2007年6月17日日曜日

5Sの誤謬

企業の研究員のコンキチです。

企業に就社すると、研究員に限らず、誰しもが安全教育の一環と称して「5S」を励行するようにというふうに指導を受けることと思います。

周知とは思いますが、「5S」とは、整理、整頓、清掃、清潔、躾のことで、職場環境の維持改善活動のようです。ご多分に漏れず、コンキチの勤務する会社でも「5S」というスローガンが声高に謳われていますが、はっきり言っておべんちゃらで、実行が伴っていません。

コンキチは幼少の時分に、「挨拶をしっかりすること」と「脱いだ靴は揃えて並べること」を強く躾られてきました。なので、現在でもこの2点だけはしっかり励行しています。

で、「5S」を声に叫ぶ会社では、挨拶もろくに出来なく、靴なんて変な方向に脱ぎっぱなし(女性社員であってさえ)です。靴が並んでないのは気になるので、その都度気付けばコンキチが揃え直しておくのですが、そのことに関して言及されたことは一度もありません。

別に、労いや感謝の言葉が欲しい訳ではありませんが、仮にも「5S」活動を活発に実施していると嘯く会社にしては、なんともお粗末と言わざるを得ず、その無頓着ぶりにはいささか辟易させられてしまいます。

さて、本ブログタイトルの「5Sの誤謬」ですが、整理、整頓、清掃、清潔、躾があたかも並列の関係であるかの如く記されているのがそもそもの間違いなのだとコンキチは考えています(ついでに、順番も納得いかない)。

だって、従業員を躾て、清掃させることによって、整理がなされ、整頓という状態が具現化し、清潔な環境が保たれると思うから(「躾」→「清掃」→「整理」→「整頓」→「清潔」)。

なので、躾こそが「5S」の要諦中の要諦であり、「躾なくして他の4S無し」と思います。はっきり言って、「5S」なんてまどろっこしいことを言ってないで、徹底的に「躾」るべきと思います。「躾」がなってないから、いろんな不祥事が起こったり、犯罪が起こったりするのではないでしょうか。モラルが躾けられていないの一語に尽きると思います。

そして、躾のなってない組織というのは、礼節をわきまえた怖い(指導力のある)大人(上司)がいないからだと思います。

でも、

1) 真の礼節を備えた人が圧倒的に少ない
2) 組織(会社)に対する強烈なコミットメントがなければ、そこまで御節介じみた行為は面倒臭すぎる
3) 魅力ある組織でなければ、フルコミットできない。

なんていう理由で「躾」を伝播する礼節をわきまえた怖い(指導力のある)大人(上司)の圧倒的に存在しないのかなというのがコンキチの考えです。

また、コンキチの勤務している会社に限って言えば、人を育てるという哲学の欠如も「躾の無い文化」に拍車をかけているのだろうと思います。


会社は社会の公器


という言葉が懐かしく感じられる、今日この頃の二流大出のなんちゃって研究員でした。

2007年6月3日日曜日

有機化学の書

有機化学美術館へようこそ ~分子の世界の造形とドラマ [知りたい★サイエンス]」を読了しました。


コンキチもシクロアワオドリンには腰が砕けました(笑)

さて本書の中身なのですが、 有機化学界のホットなトピックスが網羅的に記載されていて、「一般の人にも有機化学をもっと良く分かって欲しい」という想いが感じられました。やっぱり、時代の先端を進む話題はエキサイティングで、興味を引きつけますからね、そして、(有機)化学の専門知識があまり無い人に対しても理解が進むように、できるだけ分かり易い表現を試みていて非常に腐心しているなあと思いました。それでも初学者には理解しづらいところ(専門的な概念)もあると思いますが、インターネットが発達した今日にあっては、Web上での検索で相当程度は解決されるのではないかと思います。

