2008年5月27日火曜日

マクロサイクリックムスク (10) Ambrettolide & isoambrettolide

17員環のマクロリドの中で最もメジャーじゃないかと思われるAmbrettolideとその仲間達の合成法メモです。

ambrettolideは(Z)-7-cyclohexadecen-16-olide(アンプレットシードオイルから単離された)なのですが、香料として使われている所謂ambrettolideはambrettolideの異性体の(E)-9-cyclohexadecen-16-olide (isoamnrettolide)なのだそうです。

因みに、ambrettolideは、(Z)-体も(E)-体も工業的製法は確立されていません(少なくともこのREVIEW執筆時点では)。

まずはisoambrettolideの合成法↓
ref. US Patent 4014902, 1976, International Flavors & Fragrances Inc.; Chem. Abstr., 1977, 98, 39217.
threo-aleuritic acidのオルトギ酸エステルを作用させ(脱水?)、その後無水酢酸存在下で熱分解(アセチル化-脱酢酸?)。得られた不飽和エステルをエステル交換。
スキームは載ってなかったけど、ビシナルジオール→オレフィンのone-potフォーメーションが
a) 酢酸中ヨウ化リン(PI3?)
ref. Chem. Ind., 1983, 43.; Indian J. Chem. Sect. B., 1984, 23B, 733.
b) via the dimethylformamide dimethylacetalって書いてあったけど、DMFのアセタールを経(?)、その後無水酢酸中reflux。
ref. US Patent 4014902, 1976, International Flavors & Fragrances Inc.; Chem. Abstr., 1977, 98, 39217.; Synthesis, 1987, 154.

あと、以前使われたっていう合成法↓
ref. J. Chem. Soc., 1963, 3505.; Chem. Ind, 1960, 1441.; IN Patent 65543, 1958, C. S. I. R.; Chem. Abstr., 1961, 55, 10326d.


一応、(E)-ambrettolideの合成法↓
ref. J. Chem. Soc., 1963, 2477.
なんか凄い力技っていう印象。

で、(Z)-ambrettolodeの合成法↓
ref. Perfumer Flavor, 1993, 18, 41.; Indian J. Chem. Sect. B., 1995, 34B, 851.
残りのステップは、この記事の一番上のschemeと同様です。それにつけても、六価クロム使ったり、水銀使ったりと痺れます。

このREVIEWでは詳述してなかったけど、他のこんな(ambrettolideの)合成法もあるそうですよ↓
a) phloionokic acidから7stepsの合成法(J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1, 1982, 1837.; An. Quim., 1983, 79, 194.)
b) 分子内Wittigを使った方法(Synthesis, 1989, 419.; Angew. Chem., 1983, 95, 810.)
c) yne-macrolideの接触還元を用いる方法(Helv. Chim. Acta., 1983, 66, 2294.


今回は以上。

0 件のコメント:

コメントを投稿