2021年1月9日土曜日

所用時間1分。簡便かつ泥くさい素数の確認法を考えてみました。

コロナ禍でも、やっぱり外食が好き。
新型コロナウィルスに打ち勝つ滋養をつけるため、昨年10月に御徒町で"たまご"を食べたときのメモです。

-Egg Baby CAFE memo-
住所:台東区上野5-10-9

-AMEYOKO DRY (アメヨコドライ) (500 JPY+tax)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
まずフルーティー(fruity)な香りが一閃。それから、スパイシー・ノート(spicy note)が穏やかに薫る。
澄んだ綺麗な味わいで、微弱な甘み、シトラス(citrus)、酸味を感じる。スレンダーな味わいで、上品あなキレがある。
スッキリ軽快で、そこはかとなくコクがあって旨い!
但し、アメヨコ感はサッパリ分かりませんでした。



-Egg Baby sand with French fries (エッグベイビーサンド with フレンチフライ) (900 JPY+tax)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
自家製ブレッド/半熟たまご/ベーコン/マヨネーズ/マスタードのサンド。
まず薫ってくるのが、黄身の濃厚かピュアー(pure)な香り、胡椒のスパイシー・ノート(spicy note)、パンの焦げ目の芳ばしい香り。
パンは軟らかく、外側が僅かにサクッとしている。やや伸張性があって、しっかりしたボディ(body)の美味しいパン。
そして"たまご"が信じられないぐらい破局的に旨い!ピュア・リッチな味わいで、いやらしまでにねっとりトロッとした食感が口の内いっぱいにまとわりついてきて、最高に旨すぎる。
白身は抵抗感なく口腔内に吸い付くような不思議な食感。
タルタルソースには、粗くマッシュされた"たまご"が入っていて、味は勿論、食感も絶品で、トーストとメインの方の半熟玉子とのハーモニーをワンランク引き上げます。
トーストは温かく、半熟玉子に熱はない。
つけ合わせのフライドポテトは、外側が軽くカリッとしていて、内側はホクホク。適度な塩味で、つまむ手が止まらない。
サラダもフレッシュ(fresh)で、とても軟らかい優しい食感のレタス系の葉っぱ主体。ドレッシングの味わいは比較的穏やかなマイルド系で適量なので、素材の味を楽しめる。
この"たまご"サンド、マジ(真剣)で至高!!!
唯一の欠点は、もの凄く食べにくいこと。
ちなみに、4個の卵を使用した逸品ね。

こんなに旨い店なのに、オイラが訪れたときはかなり空いててラッキーでした。平日の15時半に行くのがオススメです(オイラ、評判の悪い裁量労働なので)。


閑話休題


一昨日(1月7日)の東京都の新型コロナ新規感染者数が2447人をマークしました。
勿論、これは残念な数字なんですが、twitter界隈ではこの数値が素数だということでプチッと話題になりました。

なんか素数を見つけるとウキウキしませんか?ボクはウキウキしてしまいます。

実際、2447はまぎれもない素数なのですが、素人さんでも簡単に素数を確認する方法はないものかと数学が苦手なボクは考えました。

賢い人は頭のいいアプリを作ることができますが、正直、ボクみたいな数学苦手マンにはブラックボックス過ぎて分かりせん。

そこで昨日の帰りの電車の中でウンウン唸りながら(ウソです)考えていたら、思いつきました。簡単かつ超絶泥くさい素数の確認方法を。しかも数学スーパー初心者級でも確実に理解できる方法です。

で、超絶泥くさいのになぜ簡単なのか疑問に思う人もいるかもいれませんが、泥くさい部分はパソコンのソフトにやらせるのです。そう、我らが

エクセル大先生

の出番です。

ハイ。やり方は超簡単で次の通りです↓

First Step
フィル機能を使って、A列に1から2447までの連続データを作成する。

Second Step
B列1行目から2447行目まで2447を入力する。
(B1のセルに2447と入力して、セルの右下隅にカーソルを合わせてダブルクリック)

Third Step
C1のセルに、B1をA1で割る数式(=B1/A1)を入力し、これをC2447まで展開する。
(C1のセルの右下隅にカーソルを合わせてダブルクリック)

Fourth Step
MOD関数でC列の数値を1で割ったときの余りをD列に出力する。
割り切れた場合は「0」が表示される。

Fifth Step
D列にフィルターをかける。

Sixth Step
フィルターで「0」だけセレクト。
その結果、1行目と2447行目の2行が残る。
即ち、2447は正の約数が1と2447(自分自身)のみであることから、素数であることが確認される。
ミッション・コンプリート!

