2007年7月15日日曜日

GC in CHEMICAL REVIEWS (1)

CHEMICAL REVIEWSの6月号を見てみたら、「Green Chemistry (GC)」特集でした(表紙の色も緑色)。

目次をながめてみると、所謂グリーン・ケミストリーの範疇でカテゴライズされたテーマ(超臨界CO2とか、aqueous reactionとかionic liquidとかmicrowaveとか) がいっぱい並んでいました。

ChemRev.1冊まるまるGC特集が刊行されるぼどに、世間の環境志向の高揚を(それなりに)感じます。

コンキチが学校を卒業してから8年が経過しましたが、学校教育におけるその辺のことはどのように教育されているのか興味あります。

コンキチが通っていた学校では、コンキチが入学する前年に「応用化学・環境化学工学科」が「応用化学科」に名称が改変されました。教員(教授とか助教授とか)の配置転換があったわけではなく、ドラスティックにカリキュラムが変更された訳ではないようで、環境科学概論なんていう授業とかもありました。

当時としては、「環境」なんてビジネスにならないよ(従って、そんなの勉強して就職できるの?)なんていう空気を感じましたが、翻って現在はどうでしょう?環境ビジネスが隆起してるではないですか。

当時としては「環境」を(多少なりとも)志向した数少ない学科だったのかもしれませんが、先に触れた「環境科学概論」とか「環境アセスメント」などといった環境系の授業の内容は、化学合成プロセスに対してスポットをあてたものではなく、環境科学に焦点をあてた内容でした。なので、その先生の研究室(環境計測研究室とか循環制御研究室とか環境保全研究室とか)の卒論とかは、エアロゾルの話とか河川の環境の話とか人口光合成システム構築を目指したレドックス系の話(だったような気がする)とかでした。

「グリーン&サスティナブル合成研究室」とか、「サスティナブルプロセスデザイン研究室」とか、そんな名称の研究室や講義があってもいいんじゃないかと思うのですが、どうでしょう?(ひょっとしたら結構あるのかもしれませんが)

ちょっとした二流大出のなんちゃって研究員のつぶやきでした。

続く.....

2007年6月24日日曜日

シャドー・ブランド戦略

「Harvard Business Review 2007年2月号」の記事です。

この記事では、あえて商品やサーヴィスの闇の部分(Dark Side)に焦点をあてることによって成功した広告戦略を紹介しています。

以下、事例↓

1) リプトンの<カップ・ア・スープ>

当初(70年代以前)、「やさしいママとにこにこ笑う子どもたち」というイメージで売られてきたが、現在の常識に照らし合わせれば、当該商品は塩分が高く、栄養価も低いというのが実態で、当初のコンセプトとは明らかに異なる性質の商品となってしまっていた。

そこで、「オフィスで食べるスナッック」と位置づけ、<スニッカーズ>や<コカ・コーラ>の代替商品としてプロモートすることにより、20%の値上げにもかかわらず、売上げが60%伸びたそうです。



2) ユニリーバのパスタ・ソース<ラグー>

ライバルとの競争の過程で、パスタ・ソース全般がどんどん濃厚な味になっていたが、<ラグー>はライバル商品ほど濃厚ではなく、味わいも貧弱だったといいます。

そこで、濃厚スープは大人にはいいかも知れないが、子供には向かないという視点から、「ボリュームたっぷりで食べ応えのあるソース」に見せかけるのをやめ、「子どもたちが大好きなパスタ・ソース」というポジショニングで販促を展開したそうです。

結果→10年に渡って落ち込んでいた売上げが一転して上昇↑



3) ロサンゼルス市警の警察官募集広告

輝かしいキャリアや優れた技能、子どもたちの憧れといった要素をいっさい排除し、「警察官の仕事がいかに困難か」ということを遡及したという。

その結果、応募者は殺到し。広告を見たグループでは、警察への尊敬の念が高まったという。

誰もが進んではやりたくない、それでいて誰かがやらねばならない仕事を粛々と遂行する警察官の姿をアピールすることにより、リアルな警察官の崇高な姿がブランドとして遡及した結果だといいます(あと、社会的インセンティブから道徳的インセンティブへのインセンティブの移転を起こした例だと思う)。


商品やサーヴィスの良い点(明るい点)ばかりにスポットを当てたプロモーションに消費者は辟易しているといいます。筆者は完全無欠は独自性に欠けると述べています。。少なくとも、商品の性質を的確に表した広告でなければ、消費者はいずれそのウソに気が付き、その商品から離れて行くのでしょう(少なくともコンキチは、そういう商品に出会ったら、二度と買わないリストにランクインさせます)。

