ラベル 研究員の読書 21-30 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 研究員の読書 21-30 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2008年1月12日土曜日

衆院解散?

先の参院選で自民党が大敗を喫して以来、衆院解散の話題がメディアを賑わせていますねえ。でも、解散なんかしないでしょ、自民党は。

だって、衆院解散することによって自民党が得られるものって皆無でしょ。理由は↓

1) 選挙で自民が大勝ちしたとしても、参院の民主優位はとりあえず3年続く
2) 自民(+公明)はただ勝つだけではメリット無し、っていうかマイナスで、少なくともた2/3以上の議席を確保してはじめて現状維持+世論の後押しが得られる。但し、2/3以上の議席を確保する程の自民ウェーブはきそうにないような気がする。

つまり、衆議院議員の任期満了まで耐え抜くことが自民党にとって最もローリスな戦略だということです。選挙したって失うものばかりです(2/3以上議席をGETして勝たないと、衆院の再議決が通らななくなる)。

なんで誰をそんな簡単なことを言わないんだろうと思っていたのですが(コンキチが気付かなかっただけかもしれませんが)、一人だけいました。コンキチと意見を一にする超大物が!

ズバリ

飯島勲元内閣総理大臣秘書官です。

正月の昼間にテレビでやってたのを偶然見たのですが、コンキチの意見と同様のことを言っていました。これが見識というものでしょう。

でも、世の中の(自称良識派の)メディアの方々は、解散を煽る言動しかしない。思うに、その方が景気良く盛り上がって大衆受けするからだろうと思います。

マスゴミに良識というより、良心はあるのだろうかと思う二流大出のなんちゃって研究員でした。

P.S.
飯島元秘書官の著作である「小泉官邸秘録」を読みました。首相のリーダーシップと小泉(元)総理が如何に飯島氏を重用していたかが分かる本です。

もし興味をもったら、ここから勝手いただけると嬉しいです(コンキチに幾ばくかのfeeが入ります)。



2008年1月6日日曜日

The Corporate Strategist

我が国が誇る世界的なストラテジストである大前研一氏の古典的著作「企業参謀」を読んでみました。戦略思考について書かれた本です。戦略的思考法についテ、ソノエッセンスガコンパクトにまとめられており、秀逸な著作と思いました。まあ、今となってはそんなに目新しいことが書かれているわけではないとは思いましたが、上梓されたのはいまから30年以上も前のことで(多分32歳のころと思う)、それを考慮すると、目新しくないと感じたのは、氏の著者の「焼き直し」が多数世の中に散見されるということなのかなと思います。それだけ影響力があったのかもしれません。

この本の出版当時、氏も若かったかめか、現在と比較してかなり謙虚な表現で文章が綴られていますね。内容もかなり堅実と思いました。

先日、「日本の真実」(小泉清政権半ばに出版)を読んでみたのですが凄いですね。いいことも沢山主張していると思ったのですが、メチャクチャ高飛車で、結構ラディカルな部分も散見されたように思いました。

特に、小泉-竹中路線をケチョンケチョンにけなしていたのには軽く驚きました。(経済オンチの)コンキチは小泉-竹中の政策を結構評価していたのですが(っていうかかなり希有な政権と思っていました)、彼等の政策は全然意味ないと一等両断ですからねえ(コンキチはそんなことないと思ってますが)。

まあ、だから大前研一氏は過去の選挙において敗北を喫したのかなと思います(オブラートに包まずに言い過ぎたため?詳細は不明ですが、結果からみると、世界に冠たるシトラテジストも選挙戦においてはそのマーケティング力を存分に発揮できなかったようです)。

脱線しましたが、「企業参謀」の話に戻ります。で、この書籍を読んでコンキチが一番驚いたのは、冒頭に書かれてある日本の床屋の話です。その話が、まるっきりQBハウスと一緒なんですよね。つまり、大前研一は齢32にしてQBハウスのビジネスモデルをその頭脳に持っていたわけです。その慧眼に現在32歳のコンキチは敬意を示さずにはいられません。


年をとってちょっっと灰汁が強くなってきたようにも思いますが、大前研一氏は今でも希有なストラテジストであることに変わりないことは近年の論考をみれば瞭然かとは思います。

