. Soc., 2010, 132, 28-29.


27 examples, up to 90% yield
Angew. Chem. Int. Ed., 2011, 50, 11088-11092.


Org. Lett., 2011, 13, 2168-2171.


Org. Lett., 2011, 13, 5212-5215.

------------------------------------------------------------------------------

さて、この反応の反応機構ですが、著者らは幾つかの検証実験を行って迫っていきます。

まず、基質にエポキシドを使っても収率がイマイチ(GC: 23%)であることから、エポキシド経由で反応が進行するのではないだろうと思われます。また、BHTを添加すると反応は全く進行しなくなることから、ラジカルの関与が示唆されます。

また、生成物のカルボニル酸素は分子状酸素由来であることが分かりました↓


で、Proposed Mechanismはこちら↓

あと、この反応の制約だけど、aliphaticなオレフィンだと全然反応が進行しないみたいです↓

それから、立体障害が大きい基質だとエポキシドが生成するみたい↓


ちなみに、N-hydroxyphthalimideはTCIプライスで、

2,600 JPY / 25 g
20,700 JPY / 500 g

2012年11月24日土曜日

なぜ選挙に行ってはいけないのか

先日行った蕎麦屋のメモです↓

-千寿 竹やぶ もり蕎麦 (945 JPY) memo-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
蟻単石の石臼で挽いた微細粉蕎麦粉(今回は北海道産)を使用し、もり汁は5日間寝かせた辛めの江戸汁。薬味は伊豆産山葵と分葱という説明。
蕎麦は細く弾力がとてもあり、噛むほどに味が染み出し、フィニッシュには少し胡桃にも似たナッツ系の香味が口の中いっぱいに広がる。ツユは硬派な辛口の旨いツユ。はっきり言って、超旨い!

あと、お蕎麦にデザートとして「塩プリン」なるものが付いてくるんだけど、それがまた秀逸↓

-塩プリン memo-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
濃厚な黒蜜の強烈なキックと塩味とのしょっぱ甘いコラボレーションが絶品。マジ、旨い!



あと、お酒(神亀の純米 840 JPY)を冷やでいただいたんだけど、器がいい雰囲気出してました↓

個人的な感想だけど、神亀の純米は、冷やした方が味の輪郭がハッキリして旨いかもと思いました(ちなみに、神亀純米は2年熟成ね)。

千寿 竹やぶ、店内は趣のある洒落た雰囲気で良いです。あと、店内にはワイングラスがかかってたんで、ワインと蕎麦のマリアージュも試せるかもしれません。それから、一番最初に提供される蕎麦のお茶菓子も旨かったな。

ズバリ、「竹やぶ」の名に恥じぬ名店で、通い詰めたい店と思いました(でも、北千住駅からけっこう歩くんだよな)。


閑話休題


 衆院選の季節ですね

ボクも若い頃は選挙権を欠かさず行使してきましたが、三十路半ばでそれが全くの無意味だっていうことに気付きました(気付くまで大分時間がかかって頭が悪かったですが.....)。


ところで、橘玲氏の著作「大震災の後で人生について語るということ」のなかで、

本を読むのは 人口の10パーセント

という話がでてきます。

これはどういうことかというと、東大、 京大などの国立大学、早慶、MARCH、関関同立などの卒業生は年約15万人~20万人で、この15万~20万人と、毎年、 一流企業、官庁、専門職に就く人数はほぼ一致しているという。 毎年20万人が20~60歳までの40年間本を読むと800万人ということだそうです(これって出版業界の人って、MARCH未満は大学じゃないと思ってるってこと?)。
(さらに、ビジネス書の読者は男性中心ということで、その 半分の400万人が(最大)想定読者数)
出典: 山田順「出版大崩壊画像」

まあ、大分ざっくりした推計(とも言えないような代物)だけど、この論に従うと、日本国民の大部分は本も読まないバカでいっぱいということになります。

日本の成人人口(2009年)は、1億442万人くらい(計算間違ってなければ)。で、本を読む習慣のある、ある程度の教養レベルが期待できる人(800万人)は、7.7%。平たく言えば、選挙権のある人間の9割方はバカっていうことになります。

要は、日本国民に選挙に行くようにと啓蒙すればするほど、多くのバカが選挙に行く可能性が高くなる。そこで問題になるのは、バカに正しい意思決定ができるのか?っていうことだ。

トンデモ候補者が余裕綽々で何度も当選してる現実を鑑みたり、政権交代して民主党政権ができちゃった現実を鑑みると、やっぱ大衆の大勢はバカなのかな?なんて思っちゃたりしてしまいます。
(ちなみに、ボクは自民党がいいと言ってるわけではなくて、自民党はダメだけど民主党に較べれば大分マシって思ってるだけ)


仮に、投票率50%として、賢き人であろう800万人の全てが投票行為を実行に移したとして、賢い人の投票率はたったの15%。バカなマジョリティーの城壁を突破できそうな気が全くしませんね

それでもあなたは選挙に行きますか?