当たり障りの無い、ステレオタイプの単に商品を褒めたたえるばかりで、その商品に実が伴っていない場合、所謂誇大広告は、長期(中期)的にみて、解約率(そっぽを向かれる率)が上昇し、その商品が市場から駆逐さてしまうことを示唆しているように思いました。

商品特性に合ったセグメントをターゲットにすべしということなのでしょう。

2007年6月19日火曜日

誤謬の発現

先日、「5Sの誤謬」と題したブログを書きましたが、その誤謬が現実の現象としてどのように反映されるかをコンキチの身の周りで起きることを例にとって示したいと思います。


1) 使用して洗ってないガラス器具を1ヶ月くらい放置プレイ
2) 洗浄済みのはずのフラスコにMgっぽい金属粉が付着していた
3) ガラス器具にマジックでなんか書いて、そのまんま
4) 劇毒物だって机の上に放置プレイ
5) 長期間使用しないHPLCカラムもバッファーが入ったままで放置プレイ
6) こぼした試薬は拭き取りません
7) 報告書にGC分析条件が詳述されてない(カラムの種類しか書いてないとか)
etc.

これって研究者としてというより、人としてどうなんですかね。上記事例が頻発するので、コンキチは(他人が洗った)ガラス器具は、自分が使う前に洗ってから使用しますから。

コンキチは自他ともに認める神経質なので、上述したようなことは、コンタミとか分析の再現性とか気になって気になって仕方が無いのですが.....

正直、自分の勤務する部門の研究開発力の低さ(ちゃんと洗いものとか装置のメンテがでいない輩は、研究開発能力に長けているとは思えない)に自分で辟易して哀しくなってしまいます。

学生時代、師匠(コンキチが研究室に配属された時D1だった)から、「使った器具はその日のうちに洗ってから帰れ」と指導されたものですが.....


他社さんはどんな感じなんですかね?
最近、転職の「テ」の字が頭をもたげる、某二流国立大卒のなんちゃって研究員のコンキチの戯言でした。

2007年6月18日月曜日

Freakonomics

ヤバい経済学」を読了しました。

若干ふざけたタイトルと感じるかもしれませんが、はっきり言って良書と思います。著者の一人のスティーブン・D・レヴィットはジョン・ベイツ・クラーク・メダルを受賞した気鋭の経済学者らしいです。

で、レヴィットが経済学というか、人々の行動を支配し規定するもの、その結果具現化される世界の有様の根底にある最も主要なものは、




インセンティブ



であると言います。


<以下引用>


インセンティブは現代の日常の礎である。そして、インセンティブを理解することが-おうおうにして壊してしまうことにもなるけれど-凶悪犯罪からスポーツの八百長、出会い系サイトまで、どんな問題もほとんど解決できる鍵になる。


<引用終了>



コンキチも同感ですね。正と負のインセンティブ(飴とムチ)の与奪こそが、人の行動を制御すると常々感じています。

で、本書で最もコンキチの心に残った事例は、保育園の事例でしたね↓

親が午後4時に子供を迎えにこなければならないという決まりの保育園があり、親達はよく遅れてくると言う。で、10分以上遅れた場合は、その親には毎回3ドル(子供1人あたり)の罰金をとることにしたところ、


週に8件の遅刻が20件に増えた


そうです。


それからもう1例。

献血をした人に小額の奨励金を払ったところ、献血は減る傾向がある。

さらにもう1例。

売春と戦っているアメリカの街には、売春した男と売春婦の写真をWebで晒していることろがあるという。

最後にもう1例。

レヴィットの娘(当時2歳)がおまるを使わなくなった時、おまるでおしっこをしたらチョコレートをあげることにしたといいます。最初の2、3日は思惑は達せられミッション・コンプリートの様相を呈してたそうです。がしかし、4日目になると、娘は数滴おしっこしてはチョコをせしめ。またすぐにおしっこしたいといっては数的しかおしっこをしなかったと言います。


さて、インセンティブには下に示す4つのインセンティブがあると言います。

1) 経済的インセンティブ

2) 社会的インセンティブ

3) 道徳的インセンティブ

4) インセンティブの暗黒面(ダークサイド)


保育園の例は、罰金3ドルが安すぎるというプライシングの問題と、道徳的インセンティブから経済的インセンティブへのインセンティブの転移が起こったことが、現実の結果を誘起した例。

