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閑話休題
2011年、あの純正有機合成化学小説「ラブ・ケミストリー」(see http://researcher-station.blogspot.jp/2011/03/blog-post.html)で一世を風靡(?)した、現役某大手製薬会社研究員の喜多喜久氏の最新作「猫色ケミストリー」を先日読了したので、その感想をメモしてみます↓
今回の作品も東大農学部が舞台で、有機合成ど真ん中のファンタジー恋愛ミステリ(犯人当て)に仕上がっています。主人公は、計算化学が専門のコミュ障男子(M2)。ヒロインは不斉合成触媒の研究やってる同級生女子(M2)です。
時は修士論文作成も佳境に入ってきた頃。主人公男子とヒロイン女子と学内に住着く野良猫が、落雷にうたれたのをきっかけに人(猫)格が入れ変わってしまい、修論の完成と本来の体を取り戻すために悪戦苦闘している最中、研究室内覚せい剤合成事件(当然犯罪)に遭遇し、事件を解決するとともに、本来の体を取り戻しつつ、なんとなく相思相愛になって行くというなんともこそばゆい少女マンガちっくな作品でになっています。恥ずかしながら、けっこう自分は好きです。
あと、本作では不斉合成が(修論の研究)テーマなので、その辺りの一般人への啓蒙も抜かりはありません。
それから、こん本で秀逸だなと思ったのが、違法な覚せい剤合成をしている犯人特定のために仕掛けたトラップです。これ、(まあ、たいして難しくないんですが)合成ルートから類推してトラップしかけてる訳なんですが、この件は有機合成化学者にはたまりません。
ところで、この雷による人格入れ替えって、
主人公コミュ障男子→ヒロイン女子
ヒロイン女子→野良猫(♂)
っていう、冷静に考えるとかなりエロい設定になっていると思うんですが、まあそこはご愛嬌といったところでしょうか?(っつうか、絶対オタッキーをターゲットにしてると思う)。
とりあえず、ケミストリー三部作を期待する二流大出のなんちゃって研究員でした。
あっと、最後に(キメ台詞)↓
サイエンスは推理であり、推理とはサイエンスなのである
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