2008年4月28日月曜日

道理のない世界

昨日の山口2区補選、自民党が負けましたね

それにつけても、ここ1年程の自民党の空気の読めなさ加減には辟易してしまいます。特に最近のトピックスとして、暫定税率一般財源化には個人的にウンザリさせられています。

まず、暫定税率ですが、暫定といいつつ37年(だっけ)延長し続けてきたという時点で、意味が分かんないんだよね。で、また復活とか言ってるけど、それって暫定じゃないでしょ!スジが通ってないと思うんだよね。

あと、道路特定財源の一般財源化。道路整備の為にGETするって宣言して徴収したものを、他の者に流用されたらたまんないなあ。道路財源は税金を縮小するなりして別途プールする。で、環境税なり、何也別枠でセッティングするのが道理だろ思うんだけど?
(あと、環境税の対象は自動車関連だけじゃないと思うから包括的に考えた方がいいと思う)

古賀誠に涙ぐまれたって、コンキチは全くのナンセンスって感じでした。

代議士になってある種の権力を手にしてチヤホヤされると、普通の思考ができなくなるのかな?
(何をもって普通とするかは難しいし、コンキチの意見が普通であるとはいわないけれど、政治家のそれよりは普通に近いような気がする)

自民党は一旦下野しなきゃだめだなと思いつつ、下野している間日本の政治を牛耳るのが小沢一郎の烏合の衆かと思うと暗澹たる気持ちになったりする二流大出のなんちゃって研究員のコンキチです。

こりゃ政界再編かな?
(でも、新たに再編された政党が信頼に足るという保証は全然ないけど)

まあ、いつもの戯言だと思って聞き流してもらえたら幸いです。

2008年4月26日土曜日

マクロサイクリックムスク (7) Synthesis of Civetone 2

比較的最近(といっても2000年だけど)発表されたシベトン合成の論文があります↓

A Highly Efficient Synthesis of Civetone
Tetrahedron, 2000, 56, 7423-7425.

関西学院大の田辺陽先生のグループの報告で、ムスコンの時と同様、Ti-Aldol反応を鍵反応にした合成法です。

天然型の(Z)-体がマイナーというのが残念ですがTi-Claisen-Metathesis-脱炭酸がone-potで進行するというのは驚きです(収率低いですが)。

2008年4月24日木曜日

マクロサイクリックムスク (6) Synthesis of Civetone

シベトンの合成法です。シベトンはZ-体なんですが、E-体も含めていきます。

まず、
ref. Ber., 1942, 76, 142.; J. Am. Chem. Soc., 1948, 70, 34.;
Chem. Ind., 1978, 3, 165.; An. Quim., Ser. C, 1982, 78, 304.
threo-aleuritic acidを使っている方(上段)が初めてのE-体合成の報告らしいです(シベトンはZ-体)。合成までに、7 or 8ステップを要するらしいですが、このREVIEWには最後の方のステップしか記載されてませんでした。

下段はcorkから単離される原料を使った合成法。工業的合成法の提案だそうです。また、この原料は、C-16のthreo-aleuritic acidの末端アルコールのアルデヒドへの酸化、triethyl phosphonoacetateを用いたWittig-Horner反応で増炭して合成可(J. Chem. Sect. B., 1996, 35, 1043.)。

次に現行(とおのREVIEWには書いてあった)の工業的合成法は↓
ref. Helv. Chim. Acta., 1948, 31, 543.
Claisen縮合、脱炭酸、アセタール保護、Acyloin縮合。その後はよく分かんないけど、α-ヒドロキシケトン骨格がオレフィンに変換。

他の合成法は↓
ref. J. Am. Oil Chem. Soc., 1994, 71, 911.; Synlett, 1991, 507.; Tetrahedron Lett., 1980, 2955.
オレイン酸エチルのメタセシス(理論収率50%をベースにして、99%)、Dieckmann環化、脱炭酸。メタセシスは濃度依存性がなく、Dieckmannはhigh dilution condition (0.024 M)。3 stepsで47-58%。

red. Synlett, 1991, 507.
max. 24% yield。閉環メタセシスで重合のため低収率(10-2 M~10-4のhigh dilutionでもダメ)。

ref. Tetrahedron Lett., 1977, 3285.
2番目にschemeのアシロイン・プリカーサーの合成法。クロム酸酸化なんて可愛らしいです

2008年4月21日月曜日

改革は細部に宿る

改革でも会社でも政治でも地域社会のことでもなんでもいいんですが、

正しいことを言うことはわりかし簡単と思います。

例えば、「無駄な道路は造らない」なんていうのは、それ自体正しいと思います。しかも、皆賛成する。でも、

1) 無駄な道路の定義は?計測方法は?誰が判断するの?
2) 基本的に道路を造って不便になるということはない。(程度の差はあるが)利便性は確実に向上する。だから、全く役に立たない道路というのはありえない。
3) 自分の住んでいるところに建設予定の道路を「無駄」という人はいないでしょう。