2008年1月4日金曜日

コールドリーディング

詐欺が世の中を賑わせた昨年、っていうかそういった詐欺は今に始まったことではないと思うんだけれど、人間って学習能力が無い生き物なのかなと思う今日この頃のコンキチです。

さて、昨年のことなのですが、(コンキチの大好きな作家である)橘玲氏の著作(最新作)「亜玖夢博士の経済入門」を読了しました。


この本は5篇の物語からなる短篇集で、各章1つずつ経済学に係るテーマが割り振られています。で、その第4章はマルチ商法をネタに社会心理学をテーマとした話が展開されます。まあ、コンキチは経済学の門外漢なので、難しいことは良く分かりませんが、要はマルチが顧客(カモ)を騙す手口が平易に解説されています。その内容を少々メモしてみようかと思います。

1) コールドリーディング
占い師の技法で、相手のことを何も知らない状態から占いを当てる。何気ない会話を通じて情報を収集する。対義語はホットリーディング(あらかじめ相手の情報を調べておく)。

2) コールドリーディングの基本
a) 否定疑問(肯定しても否定しても間違いにならない質問)を多用する。
b) 当たったことしか相手の記憶に残らないようにする(話題を転換したりして)。
c) 質問の範囲を広げて当たる確率を高める。
d) 外れた占いを合理化する(気づいていないだけとか言って)。
e) 絶対に外れない予言をでっちあげる(予言の時期を明示しない)。
f) 否定不可能な表現や肯定するしかない質問を組み合わせる。

3) 権威に対する服従
権威主義に訴えるってヤツですね。虎の威を借る狐ってヤツですね。コンキチも大好きな馴染みの方法です(自分も権威に平伏す方ですが)。

4) 社会的証明による説得
「長いものには巻かれろ」っていう心理を利用した詐術らしです。狩猟時代に「群れから孤立することは死を意味した」→「生き残るためには集団と同じ行動をとるのが最も有効な戦略」という根源的な特性が人にはあるようです。自分に都合の良い「長いもの」を用意して、それを全体に拡大するのがミソらしいです。

5) 希少性の原理
割とポピュラーなテクニックかと思います。企業のブランド価値の構築にも通じてますよね。「レアメタルが鉄よりも高価な理由」、「金剛石が二酸化珪素よりも高価な理由」、「ルイヴィトンのバッグがユニクロで売ってるバッグより高価な理由」とかが説明されますね。社会心理学の実験によると、原価の定かでないものを売るときは、価格を下げるよりも希少性の原理に訴えかけた方が効果的であることが実証されているらしいです。

6) コミットメントと一貫性の圧力
i. 人間は社会的な動物であり、誰もが否応なく社会のなかで優位な立場を確保する競争に投げ込まれる。
ii. 社会的優位性=集団の構成員から尊敬される立場=信頼される立場
iii. 信頼されるには、約束を守り主張を変えない生き方、つまりコミットメントと一貫性が重要
ということを利用したテクニックらしいです。で、一般に社会的地位の高い人ほどコミットメントと一貫性に固執するそうです(自分の言ったことを撤回できない)。必要条件と十分条件を混同させ、できの悪い三段論法を構築して、ウソつき呼ばわりして冷静さを失わせ、自縄自縛におとしめていくテクニックのようです。冷静さを失わないよう気をつけたいものです。

7) 返報性
「お返しの期待」ってことのようです。人は「贈り物にはお返しをする」という返報性のルールが深く埋め込まれているそうで、他人を操る最も強力な方法なんだそうです。社会に出てからちょっぴり人が悪くなったコンキチは、「贈り物は贈り主の自己満足の形態だ」と考えて、返報性をある程度ヘッジしているつもりです。コンキチの最も好きな言葉の一つである「情けは人のためならず」と同義と思います。

以上がコンキチのメモです。はっきり言って、この章だけでもとっても勉強になりました。ちなみに他の章では、「行動経済学」、「ゲーム理論」、「ネットワーク理論」、「不完全定理」がお題となっています。

いずれも理解しやすい寓話とともに理論の解説がなされており、この書籍を学校の教科書にしてもらいたいぐらいです。そうすれば、詐欺にだまされる人がもっと減るんじゃないかなと思いますね。マジで。歴史の年号を無味乾燥に丸暗記することの100万倍は有益だと思うな。

