当時の我が世の春は、日本的経営と政府の政策が原動力になったと一般的には理解されているのかどうかコンキチにはよく分かりませんが、決してそうではないとポーター教授は説きます。
当時の多くの日本企業は、オペレーション効率とシェアの追求にやっきになっていて戦略がなかったと結論づけています。つまり、選択と集中であったりSTP(セグメンテーション、ターゲッティング、ポジショニング)といった戦略がなく、全ての顧客に全てのモノを提供するという非効率的な模倣合戦に終止し、結果過度の価格競争に陥り、利益を失っていったということです(勿論、戦略のあった成功産業のことは誉めている)。
で、ポーター教授はこう宣います。
戦略とはトレードオフである。戦略は何をしないかという選択であると。
そして、
日本企業のもつ卓越したオペレーション効率と戦略のシナジーが日本企業の国際競争力を強化すると。
また、政府の、国内市場での競争を抑制する保護政策や市場をコントロールしようとする政策(合法カルテルとか)が、国内企業の健全な競争を阻害し、イノベーションを阻害し、国内の要素要件を高コスト化した失政であると評しています(大前研一氏も自身の著作「日本の真実
で、ポーター教授はこう宣います。
健全な競争を強い産業クラスターを形成し、イノベーションを加速し、国際競争力を高めると。企業の健全な競争を促す政策を取るべきだと。
「Japan as No.1」とは、一握りの戦略を持った成功産業の大いなる成功の影に、数多くの失敗産業があることを見逃していたための言葉なのかもしれません(自分、当時は生まれていないorチビッコだったので全部想像ですが)。
それにつけても、ポーター教授の論は凄いですね。理路整然で読み易いし(訳がよかったのか?でも原文がよくないとよい訳は生まれないと思う)。世界一のストラテジストですよ。
本書は、ファイブ・フォース・モデル、ダイヤモンド・フレームワーク、クラスター理論が一通り解説されていて、しかも、ポーター教授による日本企業のケース・スタディーが聴講できる希有な本かと思います。
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