どうですか、皆さん?
到底エレガントとは言い難いけど、2447が素数であることが確認できました。
しかも、数学苦手マンがたったの1分足らずで(35秒で出来た)。
でも、ちょっと考えると誰でも思いつきそうなので、既出かもですね。

以上、国内二流大出の数学苦手マンの、素数愛メモでした。

2021年1月4日月曜日

アミノ酸(ペプチド)の化学 (6):H-His-Pro-Xaa- MOIETY

ども、ミステリ大好きコンキチです。
我が国のミステリの大御所と言えば江戸川乱歩。で、乱歩が愛した天麩羅屋さんに行ったときのメモです。

-はちまき memo-
住所:千代田区神田神保町1-19

-天丼 (増税前で800 JPY)- 
海老2、きす、イカ、野菜 (Tendon 2 Shrimp Fish Squid Vege) 
-RATING- ★★★★★ 
-REVIEW- 
野菜はピーマンとレンコン。味噌汁付き。 天麩羅の衣は薄く、カラッと軽やかに揚がっている。丼タレは拡散性が高く、柔らかみのある香り、かつ甘じょっぱく、とても上品な優しい味(少し甘さ控えめ)。 海老はプヨプヨで普通に美味しい。 ピーマンは、独特のケミカル・ノート(chemical note)のい香り立ちが強く、とってもフレッシュ(fresh)。 レンコンは、その厚さと食感が絶妙。シャクッという食感で、薄衣が映える。歯に伝わってくる感触が最高に気持ちいい。 きすは、フワッフワで最高に淡白で、薄衣と上品な丼タレとのシナジーがスパークする。 イカは肉厚で、歯の入りが滑らか。その軟らかい身は綺麗な味。 
ご飯は硬めに炊き上がっていて、しっかりと匂い立っている。(硬めのご飯は天丼向きだと思う。(蔵前いせやの方が、ご飯はワンランク上かな)) 薄衣の天麩羅は食べていてウキウキする。 味噌汁は赤味噌仕立てで、好きな香味がしっかり立っている。 丼タレ:凄く上品な甘じょっぱい丼タレは、香り立ち良く、味は軽やか。 薄衣と上品な丼タレのコンボに惚れた。





閑話休題


ハイ、またペプチドネタです。ペプチドの合成法はアミド化オンリー。素反応的トランスフォーメーションの面白さが最早皆無と言っていいかもしれません。

なので、ペプチド素人さん(オイラも素人さんですが)はこう思うかもしれません。「脱水縮合でアミド化繰り返してるだけでしょ」と。

確かにその通りなんですね。だけどペプチド合成の難しさっていうのは、その反応を10回、20回、30回、....50回、.....100回と繰り返して、収率良くタターゲット化合物を合成できますか?ってことなんだろうと思います。50回以上(50 mer)になると収率を気にするどころか、目的物がn.d.なんてザラらしいじゃないですか。仮に各ステップ90%の収率で反応が進行したとして、総収率は5%です。ペプチド鎖が伸長するにしたがって予測困難な高次構造の形成によって反応点が遮蔽されるにかもしれませんし、アミノ酸残基の側鎖の相互作用が反応を阻害したり、副反応を引き起こすのかもしれません。

とまあ、前置きはこれくらいにして、今回のお題は、"H-His-Pro-Xaa-"です。

ヒスチジンの側差のイミダゾールには触媒活性があり、ペプチドのN-末端がヒスチジンでその隣のアミノ酸がプロリン (H-His-Pro-Xaa-)だと、フラグメンテーションが起こり、His-Pro-diketopiperazineを形成つつHis-Proが欠損してしまうというAutodegradationが起こり得ます。


このような副反応が起こるのは、

 (1) プロリン残基がペプチドシーケンス内に存在することによって、His-Proアミド結合がシス配置が優勢となり、ヒスチジンのα-位のアミノ基の-Pro-Xaa-のアミドのカルボニル基への求核攻撃が容易になる。 

(2) ヒスチジンの側鎖のイミダゾールによる脱プロトン化によって、ヒスチジンのα-位のアミノ基の求核性が増す。 

からです。

ヒスチジン。危険なアミノ酸ですね。

以上、国内二流大出のテクニシャン(研究補助員)のスーパー初心者級ペプチドメモでした。


2021年1月3日日曜日

実験化学者のための還元的アミノ化入門 (1)

ちょっと苦手な渋谷で鳥料理を食べたときのメモです(増税前です)。

-鳥竹総本店memo-
住所:渋谷区道玄坂1-6-1 

-清酒 1合 (320 JPY+tax)- 
-REVIEW- 
冷やでいただく。けっこう旨い。 

-お通し (180 JPY+tax)- 
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW- 
鶏モツとコンニャクの煮物。 
あっさり滋味深の鶏と、適度な大きさのキュービック状に切り出されたコンニャクの食感が良くて旨いです。 






-煮こごり (500 JPY+tax)- 
-RATING- ★★★★☆ 
-REVIEW- 
鶏の煮こごりです。
鶏のいろんな部位と銀杏が入っている(自信ないけど鰻のキモも入ってるんじゃないかと思う)。で、鶏レバーが入っているのには驚いた。煮こごりにレバーとか初体験です。
煮こごりとしてはかなり野趣的な仕上がり。鰹節様の香味リッチ(rich)で甘みのある少し濃い目のお出汁で固められていて、中の具材のボディの強さとのバランスが取れている。トップ(top)に戴いた生姜も薬味として効果的に働いている。 
兎に角ボリューミーな煮こごりで、具材のセレクトが面白い。 

