2007年3月30日金曜日

この書籍、凶暴につき

香料会社で、有機合成を生業としている、なんちゃって研究員のコンキチです。

今、「有機化学実験の事故・危険?事例に学ぶ身の守り方」という本を読んでいます。


まだ、途中までしか読んでいませんが、はっきり言って良書です。内容は、有機化学実験にまつわる事故事例集です。しかも、内容が濃いです。リファレンスは充実しており、化学物質の危険度に関するデータ(許容濃度とか爆発限界とか変異原性とか)もふんだんに記載されています。コンキチは、有機化学に携わるようになってから11年を数えますが、自分が取り扱っている(または今後取り扱う可能性のある)化学物質についての理解が、如何に浅はかだったかということを思い知らされましら。

そして、


真剣に有機合成をやめたい

と思ってしまいました。

こういったおもいはかねてから多少なりともありました。だって、使う試薬とかターゲット分子や中間体は安全とは言い難いし(っていうか危険)、コンキチの場合、ハロゲン系溶媒も結構良く使いますからねえ。でも、もの本を読んで加速しましたね、やめたい度合いが。(まあ、今すぐやめるというわけではないですが)

いくら注意したって、完全なる暴露の回避は不可能だし、何らかの障害を受ける確率が高くなることは間違いないでしょう。

ただ、ヘビースモーカーだからといって、皆が皆が早死にする訳でもないのと同様に、有機化学者が皆早死にする訳ではないこともまた事実ではあるでしょう。

しかしながら、コンキチが爺になった時に、常人並みに食べ物や酒を堪能できるだけの体力と味覚や嗅覚を維持できるのだろうかとういことえお考えた場合には、はなはだ心もとない気持ちになってしまいます(データはありませんが)。人間、喰いものに対する情熱が無くなったら終わり(=人生枯れている)と思ってますから。

まあ、個人的な余談はさておき、この本は(少なくとも国内では)希有な白眉の一冊といって過言ではないと思います。大学とかで、反応や化合物に関する性質や危険性の調査の仕方は習いますが、そうやって得た知識だけで危険に関する情報は十分に得たと考える科学者は皆無でしょう。それと同様に、この本を1冊読んだからといって、危険に関する知識はバッチリだぜということにはなりませんが、系統だってラボでの有機化学実験に関する危険を学べる書籍は和書ではこの本以外は皆無だと思うし、間違いなく危険を察知するというか想定する感度は高まることは間違いないと思います。

コンキチは企業にはいってから、KYT(KikenYochiTraining)という実にくだらない儀式に毎月参加しています。cf.http://researcher-station.blogspot.com/2006/09/blog-post_17.html


そこでは、分かり易い&面倒くさいという理由だけから、毎回毎回代わり映えしない危険にまつわるお題で、しょうもない話し合いが繰り広げられています。まあ、しょうもないお題も全く役に立たないとは思いませんが、ある一定周期で代わり映えしないお題を繰り返し設定するというのは、いささか安直で白痴的であるとコンキチは思います。

はっきり言って、コンキチはこう思います↓

有機化学実験の事故・危険?事例に学ぶ身の守り方」を1冊づつ各研究員に配り、その輪講をすべきである!!!!!

と。

どうでしょうか、化学系企業の研究所長(部長)さん、安全管理者さん、工場長さん?以上、所詮二流大出のなんちゃって研究員の戯言でした。

2007年3月29日木曜日

人事考課の季節

年度末です。コンキチの勤務する会社では、MBO(目標管理)を(一応)採用しています。ということで、年度末は半期に一度の面接(半年前に立てた目標の検証)季節なのです。

でも、

コンキチの目標って本日決まりましたから~!!!!!


