2017年7月30日日曜日

不安定なアルデヒドのためのReductive Amination (2)

神田末広町でランチしたときメモです↓

-鳥つね自然洞 特上親子丼 (1,600 JPY) memo-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
鶏肉は比内地鶏と名古屋コーチン。名古屋コーチンの卵三つを使った1日20食限定ランチ。
出汁のとっても良い匂いが立ちのぼる(けっこう強い香りが立っていてる)。
卵の黄身は濃いオレンジ色。黄身も白身もトロトロで大部分が不均一。これを飯や鶏に絡めて食べるのが良い。
出汁の香りは強いが、味自体は穏やかで、控え目。上品な味。
鶏はしなやかな食感で、とっても淡白。味付けは極めて軽微ながらも、噛むほどに鶏肉のコクがじわじわと広がってくる。三つ葉の香りがアクセント(けっこう鮮烈)。
鶏、卵、出汁、飯を一緒にほおばることの旨さがかなり凄い!
鶏肉はrichな気持ちになるほど旨いけけど、卵がそれに負けないほどに旨く、濃厚・豊潤で素晴らしい(こんなに旨い卵を食べたことがない)。
この親子丼、香りは濃厚だけど、味的に無駄に自己主張しない出汁が"丼"全体の味わいを引き立てている。
あと、お新香とお椀つきです↓
 
参考: 平日の月曜日に行って来ました。開店4分前の11:26に到着したら、先に1人が並んでいるだけでした。11:47に食事を終えてお店を後にしたんだけど、その間入店して来たお客は5人程度。なので、平日だったらあまり並ばずに食べれると思います。あと、ポットの中のお茶は焙じ茶。風格のあるマスター(大将)と女性従業員3名で回していました。特上親子丼は「トクイチ」、(普通の)親子丼は「トリイチ」と略されてオーダーが入ります。


閑話休題


以前、不安定なアルデヒドのためのReductive Amination (see http://researcher-station.blogspot.jp/2013/04/reductive-amination.html)と題して、アルデヒドの亜硫酸水素ナトリウムの付加体を直接還元的アミノ化するという文献をメモしました。

で、今回は他の保護基ではどうなの?(直接的に還元的アミノ化できないの?)っていうことについてメモしてみます。

まず、アルデヒドの保護基として"いの一番"に思い浮かぶアセタールですが、こんな文献がありました↓

Direct, One-Pot Reductive Alkylation of Aniline with Functionalized Acetals Mediated by Triethylsilane and TFA. Straightforward Route for Unsymmetrically Substituted Ethylenediamine
J. Org. Chem., 2011, 76, 704-707.

21 examples, 51-97% Yield

反応性の低いアリールアミンの還元的アミノ化はチャレンジングですが、マイルドな条件で中程度から高収率で反応が目的物が得られます。電子吸引基 (ニトロ基、エステル、シアノ基)を有するアニリン誘導体、電子供与基を有するアニリン誘導体の何れもスムーズにアルキル化が進行し、NO2, CF3, CO2Me, Cl, CN, OCH3, HNCOCH3, 二重結合は影響を受けません。

ちなみに、3-methoxy-N-phenlanilineとN-Boc glycinalとの通常条件での還元的アミノ化はイミニウム塩の形成が十分に進行せず、アルデヒドの還元と競合してしましまいます(酢酸を加えてもpoor yield)。それに対して、TES/TFAを用いたジメチルアセタールからの直接的還元的アミノ化は円滑に進行します。



また、10,11-dihydro-5H-dibenzo[b,f]azepineはアルデヒド (ヘキサナール)を用いた普通の還元的アミノ化条件ではno reactionですが、アセタールとのTES/TFA条件だと高収率で反応が進行します。



ところで、アルデヒドの代わりにアセタールを用いた還元的アミノ化には、デカボラン(Synth. Commun., 2003, 33, 3387-3396.)やPMHS/TFA (Tetrahedron Lett., 2009, 50, 5975-5977.)を用いる方法がありますが、本報の手法の方が有効なようです↓




さて、アセタールの次はエノールエーテルです↓

Reductive Alkylation of Aromatic Amines with Enol Ethers
Synlett, 2005, 583-586.