献血の例も、道徳的インセンティブから経済的インセンティブへのインセンティブの転移の例。但し、プライシングがより高額になれば、インセンティブの暗黒面が発現して輸血ビジネスのブラックマーケットが生成するかもしれない(本書でも言及している)。

売春の例は、負のインセンティブを罰金という経済的インセンティブから「晒し者」の刑という社会的インセンティブに移転した例で、Web上で晒された写真が家族や知人に見つかったら超はずかしいという恐怖に訴えた抑止策の例。

そして、レヴィットの娘の例は、インセンティブの暗黒面(ダークサイド)の発現の例。


ですね。


人は常に日々の生活を送る上で裁定取引を行っていると思います。経済性、道徳、社会性を考慮して最も自分に有利な選択肢は何か? とうことを考慮して行動に移すわけです。個々人の(経済性、道徳、社会性に対する)価値観は、必ずしも一致する訳ではないので、一見すると「なんでそんなアホなことするの?」という疑義が発生するかもしれませんが、当人にとっては、インセンティブのトレード・オフをはかりながら(一般的にはそうではにかもしれないけれど)それなりの合理的な判断をした結果なんだろうと思います。


かなりまとまりがなくなってきましたが、要は



インセンティブの支配



こそが現世で人々の行動を規制するの最も重要な事柄なのではないかなということです。

2007年6月17日日曜日

5Sの誤謬

企業の研究員のコンキチです。

企業に就社すると、研究員に限らず、誰しもが安全教育の一環と称して「5S」を励行するようにというふうに指導を受けることと思います。

周知とは思いますが、「5S」とは、整理、整頓、清掃、清潔、躾のことで、職場環境の維持改善活動のようです。ご多分に漏れず、コンキチの勤務する会社でも「5S」というスローガンが声高に謳われていますが、はっきり言っておべんちゃらで、実行が伴っていません。

コンキチは幼少の時分に、「挨拶をしっかりすること」と「脱いだ靴は揃えて並べること」を強く躾られてきました。なので、現在でもこの2点だけはしっかり励行しています。

で、「5S」を声に叫ぶ会社では、挨拶もろくに出来なく、靴なんて変な方向に脱ぎっぱなし(女性社員であってさえ)です。靴が並んでないのは気になるので、その都度気付けばコンキチが揃え直しておくのですが、そのことに関して言及されたことは一度もありません。

別に、労いや感謝の言葉が欲しい訳ではありませんが、仮にも「5S」活動を活発に実施していると嘯く会社にしては、なんともお粗末と言わざるを得ず、その無頓着ぶりにはいささか辟易させられてしまいます。

さて、本ブログタイトルの「5Sの誤謬」ですが、整理、整頓、清掃、清潔、躾があたかも並列の関係であるかの如く記されているのがそもそもの間違いなのだとコンキチは考えています(ついでに、順番も納得いかない)。

だって、従業員を躾て、清掃させることによって、整理がなされ、整頓という状態が具現化し、清潔な環境が保たれると思うから(「躾」→「清掃」→「整理」→「整頓」→「清潔」)。

なので、躾こそが「5S」の要諦中の要諦であり、「躾なくして他の4S無し」と思います。はっきり言って、「5S」なんてまどろっこしいことを言ってないで、徹底的に「躾」るべきと思います。「躾」がなってないから、いろんな不祥事が起こったり、犯罪が起こったりするのではないでしょうか。モラルが躾けられていないの一語に尽きると思います。

そして、躾のなってない組織というのは、礼節をわきまえた怖い(指導力のある)大人(上司)がいないからだと思います。

でも、

1) 真の礼節を備えた人が圧倒的に少ない
2) 組織(会社)に対する強烈なコミットメントがなければ、そこまで御節介じみた行為は面倒臭すぎる
3) 魅力ある組織でなければ、フルコミットできない。

なんていう理由で「躾」を伝播する礼節をわきまえた怖い(指導力のある)大人(上司)の圧倒的に存在しないのかなというのがコンキチの考えです。

また、コンキチの勤務している会社に限って言えば、人を育てるという哲学の欠如も「躾の無い文化」に拍車をかけているのだろうと思います。


会社は社会の公器


という言葉が懐かしく感じられる、今日この頃の二流大出のなんちゃって研究員でした。

2007年6月3日日曜日

有機化学の書

有機化学美術館へようこそ ~分子の世界の造形とドラマ [知りたい★サイエンス]」を読了しました。


コンキチもシクロアワオドリンには腰が砕けました(笑)