(もしよかったら、冒頭のリンクか画像をクリックしてアマゾンからこの本を購入してみて下さい。コンキチに幾ばくかのフィーが入ります。)

2008年1月2日水曜日

STARBUCKS As No. 1

スターバックス5つの成功法則と「グリーンエプロンブック」の精神」という本を読みました。


(もし良かったら、上のリンクか画像をクリックしてAmazon.co.jpから購入して下さい。コンキチに幾ばくかのフィーが入ります)

コンキチはスターバックスに高い顧客ロイヤルティーを示しており、かつスターバックスの優れたCRMとパートナーの高いモチベーションがどこから湧いてくるのかということに常々興味を払ってきました。実際、コンキチがスターバックスの店舗を訪れるとき、スタバの従業員は、

a) 常にスマイル
b) 豊富な商品知識
c) セルフなんんですが、顧客の片付けを積極的に手伝ってくれる。
d)オペレーション効率の高さ
e) ほぼ完璧なクリンリネス

を励行しています。正直、上述したことを徹底的のできる組織力の高さを堅持する企業って、コンキチはいまだかつて出会ったことがありません。

で、この書籍がコンキチの疑問を解く鍵になるのではないかと思って手に取ってみたというわけです。

以下、この本を読んで思ったことをメモしてみます。

1) 弁証法的思考
スターバックスには、「反対意見を受け入れる」という風土が有るそうです。で、他者からの批判を踏まえて、生かすことで、さらなるサービスを展開していくんだそうです。これって、弁証法的思考法のような気がします。つまり、

これまでのやり方 = テーゼ
批判 = アンチテーゼ
批判を踏まえた新たなサービス = ジンテーゼ

っていうことです。

こういう考え方って、ポジティブなソリューションの生み出し方ですよね?

2)スターバックス的継続的カイゼン
スターバックスのパートナーは「コーヒーの調達や焙煎、新鮮なコーヒーの販売において、最上級を目指す」ことをミッション宣言で明確にしているそうです。で、自社の品質規格を満たすor超えるためには、これまでの「古いやり方」を捨てることも辞さないのだそうです。「フレーバーロック(パッケージ中の二酸化炭素を抜く真空パック)」の開発にまつわる話が、スタバの品質に対する情熱を例証していますね。品質に対する取り組みはこれあけではなく、トヨタばりの継続的カイゼンを感じますね。

3) ローカライゼーション機能
スターバックスでは、スターバックスのバックボーン的アイデンティティを堅持しつつ、展開地域毎にそれぞれの地域色を出した商品・サービスの提供を行っているそうです。つまり、ローカライゼーションです。で、このローカライゼーションっていうのは、画一的マニュアル偏重では実行不可能なことに加えて、地域毎・店舗毎にサービスをカスタマイズするってかなり面倒くさいと思います。つまり、普通の競合他社は、そんな面倒なオペレーションを展開する可能性は低い。実際、「面倒くさい」というのは、かなりの障壁になると思います。よって、スタバの競争優位が確保される一因と思います。

4) 堅牢なサプライ・チェーン
スターバックスは、川上企業を選定する際、かなり厳しいリクルーティングを実施しているそうです(パートナーの選定についてもそうです)。 考え方がスタバと大きく乖離していない業者を選別することで、様々なアライアンスが比較的容易に達成できるようになると思います。
これって、かなり堅牢なサプライチェーンを構築しているってことですよねえ。

5) スターバックス経験
スターバックスでは、スターバックスを顧客の「サードプレイス」と位置づけて、顧客にコーヒー飲料を単に提供するだけではなく、スターバックスで過ごす楽しいひと時-スターバックス経験-を商品として提供しています。つまり、スターバックスの業態は単なる「飲食店」や「小売業」ではなく、堺屋太一氏のいうところの経験を売る「時間産業」なのです。単なる飲食料品小売業じゃなくてソリューション・ビジネスでまでビジネス・モデルが昇華されていますね。

ここまでは、スタバのパートナーが持つ高いモチベーションによって具現化されたオペレーションについての感想メモです。で、コンキチがより重要と思うのは、上記活動を積極的に促進させるモノです。その答えが↓