そして、

面接も今日です。

はっきり言って目標も評価もお任せで構わないので、コンキチをそっとしておいて欲しいです。

そもそも、MBOをキーツールとして用いる、成果主義(もどきも含めて)という処遇制度は、(従業員の生産性を高める為に)従業員のロイヤルティーを高めることが目的であるはずです。その場合、考課者(管理職である上司)の力量が問われるわけで、彼らは部下に納得性の高いメンテナンスを提供しなければならないのです。当然、部下とのコミニュケーション、部下の育成、部下の評価といったことにかける時間は増大するはずです。
しかし、現実はどうでしょうか?真のデキル上司とは、自身がハイパフォーマーとして働くことではなく、自分がマネジメントする組織(システム)をハイパフォーマーにすることだとコンキチは考えています。一人で出来る仕事には限界があります。

次は(万年)五月病の季節かなと思うなんちゃって研究員のコンキチでした。

2007年3月25日日曜日

犯罪商社.com

犯罪商社.Com」を読了しました。


この本は、違法取引が如何に 巨大なネットワークを介して、かつ世界をまたにかけて、 広く万延しているかということを説くとともに(まあ、極論すれば、著作権を犯したことのない人って、多分日本では殆ど存在していないと思うし)、それに対する国家の抑止策が如何に矮小なものであるかということを記しています。

はっきり言って、コンキチの価値観は大きく揺らぎましたね。

勿論、強制を伴う(人権を蹂躙する)違法な取引というものは、唾棄すべきものだと思いますが、それ以外の「自由意志に基づく経済活動(基本的の他人に直接的な迷惑をかけない)」は、果たして国家間で必ずしも統一基準が存在するわけでもない「法」によって裁かれるのは「是」であるのかとも思いました。つまり、国家による取り締まりの範囲というのは、越権である部分も含んでいるのではないか。矛盾を孕んでいるのではないかということです。

例えば、タバコというものはある種のけっこう危険な合法ドラックと言えると思います。ある種の麻薬よりも常用性が高く、毒性(発ガン性とか)も高いという話も耳にします。巷では、最近になって分煙であったり、公共の場での喫煙が抑制されるようになって来ましたが、まだまだ無法地帯といった感が否めません。まあ、ガンは発症するのに長期スパンが必要なようなので、記憶力の良くない我々白痴な現代は、その危険性の大きさに気付きにくいというのと、既得権のために放置されている(キツくは取り締まわれていない)のでしょうか?

あと、人間が何らかの行動を起こす際の「動機」というものの重要性が非常に重要であると感じられました。人をコントロール(管理)するのに、如何にインセンティブの与奪がクリティカルであるかということを、会社社会の中に埋没してしまった、所謂管理職の人には、この本を読んで深く認識して欲しいと思いました。

2007年3月22日木曜日

アラサーのメランコリー

先日、他部署の後輩(女性)が会社を去っていきました。4月から別の会社で働くそうです。どこの会社でどんな仕事をするのかと聞くのは(いやらしいような気がして)憚られたので 、何をするのかはさっぱり分かりませんが、「別の道で頑張っていく」そうなので、これまでやってきた仕事とは違った仕事にTRYするのだろうと思います。

会社を去る日の彼女の表情は、晴れ晴れと快活でした。そんな彼女の決断力と行動力、それから若さに羨望の念を抱かずにはいられないコンキチであります。

ここで簡単の転職を決めた後輩とコンキチのProfileを書きます↓

後輩
性別/ 女性 (ウチのカミさんってけっこう美人なんだけど、もっと美人)
年齢/ 28歳(推定)
最終学歴/ 修士
その他/ 未婚、扶養家族為し

コンキチ
性別/ 男性
年齢/ もうすぐ32歳
最終学歴/ 修士
その他/ 既婚、扶養家族3人、二千数百万の住宅ローン有り


正直、持てるリスクをひしひしと感じる今日この頃です(身軽さがなくなった)。

「仕事が面白くないから」とか「上司との人間関係に難有り」とか「このままでは自己実現できない」といった理由で、会社を潔くスパッと辞めるには、失うものが大きくなりすぎた感があります。

転職したからといって、新しい職場で行う仕事に満足できる保証はないし、年収だって下がる可能性が高いかもしれません。新しい職場でも嫌なやつも相変わらずいるかもしれないし、転職すればいままでの嫌だったこととか、物足りなかったことが全部解決されると楽観することはコンキチには憚られます。