っていう感じであらゆる自治体では、

無駄な道路をつくるのはいけないよね。でも、俺たちの街につくる道路は必要不可欠なんだよ。住民の利便性が向上するし。

ってな主張に終始して終わっちゃうような気がします。

コンキチの実家の目と鼻の先に高速道路のインターが出来て、個人的に凄く便利になったけど、はっきりいっていつも空いてるし、費用対効果を考えたら、完璧にムダな道路だと思うな。

あと、

学校教育の充実とか老齢者の医療の拡充とか(経済的)弱者の救済とかも正しいと思う。その全ての政策を実行に移すべきとも思います。但し、無尽蔵に金があればの話だけど。実際、資源は限られていて、トレードオフを迫られるのは必定。なんでもかんでも全てを救済してたら、資金繰りがショートするのは火を見るより明らかでしょう。それから、救済にあまり力点をおいてしまうと、非救済者にフリーライドされているという不平等感が高まると思う。

ところで、

共○党とか社○党とかは、ばかの一つ覚えのように弱者救済とか格差是正とか一見耳障りのよいことばかりを主張していますが、議席数は全然増えません。超絶ナイーブな人ならだませるかもしれないけれど、ちょっと分別のある大人なら彼の政党の主張は机上の空論であるということがまる分かりだからなんだろうとコンキチは思っています。ただ正しいっぽいことを言っているだけで、具体性=「プランの細部」が全然見えないんだよね。彼らには、自分達のプランを実現するためにどれだけのコストなら支払ってもいいかということを有権者に聞いて欲しいな(支持者の間でも選好の逆転が起こる気がする)。

会社でも、ちょと偉い人はもっともらしい発言をまき散らしますが、それを具現化するためのインセンティブを用意していなかったりすることが多々あるように思います。

例えば、我が国では批判が多いかと思われる成果主義ですが、仕事の成果に応じて報いるという考え方自体は、特に間違っていないと思います。でも、成果主義と称して、(a) 降格制度が欠如していて、(b) 豊富な属人的給与と手当があり、(c) 評価基準が曖昧だったら、成果主義の賃金制度としては機能しないでしょう。細部がなおざりだらけだから。考課者(上司)と被考課者( 部下)に、真面目に成果主義に取り組もうというインセンティブが働かないんだよね。


徒然なるままに書き散らしてきましたが、ここである言葉を思い出しました。

構造改革の真実 竹中平蔵大臣日誌」の中で何度も連呼されたフレーズで、


改革は細部に宿る(だったと思う)
by 竹中平蔵


です。

具体的な方法論を詰める作業が計画に実効性を持たせるということで、具体案なき理想は虚像なりというやつなのだと思いました。

正しいことをただ垂れ流すだけじゃなくて、システムを細部まで設計してこそ一人前。そんな気がします。そのためには、インセンティブを効果的にシステム内に組み込むことが肝要と思うのでした。


二流大出のなんちゃって研究員の独り言なので、軽く流してくれたら幸いです。

あと竹中平蔵の著作に興味をもたれた方は、このリンク↓をクリックして買ってくれると嬉しいです。
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2008年4月20日日曜日

マクロサイクリックムスク (5) 16-membered unsaturatedketone

16員環のケトン

まずは、

Synthesis of 5-cyclohexadecenone
ref. J. Appl. Chem. Biotechnol.. 1973, 23, 501.: DE Patent 2165113, 1970, Takasago Perfumery Co. Ltd.; Chem. Abstr., 1972, 77, 126143.; DE Patent 2347804, 1972, Toray Industries, Inc.; Chem. Abstr., 1974, 81, 13179.; JP Patent 53015344, 1976, Toray Industries Inc.; Chem. Abstr., 1978, 88, 190227.