そういうことです。


 

2012年11月17日土曜日

日ノ本一のエンターテインメントがはじまった

衆議院が解散しましたね

お笑い芸人なんか目じゃない日ノ本一のエンターテインメントが始まりす。それにつけても、ホント政治屋って面白いよね。政治屋の突飛で奇怪な行動や発言って、絶対、国民を楽しませるために確信犯的にやってるよね。



沖縄基地移設問題を思いつきだけでぐちゃぐちゃにしておいて、どこ吹く風の外国に対して友愛、脱税王ルーピー鳩山(東大工学部卒、Ph.D. スタンフォード大学・1976年, 元東京工業大学工学部助手、元専修大学経営学部助教授)

外交音痴、経済音痴で北朝鮮拉致支援団体に献金しちゃう売国奴無能菅(東工大理学部卒、弁理士)
http://blog.livedoor.jp/insidears/archives/52480124.html

息をするようにウソをつく、財務省の傀儡としての飼い豚、野田。朝霞市の国家公務員宿舎の建設着工指示したよね。(早稲田大政経学部卒)


といった最近の首相経験のあるアクターが注目の的だ。だって、この人達ってまた立候補するんだろうけど、その当落が当該選挙区の民度を測る上で格好の材料でしょ。


他にも注目の立候補者は目白押しだ。


言ってることは結構まともだけど、空気が読めなくて、脇が甘い安倍ちゃん(成蹊大法学部卒)。黒い噂のあった松岡利勝を農水相に起用したのは脇が甘いとし言えないし、病気とはいえ、まともにやれば激務なのが分かりきってる総理の座を道半ばで放り出したのは空気が読めないとしか言いようが無い。やっぱ、最低でも国会でぶっ倒れるくらいの気概は欲しいよね。それができなければ、最初から総理になってはいけないと思うな。

金権政治家の雄、田中角栄、金丸信の秘蔵っ子。最近は陰が薄く、震災後なかなか地元に帰らなかったという、小沢一郎(慶大経済学部卒)。裁判では無罪になったけど、無実かどうかは分からないから。

最近では事務所費領収書偽造疑惑で「言い訳番長」も拝命しそうな、「口だけ番長」前原誠司(京大法学部卒)。永田寿康が堀江メール問題を起こしたとき、ゴーサインだした民主党代表ってこの人だよね。

「ただちに影響はない」は限られた場合の話だったとか、「メルトダウンは分かり切ったことで言わなかった」とか平気でウソをつく、詭弁のフルアーマー枝野(東北大法学部卒。弁護士)

偉大なのは親父だけ。夫婦でお騒がせ眞紀子(早稲田大商学部卒)

公務員改革する気がが全くない、自称経済通の経済音痴、石原伸晃(慶大文学部卒)

etc. etc. etc.


まあ、数え上げればきりがないけど、綱領もなく最初からポリシーなんか何にも無い政治家になろうね同好会の民主党に入った議員や、自民党守旧派。

危ない船から逃げ出して、同じくらい危ない船な弱小政党立ち上げてる人達。

野党の中の野党。野党であることにエクスタシーを感じてる共産党。委員長は悪い のび太志位和夫(東大工学部卒)。

衰退の一途。言ってることが小学生かと思う社民党の瑞穂ちゃん(東大法学部卒。弁護士)率いる社会党の残滓社民党。

日本維新の会だって、ローカルパーティーが国政を仕切っていいのかっていう疑問があるだろ。

etc. etc. etc.