6) 経営者の思想

なんだろうと思います。

つまり、経営トップの高邁な思想が企業に宿っているかどうかということと思いました。

高邁な精神を持った経営者の下で働けたら、大層幸せなんだろうなと思うコンキチです。自分はちょっと職業選択(というか会社選択)を間違ったと思ってます。なので、コンキチの子供達には、会社の情報の収集法とか、就社先を選ぶときに重要なことなんかを教育していきたいと思いますね。

以上、二流大出のなんちゃって研究員の思いつきでした。

2007年12月2日日曜日

クリエイティブ・クラスの世紀

という本を読みました。著者は、リチャード・フロリダ。今年の春のダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビューで彼の特集やってたと思います。


一応、コンキチは企業で研究員をやってるので、クリエイティブというタームに興味をそそられ(研究員だからといって、必ずしも仕事がクリエイティブなわけではありませんが...)、この書を手に取ってみることにしました(ちなみに市立図書館で借りました)。

で、氏の主張するところは、昨今、世界では工業化社会からクリエイティブ社会へとパラダイム・シフトしていると言います。また、クリエイティブ経済の発展には、三つのT(テクノロジジー、タレント、トレランス)が重要であると主張しています。その中でも、「トレランス」の重要性を重点的に取り扱っています(新しい主張だからかな)。そして、クリエイティブ経済(頭脳労働がベースとなる経済)下では「都市」が重要なユニットになると言います。

平たく言えば、あらゆる人種、思想、民族、あとゲイに寛容な都市は、才能ある人材(クリエイティブ人材)を引きつける(クリエイティブ人材を排除しない)からだそうです(多分)。で、国策としてクリエイティブ人材を引きつける都市を多く造りだすことが、その国の発展につながると主張しているようです。

具体的には、クリエイティブな社会資本への投資、っていうか教育システムへの投資が重要です(クリエイティブ人材の底上げになる。あと、魅力的な大学は優秀な人材を吸い寄せる)

クリエイティブ経済の基本ユニットが「都市」なのは、多分、クリエイティブ経済を牽引するのはクリエイティブ人材を多く輩出する可能性の高い「大学」ベースで考えているからだと思います。仮に日本で考えてみた場合、我が国最高の頭脳が集積する東京大学がカバーできる地域は、東京であると考えるのが妥当なような気がします。

あと、格差の過度な拡大は、クリエイティブ経済に悪影響を与えると言います(著しい格差は経済成長阻害するという研究成果がけっこうあるそうです。賃金・給与の平準化が購買力のある中産階級(クリティカル・マス)を台頭させる。)。著しい格差社会下では、下層階級の子供は充分な教育をい享受できす、階層間の移動(下層階級→クリエイティブ・クラス)がより困難になり、それが教育の機会が与えられていればなりえたであろうクリエイティブ人材の機会損失につながるからのようです。(そういった観点から考えると、戦後の日本の復興も理解しやすいような気がします)

一方、クリエイティブ経済の創世記(現在)においては、所得格差が進み易いそうです。理由は、経済を牽引するであろうクリエイティブ人材の大規模な移動によるもので、クリエイティブ人材を引きつける地域(高所得の労働者を集めている)とそうでない地域(低所得の労働者を集めている)での地域間格差が進行するから。それから、クリエイティブな地域内でも格差が進行しているそうです。クリエイティブだからといって、クリエイティブな産業のみでは地域社会がなりたちませんからね。多分、非クリエイティブなサービス業とか小売業とかに従事している人(マックの店員とか)もそれなりにいるからでしょう。

まあ、ユニフォーメーションな社会は気持ち悪いけど、格差のバランスをはかっていかなければならないということでしょうか?「中庸」ですね。

本書では、国のクリエイティビティを計測する指数は幾つか開発されているらしいのですが、その中でグローバル・クリエイティビティ・インデックス(著者らが開発した)とううのがあって、グローバル・クリエイティビティ・インデックスを基にした国別のランキングは↓

1位 スウェーデン
2位 日本
3位 フィンランド
4位 アメリカ
5位 スイス
.
.
.

