2012年6月10日日曜日

日本人の真実

先日、浜町で蕎麦を喰ってきたんですが、かなりハイレベルなお蕎麦でした↓

-浜町藪そば メモ-
せいろそば (大盛り) 790 JPY
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
超極細の蕎麦は、食感が良く、コシ強く、力強い味わいで、よく噛んで味わう系。極細なのでのど越しもよく、喉でも蕎麦を存分に味わえる。ツユは辛口でしっかりしたbodyを感じる。しょっぱいだけでなく、優しい甘さも適度にある(辛さの後に甘みがあらわる感じ)。そして、蕎麦とツユがbest much!当初、ツユは徳利無しで提供されたため、いかがなものか思ったが、蕎麦に余分な水分があまり無いため、ツユが水気で薄まるのは気にならないレベルだった。
雰囲気良く、接客も悪くない店と思いました。


閑話休題


先日、橘玲の新作「(日本人)かっこにっぽんじん
」を読了しました。
日本人を括弧でくくるという、いささか人を食ったようなタイトルですが、その内容である日本人の特質の考察は注目に値すると思いました。


一言で言うと、
「日本人は、とっても世俗的で、血縁・地縁を嫌うとっても個人主義的な生き方をしている」
と要約されるようです。


本書では、

日本人の特性というと、「和をもって貴しとなす」といったものが象徴的だけど、それはなにも日本特有のもではないという。そもそも、所謂日本人特有と言われている基質は、洋の東西を問わず、あらゆる農耕社会に共通な特質だといいます。

農耕社会では、その特性上「土地(なわばり)への執着」が生まれます。バブル経済全盛に流行った「土地神話」も日本に特殊な現象ではなく、全ての農耕社会は1万年前から土地神話に呪縛されていたと言います。
また、「島国根性」という言葉も、囲いをつくって敵から土地を守るというという農耕社会の基本原理で(例: 万里の長城)、「開放的な農村」は原理的に存在しないと言います。
そして、農耕社会における最も重要な特徴は「退出不可能性」=「ムラ社会」で、その共同体の一員としてずっとその土地に住み続けなければいけない社会であると解きます。そういった閉鎖空間では、共同体のなかで対立が生じたときに行う政治は、「妥協による全員一致」以外にあり得ず、「身分」=「各自の社会的な役割」の固定(「分」を守って生きる)が起こるそうです。

ちなみに、タイは日本以上にものごとの白黒をはっきりさせることを好まず、面子と気配りを重要視し、政府は日本以上に何も決められず(無責任社会、責任回避社会)、位階(ヒエラルキー)社会だと言います(ラオスはタイに輪をかけてそういった傾向が顕著らしい)。

それじゃあ、日本人固有の特性とはなんなのかというと、それは、世界でも稀に見る高い「世俗性」だそうです(ダントツでNo. 1に世俗的)。これは、ロナルド・イングルハート(アメリカの政治学者)の価値マップから明らかにされたといいます。また、世界価値観調査では、日本人は、ダントツで国にために戦う気がなく、ダントツで日本人としての誇りがなく、ダントツで権威や権力を毛嫌いする特徴を有するという結果が示され、日本人の極端な世俗性と整合します。さらに、日本、中国、韓国、アメリカの四カ国中で、日本は最も個人主義的な生き方をしているという調査結果もあるそうです。
ちなみに著者は、大伴家持の句であったり、オリジナルの仏教を世俗化した日本式インスタント仏教、戦前戦後における日本人の変わり身の早さなどを例に挙げて、日本人の世俗性は伝統的なものだと主張しています。