-鳥なべ (1,200 JPY+tax)- 
-RATING- ★★★★☆ 
-REVIEW- 
とりのモモ肉と胸肉を使ったすき焼き風のお鍋。 
具材は、モモ、ムネが各4枚と、お豆腐。シラタキ、エノキ、葱、白菜、椎茸、春菊。 
割り下が煮立ってきたら、鶏肉から投入していきます(春菊の香味が鍋全体に広がるのが嫌なので、春菊は入れなかったです)。 
胸肉は弾力に富み軟らかく、淡白な旨さ。 モモ肉は弾力があって深みのある味。大変満足できました。 

-チュウハイ (450 JPY+tax)- 
-REVIEW- 
甘くないシンプルなチュウハイ。炭酸は殆ど気が抜けてるだろって程に微弱。ちなみに、酎ハイ系は、焼酎と割りものは同割らしいです。 

-違う日のお通し (420 JPY???)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
茄子の煮浸し。甘めだけど、旨し。









-やきとり (塩) (270 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
ねぎまです(写真左)。
うなぎ串を使用していえう「大串やきとり」はジューシー(juicy)で、ダイナミックな食感が楽しくて、とっても美味しい。
(今回は"塩"で注文したけど、"たれ"は創業以来継ぎ足し続けているそうです。)

-とり肝 (塩) (270 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
こちらも大振りにカットされています(写真右)。
野趣的感じが綺麗(これは見事!)。外殻の張り、口の中で擦り崩れる感触、プリッとした軟らかさといった食感ミックスが素晴らしい。

-ラガービール 大瓶 (630 JPY)-
赤星です。

-煮込み (620 JPY)-
-RATING- ★★★
-REVIEW-
豚もつ(シロとスジらしい)の煮込み。
白味噌仕立てで、あっさりした優しい旨味がふんだん。それでいて、キリッと締まった味で美味しい。
もつはシロもスジもクセなく、旨さだけをしみじみ味わえる。それから、スジは繊維のほぐれる感じが心地よく、筋肉質な肉の味が堪らない。


閑話休題


ども、今日も実験、明日も実験、昨日も実験だった永遠の実験化学者(平社員)のコンキチです(現在は冬休み休養中です)。

さて、今回は還元的アミノ化のメモです。密かに、ボクが大学のラボに配属されて一番最初にやった反応が還元的アミノ化なんですよね。なので、還元的アミノ化に対してはなんとなくノスタルジックな気持ちになります、因みに、ロイカルト反応(Leuckart Reaction)っていう人名反応やりました。

ということで、還元的アミノ化のReview的論文を読んでみたのでメモしてみます。アセトキシボロハイ(NaBH(OAc)3)推しの文献です↓

Reductive Amination of Aldehydes and Ketones with Sodium Triacetoxyborohydride. Studies and Direct and Indirect Reductive Amination Procedures

J. Org. Chem., 1996, 61, 3849-3862.

かつて還元的アミノ化に使う還元剤はシアノボロハイ(NaBH3CN)推しだったそうです。シアノボロハイの特徴は次の通りです。

a) 比較的強い酸性溶液中で安定(〜pH 3)
b) pHにより選択性が変化する。pH 3〜4ではイミンよりもアルデヒドやケトンが優先的に還元される(高いpHだとこの反応は遅い)。pH 6〜8では、よりbasicなイミンが優先的にプロトン化されて、アルデヒドやケトンよりも速く還元される。
c) 芳香族ケトンや塩基性の弱いアミンでは反応が遅くsluggish(5 eq.のアミンを必要とすることもあるとか)。
d) cyanideのコンタミが懸念される。毒性が高く、workupでHCNやNaCNが発生する危険性有り。
e) 毒物なので管理が面倒。

シアノボロハイの最大の問題点はその毒性(無機シアン)だと思います。より毒性の低い試薬の探索という流れで還元的アミノ化用の代替試薬が探索されました。代替試薬としては、borane-pyridine, Ti(OiPr)4/NaBH3CN, borohydride exchanged resin, Zn/AcOH, NaBH4/Mg(ClO)4, Zn(BH4)2/ZnCl2, electrochemical reductive aminationなどがありますが、一言で言うと"イマイチ"のようです。

唯一、アセトキシボロハイ(NaBH(OAc)3)のみが使い勝手の良さと、シアノボロハイに比肩する性能を発揮したと言うわけです。で、アセトキシボロハイには、

a) ケトンよりもアルデヒドを選択的に還元する(β-ヒドロキシケトンは除く)。
b) 三つのアセトキシ基の立体効果と電子吸引性がB-H結合を安定化し、マイルドな還元特性を実現する。
c) 当然、シアノボロハイ(毒物)より低毒性