ということでした。正直、我が国が第2位にランクしているのには驚きました(完璧予想外でした)。だって、三つのTのうちテクノロジーんは光ってるかもしれないけど、タレントはイマイチでトレランスに至っては、かなり偏屈なのではないかと思っていたからです。

ただ、ダメダメだと思っていたトレランスについては、
a) 移民政策に対して否定的。
b) 前例主義的。官僚主義的。
c) 実益よりも儀式を重んじるところがある。
d)エスタブリッシュメント(っていうか頭の堅い爺さん)が幅を効かせている。

といったマイナス要素に

a) 宗教に対して寛容(っていうか関心がない?)。
b) 世界に冠たるオタク文化がある(最近富みに市民権を得てきたと思う)。
c)過去においては大陸からの文化を柔軟に吸収してきた。
d)気が弱く自虐的なせいか、他国の人と激しく対立しない(=仲良くなる確率が上がる)。和を持って尊しとなす。
e) 原爆を落とした国とも仲良く出来る。

的なプラス要因を加味すると、日本もそれなりに寛容性がある国家なのかもしれません。

2007年9月17日月曜日

ポーター教授

「Harvard Business Review 2007年2月号」を読んでみました。特集は「戦略論の原点」ということで、

マイケル E. ポーター
ヘンリー・ミンツバーグ
H. イゴール・アンゾフ
大前研一
アルフレッド D. チャンドラー
C. K. プラハッット & ゲイリー・ハメル

といった経営学の巨匠(と言われる人)達の(過去の)論文が掲載されています。

コンキチの個人的な感想ですが、ポーター教授の論文の切れ味鋭い分析力が一際光っていたと思いました。掲載されていたポーター教授の2論文は、それぞれ、「競争の戦略」と「競争優位の戦略」の中の一章で、上記2冊を未だ未読のコンキチにはいい足慣らしになりました(特に「競争の戦略」は購入済みだがまだ手をつけていない)。

特に「競争の戦略」の第1章である「5つの要因が競争を支配する」というタイトルの論文は、有名なファイブ・フォース・モデルの解説ですね。

5つの競争要因とは↓

1) 新規参入の脅威
新規参入者を撃退できるかは、参入障壁の高さに依存し、
(1) 規模の経済(大掛かりな参入、コスト面での不利の我慢)
(2) ブランド(広告宣伝、顧客サービス、業界No. 1のポジション、製品の差別化)
(3) 資金ニーズ(巨額な投資)
(4) コスト面の不利(額主曲線、経験曲線、独占的技術、etc.)
(5) 流通チャネルへのアクセス
(6) 政府の政策(規制)
といった参入障壁があると述べられています。

2) サプライヤーの交渉力
(1) 少数のサプライヤーが供給を支配
(2) スイッチングコスト
(3) 競合する製品の有無
(4) 川下統合の可能性
(5) 顧客の重要性

3) 顧客の交渉力
(1) 顧客数。購入量。
(2) コモディティ製品かスペシャリティ製品か
(3) 顧客の価格感度(顧客企業の製品中に占めるコストの割合)
(4) 顧客企業製品に与えるインパクト
(5) 川下統合の可能性
(6) 消費者の購買意思決定に影響を及ぼせるか?

4) 代替製品や代替サービスの脅威
(1) コスト・パフォーマンス大の代替製品
(2) 収益性の高い産業が生産している

5) 産業内のポジション争い
競合企業同士の競争で、価格競争、新製品の上市、宣伝といった戦術でポジションが争われる。
(1) ライバルの多さ
(2) 産業の成長率が低い→シェア争い
(3) コモディティ産業(スイッチング・コストを上昇させることができない)
(4) 固定費が高い、製品が陳腐化しやすい→価格引下げのインセンティブが生じやすい。
(5) 生産能力が大規模に増強される→産業内の需給バランスを崩す
(6) 撤退障壁が高い→健全な競合企業の収益性も落ちる
etc.