そして著者は、

a) アメリカニズムは、アメリカが人種のるつぼなるがゆえにグローバルスタンダードとなり世界を浸食していき、その流れはグローバルスタンダードであるがゆえに止められない(例えば、アメリカでは人種、宗教、性別、年齢で社員を差別することは許されない。結果、定年は存在せず、履歴書には生年月日を書く欄も写真を貼る場所もない)。

b) グローバリゼーションは先進国と発展途上国との間の格差をフラッット化する一方で、先進国内の格差を拡張する。

c) よって、先進国はダウンサイジングを迫られることで、国民の「夢」や「希望」がない世界になる。

d) 経済的には行き詰まりを伺わせる先進国だが、ソーシャルメディアの出現により、人は評判獲得競争(評判経済)により参入しやすくなった。そして、人は貨幣より評判を選好する。貨幣経済→評判経済への転換がポスチモダン。

e) 社会そのものは変われなくても、伽藍(ムラ社会, 閉鎖系)→バザール(自由と自己責任が一体, 開放系)への転換は個人としては十分可能であり、バザール世界の住人の増加が伽藍世界を壊す圧力となる。

と続け、

最も世俗的な日本人が、自由な自己表現のできる社会を構築(伽藍→バザール)すれば、徹底的に世俗的(合理的)な人々によって構成される、誰もが自由に自己表現・自己実現できる社会が形成され、ユートピア=(退出可能な開放系の社会である)最小国家のフレームワークが実現できる。

という著者の夢で締めくくられています。


本書でとりあげられたサーベイの有意性や、著者が最近傾倒し、本書の論拠の一部となっている進化心理学のプレゼンスをボクは評価できないけど、これまでの「日本人像の常識」を真っ向から覆す「新たな日本人像」の提案は非常に興味深く、刺激的と思いました。


それから、本書では幾つかの(ボクにとっては)センセーショナルな内容がけっこうまぶされています。例えば↓

・新渡戸稲造の「武士道」は、新渡戸の「日本人の理想像」を創造(フィクション)したものに過ぎない(新渡戸が明治維新を迎えたのは7歳。武士道は歴史研究家でもない新渡戸ななんお資料もないカリフォルニアで書かれたもの)

・「菊と刀」を著したベネディクトの仕事は、日本占領に備えて日本人とアメリカ人の違うところを探すことが前提にあった(日本人の特殊性にのみフォーカスされた)=「日本人論」は輸入品

・温帯ベルト仮説(ジャレド・ダイアモンド, アメリカ進化生物学者)=「農耕文明は気候の違いを超えることができない」→近代以降の世界史の展開にも適用

・日本のサラリーマンはアメリカの労働者よりもいまの職場が嫌いで、会社への忠誠心が低いという社会調査の存在

・福祉国家の試みは破綻した(福祉国家は、人口の少ない寒冷地で、住民が一カ所(首都)に固まって住んでおり、資源に恵まれているような国でしか成功しないモデルである。例えば、
スウェーデンの人口は約1000万人。ちなみに神奈川県の人口は約900万人)

etc.....

この本の著者を、「研究者でもないくせになにを言ってるんだコイツは」と批判するのは容易いし、いろいろとツッコミたいところもあるけど、橘氏の視座というかアイデアはとても刺激的で魅力的にもみえる。読んでみて損はない本ではないかなと思いました。
(彼は、昨年の震災・原発事故以降、センチな論調で未来について語ることが多くなったような気がする。ボク的にはそういった筆致はあまり好きではないが、氏のシニカルな表現はまだまだ健在で、そのセンチさを補ってあまりあるほどと思います。)

2012年5月27日日曜日

有機化学者による有機化学者のため(?)の恋愛小説 (2)

最近気候がよくて気持ちいいですね。っていうことで、街をアメ車でブイブイいわせてるコンキチです↓


(DAHON(ダホン)の自転車はamazonでも買えます)


閑話休題


2011年、あの純正有機合成化学小説「ラブ・ケミストリー」(see http://researcher-station.blogspot.jp/2011/03/blog-post.html)で一世を風靡(?)した、現役某大手製薬会社研究員の喜多喜久氏の最新作「猫色ケミストリー」を先日読了したので、その感想をメモしてみます↓

今回の作品も東大農学部が舞台で、有機合成ど真ん中のファンタジー恋愛ミステリ(犯人当て)に仕上がっています。主人公は、計算化学が専門のコミュ障男子(M2)。ヒロインは不斉合成触媒の研究やってる同級生女子(M2)です。