といった特性があり、シアノボロハイにとって替わる還元的アミノ化の還元剤へと上り詰めていきました。

アセトキシボロハイを使った還元的アミノ化のスタンダードな反応条件はこんな感じになります↓

a) 窒素雰囲気下(不活性ガス雰囲気下)、カルボニル化合物とアミン(1〜1.5 eq.)の混合物に、室温下、1.3〜1.6 eq.のNaBH(OAc)3を作用させる。
b) 反応促進のために1〜2 eq.の酢酸を添加する場合もあり(常に有効とは限らない)。
c) 反応溶媒は1,2-ジクロロエタン、THF、CH3CNが推奨で1,2-ジクロロエタン(DCE)がBEST。水やMeOHは非推奨。MeOH中ではカルボニル化合物の還元が速く、水中ではアセトキシボロハイが分解する(三類の禁水試薬だからね)。


そででは実際の反応ですが、ケトンの還元的アミノ化の特徴はこうです↓

a) 一般的に、1級脂肪族アミンは芳香族アミンや2級脂肪族アミンより反応が速い。
b) 環状2級アミン(モルホリン)は鎖状2級アミン(ジエチルアミン)より反応が速い。
c) 立体障害の大きいジイソプロピルアミンは反応しない(反応条件にもよるんでしょうが)。
d) アセタールやケタールは許容(反応しない)。
e) 小員環の脂肪族環状ケトン(シクロブタノンからシクロヘキサノン)が最も活性が高い。シクロブタノンは反応性が高すぎて、ベンジルアミンとの反応では過剰のアミンを用いてもmono-体とdicyclobutylbenzylamineの混合物を与える。
f) シクロオクタノンやシクロデカノンのような少し大きめの環状ケトンや、2-ヘプタノンのような脂肪族ケトンは幾分反応速度が遅い。
g) 反応性が低いケトンは、芳香族ケトン、エノン、嵩高いケトン
h) シッフ塩基形成が遅いと、ケトンの還元と競合する(そんなときは、ケトンを沢山つかったり、逐次投入すると収率が改善するかも)。


続いて、アルデヒドの還元的アミノ化の特徴です↓

a) アルデヒドの還元が望みの還元的アミノ化と競合する可能性があるが、前述のスタンダードな条件で、ほとんどのケースで還元的アミノ化が効率よく進行する。
b) (やはり)ジイソプロピルアミンのような嵩高いアミンを用いると、アルデヒドの還元が起こる。
c) (やっぱり)一級アミンとの反応では、ジアルキル化されたアミンを与えがち。
d) ホルムルデヒドとグルタルアルデヒドの水溶液を用いた場合、アセトキシボロハイを沢山使えば10 mmolスケールでは高収率(文章は4 eq.って書いてあったけっど、Tableには1.3-1.6 eq.って書いてある)。但し、大スケールでの保証はない。



ここまで基質としてカルボニル化合物について言及してきましたが、塩基性の弱いアミンを使ったときはどうなのかも気になるところです。

電子吸引性置換基を有する芳香族アミンの還元的アミノ化では、シアノボロハイはイマイチな結果に終わるようですが、アセトキシボロハイはかなり有望です。
一置換アニリン(p-nitro (pKa 1.02), p-carbethoxy, p-cyano, p-chloro (pKa 3.98), p-bromo)であればスタンダードコンディションで大体反応が進行します。

2-ニトロアニリン (pKa -0.29)や、2,4-ジクロロアニリン、2-アミノチアゾールは難しい基質ですが、反応条件をモディファイ(カルボニル化合物:1.5-2 eq., NaBH(OAc)3:2-3 eq., AcOH:2-5 eq.)すれば、なんとかなります(アルデヒドとの反応で60-96%)。

さらに、こういうの(スルホンアミド)もいけます↓

2,4-ジニトロアニリン (pKa -4.26)と2,4,6-トリクロロアニリンは反応性の低い難しい基質で、ベンズアルデヒドとの反応では、還元的アミノ化に先んじてアルデヒドの還元が進行してしまい目的物が全く得られません。それでも、過剰のアルデヒドとアセトキシボロハイを逐次投入していけば、そこそこの収率で目的物を取得することができます。

ところで、先に一級アミンを用いた場合にジアルキル化が問題となる場合があることを書いましたが、こういったケースでは小過剰のアミンを加えることで反応が改善することがあります。しかしながら、γ-アミノエステルやδ-アミノエステル、シクロブチルアミンには効果的ではありません。また、シンナムアルデヒドやヒドロシンナムアルデヒド、ある種の直鎖のアルデヒドを用いた場合にも起こりやすいです。

そして、ちょっとびっくりするのが、予めイミンを形成させてアルデヒドのない状態で還元しても、ジアルキル化体の副生がみられるということです。γ-およびδ-アミノエステルのケースでは下のスキームのような説明が可能です。
Synlett, 1994, 81-83.