この時期にメロドラマを演じてる田中美恵子、最初は自民党の公募に応募してた横粂勝仁、ふぐ肝料理食べちゃったりして人間性は全然改善されてない東国原英夫など脇役陣にも期待が持てる。


なかなか楽しめそうです。やっぱ、政治にはコミットせずに遠巻きに鑑賞してるのが一番いいな。だって、国政選挙の投票行動なんてただの時間の無駄なんだからさ。


あ、あと、選挙活動する議員さんにお願い。通勤時の駅頭は邪魔なのでやめて下さい。誰も聞いてないので(サラリーマンの朝はそんなにヒマじゃないんです)。ついでに、主張や政策はホームページに分かり易くまとめて、これまでの活動をアニュアルレポートにまとめて下さい。

 

2012年10月21日日曜日

One-pot Sequenceを極めろ (2)

最近、YEBIS STOUT CREAMY TOPにハマってアマゾンで箱買いしているコンキチです。 

-YEBIS STOUT CREAMY TOP memo-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
note: chocolate-like, sweet, dark, roast, fruity
taste: roast, creamy, mild, sweet, bitter
とりあえず、とっても美味しい。久々のハマったビール。
クリーミートップ魔法の泡のつくり方
その一、缶から直接飲まず、タンブラーに注ぐ
その二、タンブラーを傾けず、置いたまま、底の中心目がけて注ぐ
その三、泡立つ様をよくよく鑑賞する
その四、極上のきめ細かな泡を堪能する
-DATA-
原材料/ 麦芽、ポップ、窒素
アルコール分/ 5%
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閑話休題


上半期にこんな文献を読んでみました↓

Practical one-pot preparation of ketones from aryl and alkyl bromide with aldehydes and DIH via Grignard reagents
Tetrahedron, 2012, 68, 6557-6564.


千葉大の東郷先生のグループの報告で、前回のブログでメモした論文の発展版に相当する論文です。

前回メモした反応↓

この方法だと、アルキルアルキルケトンはつくれないけど、

This work

本報では、アルキルアルキルケトンもオッケー。さらに極低温も必要ないです。さらに、Turbo Grignardでハロゲン-金属交換を行えば、エステル、シアノ基、ケトン、ニトロ基を有する基質でも適用可能です。

あと今回、Grignard試薬とアルデヒドとの反応により生成する金属アルコキシドの酸化は、ヨウ素ではなく、DIH (1,3-Diiodo-5,5-dimethylhydantoin)を使用しています。ちなみに、ヨウ素を使っても反応は進行するけど、おしなべてDIHの方が収率が良いです(DIH 0.8 eq, K2CO3 2.1 eq.でいける)。



DIHはヨウ素に較べればそりゃあ高いけど、ラボスケールベースではそこそこ手頃で(TCI, 5,600 JPY/5 g; 16,500 JPY/25 g)、非常に低毒性な試薬だそうです。

ちなみに、DIHはヨウ素2 eq.分に相当し、酸化力も高いです。TCIメールによると、「反応終了後に生じるジメチルヒダントインは水洗により容易に除去可能」のようです。

ちょっとやってみたいかな

あっ、あとこのビールホントにおすすめネ↓


One-pot Sequenceを極めろ

先日、キッコーマンの工場見学(もの知りしょうゆ館)に行ってきたんですが、なかなか良かったです。10年ぶりくらいに行ったんですが、まめカフェっていうキッコーマン醤油を使ったちょっとした飲食店が新たにできていて、これがまた良かったです。

で、まめカフェで食べたモノをメモして見ます↓

-しょうゆソフトクリーム (250 JPY) memo-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
特選丸大豆しょうゆを使用したソフトクリーム。しょうゆをクリームに混ぜ込むことで、キャラメル風味が醸し出されています(これは凄い)。ソフトクリーム自体はとってもfattyで、これが醤油によって誘起されたキャラメル味とベストマッチ。ちなみにキャラメル様の香り立ちは(ボク的には)殆ど無し。マジで美味しい。


-生しょうゆうどん (150 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
限定品の再仕込みしょうゆ(もの知りしょうつ館と通販でのも販売)を使用。角張ったところがなく、普通に美味しい。


ところで、お醤油のペットボトルにはいっている横線は、ボトリングの際に泡が立ちにくくするための工夫なんだそうです。


閑話休題


上半期にこんな文献を読んでみました↓

Facile preparation of aromatic ketones from aromatic bromides and arenas with aldehydes
Tetrahedron, 2012, 68, 1436-1442.