時は修士論文作成も佳境に入ってきた頃。主人公男子とヒロイン女子と学内に住着く野良猫が、落雷にうたれたのをきっかけに人(猫)格が入れ変わってしまい、修論の完成と本来の体を取り戻すために悪戦苦闘している最中、研究室内覚せい剤合成事件(当然犯罪)に遭遇し、事件を解決するとともに、本来の体を取り戻しつつ、なんとなく相思相愛になって行くというなんともこそばゆい少女マンガちっくな作品でになっています。恥ずかしながら、けっこう自分は好きです。

あと、本作では不斉合成が(修論の研究)テーマなので、その辺りの一般人への啓蒙も抜かりはありません。

それから、こん本で秀逸だなと思ったのが、違法な覚せい剤合成をしている犯人特定のために仕掛けたトラップです。これ、(まあ、たいして難しくないんですが)合成ルートから類推してトラップしかけてる訳なんですが、この件は有機合成化学者にはたまりません。

ところで、この雷による人格入れ替えって、

主人公コミュ障男子→ヒロイン女子
ヒロイン女子→野良猫(♂)

っていう、冷静に考えるとかなりエロい設定になっていると思うんですが、まあそこはご愛嬌といったところでしょうか?(っつうか、絶対オタッキーをターゲットにしてると思う)。

とりあえず、ケミストリー三部作を期待する二流大出のなんちゃって研究員でした。

あっと、最後に(キメ台詞)↓

サイエンスは推理であり、推理とはサイエンスなのである


スケールアップにノウハウなんてない!

先週の月曜日、金環日食をけっこう満喫したコンキチです。



通勤途上、空を見上げて太陽のその姿を変えていく様子ををしつこくチェックしてたんですが、思いのほか楽しかったです。っていうか超楽しかった(前日、ロフトに日食眼鏡買いに行ってホントに良かった)。


閑話休題


さて、転職する前まで10年近くプロセス化学やってたコンキチです。

プロセス化学(プロセス・ディベロップメント)って、その目的は企業化=実機での製造っていうことになると思うんで、スケール・アップの化学っていう側面があると思います。まあ、実際そうなんですが.....

ところで、スケールアップってプロセス・ディベロップメントの世界だけじゃなくて、ラボスケールのサンプルワークの世界でも日常的にあるわけなんですが、たまに「スケールアップのノウハウ」なんていう発言を聞くことがあります。

そんな言葉をきくたびにボクは思うんです。「スケールアップのノウハウ」って何かオレに教えてくれよっっっっっ!!!って。

だってさ、ボク的には「スケールアップのノウハウ」なんて、この世に存在しないって考えてるから。そもそも、スケールアップして再現得られないっていうのは、少量で上手くいってた実験と同じことが出来てないだけなんだよね。で、量上げして少量のときと同様のオペレーションがし難いことってだいたい決まってる。

熱履歴の制御、滴下時間とかのタイムスケール関係、撹拌効率とかスーパーヒートとか、晶析、蒸留.....etc.  

要は、スケールアップはノウハウで解決するものじゃなくて、大部分はルーチンなチェックで解決もしくは原因の把握ができるってこと。ボクはそう考えて仕事してます。

あ、あと、全ての研究者には「再現性がない」って言う言葉は死語にしてもらって、「再現を得ることができなかった」って言い直して欲しいと思います。

以上、二流大出のなんちゃって研究員の戯言でした。


2012年5月2日水曜日

食べログはどれくらい信用できるのか?

