前回までのブログでメモしてきた合成法は、リファレンスの年代をみると一目瞭然だけど、かなり古いです。
なので、このREVIW(Synthesis, 1999, 10, 1707-1723.)には収録されてないけど、比較的最近報告された光学活性ムスコンの合成法もついでにメモしてみます↓
まずは↓
Direct, practical, and powerful crossed aldol additions between ketones and ketones or aldehydes utilizing environmentally benign TCl4-Bu3N reagent
Tetrahedron, 2002, 58, 8269-8280.
このタイプの反応は、触媒量のTMSClの添加で、Aldol reactionが促進されるようです。
それから↓
Ti-Crossed-Claisen Condensation between Carboxylic Esters and Acid Chlorides or Acids: A Highly Selective and General Method for the Preparation of Various β-Keto Esters
J. Am. Chem. Soc., 2005, 127, 2854-2855.
カルボン酸や酸クロでも反応が進行するとうのにちょっとした驚きを覚えました。
ここまでは田辺陽先生のグループの研究です。これら一連のMacrocyclic Musk合成の鍵反応は、Ti-Aldol type reactionです。コンキチもTiCl4-Et3Nを使ってTi-Aldol type reactionをやったことがあります。で、PhMe中で反応を行うと、反応自体はexcellent yieldで進行するのですが、系内に粘性の高いネバネバした不溶物が出現してきました(基質はまあ一般的なそこそこ有機低分子だと思うのですが)。Baseの種類を変えれば、(錯体の)溶解性が改善されるのかなとか思います。
用いるBaseの効果としては、「Bu3Nが、Et3N、i-Pr2NEt、TMEDA、Pyridine、DBUよりも収率がGood的」な記述がありますが(Tetrahedron, 2002, 58, 8269-8280.)、試した基質は2例だけなので、まあ、なんとも言えないかなとも思います。酸クロを使ったTi-Claisenでは、i-Pr2NEt使ってたし。
あと、もう一つ↓
Cp*Ru(PN) Complex-Catalyzed Isomerization of Allylic Alcohols and Its Application to the Asymmetric Synthesis of Muscone
J. Am Chem. Soc., 2005, 127, 6172-6173.
鍵反応はアリルアルコールのケトンへの官能基選択的異性化反応で、遠くのオレフィン部位を残すという選択性の高さがウリだと思います。触媒はPN配位子を有するハーフサンドイッチ型のシクロペンタジエニルRu錯体で、tert-BuOKと一緒に使用。
反応条件はPhMe中、30℃, 1 hr。でcatalytic loadingは1mol%。マイルドなコンディションに加えてトルエンをつかっているのが好感触です。
動的速度論分割に基づく不斉異性化を利用したMusconeの合成ですね(但し、eeはあまり高くない)。
次回は、REVIEWに戻って、16員環大環状ケトンの合成法をメモしようかと思います。
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