趣味「晩酌」のコンキチです。おしなべて、好き嫌いなくよく呑みます。
さて、前回のブログの続きです(NHKの甲州ワイン特番のまとめ)。
グレープフルーツ様のシトラス・ノートを醸し出す、甲州ワインのキー成分である3-Mercaprohexan-1-ol (3MH)ですが、この成分が甲州ワインの鍵となることが分かったのは最近になってからだそうです。
3MHは甲州ワイン特有の成分というわけではなく、パッションフルーツ中にも見出されており、ワイン用ブドウ品種としては、Sauvignon Blancワイン中に見出されています(甲州ワインよりも前にSauvignon Blancワイン中に見出された)。ちなみに、3MHは果醪中にはトレース量しか存在しておらず(つまり、前駆体として存在している)、発酵過程において酵母の作用により生成するようです。
ref. Flavour Fragr. J., 13, 159-162 (1998)
ところで、当初甲州ワインはシャルドネなどの有名品種のワインに比べて特徴的な香りがなく、香味が貧弱であるという評価だったそうです。それは何故かというと↓(TVの解説です)
1) 3MHのような硫黄化合物は金属と結合し香りを失いやすい(錯形成して不揮発化するってことかな?)
2) 日本は高温多湿のため、カビなどを防ぐためにボルドー液という殺虫剤を使用していた。
3) ボルドー液の主成分は硫酸銅
4) どうやら銅(Cu)が3MHをキャプチャーしていた模様(チオール類は閾値がおしなべて小さいので、残留した銅イオンで十分捕獲されちゃうのかな?)
ということのようです。
ちなみに番組では、田崎真也が、グラスに注いだ甲州ワインに十円玉を入れると、グレープフルーツ様の香りがしなくなるという実験をやっていました。
2005年8月31日の日経産業新聞によると、
メルシャンが甲州ワインの香りを引き出すためにどうしたらよいかと文献を漁っていたところ、ボルドー第二大の研究グループが、Sauvignon Blancワイン中のグレープフルーツ様香気を発する成分が硫黄化合物(チオール類)であることを特定したという文献にめぐりあったそうです。で、(手元にどういうデータがあったか分かりませんが、甲州ワインにチオール類の柑橘香を期待したんでしょうが)試験的に硫酸銅を含んだ農薬の使用を止めてワインを試作したところ、従来にない香りが引き立ったのだそうです。
で、このような成果をもとにしてメルシャンからリリースされたのが「甲州きいろ香」というワインで、3MHの前駆体がMaxになる頃合いを見計らってブドウを収穫し、3MHの特徴がでたワインに仕上がってけっこう好評のようです。
(Sauvignon Blancの場合、優秀なワインは一リットル当たり三千ngの硫黄化合物を含むとか)。
このメルシャンのはなし、ちょっとしたイノベーションを感じますね♥
あと、番組で有名ブドウ品種の特徴的な香りについて言及していたにで、参考迄に表にまとめてみました↓
こういう特徴を意識してワインを飲むと、その味を認し易いのではないでしょうか?
PS
最近、近所のスーパーでまたBeaujolais nouveauがフェイスの一角を占めています、しかも強気なプライシングで!今シーズンもまた調子こいて在庫もちすぎたんでしょうかね?正直、不味いBeaujolais nouveauが普通のBeaujolaisよりも高い値付けをしているのに驚きです。Beaujolais nouveauが高額なのは飛行機代を入れている=できるだけ早く飲むことに価値が有るというのに。初物好き(見栄っ張り)も良いですが(越年nouveauは初物ではないが)、軽薄なワインブームは卒業して、日本の「地」の秀逸な甲州ワインにも目を向けて、成熟したワイン文化を育みたいものです。
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2008年2月26日火曜日
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