2009年10月24日土曜日

労働方程式

先日、電車でこんなはなしを小耳にはさみみました↓

「(友人が勤務するIT企業では)社長が帰るまで帰れない雰囲気で、(帰るのが)遅いらしいですよ。この間なんか00:09分に業者からメールが着たらしいですよ」

的なことを話していました(かなりうろ覚え)。

っていうか、今時まだこんな会社があるんですね笑えます。

ところで、非クリエイティブ系の仕事において、労働量は次式で定義されると思います↓


労働量 = 労働時間 × 労働密度


(クリエイティブ系の仕事の場合は「労働成果 = Σ(ヒラメキ × インパクト)」と思います)

そして、労働密度は時間の経過とともに低下します。すなわち、長時間労働は効率が良くない。ついでに、時間外労働(残業)は、(裁量労働や管理職でなければ)割増賃金を支払わなければならず、費用対効果はさらの低下します。

なので、長時間労働というのは、決して褒められたものではないはずですが、古い体質の企業では、未だに長時間労働を美徳(?)とする風潮があるようです。人事考課の席で、「○○君は、残業してよく頑張ってるから」みたいなことを平気で宣う考課者(上司)がいるからね。

コンキチに言わせれば、残業大好き星人は、ただの金食い虫ですよ。ちんたら仕事して、給料割増しされて、考課のとき、古いタイプの上司に「沢山残業してがんばりました」とか言って、報酬の二重取りを狙っているんだから(すでに割増し(法定で25%)の残業代を既にGETしている上、それをネタにして査定up↑を狙っている)。

精神論ばかり振りかざす輩の未来には、何が待ち受けているのか?しっかりウォッチングしていきたいと思う二流大出のなんちゃって研究員なのでした。

看板に偽りあり

自分でいうのもなんですが、コンキチはけっこう読書してる方だと思います。たまに大人の娯楽誌(東洋経済、ダイヤモンド、プレジデント)も読んだり増します。

で、いつだったかそういった類の大人の娯楽誌に

一流社員が読む本 二流が好む本 (プレジデント)
一流の読書術vs.二流の読書術 (THE 21)

とかいう特集がありましたが、これって看板に大いに偽りありなのです。

特集の内容は、(多分、編集者が一流にカテゴライズしている)著名人が読んでいる本とかおすすめの本を紹介して終わり。

表立って二流に分類されるひとが読む本なんていうのは、全く紹介されていません。「二流が好む本」や「二流の読書術」は、「一流社員が読む本」や「一流の読書術」とのバランスを図るためだけの見せ球のフレーズでしかないのです。「どの本が二流本の烙印を押されているのか?」という点に興味があったコンキチとしてはかなりガッカリな内容でした。

まあ、この本こそが二流人の好む本ですなんて言われたら、著者や出版社から大クレームがきそうだし、業界の仁義としてそんなことはできないでしょう。



アッ、わかった。記事で紹介されている著名人の中で、誰が一流でだれが二流か(場合にとっては誰が三流か?)を読者自身に推理させ、隠された二流本(場合によっては三流本)を見つけださせるという推理ゲームになっているんだ。

そんな気がする二流大出の自称「読書好き」のつぶやきでした。

2009年10月17日土曜日

JR東:コングロマリット・プレミアムの真実 (2)

JR東は本業の鉄道以外に次の領域に多角化しています↓(分類は独断と偏見による)

a) 小売り
b) 食品•外食
c) 金融
b) 広告
c) ホテル
d) 不動産

鉄道業を単に人を輸送すること捉えると、上記多角化領域は本業とはなんの関わりもないように感じられます。しかしながら、JRの持つ首都圏のキー駅に人を誘導するという切り口から眺めると、途端に強い関連性と補完関係が見えてきます。
JR東の首都圏のキー駅は、莫大なトラフィックを集めることができ、かつかなりのスペースを有しています。ところで、(飲食店とかも含む)小売業では、その業績と来客数が密接に関わっている可能性が高いと直感的に考えられます。で、首都圏キー駅は集客する必要が皆無と言えるほどの莫大なトラフィックを抱えています。はっきり言って、なんら付加的な努力をしなくても、既にそこに大勢の顧客がいるのです。しかも、そこそこの(余裕)スペースがある。となれば、(鉄道以外に)何か商売しない手はありません。
鉄道によって集客した客を、小売りスペースや飲食スペース(エキナカ)に囲い込まない手はありません。この改札を出なくてもショッピングできるという利便性は、そのスペースの魅力が増せば増すほど指数関数的に増すと思います。だって、欲しいものがすぐそこにあるという状態になるのだから。