です。

このファイブ・フォース・モデルは企業のビジネスモデルを分析するのに強力なパワーを発揮すると思います。

あと、買ったけどまだ手つかずの「競争の戦略」も早々に読了したいです。

2007年8月5日日曜日

まっとうな経済学

まっとうな経済学を読了しました。


ちなみに原題は「The Undercover Economist」(覆面経済学者)っぽいです。

この本、著者の元々の文章が悪いのか、訳者の訳文が悪いのか、コンキチの国語の読解能力が低いのか、読み辛かったです。

さて簡単な本書の内容ですが、「希少性」、「外部性」、「情報の非対称性」が基本的なキーワードになっていて、これらに係る要素が市場を規定する的なことが書かれていたと思います。特に、「希少性」が最も繰り返し使われていて、その力の持つ支配力の大きさが力説されていますね。実際、ラグジュアリー・ブランドはその希少性を利用して、割高なプライシングを実現しているというのは周知のことでしょう。

それから、「価格ターゲッティング」というアイデアが興味深かったです。ベースとなる商品と割高なオプションを加えた商品ラインナップし、顧客の価格感度を測り、価格感度毎に顧客を選別するということだと思うのですが、そういう価格戦略は興味深かったです。(価格感度の低い顧客はオプション沢山のプレミア商品を買う。また、プライベート・ブランドはナショナル・ブランドの見せ玉につかわれる。)」

あと、本書で語られている「誘因」は、多分インセンティブのことだと思うのですが、設定された「誘因」により、その「誘因」の支配下にある人々の行動が規定されるということは、「ヤバい経済学 -悪ガキ教授が世の裏側を探検する」と同じ主張のように思いました。ただ、本書ではカメルーンや中国という国家を引き合いにだして説明しうていることが興味深かったですね。

個人的に読むのに難儀しましたが、図書館で借りて読んでも損しないくらいの価値はあると思いました。

2007年7月29日日曜日

侍はいた

構造改革の真実 竹中平蔵大臣日誌」(竹中平蔵著)を読了しました。


以下、徒然なるままに、とりとめもなくまとまりもない感想をメモしてみます↓

我が国で、大臣経験(しかも常に主要な大臣)者であり経済学者である氏の著作というのは非常に価値があると思い、同書を手に取りました(経済学者で大臣は竹中さんと現経済財政政策担当大臣の大田さんしかいないと思う)。

タイトルからも明らかなように、同書は5年5ヶ月に渡る小泉内閣においての氏の仕事を著したものです。内容がコンキチの想像以上に生々しく描かれていて、この手の書籍としては読んでいて珍しく興奮しましたね。で、率直に思ったのは、我が国にも「侍」と呼べるような人物(政治家、学者、経済人、官僚)がいるのだなあと感じ、柄にも無くちょっと胸が熱くなるのを感じてしまいました。

小泉内閣発足時、日本は「失われた10年」などというキャッチ・フレーズに表されるように、これまでの超バラマキによる財政政策の失敗(流動性の罠)によって、経済の閉塞感に覆われていました。実際、小泉内閣発足前夜に就職したコンキチ達の時代は「就職氷河期」などと言われ、労働市場(っていうほどの市場は形成されてないよ思うが)は、企業業績の悪化を背景に空前の買い手市場でもありました。

巨額の不良債問題、巨額の財政赤字といった非常に好ましくない状況の中にあって、敢えて火中の栗を拾おうとし、そして、我が国の経済を回復の方向に向かわせたのが、小泉純一郎内閣総理大臣と竹中平蔵大臣であり、彼等を真剣に支え続けた気骨あるスタッフでだったのだなと同書を読んで改めて感じました。

まあ、本人の手による著作なので、ある程度は割り引いて考えなければならないかとも思いますが.....

小泉内閣発足時から、竹中大臣の語り口は、他の政治家などに比べて、極めて分かり易く、はっきりいって氏は「まともなこと」を言っているように聞こえました。それなのに、「いつか来た道」を繰り返そうと刷るばかりの抵抗勢力のオウム返しのような台詞にはTVの前で辟易させられました。

また、国民の意を得た(ような)場合は「ポピュリズム(衆愚)」と、リーダーシップを発揮するときは「国民不在(ファシスト)」とヒステリックに叫ぶ、そして歪曲報道と掌を返したような発言をし、自分達があたかも正義の使徒であるかのように振る舞うマスゴミの醜悪な姿を忘れることができません。