少々のことには目を瞑って、嫌なことは出来るだけ避け、周囲からのバカっぽい指示とか雑音とかはバシッと無視して、自分の趣味に没頭しつつ、会社にしがみついて生きていくという選択もあながち悪いものではないかもしれないと考えています(かなりネガティブですが)。

あと、コンキチの場合、

「コンキチさんは何(仕事)をやってらっしゃるんですか?」

という問いに、

「香料会社で研究員やってます」

と答えられることに、なんていうんでしょうか、ちょっとした優越感を感じたりしていて、これが会社を辞すことを思いとどまらせる一要因にもなっています。

それから、会社で自己実現できないからといって、人生で自己実現できないとは限らないわけで、特にIT革命以後の今日にあって、個人が社会に対して情報を発信することが極めて容易になり、やりようによっては、会社外ライフの方が充実する可能性が広がっているように思います。

現在、コンキチは残業を殆どせず、会社はキャッシュ・マシーンであると割り切って生きています。仕事はあいかわらずあまり脳みそを使わなくても良い仕事ばかりですが、給料は、まあそこそこでるし、会社所蔵の専門的な書籍や雑誌は読み放題だし、一応社歴は8年を数えるので、会社で誰かに邪魔されることのない自分時間を創出することもある程度できるようになりました。そんなメリットを考えると、前述の後輩のようにスパッと会社を辞めてしまうのももったいないかなとも思うのです。

転職した後輩の身軽さと若さには、ある種の嫉妬のようなものを感じますが、自分は自分で老獪さのようなものを身に着けていきたいと思います。

転職していった後輩には新しい職場で意気揚々と仕事をして新たなキャリアを築いて欲しいと思うと共に、コンキチも自分の人生を最適化し、人生を謳歌するため、日々研鑚を重ねて生きたいと思いました。


「自分道」そんなものを究めたいと思います。

以上、某二流国立大出のなんちゃって研究員の、ちょっぴり感傷的な独白でした。

2007年3月12日月曜日

無党派ブームなのか?

宮崎県知事選を皮切りに、無党派ブームなんていう言葉がマスコミを席巻している今日この頃です。東京都知事選が真近ですからね(ちなみにコンキチは千葉県民ですが)。

で、「無党派ブーム」なのでしょうか?本当に?

っていうか、国政選挙は、議院内閣制をしいている我が国「日本」において、構造的に政党政治にならざるを得ないというか、それしか選択肢が無いと思います。

翻って、地方選挙は国民投票(っていうか該地方自治体構成員の直接投票)だし、首長の権限も強いらしいから、政党という組織の強みは、国政に較べて相対的に小さいものにとどまるのは自明の理ではないかと思います(議会を上手く仕切っていく必要はありますがね)。

つまり、国政と地方行政を一概に論じるのは、あまり意味がないことなんだろうということです。

あと、国政選挙において、無党派を気取るのははっきり言って無責任だと思いますね。というのは、

a) 国政は政党政治である
b) 国政は国の根幹を為すものである
c) 従って、支持政党を持たない無党派は、国家の行く末に対するビジョンを持たない無責任な人々である

と思うからです。


まあ、既存政党が必ずしも自分の考えと100%マッチするという訳ではありませんが、コンキチは最低限守って欲しい政策(国防、外交)を(できるだけ)堅守する政党を支持するようにしています(現実とはグレーなのです)。

間違っても、烏合の衆や批判することのみにエクスタシーを感じている政党には票を投じないように気をつけたいと思うコンキチでした。

2007年3月11日日曜日

Google Patent Search

なんちゃって研究員のコンキチです。

Google Patent Search (BETA)というサービスを発見しました。「Search the full text of US Patents」ということらしいです。

またGoogleが素敵サービスを考えついたらすいですね(New!という表示が付いていたので比較的最近導入されたのでしょう)。

上記サービスについてちょっと興味を刺激され、どこかのサイトが紹介していないかと思って軽くググってみたら、

グーグル、特許検索サイト「Google Patent Search」を公開

という記事を発見しました(2006年12月15日付けです)。

ここ数年は、アウトソーシング引受部隊として働いているため、殆ど脳ミソを使っておらず、仕事で各種文献を読む機会も激減していますが(趣味で多少文献Watchしていますが.....)、一応研究員のはしくれとして、このようなサービスに気付かずにいたことに対して羞恥の念が湧いてきます(反省)。