5-cyclohexadecenonはAmbretone, Musk TM 2という商品名で販売されてます。反応はcyclododecanoneをクロロ化して得られるα-クロロケトンにvinylmagnesium chlorideを付加。生成したクロロヒドリンを転位(ビニル基のシフト)させα-ビニルケトンとする。さらにvinylmagnesium chlorideを作用させ、3-ヒドロキシ-1,5-ヘキサジエン骨格を形成し、最後はoxy-Cope転位。けっこうスマートな合成パスと思います。
α-ビニルケトンの別の合成法としては、cyclododecene oxideへのvinylmagnesium chlorideの付加でも合成できます(ref. DE Patent 2165113, 1970, Takasago Perfumery Co. Ltd.; Chem. Abstr., 1972, 77, 126143.; JP Patent 55034780, 1980, Takasago Perfumery Co. Ltd.; Chem. Abstr., 1981, 94, 139321.)。

次に、

Synthesis of 8-Cyclohexadecenone
ref. US Patent 3235601, 1962, Diamond Alkali Co.; Chem. Abstr., 1966, 64, 17450.; J. Chem. Soc., 1965, 6679.
環化のステップがメチャクチャ収率低いです。

別のつくり方↓

ref. EP Patent 182333, 1985, Consortium fur elektrochemische Industrie GmbH; Chem. Abstr., 1986, 105, 174798.; Chem. Abstr., 1971, 74, 76095.

1ステップ目のメタセシスは
a) Re2O7/Al2O3を含むチューブ・リアクターを使って反応を行うと収率33.5%
b) WCl6/EtAlCl2/EtOHで収率22%。


次はシベトンの合成法をメモります。


2008年4月19日土曜日

新入社員の季節

4月です。年度始めです。今年もまた新入社員が入社してくる季節がやってきました。

コンキチが社会に出たのは9年前。社会の大人達は、その年輪とともに精神が洗練され、長幼の序に相応しい人格と知性が形成されていくものだと70%くら信じていました。まあ、コンキチの就社した会社には、そんな稚拙な妄想はあるわけも無く、この9年で自分の人生観はメチャクチャ変わりましたね(これが大人になるってことなのかな?)。

新たに社会に出ることになった人達が、会社で受けるショッキングなバカっぽい行為に衝撃を受けて五月病にならないように、コンキチから会社の真実を込めた川柳(チックなもの)を送りたいと思います。

その1
「報・連・相」 やりすぎちゃって ウザがられ
会社に入るとご多分に漏れず、「報・連・相(報告、連絡、相談)」を励行するようにという風に指導されます。でも、上司や先輩の機嫌に応じて臨機応変に対応しないと、機嫌を損ねてしまうので気をつけましょう。

その2
会議とは 既定路線の 報告会
ビジネス雑誌とかを読んで、会議というと、なんかクリエイティブな物事を決議する場という幻想を抱いている人達もいるかと思いますが、必ずしもそうではないです。実際、儀式的な無駄な会議がいっぱいあると思うので覚悟しましょう。

その3
創意工夫! 余計なことは するなとさ
上司が使えない部下を評する言葉として、「あいつは言われたことしかやらない」なんて言いますが、調子こかれて勝手なことされたら困るでしょ!ということです。仕事が出来る出来ないよりも、上司とか先輩のお気に入りになっておくことが重要と思います。

その4
意思決定 正論よりも でかい声
何かを決める時、必ずしも正しいことが採用されるわけではなく、所謂声の大きい人の意見が採用されがちだというなんとも論理的でない会社の真実があるということを努々忘れることなく。


最後に5・7・5・7・7で締めくくりたいと思います。
実る程 頭を垂れる 稲穂かな そういう上司に 私は会いたい
(けっこう字余り)

ナイーブな新入社員に幸有れ!

2008年4月17日木曜日

マクロサイクリックムスク (4) 光学活性ムスコン

前回までのブログでメモしてきた合成法は、リファレンスの年代をみると一目瞭然だけど、かなり古いです。

なので、このREVIW(Synthesis, 1999, 10, 1707-1723.)には収録されてないけど、比較的最近報告された光学活性ムスコンの合成法もついでにメモしてみます↓

まずは↓
Direct, practical, and powerful crossed aldol additions between ketones and ketones or aldehydes utilizing environmentally benign TCl4-Bu3N reagent
Tetrahedron, 2002, 58, 8269-8280.