まあ、反体制的な発言をおもしろおかしく公共の電波で流さないと視聴率が下がりそうだからしかたありませんかね。

ところで、この本を読んでコンキチが一番印象に残ったのは、「官僚の無謬性」という言葉が連呼して使われていたことです。官僚(組織)は、自分達がこれまでに行ってきたことは全て正しいと考え、自己否定することは皆無であるとうことです。で、これまでの行いが正しいのだから、現在・未来の施策もその延長上にあるものしか採用されないということです。これってちょっと(新興)宗教チックなところがありますよね。まあ、宗教に限ったことではありませんが、あるものに自分がのめり込めばのめり込むほどに、(例えそれが間違っていたり、アホアホなことであっても)そこから抜け出せなくなっていくという心理に似ていませんか?このことは、人間は自己を否定することが本質的に辛いということを表していると思います。そもそも、人間は神ではなく、間違いをしょっちゅう犯すのは周知の事実でしょう。となると、自己を否定できる文化を持ち、自己を修正できる組織は強いという結論に達することができるのではないでしょうか(例えば、トヨタとか)。

それから、所謂「政策通」とか「経済通」と言う言葉は、官僚の"冷やかし"用語であって、官僚から見て、自分たちの都合をよく聞いてくれる人、言いなりになる人なのだそうです。思わず「道理でな」と思ってしまいました。

あと、小沢一郎が「豪腕」とかと称されたようですが、ちょっと集金が上手だっただけでしょ。真の豪腕とは、政府主導の改革と意思決定プロセスを成し遂げた竹中平蔵であり、小泉純一郎であるとコンキチは思いました。

PS
コンキチは竹中平蔵教授の著作・訳本を何冊か読んだことがありますが、ホントに人に読ませる文章が上手だなあと思いました。竹中平蔵は政策造らせてよし、(大臣として)人を使わせてよし、本を書かせてよし、火中の栗を拾える剛胆さを持った希有な人材だと思いました。そして、小泉前総理の最大の功績は、小泉内閣の要所要所で、竹中平蔵という優れた才能を内閣のキーポジションで使い続けたことにあると思います。そういう意味で、小泉純一郎もまた希代のリーダーだったと思いますね。

2007年6月24日日曜日

シャドー・ブランド戦略

「Harvard Business Review 2007年2月号」の記事です。

この記事では、あえて商品やサーヴィスの闇の部分(Dark Side)に焦点をあてることによって成功した広告戦略を紹介しています。

以下、事例↓

1) リプトンの<カップ・ア・スープ>

当初(70年代以前)、「やさしいママとにこにこ笑う子どもたち」というイメージで売られてきたが、現在の常識に照らし合わせれば、当該商品は塩分が高く、栄養価も低いというのが実態で、当初のコンセプトとは明らかに異なる性質の商品となってしまっていた。

そこで、「オフィスで食べるスナッック」と位置づけ、<スニッカーズ>や<コカ・コーラ>の代替商品としてプロモートすることにより、20%の値上げにもかかわらず、売上げが60%伸びたそうです。



2) ユニリーバのパスタ・ソース<ラグー>

ライバルとの競争の過程で、パスタ・ソース全般がどんどん濃厚な味になっていたが、<ラグー>はライバル商品ほど濃厚ではなく、味わいも貧弱だったといいます。

そこで、濃厚スープは大人にはいいかも知れないが、子供には向かないという視点から、「ボリュームたっぷりで食べ応えのあるソース」に見せかけるのをやめ、「子どもたちが大好きなパスタ・ソース」というポジショニングで販促を展開したそうです。

結果→10年に渡って落ち込んでいた売上げが一転して上昇↑



3) ロサンゼルス市警の警察官募集広告

輝かしいキャリアや優れた技能、子どもたちの憧れといった要素をいっさい排除し、「警察官の仕事がいかに困難か」ということを遡及したという。

その結果、応募者は殺到し。広告を見たグループでは、警察への尊敬の念が高まったという。

誰もが進んではやりたくない、それでいて誰かがやらねばならない仕事を粛々と遂行する警察官の姿をアピールすることにより、リアルな警察官の崇高な姿がブランドとして遡及した結果だといいます(あと、社会的インセンティブから道徳的インセンティブへのインセンティブの移転を起こした例だと思う)。


商品やサーヴィスの良い点(明るい点)ばかりにスポットを当てたプロモーションに消費者は辟易しているといいます。筆者は完全無欠は独自性に欠けると述べています。。少なくとも、商品の性質を的確に表した広告でなければ、消費者はいずれそのウソに気が付き、その商品から離れて行くのでしょう(少なくともコンキチは、そういう商品に出会ったら、二度と買わないリストにランクインさせます)。