米国特許明細書を積極的に読む必要性はなんとなく感じていたので、これを機に、上記サービスを使い倒して(願望)、使用感を後日レポートしてみたいと思います。

2007年3月2日金曜日

インセンティブ・マネジメント

以前スクラップしていた雑誌の記事を整理(処分)しようとしていたら、こんな記事を発見しました↓

膿を出し、人を活かして「前倒し」を断行せよ!
(PRESIDENT 2004.8.2, 60-61)

日本電産の永守社長の記した記事です。この記事の中で氏は、人はどうして怠けるのかといえば、頑張っても怠けても結果が一緒だからですよとのたまっています。

具体的な事例として、

a) 社用車を購入するときに価格交渉(値切る)をしなかった。
理由→値切っても誰も喜ばないし、値切らないと業者がお中元やお歳暮を沢山くれる

b) コストダウン実績はボーナスにかかわるようにした

c) ガラリと変わった。

ということが挙げられていました。さらに、リターンはお金だけではなく、昇進、褒め言葉もあり、これが大事だと説きます。

至極当たり前のことのように聞こえるのですが、これがなかなか実社会(っていうかコンキチの勤務する会社)ではおぼつかないんですよね、何故か。

上司は自分が偉くなったと勘違いして、部下に何かをさせようとするときに、上述したインセンティブなどお構いなしに、権威ある声で指示を出せばいいと思っている節があるように見受けられます。

正のインセンティブ(あめ)と負のインセンティブ(ムチ)を上手く使い分けて部下をコントロールする(生産性を上げる)機微が上司の要諦だと思うのですがノ..驕っているんですかね?

以上、二流大卒のなんちゃって研究員の雑記でした。

2007年2月17日土曜日

知財を志向してみる (3)

2月13日, 14日と日本知的財産協会主催の知財セミナーに参加してきました(勿論業務です)。

まあ、会場の近くに旨い蕎麦屋があるという情報をキャッチしたので、会社に交通費を出してもらって、噂の蕎麦の味を確かめてやろうじゃないかというのがメインの目的だったのですが、最近流行り(?)の知財に関しても造詣を深めておこうかなという気持ちもあったので参加してみたのです(コンキチの勤務する会社では、社内で人材を教育するという思想が、まあ殆どないので)。

1日目は「発明のまとめ」と題した特許に関する講演を、2日目は「発想法・思考法」と題したワークデザインに関する講演を受講してきました。

で、折角なのでセミナーに参加して思ったことをメモかたがたチョット綴ってみようかと思います。

1) 「発明のまとめ」
講師は帝人の知財センターに勤務する方で、えらい話の旨い人(女性)でした(ただ、ちょっと話がはやいか)。この講演では、特許のカテゴリー(物質特許、製法特許、用途特許、パラメーター特許)と、特許の新規性・進歩性を中心とした解説が行われ、特許(の知識)初心者級のコンキチにはけっこういい勉強になりましたね。
a) 「強い権利行使を可能とするにはどのようにクレームすればよいかというケーススタディー」
b) 「特許出願時における拒絶理由への対応」
c) 「権利行使の可否」
d) 「先行技術との違いをどう出すか」
ということが、事例を交えてポイントを抑えた解説をしていただきなかなか有難かったです。

で、コンキチがこの講演を聴いて一番思ったことは、

やっぱり製造特許(化学)の権利侵害を立証するのって、難しいんだなあ

っていうことです。講師の先生も、CSRとか、コンプライアンス経営とか、ばれたときのリスク(社会的信用の喪失)が侵害の抑止力になるといっていました。

つまり、モラールの無い(または低い)企業が、ばれなきゃO.K.的発想で勝手に、かつ内緒で特許を使われたらどうしようもないということでしょう(やり得)。

アメリカではディスカバリーという情報開示の制度があり、ハードルが高いようです。まあ、国内だけでなく、大きな市場がある(またはこれから期待される)外国の特許法にも精通することも、特許戦略上重要なのだろうと思いましたね。気が向いたら、その辺のところもちょっと勉強してみたいです。