また、Suica(電子マネー)は少額決済を得意としていると思うんだけど、これはクレジットカードの弱点を補完していると思います。そして、SuicaはJRという巨大鉄道インフラの公式通貨という圧倒的有利な地位を利用して多くの顧客の懐に収まっていると思います。さらに、合理的な人はSuicaなどの電子マネーとクレジット機能を一枚のカードとして保有したがるでしょう。だって、そうすることで利便性が圧倒的に高まるのだから。それから、ルミネカードとかはルミネへの顧客誘導に有効と思います。

それから、ホテル事業の展開も合理性があると思います。すなわち、鉄道による輸送を「旅」(ビジネスユースも含む)という文脈で考えると、駅からほど近いところにあるホテルの利便性はけっこう高いと思います。

あと、広告スペースの多様化には舌を巻きますね。かつて(もう随分前)は、駅構内、ホーム、電車の中吊りやまど上がいいところだったような気がするのだけれど、現在は、つり革広告からADトレイン(1編成の車両を1社独占)までとその多様性を増しています。莫大な首都圏の昼間人口(1千万超)に効率的にリーチできるんだから、そりゃあ活用しない手はないでしょう。


はっきり言って、JR東の多角化領域は「莫大なトラフィックの有効活用」ということに収斂しているようにコンキチには思われます。これこそがJR東のコア•コンピタンスと思いますね。


一方、多悪化企業はどうかということで、その一例として日立製作所を取り上げてみましょう。ちなみん、日立の事業領域とそれらの売上高と営業利益はこんな感じです(2009年3月期)↓

事業領域売上高営業利益
情報通信システム25,944億1,766億
電子でバイス11,510億273億
電力•産業システム33,105億242億
デジタルメディア•民生機器12,165億▲1,055億
高機能材料15,568億277億
物流及びサービス10,899億230億
金融サービス4,120億102億

で結局7,378億の赤字(3期連続)です。

で、各事業領域の具体的な製品は、

a) 情報通信システム/ システムインテグレーヨン、アウトソーシング、ソフトウェア、ハードディスクドライブ、ディスクアレイ装置、サーバ、汎用コンピュータ、通信機器、ATM
b) 電子デバイス/ 液晶ディスプレイ、半導体製造装置、計測、分析装置、医療機器、半導体
c) 電力•産業システム/ 原子力発電機器、火力発電機器、水力発電機器、産業用機械•プラント、自動車機器、建設機器、エレベーター、エスカレーター、鉄道車両、電動工具
d) デジタルメディア•民生機器/ 光ディスクドライブ、プラズマテレビ、液晶テレビ、液晶プロジェクター、携帯電話、ルームエアコン、冷蔵庫、洗濯機、情報記録媒体、電池、業務用空調機器
e) 高機能材料/ 電線•ケーブル、伸銅品、半導体用材料、配線板•関連材料、有機•無機化学材料、合成樹脂加工品、ディスプレイ用材料、高級特殊鋼、磁性材料•部品、高級鋳物部品
f) 物流及びサービス/ 電機•電子機器の販売、システム物流、不動産の管理•売買•賃貸
g) 金融サービス/ リース、ローン、生命•損害保険代理業

強烈に多角化していて、同一分類内においても、全然関係ないだろっていうものが結構目白押しな気がします。少なくとも家電事業からは完全撤退したいな、コンキチは。まあでも、事業縮小って言っても、しがらみ(雇用)があるからそう簡単ではないんでしょうが、マチュアな市場で、関連性の薄い事業に多悪化しといてコングロマリット•プレミアムはないと思います。
see
http://researcher-station.blogspot.jp/2009/01/2_31.html
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20051215/226336/

よく多角化戦略のメリットとして、事業ポートフォリオを分散させることによって、事業リスクを回避する的なことが書かれていると思いますが、それは選択と集中によりリソースを結集させている競合他社の存在を忘れた戯言と思いますね。


つづく

2009年10月11日日曜日

JR東:コングロマリット・プレミアムの真実 (1)