あと個人的には、超分子化学や不斉配位子、デンドリマーといったトピックスは、読んでいるうちに自分の学生時代が想い起こされ、少し胸が熱くなってしまいました。

ちなみにコンキチの学生時代の研究テーマはClassical Resolutionで、まあはっきり言ってローテクですが、超分子化学的要素(Chiral Discrimination)もある訳で、なんとか超分子的なコンセプトで修論を構成できないかと、超分子化学の入門書であるレーンの「超分子科学」なんかを読んでみたりたものです。

また、扱っていたのがキラル化合物であり、かつ同じ講座の隣の研究室では、C2対称の不斉リン配位子の研究とかをやっていたので、不斉合成なんかは多少は勉強したものです。

あと、コンキチの担当教官から独立して隣の学科の助教授になった先生の研究室ではデンドリマーをやってたりして、今後どういう風に研究が展開されていくんだろうかと、興味深い想いで発表を聞いたりしたものでした。

コンキチの学生寮の友達は、 カリックスアレーンを使った不斉比色認識とかの研究をやっていて、同じ学科の隣の講座ということも幸いして、呑みながら化学の話をしたりもしたものです。

cf. Y. Kubo, et al., Nature, 1996, 382, 522.

そういえば、授業でタキソールの全合成の雑誌会もやったなあ(ダニシェフスキーとニコラウのグループのを)。

研究室の夏合宿のとき、先生が若い頃、ウッドワード研に留学してビタミンB12の全合成のプロジェクトに参加して、クロロメチル化のステップが採用されて。「King of Alkylation」と言われたといって喜んでいたなあ。

………

化学に憧れ、焦がれ、心棒していた、熱い鉄のような情熱を持っていたあの頃の自分が想い起こされ、柄にも無く少し目頭が熱くなるのを感じてしまいました。企業という大学以上に制約があり、政治が跋扈する組織で、自分が化学に対してどういうスタンスで向き合って行くのが良いのだろうかということに想いを馳せるこの頃です。

とまあセンチな話はこれぐらいにして、「有機化学美術館へようこそ ~分子の世界の造形とドラマ [知りたい★サイエンス]」は紛れも無い良書であるので、幅広い層に広く読まれればいいなと思います。

2007年5月31日木曜日

GSC-oriented Indices

近年、GSC (Green Sustainable Chemistry)が注目を集め、Atom Economyであったり、ソルベント・フリー、有機分子触媒、イオン性液体、超臨界流体、フルオラスソルベント、相間移動触媒、Aqueous Reaction、マイクロリアクター、リサイクルといったGSCを志向した論文が日増しに増えてきているように感じるコンキチです。

一昔前までは、全合成を完遂するため、高い選択性や週率を出すためなら、どんな手段をも駆使するぞといった感じの論文が主流だったように思うのですが、いよいよアカデミックな世界でもパラダイムが回り始めたのかと感じる今日この頃です。 

とまあ、環境調和志向が台頭してきたことは良しとして、そのグリーン性はどの程度のものなのかということを表す指標が必要な訳で、著名なジャーナルでそのような環境指標を用いてプロセスの評価を定量化した論文というのはあまりないように思います。ということで、一応プロセス化学を生業とするコンキチが、巷で噂の環境指標を下記にまとめてみました。

(「医薬品のプロセス化学」を多分に参考にしました)


(1) Atom Economy (原子経済)、Atom Efficiency (原子効率)
Barry M. Trostによって提案された指標。トランスフォーメーション自体のグリーン性を評価する指標でる。

Atom Economy (%) = 目的物の分子量÷化学反応式左辺の全原子量×100

ref
. B. M. Trost, Science, 254, 1471 (1991).


(2) RME (Reaction Mass Efficiency)
Glaxo Smith Klineの研究者によって提案された指標。試薬の使用量や収率が加味され、実際の合成プロセスにより即した指標といえる。

REM (%) = 目的物の原子量÷実際の使用当量を乗じた原料の分子量の和×100

ref.. A. D. Curzon, D. J. C. Constable, D. N. Mortimer, V. L. Cunningham, Green Chemistry, 3, 1 (2001).