さて本書の中身なのですが、 有機化学界のホットなトピックスが網羅的に記載されていて、「一般の人にも有機化学をもっと良く分かって欲しい」という想いが感じられました。やっぱり、時代の先端を進む話題はエキサイティングで、興味を引きつけますからね、そして、(有機)化学の専門知識があまり無い人に対しても理解が進むように、できるだけ分かり易い表現を試みていて非常に腐心しているなあと思いました。それでも初学者には理解しづらいところ(専門的な概念)もあると思いますが、インターネットが発達した今日にあっては、Web上での検索で相当程度は解決されるのではないかと思います。

あと個人的には、超分子化学や不斉配位子、デンドリマーといったトピックスは、読んでいるうちに自分の学生時代が想い起こされ、少し胸が熱くなってしまいました。

ちなみにコンキチの学生時代の研究テーマはClassical Resolutionで、まあはっきり言ってローテクですが、超分子化学的要素(Chiral Discrimination)もある訳で、なんとか超分子的なコンセプトで修論を構成できないかと、超分子化学の入門書であるレーンの「超分子科学」なんかを読んでみたりたものです。

また、扱っていたのがキラル化合物であり、かつ同じ講座の隣の研究室では、C2対称の不斉リン配位子の研究とかをやっていたので、不斉合成なんかは多少は勉強したものです。

あと、コンキチの担当教官から独立して隣の学科の助教授になった先生の研究室ではデンドリマーをやってたりして、今後どういう風に研究が展開されていくんだろうかと、興味深い想いで発表を聞いたりしたものでした。

コンキチの学生寮の友達は、 カリックスアレーンを使った不斉比色認識とかの研究をやっていて、同じ学科の隣の講座ということも幸いして、呑みながら化学の話をしたりもしたものです。

cf. Y. Kubo, et al., Nature, 1996, 382, 522.

そういえば、授業でタキソールの全合成の雑誌会もやったなあ(ダニシェフスキーとニコラウのグループのを)。

研究室の夏合宿のとき、先生が若い頃、ウッドワード研に留学してビタミンB12の全合成のプロジェクトに参加して、クロロメチル化のステップが採用されて。「King of Alkylation」と言われたといって喜んでいたなあ。

………

化学に憧れ、焦がれ、心棒していた、熱い鉄のような情熱を持っていたあの頃の自分が想い起こされ、柄にも無く少し目頭が熱くなるのを感じてしまいました。企業という大学以上に制約があり、政治が跋扈する組織で、自分が化学に対してどういうスタンスで向き合って行くのが良いのだろうかということに想いを馳せるこの頃です。

とまあセンチな話はこれぐらいにして、「有機化学美術館へようこそ ~分子の世界の造形とドラマ [知りたい★サイエンス]」は紛れも無い良書であるので、幅広い層に広く読まれればいいなと思います。

2007年5月31日木曜日

GSC-oriented Indices

近年、GSC (Green Sustainable Chemistry)が注目を集め、Atom Economyであったり、ソルベント・フリー、有機分子触媒、イオン性液体、超臨界流体、フルオラスソルベント、相間移動触媒、Aqueous Reaction、マイクロリアクター、リサイクルといったGSCを志向した論文が日増しに増えてきているように感じるコンキチです。

一昔前までは、全合成を完遂するため、高い選択性や週率を出すためなら、どんな手段をも駆使するぞといった感じの論文が主流だったように思うのですが、いよいよアカデミックな世界でもパラダイムが回り始めたのかと感じる今日この頃です。 

とまあ、環境調和志向が台頭してきたことは良しとして、そのグリーン性はどの程度のものなのかということを表す指標が必要な訳で、著名なジャーナルでそのような環境指標を用いてプロセスの評価を定量化した論文というのはあまりないように思います。ということで、一応プロセス化学を生業とするコンキチが、巷で噂の環境指標を下記にまとめてみました。

(「医薬品のプロセス化学」を多分に参考にしました)


(1) Atom Economy (原子経済)、Atom Efficiency (原子効率)
Barry M. Trostによって提案された指標。トランスフォーメーション自体のグリーン性を評価する指標でる。

Atom Economy (%) = 目的物の分子量÷化学反応式左辺の全原子量×100

ref
. B. M. Trost, Science, 254, 1471 (1991).