このタイプの反応は、触媒量のTMSClの添加で、Aldol reactionが促進されるようです。

それから↓
Ti-Crossed-Claisen Condensation between Carboxylic Esters and Acid Chlorides or Acids: A Highly Selective and General Method for the Preparation of Various β-Keto Esters
J. Am. Chem. Soc., 2005, 127, 2854-2855.
カルボン酸や酸クロでも反応が進行するとうのにちょっとした驚きを覚えました。

ここまでは田辺陽先生のグループの研究です。これら一連のMacrocyclic Musk合成の鍵反応は、Ti-Aldol type reactionです。コンキチもTiCl4-Et3Nを使ってTi-Aldol type reactionをやったことがあります。で、PhMe中で反応を行うと、反応自体はexcellent yieldで進行するのですが、系内に粘性の高いネバネバした不溶物が出現してきました(基質はまあ一般的なそこそこ有機低分子だと思うのですが)。Baseの種類を変えれば、(錯体の)溶解性が改善されるのかなとか思います。

用いるBaseの効果としては、「Bu3Nが、Et3N、i-Pr2NEt、TMEDA、Pyridine、DBUよりも収率がGood的」な記述がありますが(Tetrahedron, 2002, 58, 8269-8280.)、試した基質は2例だけなので、まあ、なんとも言えないかなとも思います。酸クロを使ったTi-Claisenでは、i-Pr2NEt使ってたし。

あと、もう一つ↓

Cp*Ru(PN) Complex-Catalyzed Isomerization of Allylic Alcohols and Its Application to the Asymmetric Synthesis of Muscone
J. Am Chem. Soc., 2005, 127, 6172-6173.
鍵反応はアリルアルコールのケトンへの官能基選択的異性化反応で、遠くのオレフィン部位を残すという選択性の高さがウリだと思います。触媒はPN配位子を有するハーフサンドイッチ型のシクロペンタジエニルRu錯体で、tert-BuOKと一緒に使用。

反応条件はPhMe中、30℃, 1 hr。でcatalytic loadingは1mol%。マイルドなコンディションに加えてトルエンをつかっているのが好感触です。

動的速度論分割に基づく不斉異性化を利用したMusconeの合成ですね(但し、eeはあまり高くない)。

次回は、REVIEWに戻って、16員環大環状ケトンの合成法をメモしようかと思います。

2008年4月16日水曜日

マクロサイクリックムスク (3) Musks from cyclododecanone (ii)

bicyclic α,β-unsaturated ketoneから、bicyclic alkeneを経由しない、MusconeとExaltoneの合成法をメモります。

ref. Tetrahedron Lett., 1976, 3585.; JP Patent 92947, 1979, Mitsui Petrochemical Industries, Ltd.; Chem. Abstr., 1979, 91, 210979.

ref. Tetrahedron Lett., 1976, 3585.
cyclododecanoneららトータル収率40%

ref. Helv. Chim. Acta, 1967, 50, 708.
bicyclic alkeneを用いた場合に遭遇するオゾン分解や一重項酸素の使用といった軽くマニアックなパスを避けた合成法

ref. Helv. Chim. Acta, 1979, 62, 2655.
1,4-attack : 1,2-attack = 19 :1
嵩の小さいアルコールを使うと1,2-attackが増える
出発物質にα:-メチル体を使うと、1,4-attack : 1,2-attack = 7 :1
最適条件では、3 eq.のNBSを使わないといけない

ref. Helv. Chim. Acta, 1977, 60, 1969.
bicyclic α,β-unsaturated ketoneからジケトンまでの収率は86%(R=H), 80-89%(R=Me)

さらに続く...

2008年4月15日火曜日

マクロサイクリックムスク (2) Musks from cyclododecanone (i)

前回のブログの続きです。

MusconeとExaltoneの合成で、シクロドデカノンは重要な出発物質となります。ということで手始めに

Synthesis of cyclododecanone

ref. Ullmann’s encyclopedia of industrial chemistry; VHC: Weinheim, 1996; pp 201.