(3) E-factor (E-ファクター)

Sheldonによって提案された指標で、生成物1 kg当りの廃棄物の重量(kg)。E-ファクター100とは、1 kgの目的物を得るのに100 kgの廃棄物が発生するという意味。反応に直接関与する原料以外の溶媒、触媒、シリカゲル、中和に使う酸・塩基等も考慮される。より製造プロセスを意識した指標といえる。

E-ファクター (kg) = (原料の総重量-目的物の重量)÷目的物の重量

ref
. R. A. Sheldon, Chem. Ind., 7 Dec., 903 (1992).


(4) EQ (Environmental Quotient)
E-ファクターに環境に与えるインパクトの大きさを表す係数Qを乗じた指標。例えば、同じ廃棄物1 kgでも食塩と重金属では環境に対するインパクトが全く異なる。こうしたインパクトを加味した係数Qを各廃棄物量の乗じてE-ファクターを計算し直したもの。Sheldonが提唱。

ref
. R. A. Sheldon, Chem. Ind., 7 Dec., 903 (1992).


以上4つ程指標を挙げてみましたが、これ以外にもDowの「Eco-Efficiency」、Bayerの「Eco-Check」、BASFの「Eco-efficiency analysis」といった企業毎の環境マネジメントがあるようです。

上述した環境指標のリファレンスを見てみると、考案された年代は意外と古く、1993年4月から1999年3月まで大学に在学していたコンキチとしては、Ecologyという哲学に対して無頓着であったことに恥じ入るばかりです,,,,,

ISO14001といった環境マネジメントシステムを導入している企業も多いかと思うのですが、単に社会的な流れだからという理由で認証取得しているという企業も多々あるのではないかと思います(想像)。コンキチの勤務する会社でも認証取得していますが、化学プロセスの環境評価に費やされる時間は少なく、環境指標を用いた管理は皆無で多分に定性的な議論のみが行われています(っていうかISOのコンサルタントにしてもそれくらい指導して欲しい)。全ての化学会社は、最低でも上記環境指標による管理を行うべきと思います。それが、化学会社の最低限のCSRかと思います。

PS. RMEのリファレンスについては、RSCのWeb Siteからダウンロードできるので、そのうちじっくり読んでみたいと思います。

2007年5月29日火曜日

経済財政諮問会議の戦い

経済財政諮問会議の戦い」を読了しました。

この本の著者は現経済財政担当相で。密かにコンキチが在学中にコンキチの母校で助教授をしていたらしく、ちょっぴり親近感がわきます(この本を読んでみた感じでは、その手腕も期待できそうです)。 

さて、本書の内容ですが、著者が事務方として役所にいたときのお話で、正直、所謂「よみもの」好きなコンキチにとって、読み易い文章ではなく、感想を一言で述べれば、「民主主義(もどき)の政策決定プロセスって鈍牛の歩みの如し」だなあというのを改めて感じたというくらいです。 

それから、経済財政諮問会議の資料ってかなりオープンに公表されていることにちょっと驚きました(反省。これからはできるだけ積極的に資料でも読もうかとと思いました)。 

あと、コンキチがこの本で一番感銘を受けたのは、本書の本題とは全く関係ないのですが、諮問会議の民間議員の1人であったトヨタ自動車の奥田会長(当時)の発言の引用が印象的でした。氏曰く、 「・・・私たちも、効率化を図るときに、例えば、一割削減というと少々汗をかく程度で達成できるということがあるが、三割削減というと、仕事そのものの見直しをしないと達成できないことが多く、真の改革が必要になる。(後略)」 だそうです。ちなみに、「工程表」の導入を進言したのも奥田会長だったとか。 (トヨタの全てを素晴らしいというつもりはありませんが)トヨタウェイの哲学の強さ・深さを物語る発言だったと思いました。

