Synthesis of Enantiopure Fmoc-α-Methylvaline
Organic Process Research & Development, 2008, 12, 298-300.
Hoffmann-La Roche社の報告です。
ターゲットはタイトルにもある通り、Fmoc-α-methylvaline↓
cf. Fmoc (9-fluorenylmethyloxycarbonyl)ってどんな保護基だっけ?と思ってWikipediaでサーチしてみたら(以下、Wikipediaより)、
「Boc基を切断する強酸条件に対して全く安定であるが、Z基を切断する接触還元条件にはゆっくり切断される。弱塩基・ヒドリド還元・酸化条件などにはかなり耐えるが、二級アミンの作用で素早く脱保護できる。三級アミンではほとんど切断されない。」
そうです。
で、Fmoc-α-methylvaline(及びα-methylvaline)は、上市されてるそうなんですが、高額であることにくわえて、必要量を期日までに供給可能な業者が存在しなかったということで合成検討に取りかかったそうです(ちなみにキログラムオーダーで必要になったらしいです)。
まずは、イントロで紹介されている過去に報告された合成例を概観してみましょう。
1) バリンから合成
ref. Helv Chim. Acta, 1985, 68, 144.
2) 光学分割による分離(カラム)を使ったアプローチ
ref. Helv. Chim. Acta, 1995, 78, 563.
3) キラル相間移動触媒を使った不斉合成
ref. J. Org. Chem., 2000, 65, 7041.
4) キラル補助剤を使った不斉合成
ref. Tetrahedron, 1995, 51, 5921.
5) キラル補助剤を使った不斉合成 その2
ref. J. Am. Chem. Soc., 2003, 125, 12106.
6) 「5」と同じauthor
ref. J. Am. Chem. Soc., 2004, 126, 13312.
7) Enzymatic Resolution
ref. J. Org. Chem., 1975, 40, 953.
8) Enzymatic Resolution その2
ref. J. Org. Chem., 1988, 53, 1826.; Tetrahedron Asymmetry, 1993, 4, 1113.
9) Dynamic Resolutionを使った方法
ref. J. Org. Chem., 2007, 72, 7469.
Merckの研究グループ。本報の著者に"an elegant preparation"と評されている。実験項をみると3-methyl-2-butanone 4 kgスケール。全収率45%。他の合成法のリファレンスがけっこう記載されてます。scheme中の「KF」は「Karl Fisher titration」のことで、含水率が高いと、青酸が発生するというドキドキな反応です。
以上、がイントロに書いてあった過去の例。ということで、次ブログで本報を概観します。
つづく.....
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