最近、神田界隈を攻めているコンキチです。
先日は、鍛冶町にある神田くらどに行ってきました。

-神田くらどメモ-
食べたもの/ 刺身盛り合わせ、出汁巻玉子 (850 JPY)、とちお揚げ (800 JPY)、生湯葉刺身 (980 JPY)、ほたるいかの沖漬 (600 JPY)、ねぎ味噌焼 (650 JPY)、焼きソラマメ etc.
飲んだもの/ Catena chardonnay 2009 (4,500 JPY)、佐藤 白 (600 JPY)、プレミアムモルツ ハーフ&ハーフ s (500 JPY)、田酒 etc.
感想/
「割烹料理とソムリエ厳選のワインを楽しむ」がコンセプトの店らしいです。店内は雰囲気が良く、女性店員は着物姿。プライシングは割高の印象もあるが美味しい。刺身はgood taste。生湯葉はexcellent!ほたるいかは身が大きくてけっこう濃厚に漬けられていて酒の肴に良い。注目していた魚介類とワインのマリアージュは悪くない。普通に合わせられた。これには非常に驚いた。おそらく料理に相当な工夫がこらされているんだろうと思った。佐藤 白は初めて呑んだけど、黒よりも苦みの立った締まった味か(neat, ambient temp.)。そしてプレミアムモルツのハーフ&ハーフは秀逸の極みで、ふくよかな果実の香味がいっぱいに広がり、濃厚なbodyとaromaを堪能できる。唯一残念だったのは、田酒。何故かfinishに漂白剤様の異味がした。銘柄は忘れたが、微発泡性の清酒が旨かった。また訪れたい店の一つ。
http://kurado.jp/

ところで、食べログっていうレストラン情報サイトがあります(みんな使ってるよね)。コンキチも食べログ情報を参考にしてお店を探したりしますが、そこに掲載されている情報は玉石混淆といった感じで注意が必要と思います。

具体的にどのへんが玉石混淆かというと、神田を攻めるにあたって食べログ情報を使いながらお店のチョイスを行っていたんですが、点数が比較的短期間のうちに大幅に変動してる店があるんですよね。それが怪しいポイント。一方、老舗チックな店は安定した高得点を維持していたりもして、そっちの方は信用できそうです。

下表は、鍛冶町界隈の店の食べログポイントを個人的にチェックしていたものなんですが、神田新八ともつ焼元希のポイントの急上昇と鍛冶二丁の急降下が気になります(新八と元希はアド街で紹介された店。特に新八は割高という噂もあるが、日本酒の品揃えには定評があり、酒のみなら一度は訪れなければならないという有名店)。

昨年4月にオープンしたばかりの鍛冶二丁は、大阪のコズミックダイナーという飲食店を経営している会社の系列店なんだけど、わずかひと月でのこの凋落っぷりはどうなんでしょうか?いささか穿った見方をしてしまいそうです。

そういうことです。

Jan.
Feb.
Mar.
Apr.
May
神田新八
3.18
-
3.53
-
3.52
尾張家
3.54
-
3.55
-
3.54
もつ焼元希
3.10
-
3.52
-
3.51
居酒屋ほまれ
3.14
-
3.14
-
3.16
神田くらど
3.37
-
3.48
-
3.47
かんだ光壽
4.00
-
4.00
-
4.00
満寿家
3.85
-
3.86
-
3.83
鍛冶二丁
-
ca. 3.5
3.00
-
3.00

2012年4月4日水曜日

ターゲットはDQN

僕は君たちに武器を配りたい」を読了しました。

著者は、東大法学部→東大院法学政治学研究科助手→マッキンゼー→独立。京大産官学連携本部イノベーション・マネジメント・サイエンス・研究部門客員准教にしてエンジェル投資家という肩書きのエリートです。

以下、この著作でコンキチの琴線に触れた箇所をメモしていきます↓

a) 「学問のすゝめ」は慶大の宣伝本
諭吉は学問することで人間には差がつくと宣伝し、慶應義塾をアピールした

b) 勉強ブームとは不安解消マーケティングである
英語やITスキルは、単にそれだけでは価値を生み出さない。

c) 技術革新によって賃金は低下する
アメリカのジョブレス・リカバリーと全く同じことを言っているのでしょう。機械化やIT化によって、人海戦術(雇用)の必要性が低下した。既存産業において必要の無くなった要員を新規産業(高付加価値産業)で吸収できなければ、雇用や給与水準は悪化する。

d) 分からない差異は、差異ではない

e) 女子会はリクルートによって仕掛けられた
今の東京で働く普通の若い人(コモデティ人材)で貯金ができているのは、殆どが自宅から通っている人しかいないという。すなわち、自宅から会社に通う若い女性は、そこそこのお金を貯めている。この女性たちに、貯め込んだお金を使ってもらう狙いで、リクルートが女子会を仕掛けたというのだ。
ちなみに、同世代の男性は、食事に行っても自分と彼女、両方の食事代を負担することもしばしばで、これ以上の金を引き出せないと分析してるようです。