2007年5月13日日曜日

Five Forces in Process Chemistry

先日3年ぶりくらいに仕事でPowerPointを使いました。久々だったので、資料作成が楽しくなって、止まらなくなってしまいました。

部署全員(20人位?)の昨年度の研究成果のプレゼンをやることになり、その資料作りというわけです。

持ち時間は10分/人ということなので、7枚(表紙込)を半日くらいかけて作成終了です(まあ、細かい修正とかする予定なので、98%完成というところでしょうか)。

合成化学の門外漢もけっこういるので、スライドの一つにこんな感じの↓をつくってみました。


プロセス化学における5つの要諦という感じで、ポーター教授ののファイブフォースモデルをヒント(というか真似して)に考えてみました。

1) Capability/ 既存設備で対応できるか
2) Safty/ 安全性ですね
3) Repeatability/ 実機でも再現性の高いプロセスデザインか?
4) Sustinability/ 近年注目のGreen Sustinable Chemistryを志向した環境調和型のプロセスか?
5) Economy/ 利潤を追求することが目的の企業では、経済性を無視することはできません。

コンキチはアウトソーシング引受部隊なので、ストーリー的には上記5つのポイントからユーザー提示のラフなプロセスを見直し、その全てを改善したという感じにする予定です。

2007年5月8日火曜日

国士 武田國男

落ちこぼれタケダを変える」を読了しました。


本書は、武田薬品工業
の会長である武田國男氏の著作です。

コンキチが武田國男氏に興味を抱いたのは、「成果主義」ブームが巻き起こった数年前に、自分なりに企業の処遇制度に関する書籍を読み漁っていた折、「ここが違う!「勝ち組企業」の成果主義―対話と個の確立をめざして」と題した武田薬品の事例を記した書籍を手に取ったことが発端でした。その後、「わかりやすい人事が会社を変える―「成果主義」導入・成功の法則」も読んだのですが、これらの本では武田薬品の人事・賃金処遇制度の構造改革が元人事部長の手によって描かれています。

その構造改革たるや、巷に蔓延る人件費カットのみを目的としたなんちゃって成果主義とは全く異なる、飽くなきアカウンタビリティーの追求を志向するもので、はっきり言ってコンキチの心は強く揺さぶられました。

まあ、元人事部長の手によって著された本ですから、いくらか割り引いて読む必要があるとは思いますが、日本経済が失われた10年といわれた時にあって、粛々と改革を続け、現在も進化し続け、しかも結果(業績)も伴っているという現実を鑑みると、非常に希有なまれに見るあっぱれな構造改革と言わざるを得ません。

で、1993-2003の10年間、社長としてその構造改革を指揮したのが武田國男氏(現会長)というわけです。前置きが長くなりましたが、武田國男氏が自分のこれまでの生い立ちを綴ったのが本書なのです。話は武田國男氏の幼年期から始まり、会長職に就く(退く)までに至り、氏のざっくばらんな語り口で、お上品なエリートにはちょっと言い難い


本当のこと

が語られているように思います。
氏の経歴は決してエリートとは言い難いものですが、社長として振るった手腕は凄いと心から思いますね。改革初期にはマスゴミからけっこう叩かれたようですが、初志貫徹で有言実行してしまうところが凄い。本書の中でしきりに繰り返されている「行不由径(行くにこみちによらず)」の精神で、

「選択と集中」

「アカウンタビリティーの徹底」

企業風土改革

をやりとげましたからね。正に建設的なリストラクチャリングですよ!!!

特に「企業風土改革」が素晴らしいですね。はっきり言って風土改革はパラダイムシフトですから。で、パラダイムとは変え難いからこそパラダイムなわけだと思うのですが、それを転換するというエナジーは賞賛に値します。だって、パラダイムシフトは率直なところ自己批判な訳で、周囲の不特定多数は絶対反対に決まってる。だから、どこかの国の与党のように抵抗勢力がうじゃうじゃ湧いてくる。それを押して改革を進めるのは、不退転の精神と滅私なのかなとコンキチは思います。あと、創業家の出自というのが、滅私(先祖伝来の会社のために)にプラスに働いているのかなという印象を受けました。

しかも、業績が良いときにやったのが素晴らしい。

(確か、キヤノンも業績が順風の折に成果主義を導入したんですよね。業績が良いときにそういう改革を行うことで、後ろ向きになるがちなところを抑制できて、総原資をUP↑して処遇できるから受け入れられ安いというメリットがあると御手洗社長が言ってたような気がしました。)

