バッテリーの持ちは抜群だし、前に買ったKindle 2より画面が見やすくなってるし、内臓ライトで明るさ調製できるのも便利。タッチスクリーンのレスポンスも思ってたより悪くないし、wifi経由のブラウジングも結構便利だ。ボク的にはこの冬一番のおすすめ商品と思います。
閑話休題
先日調べものしてたら、こんな文献を見つけました↓
A New Base Mediated Method for the Cleavage of tert-Butyl Esters
Synlett, 2002, 1107-1108.
Schmidt et al.
9 examples, 60-87% Yield
反応温度はrt.か70-80℃で、NaHを8 eq.も使用するというちょっと下品な反応です。っていうか、この条件でtert-Bu基が切れるっていうのがマジ驚きです。ちなみにこの反応、THF中ではrefluxコンディションでも反応が進行しないそうです。
で、こうした実験結果から導きだされた著者(Schmidt)らが提案している反応機構はさらに輪をかけて驚きです↓
おいおい、DMFとNaHから金属アミドが生成すんおかよ?しかも、室温で!
あと、baseの作用でイソブテン発生とか信じられないよ。
(っていうか、ジメチルアミンとNaHで反応行くかくらい確認して欲しい)
どうかしてるぜ!
って思うのはオレだけ?と思ってたら、こんな論文がありました↓
Cleavage of tert-Butyl Benzoates with NaH in DMF: Comments on the Mechanism and a Simple and Safe Alternative Procedure
Synlett, 2009, 205-208.
Sale et al.
Schmidtらの報告は違うんじゃねーの?っていう内容の論文で、SchmidtらのE2脱離機構を否定し、実はこの反応はBAC2機構なんだぜっていうのが著者(Sale)らの主張です。要は、溶媒中に含まれる水がNaHと反応してNaOHが生成してエステルが切れるんだよっていう話です。
著者らはSchmidtらの条件でtert-Bu基を切断しようと思ったらpoor yield (15-59%)だったそうで、その際、tert-BuOHの生成を1H NMRおよび13C NMRから確認したそうです。また、THF中、powdered KOH を作用させることで、より効率的にtert-ブチル基を切断可能なことを見いだしました。
ん〜、なるほどそうだったのか、メデタシ メデタシとはいかない気持でボクはいっぱいです。だってさ、この反応は基質1 mmolに対してDMF 10-20 ml使ってやってます。で、無水のDMFって普通は含水率 < 50 ppmなわけじゃないですか?ってことは↓
DMF 20ml = 18.88 g (d 0.944)
含まれる水は、マックス、18.88 × 0.00005 = 0.000944 g (0.0524 mmol) (water content: 50 ppm)
溶媒中に含まれる水は基質の5 mol%程度。まあ、グラスウェアにも水が付着してるだろうけど、それを考慮しても収率87%はどうあがいても達成できる気がしません。もし、全てBAC2機構で反応が進行しているんだとしたら、どんだけ水入ってんだよ。実験、超へたくそじゃねっ?っていう話になると思います。しかも、Schmidtらの報告でTHF中では反応が進行しないことから、グラスウェアに付着している湿気は無視できると思われます。
で結局この反応ってどうなのってことなんですけど、何か知見の有る方がいたら教えてください。
Tweet
0 件のコメント:
コメントを投稿