コンキチの息子が久しぶりに買った週刊ダイヤモンドに夢中です。

というのも、特集記事が↓


知られざるコングロマリット JRの秘密


で、プラレールの記事に食いついているというわけです。


閑話休題


この特集記事では、JR各社の収益力の比較と、戦略、多角化への動きをまとめたものです。旧国鉄から分割民営化されたJRは、「東」「東海」「西」「北海道」「四国」「九州」「貨物」の7社があり、各社の特徴はこんな感じのようです↓

a) 「東」: 圧倒的なトラフィック。巨大な鉄道インフラを基盤として、多角化展開。
b) 「東海」: 本業に集中。ドル箱の新幹線事業に特化。リニア中央新幹線構想。
c) 「西」: 安全と信頼回復が至上命題のようです。
d) 「北海道」: DMV(鉄道車両の1/5のコスト)開発。北海道新幹線開通による観光客期待。一度も営業黒字を出したことがない。
e) 「四国」: 高速道路無料化は致命的。自助努力の域を超えている。と語る社長。一度も営業黒字を出したことがない。
f) 「九州」: 2004年から営業利益黒転。本業は営業赤字も、非運輸事業好調。上場への道。
g) 「貨物」:厳しい経営。モーダルシフトに期待。

で、コンキチが思ったのは、JR東は別格ということ。前にもブログで書いたけど、圧倒的なトラフィックとインフラは、はっきり言って模倣不可能。そして、その周辺領域に多角化しているんだけど、個人的にJR東のそれは多角化のお手本と思います。
see http://researcher-station.blogspot.jp/2009/09/blog-post_4412.html

多角化の失敗(多悪化)企業の代表例としては、ソニーや日立製作所が挙げられると思います。で、多悪化企業とJR東とはどこが違うのか?なんてことをしばらく妄想しようかと思います。


つづく.....

2009年10月10日土曜日

チェイング

大人の娯楽雑「プレジデント」の掲載記事をまとめた「時間とムダの科学
」という本の大前研一の章を読みました(お金がもったいないので図書館で借りた)。


かつて若くして経営学のグルとなった大前氏も、もはやその後光の威光も大分薄らぎ、かなり俗っぽくなってしまった感がありますが、その異彩はまだ消滅したわけではないとは思います。

で、人生密度を大前氏の執筆した『二倍にする「時間リストラ法」』という記事を読んだんですが、はっき言って、かなり俗っぽいことが書かれてあるとコンキチは思いましたが、その中にあって一握の異彩を放つフレーズを発見したのでメモします↓

人間が変わる方法は三つしかない。
一つは時間配分を変える、
二番目は住む場所を変える、
三番目は付き合う人えを変える。
この三つの要素でしか人間は変わらない。もっとも無意味なのは「決意を新たにする」ことだ。


コンキチは非常に共感を覚えます。特に、付き合う人を変えることのインパクトは身を以て体験しました。実際、腐りかけていた自分の心が再生したからね(育ちの悪さまでは改善されなかったが.....)。

住む場所を変えてチェンジした記憶はあんまりないけど、時間配分を変えることは重要と思いますね。これは、習慣を変えるっていうことと同義です。そして、「決意を新たにする」ことの対極にあると思います。習慣化することで、継続性が誘起され、ゆっくりと無理無く自然と変わっていくのだろうと思います(どっかのコンサルの人も、習慣が人格を形成していく的なことを言っていたと思います)。

自分を変えたいと思っている人は、一考してみても良いのではないかと思います(ただし、必ずしも良い方にチェンジするとは限りませんが)。

2009年10月4日日曜日

4th Quadrant

ブラック・スワン」を読了しました↓











先日コンキチが読んだ「まぐれ」の著者、NNTの本です。
see http://researcher-station.blogspot.com/2009/08/cygnus-atratus.html

上下2巻で、やや冗長な趣もなきにしもあらずですが、秀逸な書籍と思いました。っていうか、(まあ、この本は著者曰くエッセイなのだけれど)、一般的に学問の世界では、自身の唱える仮説の有効性(汎用性)をアピールするために、数多くの事象において、その説をサポートする事実を例証しなければならないと思います。なので、やや冗長と感じる部分は、著者の良心なのだと割り切って我慢して読みましょう。