結果、業績はさらに飛躍して、業界屈指の平均給与です。

武田薬品工業と武田國男をしばらくWatchingしてみようと思っています。

2007年4月25日水曜日

深化

「お仕事: プロセス化学」のコンキチです。

直近2回のブログでちょと毒を吐いたので、今回は少し真面目な話を

さて、プロセス化学とは平たく言えば、「企業化の化学」です(少なくともコンキチはそう思う)。つまり、商業ベース(儲かることが前提)で、実機で製造可能な製造プロセスを構築する作業です。コンキチはそんなプロセス化学に一翼を担っているなんちゃって研究員なのであります。

例えば、スペシャルな合成パスを経てターゲットを合成するというアカデミックな世界では極めて評価の高い論文があったとします。でも、

それって「中間体が(潜在的に)爆発性じゃない?」(不安全)
っていうか「ハロゲン系の溶媒は避けたいよね?」(環境問題)
「(ジエチル)エーテル」は危険だよ!!!」(不安全)
「溶媒エンメチですか?」(環境問題)
「(大スケールだと)その反応危なくない?」(制御不能)
「その試薬は変異原性あるんじゃないの?暴露したらどうよ?」(催奇性)

なんていうのがあったらそのままでは社会に許容され難いでしょう。リスクに対する便益の度合いを考慮して、なんらかのモディファイが必要になることが必死であると思われます。

で、少なくとも「ベネフィット>リスク」となり、かつ儲かる条件で実現可能な合成反応をデザインするのがプロセス化学なのです(少なくともコンキチはそう思います)。

そんなプロセス化学において、「深化」というのが一つのキーワードになるとコンキチは思っています。

「一つ一つの合成ステップに関してより深い理解を蓄積していく作業」がプロセス化学において非常に重要性を帯びてくると思われます。

選択性を左右する因子は?
溶媒効果は?
additiveの効果は?
濃度依存性は?
禁忌条件は?
使用試薬のバリエーション(同族体)による影響は?
使用試薬、溶媒、中間体、Targetの安全性は?
既存装置で対応可能か?
発熱量は?
etc.

といった具合にプロセスを構築するにあたって、色々な疑問というかクリアしなければならない事柄が湯水のように溢れ出てきます。

で、可能性としては無数に存在する条件を、如何に効率よく如何に少ない試行で設定・確定するかということがプロセス化学の要諦であると思います。

そして、(文献とかレポート等で)既に明らかになっている情報を集積すると共に、新たに発見した知見を蓄積し共有してゆくシステム(ナレッジ・マネジメント)こそが、プロセス設計を強力に支援するツールになるんだろうと思います。

で、この蓄積のスパイラルが深化をさらにたらしめ、プロセス設計R&Dの速度を加速させるのです(多分)。

残念ながら、コンキチの勤務している会社では、セクショナリズムが台頭し、情報や知識の囲い込みが横行し、ナレッジ・マネジメント(深化のシステム)とは逆行しているように感じられます。はっきり言ってコンキチは哀しい。腐ってます。

でも、それじゃあ人生あまりにもつまらないと思うので、「深化の自分最適」という自分で言っていてよく分からないそんなフレーズをスローガンに人生を謳歌する方策を模索していきたいと思う二流大出のなんちゃって研究院のちょっとセンチな日記でした。

2007年4月21日土曜日

選挙戦に戦略はあるのか?

コンキチの居住する自治体では、今度の日曜に市長選挙と市議会議員選があります。というわけで、各候補者が選挙活動を展開していて、選挙カーから鳴り響く拡声器の音が五月蝿い今日この頃です。

でこの選挙カーなんですが、これって有効な活動なんですかねえ?だって、候補者の名前を声高に叫んで、「お願いします」を連呼するだけでしょ。はっきり言ってバカっぽくないですか?