(2) RME (Reaction Mass Efficiency)
Glaxo Smith Klineの研究者によって提案された指標。試薬の使用量や収率が加味され、実際の合成プロセスにより即した指標といえる。

REM (%) = 目的物の原子量÷実際の使用当量を乗じた原料の分子量の和×100

ref.. A. D. Curzon, D. J. C. Constable, D. N. Mortimer, V. L. Cunningham, Green Chemistry, 3, 1 (2001).


(3) E-factor (E-ファクター)

Sheldonによって提案された指標で、生成物1 kg当りの廃棄物の重量(kg)。E-ファクター100とは、1 kgの目的物を得るのに100 kgの廃棄物が発生するという意味。反応に直接関与する原料以外の溶媒、触媒、シリカゲル、中和に使う酸・塩基等も考慮される。より製造プロセスを意識した指標といえる。

E-ファクター (kg) = (原料の総重量-目的物の重量)÷目的物の重量

ref
. R. A. Sheldon, Chem. Ind., 7 Dec., 903 (1992).


(4) EQ (Environmental Quotient)
E-ファクターに環境に与えるインパクトの大きさを表す係数Qを乗じた指標。例えば、同じ廃棄物1 kgでも食塩と重金属では環境に対するインパクトが全く異なる。こうしたインパクトを加味した係数Qを各廃棄物量の乗じてE-ファクターを計算し直したもの。Sheldonが提唱。

ref
. R. A. Sheldon, Chem. Ind., 7 Dec., 903 (1992).


以上4つ程指標を挙げてみましたが、これ以外にもDowの「Eco-Efficiency」、Bayerの「Eco-Check」、BASFの「Eco-efficiency analysis」といった企業毎の環境マネジメントがあるようです。

上述した環境指標のリファレンスを見てみると、考案された年代は意外と古く、1993年4月から1999年3月まで大学に在学していたコンキチとしては、Ecologyという哲学に対して無頓着であったことに恥じ入るばかりです,,,,,

ISO14001といった環境マネジメントシステムを導入している企業も多いかと思うのですが、単に社会的な流れだからという理由で認証取得しているという企業も多々あるのではないかと思います(想像)。コンキチの勤務する会社でも認証取得していますが、化学プロセスの環境評価に費やされる時間は少なく、環境指標を用いた管理は皆無で多分に定性的な議論のみが行われています(っていうかISOのコンサルタントにしてもそれくらい指導して欲しい)。全ての化学会社は、最低でも上記環境指標による管理を行うべきと思います。それが、化学会社の最低限のCSRかと思います。

PS. RMEのリファレンスについては、RSCのWeb Siteからダウンロードできるので、そのうちじっくり読んでみたいと思います。

2007年5月29日火曜日

経済財政諮問会議の戦い

経済財政諮問会議の戦い」を読了しました。

この本の著者は現経済財政担当相で。密かにコンキチが在学中にコンキチの母校で助教授をしていたらしく、ちょっぴり親近感がわきます(この本を読んでみた感じでは、その手腕も期待できそうです)。 

さて、本書の内容ですが、著者が事務方として役所にいたときのお話で、正直、所謂「よみもの」好きなコンキチにとって、読み易い文章ではなく、感想を一言で述べれば、「民主主義(もどき)の政策決定プロセスって鈍牛の歩みの如し」だなあというのを改めて感じたというくらいです。 

それから、経済財政諮問会議の資料ってかなりオープンに公表されていることにちょっと驚きました(反省。これからはできるだけ積極的に資料でも読もうかとと思いました)。 

あと、コンキチがこの本で一番感銘を受けたのは、本書の本題とは全く関係ないのですが、諮問会議の民間議員の1人であったトヨタ自動車の奥田会長(当時)の発言の引用が印象的でした。氏曰く、 「・・・私たちも、効率化を図るときに、例えば、一割削減というと少々汗をかく程度で達成できるということがあるが、三割削減というと、仕事そのものの見直しをしないと達成できないことが多く、真の改革が必要になる。(後略)」 だそうです。ちなみに、「工程表」の導入を進言したのも奥田会長だったとか。 (トヨタの全てを素晴らしいというつもりはありませんが)トヨタウェイの哲学の強さ・深さを物語る発言だったと思いました。