千葉大の東郷先生のグループの報告です。


リチオアレーンをアルデヒドと反応させ、生成したリチウムアルコキシドをヨウ素で酸化することで、ワンポットでアリールアルキルケトンを合成するというお話です。スタンダード・コンディションは、n-BuLi (1.1 eq.), RCHO (1.05 eq.), I2 (1.6 eq.), K2CO3 (3.0 eq.)。

(アリールアルキル)ケトンをどうやって作るかっていうと、ちょっと漠然とし過ぎて抽象的だけど、まあいろいろとがあります↓

a) 2級アルコールの酸化
b) Friedel-Craftsシル化
c) Houben-Hoesch反応

d) Fries転位

e) RCu(CN)M (M=ZnX, MgX, Li)と塩化アシルとの反応
f) CoBr2を用いたArZnBrと塩化アシル or 酸塩化物との反応
g) CuBrとPd(F6acac)2を用いたα-oxocarboxylateとArBrとのdecarboxylative couppling
h) ニッケルが触媒(NiCl2(DME)/dppp/Zn)するArIとニトリルのカップリング
i) アルキルアレーンの直接酸化 (N-hydroxyphthalimide, IBX, H2O2-HBr)
j) 有機金属試薬(Mn, Zn, Cu, Fe)のアシル化
k) Grignard試薬とニトリル or Weinrebアミドとの反応
l) NMP存在下でのGrignard試薬と酸塩化物との反応 (Org. Biomol. Chem., 2011, 9, 5365.)
m) RMgClとVCl3から調製した有機バナジウム試薬とアルデヒドの酸化的反応 (J. Am. Chem. Soc., 1985, 107, 7179.)

とかがあります。まあ、それそれシチュエーション毎に利点有り、問題有りかと思いますが、基質の入手容易性、安価な試薬、簡便な手法という点で本法にはそれなりにかなりの優位性があると思います。

ただ、-78℃という極低温条件はサンプルワークレベルでは問題ないけど、企業化に際してはハードルが高いです。

でも、これってアルデヒドへの求核付加がいけばいいわけだから、基質がAr-Xなら(ボクの大好きな)Griganrd試薬でどうなの?って思った二流大出のなんちゃって研究員でした。

あっ、あとこの反応って、プロピオンアルデヒドを使うと、エノール化が起こって収率が低下するそうです。

2012年10月14日日曜日

偏差値70のラブコメなんです

有機化学ラブコメの旗手、喜多喜久氏の新作「ラブ・リプレイ」を読了しました。

またもや東大農学部の有機合成のラボを舞台にした、恋愛に奥手な理系男女のファンタジー・ラブコメです。理系女子×有機化学ラブコメ×ミステリーという謳い文句でプロモーションされてるけど、今回の作品は、有機化学色とミステリー色は大分薄いです。そして、キーワードは「惚れ薬」。

処女作の「ラブ・ケミストリー」のカロン的な高次元の存在により、想いを寄せる幼馴染み理系男子の死の未来を知った主人公理系女子恋愛奥手ヒロインが、幼馴染み理系男子の死を回避すべく、タイムループという未来シミュレーションを繰り返して理想の未来を構築すべく悪戦苦闘するというお話で、ヒロインの純(ピュア)なココロと揺れる恋心がこの作品をたまらなく甘酸っぱいものにしています。

タイムループ(未来シミュレーション)のリミットは10回。タイムループを繰り返すごとに、一難去ってはまた一難といった感じで物語は進行していきますが、結局は予定調和の学園ラブコメ・サスペンスです。そして、この作品の最大の魅力は、ベタベタな予定調和のラブコメ・ストーリーなのです。お互いに奥手な理系男女の歯がゆいベタベタで甘酸っぱいラブコメは、理系男子には満足に足る出来映えと思います。

物語の舞台もラブコメとしての出来も偏差値70と思いました。ちなみに、オレのカミさんって同じ大学の同級生(幼馴染みでは全然ない)なんだけど、大学時代の甘酸っぱい思い出が蘇ってきたね

Hartwig Fluorination

先日開催された「つくば CRAFT BEER FEST」(9/28〜9/30)でビールを堪能してきたので、そのメモを書きます(自分で言うのもなんですが、相当呑んだね)。筑波大の学生を中心に運営されているというイベントみたいです。まあ、学生が運営してるということで、ちょっとグダグダだったけど、けっこう堪能できましたね。で、呑んだビールのメモ↓


-NEST BEER WHITE ALE memo-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
SharpでCitrusなニュアンスの爽やかなビール。淑女をイメージさせるワインのような香り高さ。トップはシトラス系の爽やで上品な香りのハーモニーが流れる感じで、軽くminty?柔らかくマイルドな舌触りで、Yeastの香りも残る。ライトボディーだけれど、モルトの甘い香味がよくでているよう。フィニッシュはオレンジ様の酸味と甘味のシナジー。すっきり爽快系。