(1) 特に、選挙カーで集合住宅の敷地(私有地)に乗り入れてきて、そこの管理人さんに怒られている立候補者とか、

(2) 選挙公報に抽象的な自分の心情を、小学生が原稿用紙に作文を書くかの如く、ひたすた綴りまくるだけの市長候補者とか、

(3) 暗くなってからも(8時前ではあるけれど)、選挙カーで聞きたくもない拡声器を通したでかい音を周囲にまき散らす候補者とか、

(4) 主張するのは、福祉と周辺住環境のインフラ整備だけという共産党候補者(結局は狭い地域への利益誘導でしょ、これじゃ自民党を批判できませんよ)とか、

っていった候補者なんてその最たるものでしょう。自分で自分のセルフ・ネガティブ・キャンペーンをやってるだけですから。

選挙って一種のマーケティングだと思うんですよね。もっとROIの高い選挙活動をやるべきなんじゃないのかなと思いますね。

2007年4月16日月曜日

Friday The 13th

気が付けは、先週は久しぶりの13日の金曜日がありました。

(実家が)仏教徒(庶民の宗派曹洞宗)で、かつ宗教を信じていない(但し例外的のバッカスと松尾様だけは信じています)コンキチにはどうってことのない一日でした(但し、迷信はけっこう信じます)。

ところで宗教と言えば、コンキチが日々の通勤に使っている路線には、「霊○の光」の最寄り駅(東京理科大学野田キャンパスの最寄り駅でもある)があり、毎朝信者と思われるオバちゃん達が件の駅で続々と下車していきます。

よく、ビジネスの書籍でロイヤルティーに関する話が出てきますが、宗教に対する帰依の精神というか、忠誠心には目をみはるものがありますね。

冷静に考えれば、宗教なんて弱者(貧しい者)のすがりでしかないとすぐ気付くと思うのですがね.....

だって、神や仏がいたとして、彼等彼女等が現世を肯定しているとすると、彼等彼女等は人間がこの世で行う醜い行為(侵略とか)もまた許容しているということになるでしょう..... それって悪魔の行為じゃない?っていう訳ですよ。つまり、人智を越えた超存在があったとした場合、それは宗教が規定する神や仏ではなく悪魔であって、この論理展開によって宗教の持つ決定的な脆弱性が露になると思うんですがね.....はっきり言って、霊感商法やってる新興宗教の欺術ってちょっと興味あります。

我が国で流行っている土地真理教のように、多くをつぎ込む程にその行為を否定しずらくなるという心理は理解できるのですが、そこに至らせる迄のプロセス(甘い囁き)は具体的にどういったステップを踏むのか?ということです。

一目みてうさんくさい教祖を戴くオウム真理教なんてその典型ですよね。教祖誕生でも借りてみようかなと思うコンキチでした。

2007年4月10日火曜日

儲かる顧客のつくり方

儲かる顧客のつくり方を読了しました。


顧客ロイヤルティに関する論文が8報掲載されている本です。で、印象に残った点をメモしてみたいと思います。


1) 顧客ロイヤルティの高い企業は顧客を選別している。
例えば、バンガード (Vanguard, インデックスファンドの雄)にとって理想的な顧客は、価格感度が高く、長期投資志向の強い裕福な顧客だといい、たとえ残高が多くても、長期的に投資しそうにない顧客は敬遠されるそうです。ある機関投資家は4,000万ドルを投資しようとして断られたという事例があります。その理由は、この投資家が2-3週間でファンドを転売し、その対応に伴うコスト上昇を、ロイヤルティの高い既存顧客がかぶることになると考えたからだそうです。コンキチは、この逸話が同社のブランド価値を高めるのに資する話だと感じました。

インデックスファンドは最もローコストオペレーションが可能な金融商品であり、長期投資家は売買コストも低く、税金面でもメリットがある。正に、インデックスファンドに特化したバンガードと長期投資家のカップリングはWin-Winの組み合わせでしょう。バンガードは投資信託業界で最も高いロイヤルティを誇る企業なのです。