なにはともあれ、著者らはジアルキル化問題を解決すべく、手始めにイミン形成について検討を行い、DCE, THF (THF-d8) MeOH (CD3OD), CDCl3の三種類の溶媒についてイミン形成速度を検討した結果、アルジミン形成ではMeOHがダントツに速く最強であることが分かりました(ケトンとのエナミン形成はMeOHが一番だけど、かなり遅い)。

(ジアルキル化が問題となる)アルデヒドの場合は、MeOH中でアルジミンを形成させて、そこにボロハイ(NaBH4)を突っ込むというStepwise One-Pot ProcedureでHigh YieldかつVery Short Reaction Timesで対応する二級アミンをGETできることが分かりました(5 examples, 83-90%)。


他方、ケトンの場合もStepwise One-Pot Procedureが有効なんですが、DCE中でエナミン形成させてアセトキシボロハイ(NaBH(OAc)3)で還元するのが良いです(2 examples)。


ハイ。ここまでをまとめますと、

還元的アミノ化のファーストチョイスはアセトキシボロハイ(NaBH(OAc)3)でキメッ。
ジアルキル化に悩まされるアルデヒドを使う場合は、MeOH中でアルジミン形成させて、普通のボロハイ(NaBH4)でキメッ。

ってことでヨロシク。

以上、二流大出のテクニシャン(研究補助員)の還元的アミノ化メモでした。

2021年1月1日金曜日

ファクトフルネス 2017

だいぶ前にフラミンゴを見ながらピラフを食べたときのメモです。

-シーフードレストラン メヒコ 守谷フラミンゴ館 memo-
住所:茨城県守谷市立沢988-1

-カニピラフ(むき身)レディースサイズ (増税前で1,490 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
ご飯はツヤツヤでほんのり醤油の香り。メイン具材のカニのむき身は、もの凄く濃密なカニミソフレーバーを発していて、滋味溢れる味わい。カニの身はハラハラと解けて、心地よい食感を口腔内に残していく。
文句なく旨いね。



ピラプは文句なしに旨かったけど、それ以上にフラミンゴが凄かったです↓

フラミンゴ、楽しそうです。


閑話休題


2017年に邦訳本が発売された、(当時)流行っているぜー「FACTFULNESS」を読了したので、軽くメモってみたいと思います。


タイトルのファクトフルネス (factfulness)は、「事実に基づいて世界の現状を正しく見ること」という意味で、本書から「お前ら全然現実を分かってないから」ということを激しく突きつけられます。

冒頭、世界の情勢を概観する13のクイズ出題されるのですが、オイラは一個しか当たんなかったですね(シクシク涙.....orz)。そして、このクイズはボクだけじゃなくって、その筋の専門家といわれる知性の高い人たちも力強く間違えているのです。

なぜ賢いはずの人が目の前にある事実を間違って解釈する原因を一言でいうと、人は世界をドラマチックにみてしまうからだと本書で述べられています。この人の性質は脳の機能に原因があり、変える(行動変容する)のは容易ではありません。
(だだの星の集合を星座とかいって、無理筋の意味ずけするくらいだし)

それでは、ボク的な琴線に触れた箇所を独断と偏見によってピックアップしてメモっていきます↓

Factfulness 1   世界の人口の75%は中所得の国に住んでいる

2017年現在、世界の人口の75%は中所得の国に住んでいます。日本みたいな(一応)先進国に住んでいると、多くの非先進国は貧困に喘いでいると思いがちですが、そんなことは全くありません。

世界のおよそ70億人の人口(2017年現在)は、次の4つの所得レベルに分けることができます。

レベル1:1日2ドルで生活→10億人 (14.3%) 貧困層
レベル2:1日2-8ドルで生活→30億人 (42.9%) ここから中所得
レベル3:1日8-32ドルで生活→20億人 (28.6%)
レベル4:1日32ドル以上で生活→10億人 (14.3%)

レベル2の生活って貧乏人なんじゃねぇのって思う人もいるかもしれませんが、1950年代の西欧と同程度の生活水準なんだそうです。日本は(一応)先進国で世界的には裕福国家(レベル4)なので、レベル2の生活を相対的に貧乏人だと感じるかもしれませが、世界的には貧困ではないのです。

人には分断本能というグループを二つに分けなければ気が済まない本能があるそうです(二項対立)。なので、「金持ち」対「貧乏」という対立した構図はとても好まれるのでしょう。そして、裕福国家の住人は、後進国の貧乏人を慮ってカッケーという、優越感(見下し)と思いやりの心(但し、慮るだけ)に浸って自己陶酔しているんじゃないでしょうか。

人が二項対立させることが大好きだということは、日本人なら腑に落ちるんじゃないでしょうか。だって、勧善懲悪の善悪二元論時代劇が大好きじゃないですか。水戸黄門とか大岡越前、遠山の金さん、鬼平犯科帳とか、隠密同心とか、旗本退屈男とか、魔界転生とか、陽炎の辻とか.....etc. (ボクは大好きです)

みんな「金持ち対貧乏」、「良いか悪いか」。「正義か悪か」、「自国か他国か」といった対比がだぁーい好きなんです。

ところで、日本国内でも貧困問題がありますが、その「貧困」は「極度の貧困」ではなく「相対的貧困」です。解決できればした方が良いと思いますが、喫緊の課題ではないのでしょう。