で、Cyclododecanone→Muscone & Exaltone合成における重要中間体はこんな化合物だそうです↓

とりあえず、とりとめなく合成法をメモります。

ref. Helv. Chim. Acta, 1976, 59, 1226.; J. Am. Chem. Soc., 1957, 79, 5558.; Izv. Akad. Nauk SSSR, Otdel. Khim. Nauk, 1961, 882; Chem. Abstr., 1961, 55, 17489.; Helv. Chim. Acta, 1967, 50, 705.



ref. Helv. Chim. Acta, 1984, 66, 2519.
各ステップ>80% yieldらしいです。

ref. DE Patent 3226684, 1981, Firmenich S. A.; Chem. Abstr., 1983, 99, 121889.


bicyclicalkenes→Muscone, Exaltoneです。
ref. Helv. Chim. Acta, 1967, 50, 705.

ref. Helv. Chim. Acta, 1967, 50, 705.


続く...

2008年4月12日土曜日

マクロサイクリックムスク (1) Exaltone

結構古い文献なのですが、香料会社の研究員らしく大環状ムスクに関する総説を読んでみました。タイトルは↓

The Synthesis of Macrocyclic Musks
Synthesis, 1999, 10, 1707-1723.

フィルメニッヒの研究員の方が書いたレビューです。以下、メモります(っていうか合成scheme箇条書き)。

Synthesis of Exaltone
Pira reaction, (Ruzicka Cyclization)
ref. Helv. Chim. Acta, 1926, 9, 249.
Unfavorable entropic factorにより低収率。


High dilution cyclization
ref. Ann. Chem., 1933, 504, 94.; Optimized process (60-70 % yield)→Ann. Chem., 1934, 513, 43.


Intramolecular acyloin condensation (First industrial synthesis of Muscone and Exaltone)
不均一系でHigh dilution条件は必要ない。
ref. Helv. Chim. Acta, 1947, 30, 1741.; Helv. Chim. Acta, 1947, 30, 1815.; Helv. Chim. Acta, 1947, 30, 1822.; Helv. Chim. Acta, 1948, 31, 554.; J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1, 1993, 153.


今回はここまで。しばらく続くと思います。

2008年4月11日金曜日

社会調査のウソ

という本を読んでみました。
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本書の主な内容は↓

(1) くだらない社会調査が、マスコミとか学者といった権威の威を借りて世間に垂れ流されていることを、具体的な事例(名指し)で例証している(アポな学者もけっこういるらしいです)。
(2) 調査実施時に見られる様々なバイアスについての分かり易い説明

です。

社会調査に無意味なものがけっこうあるということは風の噂で知っていましたが、この本ではけっこうな量の具体的事例で例証されており、なかなか良いです。

コンキチが一番印象に残ったのは、本書の冒頭で紹介されているforced choice (強制的選択)です。forced choiceとは、特定の選択肢が上位にくる恣意的な質問の設定のことで、回答者にforced choiceと気付かせないように設問をつくることで、回答者の回答をコントロールできます。自分、機会があったら是非使ってみたい(試してみたい)テクニックと思いました(悪な考えですが)。

でも実際に、設問者が意図しているかどうかは別にして、出来の悪いアンケートとかでforced choiceライクな設問を見かけたりしますね。その度にアホくさとか思って、適当なこと書いちゃいますが。やっぱり、気取られない様な設問の設定が重要なんでしょうね。逆に自分はそういうのにひっかからないように気をつけたいと思います。

それから、どうすればマスコミとかで垂れ流されるゴミ社会調査(権威に対する服従や社会的証明による説得)を見破れるかということですが、当たり前のことで恐縮ですが、思考停止に陥らず、考える力を養うことが重要と思いました。


最後に↓

著者曰く、米国と日本の社会調査に質は段違いだそうです(勿論、アメリカの方が良質)。社会調査に基づいて論を展開している本(経営学の本とか)を買うときは、アメリカの訳本(英語が得意な方は原書の方が良いよ思います)を買った方がよさそうだなと思う次第なのです(日本の本ですが、例外的にこの本はオススメと思います)。

2008年4月7日月曜日

オリンピック

某報道番組によると、


オリンピックが政治に翻弄されている


らしいです(意味がわからない)。

これは、イギリスとフランスで行われた聖火リレーの模様を評しての言葉のようです。

でも、果たしてそうなのでしょうか?

