今回は反応機構篇です。
何故アミン体が副生し、KTBの添加によりその生成が抑制されるかを明らかにしなければ反応を完全にコントロールできたとは言えない
と考えた著者らは、反応機構を考察し、その検証実験を行い、次ぎのような推察をするに至っています。
まず、著者らは次のような中間体の形成を考えました↓
Red-ALPが還元剤として働いた場合に生成すると考えられるAと、Red-ALPがルイス酸として働いた場合に生成すると考えられるBです。
Aが加水分解されると目的のアルデヒドが生成し、Aがオーバーリダクションされ、その後加水分解されるとアルコールが生成します。
一方、Bが還元されると、こんな中間体↓
に変換され、これが加水分解されると目的のアルデヒドになり、中間体Cがさらに還元を受けるとアミン体が生成する(この中間体Cは、より還元力が強いと思われる3価のアルミニウムハイドライドによって還元されると著者らは考えているようです)。
著者らはこんな具合に考察したのでした。
それから、著者らはアミン体の生成機構も考察していて、Red-Al中に含まれる3価アルミニウムハイドライドが少量なのに、けっこうな量のアミン体が生成する(Red-Alのロットによって、アミン体の生成量が3~26%の範囲で変動すること前回のブログで書きました)のは、こんな感じの連鎖反応が起こっていると推察しています↓
成る程。これでこの反応の説明が一通りつきますね。
あと、他の基質についても、このプロトコールを適用していて、けっこう汎用性がありそうです。
地道な検証作業(の記述はすっ飛ばしてブログを書きましたが)と、一プロセスに対する深い洞察が感じ取れる良い仕事と思いました。
(i) 実際250 kg程度の製造が可能で、(ii) マイルドな条件で、金属ヒドリドによる部分還元ができるというのがちょっと感動しました。しかも、(iii) 扱いやすいRed-Alを使うっていうのが良いですね。
なのだと改めて思う二流大出のなんちゃって研究員なのでした。少しはこの仕事をやった方々の爪のあかでも煎じて飲んで、日々の仕事に取り組もうかなと思ったりもするのでした。
あと、この仕事の詳細を知りたい人は、論文(Tetrahedron, 2001, 57, 2701-2710.)を読んでみてください(かなりすっ飛ばして紹介してますので)。
日本語で読みたい人は、
この本↓
を買って読んでみてください。
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