こういった二項対立の罠に陥らないために、三つの注意すべきポイントがあると著者らは説きます。

「平均の比較」、「極端な数字の比較」、「上からの景色(上から目線)」の三つです。

さらにこうも述べています↓

統計を読み解く際には、「数値の差が10%程度かそれ以下である場合、その差を基になんらかの結論を出すことは慎重になるべき」であると。


Factfulness 2   世界の平均寿命はおよそ70歳

世界の平均寿命は72歳のようです(2017年現在)。ついでに、平均寿命が50歳を下回る国はないそうです。因みに、我が国の平均寿命は84.1歳(2017年)でしょうか。アフリカ大陸は他の大陸よりも平均寿命が短いですが、それでも65歳です。さらに、チェニジア、アルジェリア、モロッコ、リビア、エジプトのアフリカ北部沿岸に位置する5カ国の平均寿命は世界平均の72歳を上回っており、1970年のスウェーデンと同水準であるといいます。

上から目線の先進国の住人からすれば納得いかないデータかもしれません。もし納得できないのであれば、それは「ネガティブ本能」に基づいた「世界はどんどん悪くなっている思い込み」に取り憑かれているからかもしれません。

「ネガティブ本能」とは、物事のポジティブな面よりもネガティブな面に気付きやすいという本能で、この本能を刺激する要因があるといいます。

(1) あやふやな過去の記憶 (思い出は美化される)
(2) ジャーナリストや活動家による偏った報道
(3) 状況がまだ悪いときに、「以前に比べて良くなっている」と言いづらい空気

の三つです。

(1)は年寄りの懐古趣味と割り切ればオッケー。(2)はインターネットの普及によってジャーナリズムが嘘つきだっていうことが周知されてきています。(3)は空気を読まない力を身につけましょう。


Factfulness 3   2100年の子供の数は今と変わらない

2100年。世界の人口は110億人に達すると推計されています(国連調べ)。
人口爆発でヤヴァイィィィィィって思うかもだけど、そんなことはありません。人口爆発論者は直近の人口増のトレンドに対して安着に直線性(直線本能)を当てはめただけの愚か者なのです。例えば、人間の身長は成長期において直線的に増加しますが、それが終われば飽和して直線性は完全に失われます。人口問題もそれと同様だということです。

人口爆発の唯一の要因は人口の増加なわけで、人口が増加するためにはインプットが必要です。すなわち、子供が沢山生まれることが必要条件です。したがって、人口爆発を食い止めるのに最も効果的なのは、これ以上(のペースで)子供を増やさないことです。そして、すでに子供の数は横ばいになっています。

15歳未満の子供は、現在(2017年)世界に約20億人おり、国連の予測によると、2100年の子供の数は今と変わらず20億人だそうです。

そして、2100年の世界の総人口は40億人増えると推計されていますが、この期間に人口が増加するのは大人(15歳から74歳)が増えるからです。

それでは、以下に2015年から2075年に至る人口の推移(推計)をみてみましょう↓
(Download Gapminder’s slides, free to modify and use in any way you like!って書いてあったんで、好きに使わせてもらってます)

上のグラフなんですが、書籍「ファクトフルネス」の元ネタのWeb Siteの資料で、人型の絵が一つ当たりで人口10億人を示しています。

このグラフでは、子供(0-15歳)の人口は定常的に20億人であり、それがそのまま上の世代へとスライドしていくことが示されています。2030年に出現する10億人の大人(30-45歳)は、2015年に子供か若者だった人たちです。2060年にはどの世代も人口20億人になり、人口は殆ど変わらなくなります。2100年には世界の平均寿命が11年ほど延びて75歳以上の後期高齢者が10億人ほど増えて人口110億人に達します。これがどういうことかというと、シンプルに世界的に医療が充実して人が死ななくなったことを意味しています。2015年から2100年にかけて増えるであろう40億人のうち、30億人分は2015-2045年の子供世代が歳をとって大人になった分なのです。

ここでみなさんは疑問に思いませんか。なぜ0ー15歳の子供人口が定常的に20億人に抑えられて推移(飽和)するのかと。それは、貧困から抜け出した人々(数十億人?)が過分に子供をつくる必要がなくなったのです。すなわち、

a) (豊かになったので)もう、家庭の小さな農園で、たくさんの子供を働かせなくてもいい(経済的に豊かになったことで、労働力として子供が必要なくなった)
b) (医療水準の向上により)病気で亡くなる子供の分だけ、多めに子供をつくらなくていい

ということです。

さらに、親は子供に貧しい思いはさせたくないと考え、(高い収入の見込める)もっと良い教育を受けさせようと考えるようになります。良い教育を受けさせるのにはお金がかかります。教育に係る経済的な問題を手っ取り早く解決する方法は子供の数を減らすことです。

これらの要因に加えて、避妊具と性教育の普及によって家族計画が捗ります。

以上をまとめると、子供の死亡率が下がり、児童労働が必要なくなり、女性が教育を受け避妊について学び、避妊具を入手できるようになれば、国や文化にかかわらず、男性も女性も子供の数を減らし、そのぶん子供に良い教育を受けさせたいと考えるようになるということです。