効率的市場仮説を盲信しているわけではないですが、コンキチも同社に対して高いロイヤルティを抱いています。


2) 顧客ロイヤルティの高い企業のトップはネガティブフィードバックを引き出すのに腐心している
バンガードのCEOであるジャック・ブレナンは

a
) 定期的に自社のコール・センターを訪れ、顧客からの質問や苦情に対応したり、

b
) 社内のカフェテリアで従業員たちを集めて昼食(各自1つずつ真剣な質問や不満を持ち込むことがッ参加条件)を共にする(CEO自ら手書きの書簡でフィードバックする)

といいます。

また、インテュイット(会計ソフト)のスコット・クック(創立者)も同様なアプローチ(昼食会)を実施していて、部下が意見しやすいように無記名の情報検索カードに質問を書いてくるように頼んでいると言います。


3) 顧客満足度の調査結果の誤解
顧客満足度の調査結果が

5 (完全に満足している) 48%
4 (満足している) 34%
3 (不満でも満足でもない) 10%
2 (不満である) 5%
1 (完全に不満である) 3%

であったとき、

「82%の顧客がおおむね満足しており、企業と顧客の関係は強固である」と判断するのは誤りであるといいます。

「5 (完全に満足している)」と「4 (満足している) 」の間には大きな隔たりがあり、「5 (完全に満足している)」と回答した顧客のみが高い顧客ロイヤルティを示し、「4 (満足している)」「3 (不満でも満足でもない) 」と回答した顧客は簡単に他社に切り替える可能性の高い顧客であるという調査結果が報告されています(業種にもよる)。

つまり、完全な満足のみが顧客ロイヤルティの構築につながるわけで、上記調査結果を手にした経営者は危機感を募らせなければならないわけです。超絶、目から鱗の事実を目の当たりにした気分でした。顧客満足度と顧客ロイヤルティの相関は線形ではなく、指数関数的であるということですね。


4) eロイヤルティ
eコマースにおいてこそロイヤルティが重要になってくるといいます。もっぱらサイトにアップされている画像や文章のみを頼りにしなければならないWeb上での商取引では、実際に取引を行うか否かの判断はそのサイトのが信用力にかかっている訳です。得体の知れないサイトには、個人情報やクレジット・カード番号を入力するわけがないという理屈です。Webの買い物客に、「eコマース小売業者にとってビジネスを展開するうえで最も重要と思われる要素は何か」と聞いたところ、「よく知って信頼できるWeb Site」という回答が、「安さ」や「品揃え」等のその他の要素を大きく引き離してトップだったそうです。無機質なWeb上では「信頼性=ロイヤルティ」という方程式が成り立つのでしょうか。

このロイヤルティに関する書籍を読んでみて、コンキチの頭にフッと浮かび上がってきた日本企業があります。日本食研です。以前、バラエティークイズ番組で同社を取り上げていたのですが、日本食研では、ステークホルダーの一角を担う従業員のロイヤルティを高めることで、労働効率を高め、失われた10年と言われた時代にあってさえ、増収増益を達成し続けたと報じられていました。社内恋愛目安箱のようなものまであり、同社の職場結婚率と従業員の定着率は群を抜いているらしいです。

まあ単純に、従業員に「この会社にいれば安心だ」と思える安心感を与え、ロイヤルティを高めれば、従業員は会社のために(それが自分のためにもなる)身を粉にして働くだろうし、離職率も少なくなり教育研修費というものが無駄にならないでしょう。

あと、結婚しても女性社員が会社に残っていられる環境というのも社内に蓄積された知の流出を抑制できていいような気がします。

本書にも書かれていますが、1993-2000年4月までUSAA(会員制金融サービス)のCEOだったロバート・ヘルスは「井戸にコインを放り込んで、いつまでたっても水音が聞こえない-そんな印象を従業員が持ってしまったら、いずれコインを投げ込むのをやめてしまう。従業員に努力してもらいたい、きちんとコミュニケーションを計っていきたいと思うならば、我々はしっかり君たちの声を聞いていて、それに沿って行動を起こす、ということを示さなければならない」と述べているそうです。

国は違っても、

人は城 人は石垣 人は堀(なさけは味方 あだは敵なり)


の精神は一緒なんだなと感じた二流大出のなんちゃって研究員でした。