18 examples, 50-98%

アルデヒドの代替としてメチルエノールエーテルとトリメチルシリルエノールエーテルが適用可能で、その反応条件は、意外にも、還元アミノ化の"Standard Conditions"です。

著者らがエノールエーテルを使用するという着想に至ったのは、エノールエーテルとマイルドなプロトンソースによって系内で高活性のオキソニウム種が生成するだろうというアイデアからです。


アセタールとエノールエーテルを用いた還元的アミノ化は、けっこうパワフルな印象を受けました。これらの手法は、不安定なアルデヒド対策ではなく、求核性の低いアミン対策として語られていますが、不安定なアルデヒド対策にも使えるのではないかと思います。
まあ、アルデヒドが不安定なのに、アセタールやエノールエーテルをどうやってつくるんだっていうツッコミはあるかと思いますが(中性条件下でのアセタールの合成法はある。それから、1炭素増炭するけどメチルエノールエーテルはメトキシメチルのWittig試薬で合成できる。それから、保存時の安定性は高い。)、不安定なアルデヒドに対する還元的アミノ化に対するalternativeなアプローチに成り得る反応じゃないかと思いました。

以上、二流大出のテクニシャン(研究補助員)のメモでした。

2017年4月16日日曜日

もっとFluorination (2)

人形町でランチしたときのメモです↓

-和食•やきとり久助
久助ランチ 焼き鳥重 (920 JPY) メモ-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
ランチタイムはこれ一本。味噌汁と漬物つきです。
席に着くと焙じ茶が出されるんだけど、この焙じ茶、甘い香りがしっかり立っていて旨いです。漬物は、沢庵と胡瓜の柴漬。味噌汁にはとろろ昆布が入っていて一息つくのに良い味です。
さて、主役の鳥重ですが、一番上に振り掛けられている海苔の香りが強く、良い海苔の香りが一閃します。鳥肉は、大山鳥のもも肉らしく、鳥自体の味も掛かっているタレも硬派でシックな味わいです。
鳥肉から立ち昇る焦げた香りが質実剛健な硬派な香ばしさで堪らない。肉質はとっても柔らかく、絶妙な弾力。噛むという所作がとても楽しくなる。上品な旨味であっさりしているんだけど、根底にしっかりしたbodyを感じる。
カウンターに置いてある粉山椒を鳥に掛けて食べてみるとそれほどでもなかったけど、舌に直に載せてみるとけっこう痺れる(薬味無しで食べた方が断然旨いと思う)。
また食べに行きたい絶品鳥重。



閑話休題


こんな文献を読んでみました↓

AlkylFluor : Deoxyfluorination of Alcohols
Org. Lett., 2016, 18, 6102-6104.

Tobias Ritter教授らの報告で、また、Deoxyfluorinationのお話です。
Rittrer教授はこれまでに精力的にDeoxyfluorinationの研究を行ってきて、PhenoFluorとPhenoFluor Mixという複雑な化合物のlate-stageでのフッ素化も可能とする高選択性を誇るフッ素化剤を開発し、上市させてきました。

see
http://researcher-station.blogspot.jp/2015/05/phenofluor-1-deoxyfluorination-of.html
http://researcher-station.blogspot.jp/2015/05/phenofluor-2-late-stage.html
http://researcher-station.blogspot.jp/2015/05/phenofluor-3-is-phenofluor-practical.html

しかし、これらの試薬にも問題があって、
PhenoFluorは種々のフェノールや脂肪族アルコールのフッ素化に対して極めて有効ですが、もの凄く湿気に弱く、保管にも滅茶苦茶気を使わなければいけないとうハンドリング上の大きな欠点があります。
Deoxyfluorination using PhenoFluor

他方、PhenoFluor Mixは、大気中での安定性が高く、ハンドリングの良い試薬となっていますが、脂肪族アルコールのフッ素化には適用できません(Deoxychlorinationと競合してしまう)。
DeoxyFluorination using PhenoFluor Mix

2015年に、安い、安定、簡便をウリに脂肪族アルコールのDeoxyfluorinationができるPyFluorという、ざっくり、PhenoFluor超えを標榜し、Ritter教授をして"実用的"と言わしめる試薬が登場しましたが、使用するDBUやMTBDといったブレンステッド塩基が求核剤として働いて、特に立体障害の大きい基質や複雑な官能基を持つ基質で、収率が低下してしまいます。


で、Ritter教授がPhenoFluor、PhenoFluor Mixの問題点を克服し、PyFluorを超越するDeoxyfluorination reagentとして満を持して(?)発表したのが、AlkylFluorです。

This Work
Deoxyfluorination using AlkylFluor

AlkylFluorは、空気中で安定で、かつ水に暴露しても大丈夫な頑丈な試薬で、マルチグラム
スケールで簡単に合成できます。


値段は高いけど(TCI 8,500 JPY/ 200 mg, 28,800 JPY/ 1g; Aldrich 25,200 JPY/ 250 mg, 63,000 JPY/ 1 g)、他の市販フッ素化剤では容易に合成することのできない化合物にもアクセスできるとして、良い試薬だとRitter教授はアピールしています。