2007年5月13日日曜日

Five Forces in Process Chemistry

先日3年ぶりくらいに仕事でPowerPointを使いました。久々だったので、資料作成が楽しくなって、止まらなくなってしまいました。

部署全員(20人位?)の昨年度の研究成果のプレゼンをやることになり、その資料作りというわけです。

持ち時間は10分/人ということなので、7枚(表紙込)を半日くらいかけて作成終了です(まあ、細かい修正とかする予定なので、98%完成というところでしょうか)。

合成化学の門外漢もけっこういるので、スライドの一つにこんな感じの↓をつくってみました。


プロセス化学における5つの要諦という感じで、ポーター教授ののファイブフォースモデルをヒント(というか真似して)に考えてみました。

1) Capability/ 既存設備で対応できるか
2) Safty/ 安全性ですね
3) Repeatability/ 実機でも再現性の高いプロセスデザインか?
4) Sustinability/ 近年注目のGreen Sustinable Chemistryを志向した環境調和型のプロセスか?
5) Economy/ 利潤を追求することが目的の企業では、経済性を無視することはできません。

コンキチはアウトソーシング引受部隊なので、ストーリー的には上記5つのポイントからユーザー提示のラフなプロセスを見直し、その全てを改善したという感じにする予定です。

2007年5月8日火曜日

国士 武田國男

落ちこぼれタケダを変える」を読了しました。


本書は、武田薬品工業
の会長である武田國男氏の著作です。

コンキチが武田國男氏に興味を抱いたのは、「成果主義」ブームが巻き起こった数年前に、自分なりに企業の処遇制度に関する書籍を読み漁っていた折、「ここが違う!「勝ち組企業」の成果主義―対話と個の確立をめざして」と題した武田薬品の事例を記した書籍を手に取ったことが発端でした。その後、「わかりやすい人事が会社を変える―「成果主義」導入・成功の法則」も読んだのですが、これらの本では武田薬品の人事・賃金処遇制度の構造改革が元人事部長の手によって描かれています。

その構造改革たるや、巷に蔓延る人件費カットのみを目的としたなんちゃって成果主義とは全く異なる、飽くなきアカウンタビリティーの追求を志向するもので、はっきり言ってコンキチの心は強く揺さぶられました。

まあ、元人事部長の手によって著された本ですから、いくらか割り引いて読む必要があるとは思いますが、日本経済が失われた10年といわれた時にあって、粛々と改革を続け、現在も進化し続け、しかも結果(業績)も伴っているという現実を鑑みると、非常に希有なまれに見るあっぱれな構造改革と言わざるを得ません。

で、1993-2003の10年間、社長としてその構造改革を指揮したのが武田國男氏(現会長)というわけです。前置きが長くなりましたが、武田國男氏が自分のこれまでの生い立ちを綴ったのが本書なのです。話は武田國男氏の幼年期から始まり、会長職に就く(退く)までに至り、氏のざっくばらんな語り口で、お上品なエリートにはちょっと言い難い


本当のこと

が語られているように思います。
氏の経歴は決してエリートとは言い難いものですが、社長として振るった手腕は凄いと心から思いますね。改革初期にはマスゴミからけっこう叩かれたようですが、初志貫徹で有言実行してしまうところが凄い。本書の中でしきりに繰り返されている「行不由径(行くにこみちによらず)」の精神で、

「選択と集中」

「アカウンタビリティーの徹底」

企業風土改革

をやりとげましたからね。正に建設的なリストラクチャリングですよ!!!

特に「企業風土改革」が素晴らしいですね。はっきり言って風土改革はパラダイムシフトですから。で、パラダイムとは変え難いからこそパラダイムなわけだと思うのですが、それを転換するというエナジーは賞賛に値します。だって、パラダイムシフトは率直なところ自己批判な訳で、周囲の不特定多数は絶対反対に決まってる。だから、どこかの国の与党のように抵抗勢力がうじゃうじゃ湧いてくる。それを押して改革を進めるのは、不退転の精神と滅私なのかなとコンキチは思います。あと、創業家の出自というのが、滅私(先祖伝来の会社のために)にプラスに働いているのかなという印象を受けました。

しかも、業績が良いときにやったのが素晴らしい。

(確か、キヤノンも業績が順風の折に成果主義を導入したんですよね。業績が良いときにそういう改革を行うことで、後ろ向きになるがちなところを抑制できて、総原資をUP↑して処遇できるから受け入れられ安いというメリットがあると御手洗社長が言ってたような気がしました。)

結果、業績はさらに飛躍して、業界屈指の平均給与です。

武田薬品工業と武田國男をしばらくWatchingしてみようと思っています。