こんな文献を読んでみました↓
A practical enantioselective synthesis of massoialactone via hydrolytic kinetic resolution
Tetrahedron Letters 2004, 45, 849-851.
salen-Co(III)錯体を用いたエポキシドのJacobsen速度論的光学分割加水分解(Hydrolytic kinetic resolution)と、ホモアリルアルコールから誘導されるアルリレートの閉環メタセシスを鍵反応とした光学活性マソイアラクトンの合成法です。
マソイアラクトンは、(R)-体が天然型で、Cryptocarya massoiaの樹皮からはじめて単離されました。長き(many centuries)に渡りnative medicinesの成分として使われてきたそうです。あと、強力な皮膚刺激薬だったりとかするようです。それから、甘しゃ糖蜜?(Cane molasses)やジャスミンの花、オーストラリア西部に生息するFormicin antsとgenus Componotusの分泌物からも単離されているそうです。
合成法はこちら↓
m-CPBAを使う時点で、しかも溶媒CH2Cl2溶媒使ってる段階で、それって「practical」かよ!よいうツッコミを入れたくなるコンキチは、ちょっと神経質すぎるでしょうか?あと、HKRは、てっきりこの基質で報告例があるかと思ってたんですが、なかったのかな?でも完璧オリジナリティーに欠けますね。1炭素短い基質での報告例は既にあるし(本家本元、Jacobsenは、J. Am. Chem. Soc. 2002, 124, 1307-1315.で、1炭素短いエポキシドと側鎖が直鎖のC12の末端エポキシドのHKRを報告している)。エポキシドからのトランスフォーメーションのアイデアが重要ってことですかね。
(R)-体の合成↓
これまでに報告されてきた合成法の中では、シンプルなpathと思いますが(それだけメタセシスが偉大ということか?)、メタセシスって触媒の値段高そうなイメージがあるんですけど、この程度のターゲットにメタセシスは経済的にどうなのだろうか?CH2Cl2中でHighr Dilution Condiitonだし。例えば、田辺陽先生(関西学院大)は、1st generationのGrubbs触媒を使ったCivetone合成を報告しているけど、Grubbs触媒は高額(当時。今はどうなの?)で、Highr Dilutionが必要なため「大量合成には不向きな実験室的な方法」って自ら言っていたなあ(cf. http://researcher-station.blogspot.jp/2008/04/7-synthesis-of-civetone-2.html )。そういう意味で、practical なの?って感じです。
(S)-体ね↓
リチウムアセチリドの付加する為に、2ステップ要します。後は、(R)-体と一緒ね。
あと、比旋光度が載ってたのでメモ↓
(R)-体 [α]D25 -115.2 (c 1, CHCl3)
(S)-体 [α]D25 +110.1 (c 2.0, CHCl3)
自分、マソイアラクトン扱ったことあるけど、
(R)-体 99.2%eeで[α]D -116 (c 0.6, CHCl3)
(S)-体 98.3%eeで[α]D +117 (c 1.0, CHCl3)
だったなあ。
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2008年7月10日木曜日
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