そもそもオリンピックのよう平和の祭典っていうのは、少なくとも内紛の恐れの無い平和と評される状態の国で催されるべきでしょう。多くの自国民を虐殺して、力で言論を統制して、プロパガンダ教育を施すインマチュアな国でオリンピックをしようなんていうのがそもそもの間違いだと思いますね(大気汚染も凄そうだし)。

内紛で人々が殺されている国で、平和にオリンピックをやって友好万歳なんていう精神の方が、人としてどうかしていると思います。そういった観点から、欧州での聖火リレーの妨害デモは、ある意味全うな精神の現れなのだと思います(ついでに、厳戒態勢の中行われる聖火リレーで、どこぞの国の面子は世界的に丸つぶれのような気がします)。

4年に一度のオリンピックなんかよりも、もっと重要なものがあると思う二流大出のなんちゃって研究員なのでした。


オリンピックが政治に翻弄されている


のではなく、


オリンピックの開催が某国の面子に利用されている


のだと思います。

2008年4月6日日曜日

バリュー消費

コンキチがたまにWatchingしているウェブサイトにこんなサイトがあります↓
http://www.zyouhoutousi.com/value/

「バリュー消費」という概念を提唱しているサイトです。超簡単に咀嚼すれば、バリュー消費とは、自分にとって


価値 > 値段


に当てはまる財やサービスを購入すること。

と認識しています。

ところで、くら寿司という(激マズな)回転寿司屋にいってきました。

コンキチのカミさんのママ友連合の間で、「美味しい回転寿司屋は?」というお題の井戸端会議があったそうで、くら寿司の評判が良かったそうです。くら寿司にまだ一度も赴いたことの無いコンキチ一家では、家族揃って(子供たちも込み)出かけるに先立って、その実態をよく知りたいとう話題で持ちきりになりました。

早速ウェブで軽くジャブ程度にサーチしてみると、くら寿司とは↓

1) 1皿オール105円(税込み) (安かろう悪かろうの予感)  
2) 化学調味料・人口保存料無添加 (これはアピールポイント)
3) 30分流れた商品を廃棄することで鮮度をアピール? (30分も廻すの?カピカピになっちゃうよ)
4) 機械握り (これって寿司じゃないよね。寿司風薄切り刺身のっけご飯と改名して欲しい)

といった、低価格と食の安全を謳ったまがい物(機械握りは寿司じゃないよね)の回転寿司屋であることが分かりました。

コンキチのジャブ程度のリサーチによると、かなり期待のできない店ということが分かったのですが、くら寿司の近くを(一人で)通る機会があったので、そのレベルがいったいどれおどのものかを実際に確かめに行くことにしたのです。

ということで、くら寿司のレポートを書きます↓
i) 12:00ちょっと前に入店したら、超混んでた。
ii) 流れていないモノを注文するときは、タッチパネルで注文する。
iii) 実際注文してみたら、待ち時間約8分という表示。遅すぎです。
iv) 注文したモノは、赤い椀に載って流れてきて、近傍まで接近してくると、ブザーとタッチパネルのディスプレーで知らせてくれるそうです。ちなみに、コンキチの注文したモノは流れてこなかった(不愉快ポイントですね)。
v) 商品は全体的に、シャリがかなり小さく、ネタはそれに輪をかけて小さい。以下、コンキチが食べたモノのレビュー↓
・カレイのぶつ切りの軍艦→ぶつ切りにしたカレイの身が申し訳程度に乗っている。大葉が沿えらていて、カレイの身の量の少なさがカモフラージュされていると感じた。
・鰯→生ではなく、酢〆鰯です。で、〆方が超最悪。スーパーで売ってるヤツの方が100倍旨い。食べてて気分悪くなりました。
・鮪の赤身→切り身の厚さは、MacBook Airを彷彿させるほどの薄さ。鮪の種類は一番安い(と思う)バチマグロ(かな?)。しかもかなり水っぽかった。食べててマジ気分悪くなりました。
vi) 廉価なネタは2貫で105円(税込み)。比較的高いネタハ1貫で105円(税込み)

感想はこんなところです。まあ、よくもこんなまがい物を提供して恥ずかしげもなく金とってるなあと、その厚顔さに関心してしまいました。

店はかなり賑わっていて、(コンキチ以外の)お客さんは旨い旨いといって皿を積み上げている人もいましたが、いかに1皿105円という低価格で商品を提供されても、コンキチはその中に105円以上の価値を見出すことはできませんでした。

