プレ・コロナの優しい時代、しかも消費税が8%だった時代に大好きな浅草でおにぎりを食べたときのメモです。
-おにぎり浅草宿六 memo-
住所:台東区浅草3-9-10
昭和29年(1954年)創業。米は単一原料コシヒカリ(年により変更)、海苔は江戸前、塩は天然塩(季節により変更)を使用。
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
おにぎりなのか?おむすびなのか?魅惑の一品。"おにぎり"という形状をギリギリ保っているだけの結合力で繋がっていて、海苔はご飯を優しく覆っているだけに過ぎない。
手に取るとご飯の温もりが伝わってきて、次いで海苔の柔らかいいい匂い鼻腔をくすぐる。
海苔の食感はパリパリし過ぎていない優しさのある柔らかさでとても良いです。
ご飯は丁度いい温もりを感じさせ、フワッフワの軟らかさ。お米の一粒一粒が立っていて、頬張ると口の中いっぱいに何とも言えない心地よい感触、まるでスープを啜っているかのような魅惑の感覚が広がる。塩味に余分な重たさはなく、ボディー(body)の太い甘みを感じる。
もうね、ご飯がもの凄く美味しいんですよ。正にご飯が主役。そして、自己主張し過ぎない海苔が、ご飯の旨味を損なうことなく上手に引き立ているのね。梅干は軟らかく、甘い果実感がリッチ(rich)でした。
こんな旨いおにぎり、食ったことないです。
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
中身が見えないので、上の"梅干"と違いが見た目からはさっぱり分からない"鮭"です。
具材の鮭の少しキツめの塩気が絶妙な旨さを醸し出しています。この鮭周辺の局所的な塩気が、ご飯のポテンシャルをさらに引き出していると思いました。やっぱ、おにぎりっていったら、ご飯と塩が命です。
-出羽桜 純米大吟醸 (600 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
有名な酒なんで、言うことないでしょ。
あと、ここのおにぎりって味噌汁よりも日本酒(出羽桜)の方が合うと思うんだけど、気のせいでしょうか?(オイラが酒呑みたいだけ)
閑話休題
ちょっと古いんですが、こんな文献を読んでみました↓
One-pot synthesis of amides from carboxylic acids activated using thionyl chloride
RSC Adv., 2016, 6, 34468-34475.
塩化チオニルを使ってワンポットでアミドを合成するお話です。
所謂アミド合成における"酸クロ法"は、一旦酸塩化物を作ってから過剰に加えた塩化チオニルを留去するなどし、三級アミン存在下で一級または二級アミンを作用させるという二段階反応が常法です。
これまでに塩化チオニルを用いたワンポット合成法が幾つか(もっと?)報告されていますが、報告例では反応の完結に1時間以上かかるみたいで、加熱も必要だったりすることに加えて、条件もイマイチちゃんと書いてなかったりとかで、まあ、メジャーではないのかもしれません。
20 examples, 48-92%
一コ48%とイマイチな収率の反応がありますが、そいつはこいつです↓
p-アミノフェノールなんですが、反応点がアミノ基とフェノール性水酸基の二つあって、カルボン酸(酢酸)を等モルしか使ってなくて、選択性が全然出ないという結果ですね。でも、活性自体は良好です。p-アミノフェノールの例を除くと。65-92% yieldです。
で、20 examplesの中でちょっと言及しておきたいのが、こちら↓
Boc基があっても大丈夫。不斉はほぼ保全され、ジペプチドも中程度の収率でゲットできます。ただ、嵩高いカルボン酸は反応が遅めです。
ところで、著者らはこのワンポットアミド化反応について、試薬を加える順番などを検討しています。
カルボン酸、一級または二級アミン、トリエチルアミンのジクロロメタン溶液に塩化チオニルを加えると、Good Yield!です。これがスタンダード・コンディションです。
トリエチルアミン無しで反応を行うと、副生する塩化水素をトラップするのにアミンが消費するので、予想通りにlow yield↓です。
そして興味深いのが、ジエチルアミンとトリエチルアミンを作用させる前に、塩化チオニルとカルボン酸を混ぜてしまうと、反応の進行が緩慢になり、GC-MSで塩化ベンゾイルが35%検出されるという残念な結果に至ります。
試薬を加える順番がクリティカルなんですね。
あと、反応の13C NMRによるモニタリングを実施しています。
反応温度が室温では、カルボン酸のクロロ化が遅いですが、
三級アミン(トリエチルアミン)存在下で、素早く塩素化が進行します。
これらの実験結果から、はじめにカルボン酸がカルボキシレートアニオンになることが重要であると著者らは述べています。
っていうことは、こういうことでしょうか?分かんないけど↓
最初にカルボン酸と塩化チオニルを混ぜちゃうと、反応が遅くなっちゃうのは、反応の一段階目に生成する中間体がそこそこ安定だからなんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか?(それから、13C NMRで安息香酸と中単体のケミカルシフトがたまたま同じだったとか)
まぁ、なにはともあれ、two-step procedureが当たり前と思っていた酸クロ法が(オレだけ?)、ワンポットで全然オッケーなのは朗報と思います(論文として報告例がないだけで、その筋では常識かもですが。っていうか、これまで報告されてなかったのが不思議)。マイルドな条件で、反応も速いし、トリエチルアミン過剰でしっかり塩基性なので、Bocも許容で、ラセミ化も殆ど起こりません。
どうですかみなさん、明日らか縮合剤使うのをやめて、塩化チオニルを使った酸クロ法でアミドを合成してみませんか?
以上、ここ5年ほどは塩化チオニルがご無沙汰な二流大出のテクニシャン(研究補助員)のオールド・ファッシン・アミド化メモでした。
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