f) 金融業界(リテール)や堀江社長が仕切っていたころのライブドアはDQN な大衆から広くお金を集めるビジネスである

g) イノベーション=枯れた技術の水平展開
see http://researcher-station.blogspot.jp/2007/01/blog-post.html
希代の天才が、「何もないところからアイデアを生み出す」というイメージはロマンがあって魅力的であるが、危険なフィクションである。イノベーションや創造性というものは、そのイメージほどミステリアスなものはない。すでに開発されたアイデアを取り入れ、それを新しい状況に適用しているにすぎない。

h) 2004年高額納税番付1位だったタワー投資顧問の運用部長は、同社のオーナーだった(役員賞与の税金対策)。マスゴミには報道しない自由がある。

i) コンビニ経営はハイリスク、ローリターンの最たるもの
おいしいところは本部がゲットしていく(セブンの利益率は高い)

etc.

なかなか示唆に富む内容の本と思いました。(同じマッキンゼー出身でも、どこかの自己啓発の女王様とは大分違います)

ボクはこの本を読み終えて次のように思いました↓

世の中でまことしやかに囁かれていることを何の疑いも無く受け取るのはあまりにも人が良すぎるDQN。その話に裏がないかどうかを疑い、十分検討すべし

と。

以上、DQNビジネス(大量のDQNを搾取するビジネス)に興味が出てきた二流大出のなんちゃって研究員の呟きでした。

2012年3月18日日曜日

Room Temperature Cross Coupling: 脱離基はアミノ基

そういえば、有機化学とラブコメの融合にして、第9回『『このミステリーがすごい!』大賞』の優秀賞を受賞したラブ・ケミストリーから約1年。喜多喜久氏の新作「猫色ケミストリー」(東大を舞台に「人格入れ替わり」をテーマにした有機化学コメディ)がもうじき発売されますね
(絶対、ケミストリー三部作にしようとしてると思う)

ところで、喜多喜久氏の作品はこの2本だけではなくて、「クリスマス・テロ」という短編があります(「このミステリーがすごい! 2012年版」に収録されています)。東大を舞台にしたちょっぴりサイエンティフィックなラブコメで(あいかわらずの少女漫画調)、幼少の頃、少女漫画を読み耽ったコンキチにはなかなか良かったです(ときめきトゥナイト、ハンサムな彼女、パタリロ、こいつら100%伝説などを愛読していました)。


閑話休題


ちょっと古いんですが、こんな文献を読んできました↓

Room Temperature Palladium-Catalyzed Cross Coupling of Aryltrimethylammonium Triflates with Aryl Grignard Reagents
Org. Lett., 2010, 12, 4388-4391.

aryltrimethylammonium triflate (or tetrafluoroborate)とaryl Grignard reagentとの(Kumada-Tamao-Corriu)クロスカップリングのお話です。しかも、室温で!

15 examples, 79-94% yieldです。

エレクトロファイルの官能基許容性は高く、F, Cl, CO2Et, OPiv, CN, SMe, OCF3, NMe2でオッケーです。

ちなみにこの仕事は、Werkert等の1988年の仕事にインスパイアされたものだとか↓
著者等の仕事では、アンモニウム塩はトリフレートの他にテトラフルオロボレートでも有効。また、それらの誘導方法はこちら↓

ちなみに、ジメチルアニリンからone-potでカップリングさせることもできて便利↓(ただ、反応時間はdirect reactionよりも長くなってしまう。ちなみに、下のschemeの反応は、ダイレクト反応だったら1 hで終結)
あと、競合実験でエレクトロファイルの反応性の高さは、

PhI > PhNMeOTf > PhOTf >> PhBr > PhCl

なかなか楽しそうな反応と思いました。

Hartwig Trifluoromethylation: late-stage trifluoromethylationのためのTrifluoromethylator

先日、新しいiPadが発売されましたが、初代iPadにMOLESKINの純正カバーよりもMOLESKINチックなカバーを装着してそのベストマッチング具合に満足してひとりニヤニヤしているコンキチです。



閑話休題


こんな論文を読んでみました↓

A Broadly Applicable Copper Reagent for Trifluoromethylations and Perfluoroalkylations of Aryl Iodides and Bromides
Angew. Chem. Int. Ed., 2010, 50, 3793-3798.