-Ushiku Chateau Beer Helles memo (右下)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
日本人が好きそうな淡色ラガー。ちょっと不快な匂い。麦の香味。比較的ライト。

-Ushiku Chateau Beer Pilsner memo (左下)-
-RATING- ★★☆☆☆
-REVIEW-
light type。フィニッシュにbitterと僅かなcreamy。不快な匂い。

-Ushiku Chateau Beer Belgian White memo (左上)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
バナナ様の魅惑的で濃密な香り。とっても柔らかな口当たりで、fruityな香味が口の中いっぱいに広がる。topからfinishにかけての力強い"fruity"さは秀逸。相当にレヴェルの高いtropicalで蠱惑的でとっても美味しい。

-Ushiku Chateau Beer Pale Ale memo (右上)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
バランスのとれた秀逸な香味を持つ、普通にとっても美味しいペールエール。ちょっと焦げたfruity noteと熟れた果実の香味が素晴らしい。beautifulな香り。その美しい香りのニュアンスがそのまま味へと引き継がれる。とってもfruity。

-Tsukuba Craft Beer Fest Original Beer memo-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
学生が木内酒造の施設を借りて醸したBeer。とにかく強烈なキック。麹様の香り。根底の力強さを感じさせる香り。今までに味わったことのない味。硬派さと上品な香り高さを併せ持つ玄妙な香り。味は香りの強さに較べて穏やかだが、麹様のニュアンスを引き継ぎつつ充分なコクがあって旨い。フィニッシュは軽妙なfruityさがある。難しい味だが美味しいBeerに仕上がってている。

-Ushiku Chateau Beer Dunkel memo-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
香りのイメージは、吸い込まれるような漆黒のニュアンスで地を這うようなイメージ(黒部ビールにかなり似た香りだけど、earthyさが殆ど感じられないのが大きな違い)。とても好ましい甘い香り。力強いbody。濃厚な糖の味わい。とってもdeliciousな味!


閑話休題


上半期にこんな文献を読んでみました↓

Copper-Mediated Fluorination of Aryl Iodides
J. Am. Chem. Soc., 2012, 134, 10795-10798.

Hartwigのグループの報告です。

近年、こんな感じの芳香環のフッ素化が報告されていますが、電子吸引性置換基のついた基質でしかうまくいかないらしいです↓

(左側はBuchwald et al.; Science, 2009, 325, 1661.)

で、著者らの仕事はこちら↓


強い金属-フッ素結合は、C-F結合を形成させる還元的脱離を競合する副反応よりも遅くしてしまうらしく(Nature, 2011, 473, 470.; Science, 2009, 325, 1661.)、高次の銅を介した反応を設計することが適切らしいです。

で、著者らはarylcopper (III) fluorideからの還元的脱離が、非配位性のカウンターイオンや弱い電子供与性の配位子によって促進されるという仮説を立て、検討を続けます。

著者らがチョイスした触媒は、(RCN)nCuXなんですが、これらの試薬はマルチグラムスケールで合成可能です。


で、ニトリルユニットはtBuCNが一番よくて、カウンターイオンはOTfがグッドです(OTfはSbF6より再現性は高いらしいです)。で、tBuCNが結合したCuOTf錯体は、真空下、室温でおいておくと(tBuCN)4CuOTfから二つのニトリルが抜けて(tBuCN)2CuOTf(酸素に安定で大気中でゆっくりと湿気を吸う)になるそうです。

基質一般性はこちら↓


ちなみに、系内に存在する水やニトリルのα-水素がareneが副生を促進させます。

あと、著者らが各種実験事実と考察から導き出し、提案してる反応機構↓



2012年9月19日水曜日

Alternative to the Friedel-Crafts

先日、炭火やきとり富吉っていう店で飲み会があったんで、覚えてる範囲でメモしてみます。

-炭火やきとり富吉 memo-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
まあ、飲み会で自分の食べたいモノばっか注文して好きなだけ食ってたわけではないので参考までに。
総じて料理(主にやきとり)は美味しくて、参加者にはなかなか好評でした。個人的に秀逸だと思ったのはレバーで、これがまたとっても柔らかくてjuicy。あと、ホタルイカの沖付けは小ぶりでいい味出しててよかった(けど量が少ないのが玉にきず)。温玉大根サラダは人参ソースがかかって出てきたんだけど、これがなかんかニューウェーブ系で良かったです。
お酒はそこそこ種類があったと思ったんですが、出席者がご年配の方ばかりで、かなり遠慮してしまい存分には楽しめませんでした。
あとこの店、注文してから料理が提供されるまでがやたらと長かったな(混雑する前でも)。素人考えで速攻提供できそうな料理も遅かったです。ここが欠点。
総じて再チャレンジしてみたい店ですね。


閑話休題


Synthesis of α-Hydroxyacetophenones
J. Org. Chem., 2012, 77, 5144-5148.