要は、豊かになると人口増加を止まって飽和するのです。

× 「貧しい子供を助けると、人口はひたすら増え続ける」
○ 「貧しい子供を助けないと、人口はひたすら増え続けす」
です。

いま多くの親たちは、自らの判断で子供の数を減らしており、その傾向は世界中で見られています。そして、子供の数が減る前に必ず子供の死亡率も下がっています。

豊かな社会において少子高齢化は必然であり、その大きな流れに対して幾ばくかの税金を投じて抗うのは愚の骨頂と思います。そんなことより、教育(国公立大学)に投資してイノベーション人材や高度な技能を有する人材(高生産性・高賃金人材)を育成する方がよっぽどいいと思いますけどね(米百俵です)。そして、産業革命的な労働生産性の向上をはかるべきとボクは考えます。


Factfulness 4   子供の生存率の向上は病院外にある

レベル1やレベル2の国では、病院のベッドで医者が子供の命を救うことは比較的少ないといいます。わたし達レベル4の国(先進国)とは異なり、医療物資が脆弱で、その装備では病院を頼るまでに悪化した症状には対処できないというなんとも残念な状況なのです。
では、何がレベル1やレベル2の国で子供の生存率向上に寄与するかというと、それは「ベッド数」や「医者の数」ではなく、「地域の看護師や助産師」と「母親が読み書きできること」です。

具体的には、
(1) 訓練を受けた助産師が、母親を妊娠中から出産時までサポートする。
(2) 訓練を受けた看護師が、子供に予防接種を行う。
(3) 親たちは子供を寒さから守り、清潔に保つ。
(4) 子供が食べ物に困ることもない。
(5) 周りにいる人もきちんと手を洗う。
(6) 母親は、薬のビンに書かれている注意書きを読むことができる。
といった施策が重要で、特に母親の(教育水準の)影響が大きいといいます。

これらの施策がしっかりオペレートされることで、子供が重い病気にかからなくなり、生存率が向上するのです。

すなわち、貧困国に対する医療環境の改善で重要なのは、ハコモノではなく教育(初等教育、看護師教育)と予防接種なのです。

凋落傾向にあるアジアの某G7メンバー国にも見習って欲しいです。


Factfulness 5   EUは難民に厳しい

2015年、救命ボートでヨーロッパに向かおうとした4000人の(シリア)難民が、地中海で命を落としました。因みに、難民達が密輸業者に支払った金額は1,000ユーロ(ざっくり13万円前後)/人だったといいます。

悪徳密輸業者が"犯人"であるという結論が導かれそうですが、果たしてそうでしょうか?

まず、そんなに金持ってるのに、難民達はなぜもっと安全な飛行機やフェリーでヨーロッパに向かわなかったのだろうかという疑問がうかんできます。
EU加盟国はすべてジュネーブ条約に署名していて、条約に従えば、内戦が続くシリアからの難民には保護を求める権利があるはずです。それなのに、わざわざ陸路でリビアやトルコまで移動し、ボロボロのゴムボートで海を超える必要があったのでしょうか?
ちなみに、「トルコ-スウェーデン」、「リビア-ロンドン」の飛行機代は50ユーロもしません。

はい。理由は簡単で、難民たちはチェックイン窓口で、航空会社のスタッフに搭乗を拒否されたからです。

なんと、非道な犯人は密輸業者ではなく航空会社だったのでしょうか?

まあ、話はそんなに単純ではありません。2001年のEU指令が不法移民に対抗する手段を加盟国に与えているんですが、そこでは、航空会社やフェリー会社は入国許可書類のない人をヨーロッパに運び込んだ場合、母国に送り返す費用を全て負担することが定められていたのです。

ジュネーブ条約に基づいて保護を求める難民は例外とされていて、上記指令が適用されるのは不法移民だけです。でも、航空会社の搭乗窓口のスタッフがどうやったら一瞬で相手が真の難民か不法難民かを見分けることができるでしょうか?
ちなみに、大使館の難民審査には少なくと8カ月はかかるといいます。

EU指令は人道的で理にかなっているように見えますが、運用面がダメダメという好例です(米国のオバマケアみたいです see https://toyokeizai.net/articles/-/161060)。

(a) 費用負担リスクを回避するために、航空会社は難民を誰も搭乗させない。
(b) 難民がビザを取得するのがほぼ不可能=トルコやリビア大使館には、難民申請を処理するだけのリソース(人手)がない

ということです。

だからといって、どうして安全性を欠くゴムボート(救命ボート)を使ったのでしょうか?
これにも合理的な理由があります。
EUの方針では、到着したボートは没収されてしまいます。これは、ボートは1回しか使えないことを意味します。密輸業者にはちゃんとした船舶を使い捨てするほどの余裕はないので、まともな船を準備したくてもできないのです。

本書によると、ヨーロパ政府はジュネーブ条約に従って、厳しい内戦で引き裂かれた国の難民からの申請を受け入れ、保護していると極めて立派なことを宣っているそうですが、現実はお寒いかぎりのようです。