Hartwigの研究グループの報告です。

近年、網井らの研究グループがヨウ化アリールのトリフルオロメチル化の触媒システムを開発しました(Chem. Cummun., 2009, 1909-1911. )。触媒活性種は、[(phen)CuCF3]と提案されているんだけど、その単離はされておらず分光学的データもありませんでした。ちなみに、その触媒システムでは、電子不足ヨウ化アリールでは反応が進行するものの、電子リッチな基質では目的物が生成しないという課題があります(ちなみに、今、Chem. Commun.みれないので詳細は分からない)。ちなみに、網井らの触媒システムはこんな感じらしいです(この研究成果は、Cu触媒を用いたトリフルオロメチル化の数少ない成功例みたいです)↓


著者らは網井らの研究成果にインスパイアされて、提案されている件の触媒活性種[(phen)CuCF3]を合成・単離し、その活性を詳細に検討したというのが本報の内容です。

触媒の合成・単離は上記schemeの通りに行われ、その性質は↓

・orange-red solid
・DMF, DMSOに溶解。THF, CH2Cl2には部分溶解。ベンゼン、Et2Oに不溶。
・DMF中では、[(phen)CuCF3]と[(phen)2Cu][Cu(CF3)2]の平衡混合物として存在(19F NMR、導電率測定から示唆)
・室温、窒素雰囲気下で、1ヶ月以上安定

という感じです。ちなみに、-CF3が-CF2CF2CF3も同様に調製可能です(97% yield)。

←次に擬似触媒条件での反応を検討したところ、
電子リッチな基質に対しても高い活性を示し、官能基の許容性も高く、立体障害にも強いという結果が得られています。このことから、網井らの反応条件下では、[(phen)CuCF3]以外の化学種と反応しているか、[(phen)CuCF3]が十分に生成していないことが示唆されました。

ちなみに、p-RArBrとも加熱(110℃)すれば、反応が進行します(R=CO2Et: 61%; R=CHO: 66%; R=CN: 60%)。

さて、[(phen)CuCF3]の活性が明らかになったところで、著者らは、より実用的なトリフルオロメチル化反応の開発へと検討を進めていきます。

ArIに対して1.2-1.5 eq.の[(phen)CuCF3]を作用させると、種々にArIに対して、マイルドな条件下、優れた収率でトリフルオロメチル化が進行します。はっきり言って、この芳香環の電子状態に関わらない活性と官能基許容性は凄いと思います。しかも、[(phen)CuCF3]を空気中で秤量しても活性は殆どかわりません(反応は不活性ガス雰囲気下で行われる)。

さらに著者等は、[(phen)CuCF3]をin situで発生させてそのまま反応に用いるさらに実用的なプロトコールに開発に取り組みます。その結果、DMF中でCuCl、KOtBu、1,10-フェナントロリンから[(phen)CuOtBu]を発生させた後、TMSCF3 (Ruppert's reagent)を作用させることで[(phen)CuCF3]のin situ preparationを達成しています(これはとっても凄い!)。

あと、[(phen)CuCF2CF2CF3]を用いいたパーフルオロアルキレーションも効率よく反応が進みます(5 examples, 88-99% yield)。

ちなみに[(phen)CuCF3]は、TrifluoromethylatorTMという名前でAldrichから市販されていますが(18,400 JPY/350 mg)、高いです。でも、in situ preparationでいけるので、その手法で(機会があれば)是非試してみたい試薬と思いました。

あと、参考Web Site↓
http://www.catylix.com/hartwig-trifluoromethylation-new-broadly-useful-trifluoromethylation-reagent.html
http://www.bio-catalyst.com/new-trifluoromethylation-technology-from-catylix/