ちなみに推薦図書は、

特許〈化学〉明細書の書き方」 (室伏良信 著)

だそうです。

2) 「発想法・思考法」
ワークデザインというG. Nadlaerによって提唱されたシステム設計技法に関する講演を聴講しました。

ワークデザインの得意領域は、「ビジネスモデルの設計や改良」「新しいビジネスモデルの構想」「製品や部品の提案や改良」「問題解決」だそうです。

で、ワークデザインでは機能(システムの目的, 役割, 使命)を重要視しており、今回の講演ではワークデザインの中核である「機能展開」の解説と、機能展開を利用したビジネスモデルの構築・設計・改良に関する解説がなされました。
 機能展開とは、下位の機能(例えば、荷造り作業を例にとると「必要な荷物を梱包する」)に対して、「その機能によって何をしようとしているのか?」とい問いを繰り返すことによって、上位の機能(客が移動先の環境下で不都合無く家庭生活を営み、労働し、買い物をし、教育を受け、楽しむ活動をたすける)へと展開していくといった作業で、けっこう細かく展開していかなければならないそうです。
これをビジネスに応用した場合、上位の機能から顧客の潜在ニーズを見出し、そのソリューションを提案することでビジネスモデルを構築・設計・改良するのに役立てるとコンキチは理解しました。

ただこの機能展開がちょっとクセものだとコンキチは思いましたね。機能展開の例として、黒板消しの機能展開の例がよく用いられているようで、

(1) 黒板の表面をふく
(2) 黒板に付着したチョ−クの粉を落とす
(3) 黒板の表面に書かれた字を消す
(4) 黒板に次に書くスペ−スをつくる
(5) 黒板に次々と字や絵を書く
(6) 限定されたスペ−スを用いて目で見える情報を次々と伝える

というように機能の展開が為されていき、「限定されたスペ−スを用いて目で見える情報を次々と伝える」を顧客の潜在ニーズと考え、プレゼンソフトみたいイノベーションが創出が期待されるのでしょう。上位概念の機能を志向するという方向は間違っていないと思うのですが、その途中のステップってホントに必要?と思いました。
(学術研究としての価値というか重みを出すために、敢えて必要ない機能をつらつら並べているだけのようにも思えます)

経営学系の書籍を紐解くと、顧客ニーズをより広い概念まで広げて考えるというアプローチはけっこう頻繁に解説されているように思います。

a) シルク・ドュ・ソレイユ: サーカスの一段上の概念であるエンターテイメントショーという視点で演出を設計し、大成功を納めている(「ブルー・オーシャン戦略」)。シルクにとっての競争相手は、サーカスだけでなく、エンタメ事業者全てなのです。独走的なエンターテイメントショーが、「ショーを楽しみたい」という顧客ニーズを満たしたのでしょう。

b) カセラ・ワインズ: イエロー・テイルというワインのヘビーユーザー以外のアルコール愛好家(ビールとかカクテル)も楽しめるワインを設計・販売し、メガヒットを達成した(「ブルー・オーシャン戦略」)。「人々が楽しめるワイン」の上位概念である「人々が楽しめるアルコール飲料」という視点で商品設計し、ワインのヘビーユーザー以外の顧客ニーズを発掘している事例だとい思います。ちなみにコンキチもイエロー・テイル好きです。

c) サウスウエスト航空: 航空会社という位置づけではなく、より上位の概念である輸送業として自社をとらえ、スピードと便数に特化した戦略で低料金を実現して競争優位を築いた。他の航空会社以外に自動車による移動という代替輸送手段もライバルと見立て、両者にない価値を提供している。ラウンジとか機内食とかの輸送以外サービスはそこそこでいいから、スピード(移動時間)を重視したいという顧客ニーズをとらえているのでしょう。それでいて、料金は自動車(スピードは遅い)と競合するくらいの低料金ですから(「ブルー・オーシャン戦略」)。

d) ホーム・デポ: ホーム・センターという視点ではなく、ホーム・インプルーブメントというより上位の視点で、DIYという膨大な潜在ニーズを掘り起こした(「ブルー・オーシャン戦略」)。

e) BBA(Bush Boake Allen): 「顧客のニーズに合致した香料を売る」から「顧客の抱えている問題を解決する」という一段高次の視点から、新しいビジネスモデルを構築した(「製品開発力と事業構想力」R&Dを顧客に転嫁する事業モデル)。
cf. http://researcher-station.blogspot.com/2007/01/blog-post.html

f) 製造業→サービス業への転換: see http://researcher-station.blogspot.com/2007/02/blog-post.html(「ビジネスモデル戦略論」「脱」コモディティ化の成長戦略)

