今、「有機化学実験の事故・危険?事例に学ぶ身の守り方」という本を読んでいます。
まだ、途中までしか読んでいませんが、はっきり言って良書です。内容は、有機化学実験にまつわる事故事例集です。しかも、内容が濃いです。リファレンスは充実しており、化学物質の危険度に関するデータ(許容濃度とか爆発限界とか変異原性とか)もふんだんに記載されています。コンキチは、有機化学に携わるようになってから11年を数えますが、自分が取り扱っている(または今後取り扱う可能性のある)化学物質についての理解が、如何に浅はかだったかということを思い知らされましら。
そして、
こういったおもいはかねてから多少なりともありました。だって、使う試薬とかターゲット分子や中間体は安全とは言い難いし(っていうか危険)、コンキチの場合、ハロゲン系溶媒も結構良く使いますからねえ。でも、もの本を読んで加速しましたね、やめたい度合いが。(まあ、今すぐやめるというわけではないですが)
いくら注意したって、完全なる暴露の回避は不可能だし、何らかの障害を受ける確率が高くなることは間違いないでしょう。
ただ、ヘビースモーカーだからといって、皆が皆が早死にする訳でもないのと同様に、有機化学者が皆早死にする訳ではないこともまた事実ではあるでしょう。
しかしながら、コンキチが爺になった時に、常人並みに食べ物や酒を堪能できるだけの体力と味覚や嗅覚を維持できるのだろうかとういことえお考えた場合には、はなはだ心もとない気持ちになってしまいます(データはありませんが)。人間、喰いものに対する情熱が無くなったら終わり(=人生枯れている)と思ってますから。
まあ、個人的な余談はさておき、この本は(少なくとも国内では)希有な白眉の一冊といって過言ではないと思います。大学とかで、反応や化合物に関する性質や危険性の調査の仕方は習いますが、そうやって得た知識だけで危険に関する情報は十分に得たと考える科学者は皆無でしょう。それと同様に、この本を1冊読んだからといって、危険に関する知識はバッチリだぜということにはなりませんが、系統だってラボでの有機化学実験に関する危険を学べる書籍は和書ではこの本以外は皆無だと思うし、間違いなく危険を察知するというか想定する感度は高まることは間違いないと思います。
コンキチは企業にはいってから、KYT(KikenYochiTraining)という実にくだらない儀式に毎月参加しています。cf.http://researcher-station.blogspot.com/2006/09/blog-post_17.html
そこでは、分かり易い&面倒くさいという理由だけから、毎回毎回代わり映えしない危険にまつわるお題で、しょうもない話し合いが繰り広げられています。まあ、しょうもないお題も全く役に立たないとは思いませんが、ある一定周期で代わり映えしないお題を繰り返し設定するというのは、いささか安直で白痴的であるとコンキチは思います。
はっきり言って、コンキチはこう思います↓
「有機化学実験の事故・危険?事例に学ぶ身の守り方」を1冊づつ各研究員に配り、その輪講をすべきである!!!!!
と。
どうでしょうか、化学系企業の研究所長(部長)さん、安全管理者さん、工場長さん?以上、所詮二流大出のなんちゃって研究員の戯言でした。
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