はっきり言って、EUの移民政策はジュネーブ条約を骨抜きにし、実際には密輸業者が支配する交通市場を生み出したのです。

このニュースはボクも記憶しているけど、当時、密輸業者は最低な悪の枢軸だと思って思考停止していました。でもそれは間違った認識で、利益追及のためとはいえ、生き残るための交通手段がシャットアウトされた難民たちに、粗悪とはいえ手段を用意した密輸業者は天使だったのかもしれないと認識を改めました。

報道機関はジャーナリズムとかいうわけわかんない社会正義を振りかざしてるくせに、センセーショナルな難民の大量死しか報道せず、その解決策には全く興味ないように思えます。

本書の著者らは、この現実が見えないとしたら思考停止しているか、相当ぼんやりしているに違いないと述べていますが、ボクは全く興味ないんだろうと思いました。彼ら彼女らの関心はニュース・バリューにしかないのだと。

     
Factfulness 6   ローマ教皇や中国共産党は無力である

避妊を禁ずる宗教は多いそうです。なので、避妊を禁ずる宗教を信仰している信仰心の厚い女性は子供の数が多いと予想できるような気がしますが、そんなことは全くないようです。
現実には、宗教と女性ひとりあたりの子供の数にはそれほど関連がありません。むしろ、子供の数と強く相関するのは前述した通り所得です。
どの宗教であっても、レベル1の極度の貧困層で子供の数が多いです。二大宗教で較べてみると、
   イスラム教:3.1人
   キリスト教:2.7人
で、たいした差はありません。

ローマ教皇は数代に渡って避妊具の使用をはっきり批判しているといいますが、カトリックが多数派の国の避妊具利用率が60%であるのに対して、その他の国の利用率は58%とだそうです。ローマ教皇の威光も、避妊に対してはあまり及んでいないようです。

これと同様なことがアジアの赤い某超大国様にも言えるようです。彼の国ではひとりっ子政策による人口抑制を試みてきましたが、それほど出生率に影響を及ぼしていない可能性が高いようです。
女性ひとりあたりの子供の数が6人から3人へと大幅に減ったのは、ひとりっ子政策の始まる前の10年間であり、ひとりっ子政策が実行された1979年から2015年の36年間に、女性ひとりあたりの子供の数が1.5人を下回ったことはなかったそうです(タイや韓国は1.5人を下回り、香港は1人を下回っています)。

やっぱ、出生率抑制に効くのは、豊かさのようです


Factfulness 7   中国様は悪くなぁ〜

環境問題の文脈で二酸化炭素(CO2)の排出量が俎上に載せられることが多いです。そして、国別排出量では、我らが赤いアジアの某超大国様がダントツで一番です。


でも、赤い超大国様は人口の多さもダントツです。人が多ければ経済活動が増えるので、それに伴って二酸化炭素の排出量が増えても仕方ありません。なので、ひとりあたりの二酸化炭素排出量を比較する方がより公平な気がします。


はい、ひとりあたりの二酸化炭素排出量のデータをみると、全く違った景色が見えてきます。
中国様の場合、二酸化炭素排出によって得られた便益の国民への分配が全然フラットじゃないかもしれませんが、国家というフレームワークでみた場合、中国様はそこそこ優秀な部類に入っていると言わざるを得ません。なので、中国様は悪くないのです(データが間違ってたらすみません)。むしろヤヴァいのは、我が国の親分(宗主国)である大アメリカ合衆国様です。


Factfullness 8   世界の中心はアフリカに移る

国連の今世紀末の人口予想です↓

アメリカ大陸:ほとんど人口が変わらない
ヨーロッパ大陸:ほとんど人口が変わらない
アフリカ大陸:約30億人ほど人口が増える
アジア大陸:約10億人ほど人口が増える

この予測の確度が高ければ、次の20年間で世界市場の中心は大西洋周辺からインド洋周辺にシフトするだろうというこです。数は力なりですから。ターゲットがマスマーケットなら、そうなるんだろうと思います。


Final Factfullness   なぜ賢い人もファクトフルネスを見誤るのか?

この本では、人が目の前にある事実を間違って解釈する原因は脳の機能(本能)にあるとし、残念な本能には、分断本能、ネガティブ本能、直線本能、恐怖本能、過大視本能、パターン化本能、宿命本能、単純化本能、犯人捜し本能、焦り本能などがあり、実例を挙げて例証しています。

でも、もっと需要なのは

社会科学では基礎の基礎になる知識でさえすぐに賞味期限が切れるので、積極的な知識のアップデートが必要である

ということなんだろうと思います(これも本書にサラッと書いてあった)。

正直、ボクの「地理」の知識は中学で止まっています。恥ずかしながら、最近までアメリカの人口は二億人程度だと思っていました(実際は3億3千万人くらいいる)。
社会を正しく解釈するためには、まず正しいインプットが必要だと痛感しました。でも、みんな忙しいよね。なので少なくとも、焦って(焦り本能)安直な結論にとびつくことは控えようと思いました。

以上、国内二流大出のテクニシャン(研究補助員)の"ファクトフルネス"メモでした。