機能展開なんて仰々しいことをやらなくても、上位概念での顧客ニーズを検討すればいいんじゃないの?という気がします。

あとそれから、この機能展開なんですが、さらに展開をつき進めて行くと、

(6) 限定されたスペ−スを用いて目で見える情報を次々と伝える
          ・
          ・
          ・
(n) 人の情報の授受をスムースにするのは、理知的でいきいきとした生活を送らせるためであり、それは、人々を幸せにするため

というような感じで、なんか良くわかりませんが、最終的には「人々を幸せにするため」的なものに収斂するようです(なんかこの辺りは宗教的な感じがします)。

で、「企業の利益にため」という方向には展開してはいけないそうです。講師の先生は、「利益を上げさえすれはなにをやっても良いのか?」言っていました。でも、利益を上げることってそんなに悪いことですかね?

企業が利益を多くあげることにより支払われる高額な税金により、公共インフラを整備し、人々が快適に暮らせるようにする

とか

企業が継続的に利益を挙げることにより、ゴーイング・コンサーンたる企業体は、人々の雇用を拡充し、給与を上げ、人々の経済活動を豊かにする

的な発想も有りだとおもうのですが.....。

それに、「人々を幸せにする」と言ったって、幸せの定義は曖昧であるし、利便性を向上させることによって幸せを達成するということであれば、「利便性さえ向上させれば、何をやっても良いのか?」ということも言えるのではないかと思います。

さらに、株式会社が出来た歴史を鑑みれば、会社は利益を上げることが目標であることに疑いを挟む余地はありませんよね(TOCでも会社のゴールは(反社会的な行いをすることなしに)利益をあげることですよね)。

チョットGoogle(日本)でググッてみたけど、「(学問としての)ワークデザイン」のヒット数はイマイチでした。思考の方向としては間違ってないのでしょうが、ちょっと仰々しいかなという気がしました。

大野耐一氏の逸話に触れていたのですが、それが今回の講演で一番ためになりましたね。

講師の先生がとある工場で段取り時間を短縮するアドバイスをしたそうです。でも、受け入れられなかった。しばらく後、その工場の様子を伺ったところ、かつて行った提案通りの作業が行われ、段取り時間が短縮したという。で、先生は「私の言った通りでしょ」的なことを言ったらしいのですが、件の工場の人は「いいえ違うんです」と宣った。

何が違うのかと言うと、あの大野耐一が「俺が責任を取るからやってみろ」と宣うことで、改善策が実際に行動に移されたということなのだそうです。

講師の先生も、「アイデアなら出せるけど、責任はとれませんから」的なことを言っていました。

改革には豪気なトップの存在が必要

なのでしょう。

部分最適でも全体最適でもなく、自分最適を目指す二流大卒のなんちゃって研究員の徒然なる日記でした。

2007年2月10日土曜日

知財を志向してみる (2)

知財・特許業務マニュアル〈下巻〉」を読破しました。



法律とかそういった決まりごと関連の書籍は、正直退屈ですね。でも、興味深い内容もあったので、少々メモしてみたいと思います。

1) パテントマップ
特許戦略の本なので、特許情報をビジュアル化したものである「パテントマップ」に関してけっこうな頁が割かれています。

で、特にコンキチが興味を覚えたのが、この本の著者(有機化学系)の1人が現役時代にちょっとした遊びで作ったものらしい、メタロセン触媒によるオレフィン重合のパテントマップです。
x軸にモノマーの種類
y軸に触媒の中心金属
z軸に特許件数
を3次元プロットしたパテントマップなのですが、マッピングしてみた結果以下のことが分かったそうです。
 
a) エチレン、プロピレン、スチレンをモノマーに使ったものが多い。
b) エチレンの重合で使われる金属は、TiとZrが多い。
c) プロピレンの重合で使われる金属は、TiとZrが多い。
d) スチレンの重合で使われる金属は、Tiが多い。Zrはゼロ