当たり障りの無い、ステレオタイプの単に商品を褒めたたえるばかりで、その商品に実が伴っていない場合、所謂誇大広告は、長期(中期)的にみて、解約率(そっぽを向かれる率)が上昇し、その商品が市場から駆逐さてしまうことを示唆しているように思いました。

商品特性に合ったセグメントをターゲットにすべしということなのでしょう。

2007年6月18日月曜日

Freakonomics

ヤバい経済学」を読了しました。

若干ふざけたタイトルと感じるかもしれませんが、はっきり言って良書と思います。著者の一人のスティーブン・D・レヴィットはジョン・ベイツ・クラーク・メダルを受賞した気鋭の経済学者らしいです。

で、レヴィットが経済学というか、人々の行動を支配し規定するもの、その結果具現化される世界の有様の根底にある最も主要なものは、




インセンティブ



であると言います。


<以下引用>


インセンティブは現代の日常の礎である。そして、インセンティブを理解することが-おうおうにして壊してしまうことにもなるけれど-凶悪犯罪からスポーツの八百長、出会い系サイトまで、どんな問題もほとんど解決できる鍵になる。


<引用終了>



コンキチも同感ですね。正と負のインセンティブ(飴とムチ)の与奪こそが、人の行動を制御すると常々感じています。

で、本書で最もコンキチの心に残った事例は、保育園の事例でしたね↓

親が午後4時に子供を迎えにこなければならないという決まりの保育園があり、親達はよく遅れてくると言う。で、10分以上遅れた場合は、その親には毎回3ドル(子供1人あたり)の罰金をとることにしたところ、


週に8件の遅刻が20件に増えた


そうです。


それからもう1例。

献血をした人に小額の奨励金を払ったところ、献血は減る傾向がある。

さらにもう1例。

売春と戦っているアメリカの街には、売春した男と売春婦の写真をWebで晒していることろがあるという。

最後にもう1例。

レヴィットの娘(当時2歳)がおまるを使わなくなった時、おまるでおしっこをしたらチョコレートをあげることにしたといいます。最初の2、3日は思惑は達せられミッション・コンプリートの様相を呈してたそうです。がしかし、4日目になると、娘は数滴おしっこしてはチョコをせしめ。またすぐにおしっこしたいといっては数的しかおしっこをしなかったと言います。


さて、インセンティブには下に示す4つのインセンティブがあると言います。

1) 経済的インセンティブ

2) 社会的インセンティブ

3) 道徳的インセンティブ

4) インセンティブの暗黒面(ダークサイド)


保育園の例は、罰金3ドルが安すぎるというプライシングの問題と、道徳的インセンティブから経済的インセンティブへのインセンティブの転移が起こったことが、現実の結果を誘起した例。

献血の例も、道徳的インセンティブから経済的インセンティブへのインセンティブの転移の例。但し、プライシングがより高額になれば、インセンティブの暗黒面が発現して輸血ビジネスのブラックマーケットが生成するかもしれない(本書でも言及している)。

売春の例は、負のインセンティブを罰金という経済的インセンティブから「晒し者」の刑という社会的インセンティブに移転した例で、Web上で晒された写真が家族や知人に見つかったら超はずかしいという恐怖に訴えた抑止策の例。

そして、レヴィットの娘の例は、インセンティブの暗黒面(ダークサイド)の発現の例。


ですね。


人は常に日々の生活を送る上で裁定取引を行っていると思います。経済性、道徳、社会性を考慮して最も自分に有利な選択肢は何か? とうことを考慮して行動に移すわけです。個々人の(経済性、道徳、社会性に対する)価値観は、必ずしも一致する訳ではないので、一見すると「なんでそんなアホなことするの?」という疑義が発生するかもしれませんが、当人にとっては、インセンティブのトレード・オフをはかりながら(一般的にはそうではにかもしれないけれど)それなりの合理的な判断をした結果なんだろうと思います。


かなりまとまりがなくなってきましたが、要は



インセンティブの支配



こそが現世で人々の行動を規制するの最も重要な事柄なのではないかなということです。