2012年3月4日日曜日

新生銀行の真実

先日、神田鍛冶町の尾張家っていうおでん屋さんに行ってきたんですが、とっても良かったです。ちなみにこのお店、お品書きにはお刺身(築地から仕入れているらしい)を中心としたおでん以外のメニューが値段未表示で記載されていてちょっとドキドキします。で、おでんはメニューに全く載ってなくてどうやって注文するのかといえば、適当にたのんどけばオッケーです。お酒の品揃えはちょっとpoorですが、「底ぬけ」っていうおサケがなかなか美味かったです。おでんとお刺身がとっても美味しい!凄く美味しい!接客も最高!是非再訪したい店と思いました。


閑話休題


最近の金利って低いなあって思ってたら、住宅ローンの金利が凄いことになってますね

若いとき、土地心理教の呪縛から解き放たれる前のコンキチは、とある集合住宅を住宅ローンを組んで購入してしまいました(人生最大の失敗かもしれない)。当初は、住宅金融公庫(当時)とディベロッパーが提携していた第二地銀からお金を借りていて、数年前にSMBC(30年固定2.95%)に借り換えしたんですが、この3月にまた借り換える予定です(20年固定1.849%)。

さて、最近ネットで「住宅ローン(借換)」というクエリーで検索すると、新生銀行が上位でヒットします。実際、フラット35を除けば、手数料(イニシャルコスト)が安く、住信SBIネット銀行に次いで低い金利を提示している新生銀行は魅力的な選択肢の一つです。しかしながら、新生銀行には明確な融資基準があります。それは、



融資金額のMAXは担保評価額まで



これは同行のweb siteにも送られてくる資料にも記載されていなかったと思うけど、事実です。っていうか、昨年末にボクも新生銀行に住宅ローン借換のアプローチをしたんだけど、融資額の引き下げを提案されました。で、融資期間を長くすることで希望額を融資してくれないかと聞いたら、Maxは当該物件の評価額までだって言われたのでばっちりです。

それにつけても、そういう内規があるんなら最初から言えよなって感じですね(そしたら、エントリーする人が減っちゃうかな)。準備する書類も結構あって大変だったんだよな。ボクの場合、免許証のコピー、団信の申込書兼告知書、返済予定表コピー(1年分)、通帳3ヶ月分のコピー、住民税決定通知書コピー、所得税納税証明書(その1、その2)コピー、不動産登記簿謄本コピーを提出したんだけど、税務署行ったり(これはe-Taxでもできた)、法務局行ったりして大変でしたよ。とりあえず、ボクの新生銀行に対するCSは大幅ダウン↓です。同行には、顧客接点に関して再考を促したいと思う二流大出のなんちゃって研究員でした。

Aromatic Cation Activation (5): Catalytic Cyclopropenium Cation Activation

先日、けっこう旨い蕎麦屋に行ってきました↓

戸隠にあるうずら家っていうお店です。とりあえず、飲み食いしたモノをメモしていきます。

-どぶろく (450 JPY)-
-RATING- ★★★★★
fresh, sweet, fruity, milky note. 微発泡性で、full body。どぶろくならではの醍醐味を堪能できます。アルコール度数は16%程度。

-豊香 (550 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
長野県は(株) 豊島屋が醸す日本酒。ぬる燗でいただいたんだけど、熟れた果実味溢れるきれいな芳香の芳醇旨口系。優しい甘みが五臓六腑に染み渡りました。

-山の幸の盛合わせ (800 JPY)-
-RATING- ★★★★★
山の幸の7種(位?)盛り。とても美味しい。特にカブの漬け物が秀逸。

-きのこいろいろ天ぷら盛り合わせ (900 JPY)-
-RATING- ★★★★★
excellentに美味しい。涙が出るほどに旨い。筆舌に尽くし難い旨さ。自分のボキャブラリーの無さを改めて痛感させられるほどの旨さでした。




-山菜とお野菜の天ぷら盛り合わせ (900 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
サクサクでとっても美味しい

-旨辛あらばしり (400 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
大根とかつおぶしのセット。ボクの感触では、大根は辛味大根ではないです。

-ざるそば (840 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
ソバは適度に細く、食感、香味ともにgood。滑らかで噛みごたえも良く美味しい。
ツユはカツオの上品な香味あるも、body
は控え目と言わざるを得ない。ソバに負けているとまでは言わないが、若干の物足りなさを感じる。