ちょっと脱線しますが、先日、とある人が本を読んでいて、とある頁の見出しがコンキチの目に飛び込んできました。で、その頁の見出しなんですが↓


ひとつのことを全てのことのように「一般化」して表現する


なんていう非常におバカで非科学的なタイトルでした。コンキチは、こういった軽薄な本ではなく、多少冗長でも密度の高い本を読むことをお勧めします。


閑話休題


以下、コンキチが気になったことをメモします↓


a) 物言わぬ証拠の問題
この非常に興味深いテーマについて、上巻で1章(第8章)費やされています。
例えば、「溺れる信者の話」。神に祈りを捧げる敬虔な信者達が、船で難破したが生き残ったとしよう。で、彼らは神に祈れば難破しても生き延びられると語るかもしれない。しかし、溺れ死んだ信者はそれとは真逆の経験を吹聴することはできないのだ。
あるいは、「フェニキア人の文化について」。フェニキア人はアルファベットを発明したと考えられているのに、文学作品はあまり書かなかったという話がかつてあったらしいです。で、文化性が俗物チックで「商業民族」なんてあげつらう人もいたそうです。しかしながら、フェニキア人の時代、彼らはけっこういろいろ書いていたらしいのですが、いたみ易いパピルスに書いていたため、微生物によって分解され原稿の大半が失われてしまっただけと言います。
そして極めつけは、「ハリケーン•カトリーナの話」。ハリケーン•カトリーナの被害者達を救うのに、政治家が公金(税金)を投じた。ところで、ハリケーン•カトリーナで死んだ人よりも、ガンで死んでいる人の方が多いという。税金を投入するとうことは、ガン患者が生きながらえるため(の研究)に使われるはずの資金が奪われたことになるかもしれない。ガン患者はカトリーナの被害者のようにテレビに露出することもなく、人々の注意も向けられない。そんな彼らを死にかりたてる物言わぬ犯罪が起きているという。

b) 情報をろ過する
<引用開始>
経験上の現実について得る情報が詳しくなればなるほど、目にするノイズ(つまり逸話)も多くなり、それを情報だと勘違いしやすくなる。私たちが目立つものに惑わされるのを思い出そう。週刊誌を読むより、ラジオで毎時のニュースを聞くほうがずっとたちが悪い。間隔が長いほうが少しは情報をろ過できるからだ。
<引用終了>

c) ジャイアン
「(政治と経済の)専門家」の一般的な欠陥: 自分がたまたま当たったときは、自分はよくわかっているからだ、自分には能力があるからだと言う。自分が間違っていたときは、異常なことが起こったからだと言って状況のせいにするか、もっと悪くすると、自分が間違っていたことさえわからずに、また講釈をたれてはしたり顔をする。自分がちゃんとわかってなかったんだとは、なかなか認めない。でも、こういう持っていき方は、私たちのありとあらゆる営みに現れる。私たちの中の何かが、自尊心を守るように働いているのだ。」だそうです。まるでジャイアンみたいだと思いませんか?

d) 4th Quadrant

不確実性には次の四つがあるとNNTは考えています↓

1st/ 弱い不確実性•単純な結果
2nd/ 弱い不確実性•複雑な結果
3rd/ 強い不確実性•単純な結果
4th/ 強い不確実性•複雑な結果

金融や政治、経済といった社会科学の世界に黒い白鳥(4th quadrant)が潜んでいるのです。


以上、硬派で軟派な良書、「ブラック・スワン」の感想でした。

2009年10月3日土曜日

大学の役割

ライフデザイン学科
マス•コミュニケーション学科
情報文化学科
未来創造学部(なんでもあり?)
マンガ学部
.....
.....
.....
etc. etc. etc.

こういうのって最高学府「The 大学」で学ぶべきことなのだろうか?

カタカナとか、耳目を魅きそうな奇抜な名称をつければ人が集まると思ってるのだろうか?就職力とか楽しげなキャンパスライフを全面に押し出したマーケティングには正直、辟易します。それからAO入試っていうへんてこりんなシステムなんか大活用してるあたりがえげつないですね(はっきり言って、推薦系の枠はいらない)。

コンキチが受験生だったころ(1993年)にはそんな商魂丸出しの大学は記憶になかったが、品が全く感じられなくて凄いね


こうしたコースを専攻した学生は、社会に出てどんなことをやっているのだろうか?
っていうか、どんなことを学校で学んでるの?

コンキチが通勤に使っている鉄道路線にも大学(の体裁を為している)の広告が掲載されているんだけど、その一つにこんなコピーが↓


(モラトリアムな)自分史がはじまる
(正社員への)レールなんてない



進行中の少子化により、明らかに大学進学者のパイはもっと減る。淘汰されていく学校とはどんな学校なのだろうか?それは存在価値のないモラトリアムにためだけにある大学なんだろうれど。

コンキチは、あまり賢くない大学しか卒業していないんで、そう偉そうなことは言えませんが、大学って研究機関であるべきと思いますね。昼夜を惜しんで、もがきながら研究しなければならないのだ。決して、モラトリアムの場であってはならない。

自分史とかレールとか、そんな自分探しチックなことをやってる場合ではないと思います。しこたま勉強して、研究するところ。それが大学だと思うな。これは、学生時代あまり勉強しなかった自分が社会から得た教訓です。

とりあえず、受験生のみなさんは、将来自分の母校がなくなってしまうような大学は選択しない方が、精神衛生上よろしいかと思います。