2008年5月1日木曜日

アンブロックスショック

一応、香料会社に勤務しているコンキチです(香料とは全く関係ない仕事ばかりしていますが...)。

ところで、Ambrox(アンブロックス、この名前はフィルメニッヒの登録商標)という化合物があります↓

動物性香料で、教科書的に著名なものに、ムスク (麝香; Musk)、シベット (霊猫香; Civet)、カストリウム (海狸香; Castoreum)、アンバーグリス (竜涎香; Ambergris)があります。

で、この中のアンバーグリスはマッコウクジラの病的分泌物であり、その主成分はアンブレイン (Ambrein)です↓

ちなみにアンブレイン自体は無臭で、アンブレインが海上で漂流する間に酸化的に分解されて様々な有香成分を形成していくのです。

アンブレインの分解物としては、γ-Dihydroionone, α-Ambrinol, γ-Coronal, Ambra oxide, Dehydroambra oxide, Ambroxなどが生成します。

これらの中で、Ambroxは非常に持続性が強く、極めて強いアンバーグリス様香気を持ち、アンバー系香料として特に重要な化合物なのです。

かなり前置きが長くなりましたが、何故「アンブロックスショック」なのかというと、

コンキチの勤務する会社で、合成香料を担当するセクションの人員全てが、Ambroxを知らないらしいということが発覚したからです。

コンキチが勤務している会社は一応香料会社なので、香料関連特許のWatchingをしています。で、合成香料関連のパテントは合成香料を担当するセクションの人員でチェックしているのです。で、どうでもよさそうな直鎖のエステルチックな香料組成物の特許lはチェックいれてるくせに、香の帝王と言っても過言ではないAmbroxは完璧スルーされていました。ちなみにAmbroxの特許のタイトルは「光学活性化合物の製造法」チックな名前で、香料とかの文言が入っていなかったから気付かなかったのかもしれません。
でも、構造式は載ってたし、出願人は香料業界再大手のジボダンだったんだけど.....

っていうか、合成香料やってないコンキチが気付いて、なんで当該部署の人間が誰一人として気付かないのか不思議でなりません。


コンキチの勤務してる会社って、やっぱレベル低い会社なんだなあとガッカリする二流大出の窓際研究員なのでした。なんかアホくさ。

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