-かけそば (800 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
ツユは良し。上品で、ほどよい甘みの飲んで美味しいツユ。ソバもそこそこコシを保っている。かけそばでこのクオリティは及第。

コンキチ的には、このお店、蕎麦よりも天ぷらがおすすめな店と判断しました。っていうか、戸隠蕎麦は蕎麦は旨いんだけど、東京の蕎麦が大好きなコンキチの好み的には、ツユの鮮烈(濃さ)さに欠けるのが一般的な特徴なのかなと思いました(好みの問題なのでしょう)。
それから、この店のホスピタリティは注目に値しますね。接客技術が実に素晴らしい。ちなみにコンキチは石臼でそばがき用に蕎麦の実を引かせてもらちゃいました(この店では、蕎麦よそばがき用でそば粉の挽き方が違うそうです)。再訪の価値、大いにありです。


閑話休題


さて、今年に入ってからこんな文献を読んでみました↓

Development of a Catalytic Platform for Nucleophilic Substitution: Cyclopropenone-Catalyzed Chlorodehydration of Alcohols
Angew. Chem. Int. Ed., 2011, 50, 12222-12226.

以前、著者等はCyclopropenium Cation Activationを利用したアルコールのクロロ化の量論反応について報告しましたが(J. Am. Chem. Soc., 2009, 131, 13930-13921.)、今回の報告はその触媒反応バージョンです。

で、反応(触媒サイクル)はこんな感じ↓
(ブルーの化学種は1H NMRでdetectされている)

R=PMBで最も活性が高いです。19 examples, 62-99 % yield。標準的な反応条件は、cat. 10 mol%, (COCl)2 1 eq., CH2Cl2, rt.。(COCl)2は1 hr かけてスローアディションします。

反応は圧倒的な立体特異性(SN2)で反応が進行します。基質に光学活性α-メチルベンジルアルコールを用いると、eeを損なうことなく立体反転した塩化物が得られます(99% yield)。また、cholestanolの塩素化では、目的物が>98:2のdrで得られます(62% yield)。

さらに、methyl 3-hydroxy-3-phenyl-2-methyolpropionateを基質に用いた反応例は興味深いです↓

個人的に反応はなかなか興味深いです。precatalystをいかに効率的かつ経済的に調製できるかが問題ですかね?


アツく染め上げろ!

カミさんに貰ったチョコレートをチビチビやっているコンキチです↓


これサケ呑みで甘党の人間(コンキチ)にはなかなか良いです


閑話休題


さて、有機合成に携わっている人が1番お世話になっているものの一つに、TLCがあると思います。TLCの発色剤にはいろいろあって、そのレシピは、研究室ですぐに使える 有機合成の定番レシピ東大金井研などが詳しく、他にもいろいろなレシピ群が多くのサイトで公開されています。

ボクが個人的に愛用している(使ったことのある)発色剤は、アニス、ハネシアン (CAM)、PMA、ニンヒドリン、ヨウ素-シリカで、そのうち加熱が必要なのが、アニス、ハネシアン (CAM)、PMA、ニンヒドリンの四つ。加熱系発色剤の場合、ディップ or スプレーした後加熱する訳ですが、この時、ヒートガンを使っていると気付きにくいんだけど、ホットプレートでヒーティングしていて明確に気がついたことがありました。

そんなの常識だよとみなさん周知していることかもしれませんが↓

ハネシアン (CAM)は、アニス、PMA、ニンヒドリンよりも控えめな温度で加熱しないと、焼けすぎて、(特に)低濃度のスポットを見落としてしまう。
逆にハネシアンに適した温度では、アニス、PMA、ニンヒドリンの焼けが悪い。

ということに気がつきました。要は、発色剤には最適発色温度があるっていうことで、何でも馬鹿に一つ覚えで加熱しとけばいいというものではないということです。まあ、当たり前って言えば当たり前なんでしょうが、恥ずかしながらコンキチは2年くらい前に初めて気がつきました。せっかなのでメモしておきます。