つまり、くら寿司での飲食は低価格ではあるかもしれないが、コンキチにとってバリュー消費ではないということです(低価格がバリューであるとは限らないのです)。

ちなみにくら寿司はコンキチの2度と行かない店リストにランクインしましたとさ。


2008年4月4日金曜日

春闘という時間の無駄

毎年毎年、日本中の至る所で、飽きることなく繰り返されていますが、春闘(夏闘、秋闘)ほど非生産的で無駄な時間の費やし方は思うコンキチです。

経営陣は、少しでも人件費を抑制しようとする。
労組は、少しでも名目賃金を引き上げようとする。

納得性のあるポリシーが全然みえません。

最近では、原油高と商品(小麦とか)高に起因するインフレも賃金UP要求の材料になっています。ちょっと前のデフレ経済下で企業業績が停滞していたときも、なんだかんだ理由をつけて給料の引き上げを要求していた労組に恥はないのかな?なんて思いますね。
(ちなみにコンキチはデフレ下で、ベースダウンを主張したことがありましたが、歯牙にもかけられませんでした。)

春闘なんて、

(1) インフレ率(CPI)に連動させてベースアップ&ダウンさせ、実質賃金を(ある程度)一定に保つ
(2) 企業業績は、営業利益(営業CFでもいい)に連動させてボーナスで調整する。

これで終わりでいいんじゃないの?っていうか逆にこれ以上なにが必要かを知りたい。

ただ、人は実質賃金よりも名目賃金のアップに敏感なので(行動経済学の本に書いてあった)、(1)は心理的に相当受け入れ難いものがあると思う。
それから、「利益=売上高-人件費-その他の費用」なので、利益と人件費はトレードオフとなる。なので、利益の最大化を狙う経営陣は人件費抑制のインセンティブが働く。

非生産的な春闘はまだまだ続きそうな予感です。

2008年4月1日火曜日

The Winner’s Curse

行動経済学に関する本を読んでみました。「セイラー教授の行動経済学入門」という本で、原題は

The Winner’s Curse
Paradoxes and Anomalies of Economic Life


です。

「勝者の呪い」ということですが、これは本書の第5章で解説されているテーマで、オークションの勝者は敗者になる呪いをかけられているというパラドックスです(競売の勝者は、常に平均的な入札額から最も乖離した、どの入札者が推定した市場価格よりも高値で落札することになる)。

例えば、小銭が詰まった広口瓶をセリにかけると、
(1) セリ値の平均値は、硬貨の総計額をかなり下回る
(2) セリに勝った者の言い値は、広口瓶の中身の価値を上回る
こと請け合いなのだそうです。

鍵を握るのは、認知上の錯覚だとか。

ちなみにこの本は13の経済理論のパラドックスを扱っており、経済学スーパー初心者級のコンキチの脳ミソには難しい内容で、帯に書かれている軽そうな文言とは裏腹にけっこう硬派な内容と思いました(コンキチには難しかった)。

まあ、その中でも、

a) 産業間賃金格差(第4章)→均等性に引きずられる
b) 損失回避(第6章)→現状維持バイアス、保有効果(機会費用の軽視)、損失回避性(損失が利益より強く評価される)の解説
c) 選好の逆転現象(第7章) →選好順位は、選択や判断を下すプロセスのなかで構築されていく
d) 期間選択(第8章)→割引率は時間の経過とともに低下する。人々は常に以前立てた計画以上に現在の消費をしてしまうという現在志向バイアスとかの解説。また、人びとの割引率は、損失よりも利得の方がはるかに大きいという。

は比較的容易に理解でき、かつ興味深いトピックスであると重いました。コンキチ的には「選好の逆転現象」が一押しですね。全く同じ内容の質問でも、文脈の違いで、その問いに対する回答(選好)が逆転するという奇異的事実が例証されています。とても興味深いです。

例えば、

H: 4ドル当たる確率が9分の8 (期待値 3.6ドル)
L: 40ドル当たる確率が9分の1 (期待値 4.4ドル)

という二つの賭けの一方を選ばせた場合、

実験参加者の多く(71%)がHの賭けを選ぶ

のだそうです。

一方、それぞれの賭け札を自分が持っているとして、いくらなら売っても良いかという最低価格の値段を求めると、

大部分の実験参加者(67%)がLの賭けに高い値をつける

という結果だったそうです。

正しく、人は必ずしも合理的ではないということの証左です。はっきり言って、なんて人間は不完全で、情緒的なのだろうという事実が窺えて楽しいです。

ついでに、期待値マイナスの宝くじに大勢の人々が群がるのは、「Lに高い値をつける」と同義なのかななんて思っちゃいました。

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