で、ここで見えてくるのが

「スチレンの重合にはなんでZr cat.が使われてない訳?」

ということです。

本書では、この話題に関する詳細な追跡の記述もなく、またコンキチも専門外なので、実際上述したような「気づき」から具体的にどういった展開が可能かはよく分かりませんが、技術の視覚化によって、第三者がまだ気付いていない何かを見出すツールとしてはかなり有益かと思いました。

企業戦略、企業規模、ビジネスモデルによって上記リサーチは、ROIが必ずしも良いとは言い難い場合もけっこうあるかと思いますが、考え方としては見習いたいですね。

2) 特許出願戦略
コンキチは所謂化学工業というセクターに属する仕事に携わっています。で、そこで製造される製品というのは、パソコンとかTVとか車といった、はっきりとした、それ固有の形状を有さないものなのです。ジュースとか酒とか砂糖とか塩といった、言われてみないとそれとは認識しがたい物質が製品よして製造されてくるのです。しかも、B to Bビジネスしか営んでおらず、エンドユーザーが手にする製品の中に微量しか入っていない場合もあったりします。

で、そんなセクターに属する会社が、新規製造技術を開発してそれを守ろうとした場合、どういった方法がベストかということを考えさせられましたね。特許化を目指すべきなのか? それともノウハウとして保護し、隠密に先使用権は確保しておくという戦略の方が良いのか?ということです。

しかもプロセス・イノベーション的な発明の場合、果たして競合他社の特許侵害を見抜くことがどれほどできるのかはなはだ疑問があります。

企業のモラールにかけるだけでは、いささか白痴的ではないかということです。

今までコンキチは、上述したようなことをあまり考えたことがなかく、はっきり言って素人ですが、少しづつ勉強して行きたい気持ちは芽生えました。

3) 「筋の良い」テーマ
本書では、「筋の良い」テーマを生み出すためにはということにも言及していて、

イマイチくんな(研究)テーマが多いのは、

考える時間、そしてその前に、構造化(解析された情報が整理されている状態)された情報を準備することの重要性を組織としてあまりにも軽視してきた。考えごとをするのも、そのための材料を準備して下ごしらえをするのも、仕事ではない、対価を払うべき価値のある生産活動ではないとみなされてきた。だからこれまでわれわれは、筋の良いコンセプト(研究テーマ)を生み出すための投資、つまりは調査研究への投資をわずかしか行ってこなかった。

と断じています。

正直、この本はとても良いとは言い難いと思いますが、上記主張はコンキチと全く同意見ですね。TOCにもちょっと通じるところがると思うし。

本来知識集約型であるべき研究開発活動を労働集約型活動と見なしてきたことにそもそもの間違いがあるんだろうと思います。こういうパラダイムの転換を達成できた企業のみが、研究開発型の企業として生き残って行くのだろうなと感じています。


以上、コンキチの心にとまったことを幾つかメモしてみました。まあ、コンキチは二流大卒のしがないなんちゃって研究員なので軽く流し読みして下さい。

2007年2月6日火曜日

BASF : The Chemical Company

BASFからCD-Rが送られてきました。

昨年9月にコンキチはBASF主催の「BASF BORON CONFERENCE」という、有機ホウ素化学のレクチャーに参加したのですが、そのときの講演に使ったプレゼン資料を全てPDF化し、それをCD-Rに焼いてわざわざ送ってくれたのです。

凄い会社です。さすが世界最大級のグローバル・ケミカル・カンパニーだけのことはあります。

こういう啓蒙活動って、企業体が大きくなればなるほど求められるのでしょうね(広告も兼ねてなのでしょうが)。

化学業界の中にCSRを感じた一瞬でした。

BASFにはこれからもThe Chemical Companyの名に恥じない企業体であって欲しいと思います