メルクのプロセス・リサーチチームの報告です。



ハロゲン化アリールをTurbo Grignardでハロゲン-金属交換した後、arylzinc (ate complex ?)にして、acetoxyacetyl chlorideとの反応を銅で触媒させてα-アセトキシアセトフェノンを作る。選択的フリクラオルタナティブ的な匂いがオイラは好きです。


2012年9月17日月曜日

Eco-Friendly (?) Benzylic Oxidation

鰹節の卸売問屋(中弥商店)直営の立ち蕎麦屋として有名らしい"そばよし"に行って立ち蕎麦を食べてきました。

-そばよし 本店 かきあげそば (390 JPY) memo-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
ツユが凄い!カツオブシの強烈かつ濃厚な香味に加えて、力強い酸味が続いた後、甘みが現れる。濃厚bodyで噂に違わぬとっても美味しいツユ。蕎麦は極細でかなりコシの強い5割蕎麦。温蕎麦でこれほどのコシを保持した蕎麦に出会ったのははじめて。この食感は秀逸としか言いようが無いです。かきあげは揚げ置きしたものだけど、充分美味しい(そもそも、かけそばに揚げるたての天ぷらはいらないっしょ)。また、蕎麦はよく咀嚼しても粉っぽさや嫌な感じはせず、良くできていると思う。かけそばの究極の形の一つかもしれないと思いました。
店員は東南アジア系っぽい人達で、接客は丁寧とは言い難いが悪くはない(おしゃべりはちょっとうるさい)。こうやって人件費削ってコストダウンしてるのかな?クリンリネスは及第。


-そばよし 京橋店 もりそば (270 JPY) memo-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
せっかくなので、京橋の支店にも足を伸ばしてみました。
ツユはなかなかの濃厚bodyで旨い。提供された状態(低温)ではカツオカツオしているわけではないが、そば湯を注ぐとも猛烈にカツオブシの香りが立つ。蕎麦は極細の超硬めで、力強いbodyのツユとの相性は良いが、個人的のちょっと硬すぎる(ここがマイナスポイント)。ツユは蕎麦猪口に全量入れられて提供されるも、浜町藪そば室町砂場と同様に食べ進んでも味が薄くならない。ちなみに、2枚もり(470 JPY)だと徳利がつくようです。


閑話休題


上半期にこんな論文を読んでみました↓

Direct and Selective Benzylic Oxidation of Alkylarenes via C–H Abstraction Using Alkali Metal Bromides
Org. Lett., 2012, 14, 2414-2417.


千葉大の東郷先生のグループの報告で、重金属フリーがウリの環境調和型のベンジル位の酸化のお話です。金属臭化物からブロモラジカルを発生させるっていうコンセプトです。

環境調和志向の反応には、有機分子触媒や(化学両論量の)超原子価ヨウ素を使った反応が報告されていますが、電子吸引性置換基を有するアルキルアレーンのベンジル位のC-H結合は不活性で、これらの手法では直接的酸化は困難らしいです。

著者らが報告しているKBrとOxoneを使った反応は、熱的反応と光化学反応の2通りの条件があります。

Thermal Condition


Photochemical Condition


photochemical conditionの反応ではnatural sunlightでも反応は進行します。まあ、なかなかマイルドで低環境負荷な反応とは思うんですが、チョイスしてる溶媒がイマイチと思います。溶媒についていろいろ試したって書いてあるんだけど、本報にもSupporting Informationにも溶媒効果に関する記述は何にも書いてないんだよね。ホントにニトロメタンとかジクロロメタンじゃないとダメっていうんだったら、工業的にかなりポイント低いと思います(でも、サンプルワーク程度ならいいかな)。

あと、副生成物としてアルキル鎖の末端が臭素化されたものが生成する場合有りです。あと、著者らによる推定反応機構も提案されています。

機会があったら、溶媒効果について検討してみたい反応と思いました。