因に、基質一般性はこんな感じです↓


carbohydrateや、アミノ酸、ステロイド、医薬品などを収率良く脱酸素的フッ素化することができ、官能基許容性が高そうです。

それでは最後に、AlkylFluorとその他の市販試薬との比較(可能なもの)を列挙してみましょう↓

AlkylFluor、PyFluorともに報告されている事例が少ないので決定的なことは言えないですが、"reactivity"という観点からは今のところAlkylFluorに軍配が上がるのかなと思います。

以上、二流大出のテクニシャン(研究補助員)のフッ素化メモでした。


2017年4月2日日曜日

もっとFluorination

ども、(そこそこ前の話だけど)冬イベ(乙)を終えたオタッキーのコンキチです。


E-3(乙)ラスダン後、E-1(甲)を20周周回したけど、伊26をGETできずに哀しい気持ちです。
(ちなみに、高波、萩風、山雲、照月、翔鶴、伊401、谷風、瑞穂×2、U-511がドロップしました)

さて、比較的最近流山に出来た、金土日営業で、しかも土日はAM 9:00から営業というトリッキーな営業を行っているラーメン屋で食べたラーメンのメモです↓

-The Noodles & Saloon KiriYa-
http://tnaskiriya.jugem.jp
基本の『らぁ麺』のスープは、豚骨、野菜ベース(清湯豚骨スープ)に煮干数種(鰯煮干とか)、鯖節、宗田節、枯れ木節、昆布などを使用した魚介スープで。麺は、効加水自家製手揉み麺で、北関東ご当地麺を意識したモチモチ麺を目指したとか(そうなのか)。
醤油ダレは、万上本みりん、キッコーマン醤油、窪田味噌醤油 (野田)、甲子醤油 (野田)、川中島御用溜醤油 (野田)をブレンドした地元愛のタレだそう。
さらに、ネギは下花輪 (流山)、上貝塚 (流山)などの葱を織り交ぜて提供しているよう(入荷が一定でない)。
ところで、店名の「KiriYa」はキリヤさんがやってるからかなって思ってたけど、食品営業許可証に書いてある名前は青木さん、(交付時の)住所が桐ケ谷(キリガヤ)だからかな?ちなみに店舗の住所は西初石。

-らぁ麺 ramen (700 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
麺は平打ちの太縮れ麺。っていうか捻れてる。弾力に富み、コシが強いがキックはほどほどで食べやすい。そして、麺自体がかなり旨い。
スープは節系(魚介っていうか魚)の香りが一閃。表面にはうっすらと液体ではない脂(多分、ラード)の膜が張っている豚骨テイスト。マイルドでコク深く、嫌な匂いが全くない。脂の良い味がする。塩味はけっこう控えめだけど、物足りない感じはしない。
具は、メンマ、焼豚、カイワレ、葱、海苔、緑の物体。スープとは対照的に、メンマと焼豚は(塩味が)濃いめの味付け。メンマは柔らかく、濃くて深い味ながら上品さを感じる。焼豚はsolidで、肉々しさがあって好み(肉の旨味を感じる)。食べ進むうちに、海苔の香味がスープに染み出し、味に奥行きを与える。
かなりレベルの高いラーメンと思いました(オレって、基本、太麺はあまり好きじゃないんだけど、この太麺は旨い!)

-油そば abrasoba 並盛 200 g (600 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
麺は、多分、『らぁ麺』と同じ平打ちの太縮れ(捻れ)麺で、旨い味。油そばなので、良く掻き混ぜるわけなんですが、そうすると、この麺がoilでcoatされる。で、その麺に付与されたoilyさが良いです。それにつけても、この麺はホント旨いね。優しい小麦の味がします。
醤油ダレ(塩ダレ?白醤油使ってるのか?)は白く、ちょとしょっぱめだけど、太麺に合う。
具は、メンマ、カイワレ、葱、海苔、焼豚。
あと、油そばには辣油、胡椒、醤油ダレ(黒い)のカスターのセットが付いてくるので、それも試してみる。はじめはプレーンで食べて、その後、胡椒、辣油、醤油ダレをそれぞれ少しづつ振り掛けて食べ進めてみる。
辣油は胡麻油の香ばしい香りとピリッとした辛さがしてとっても良いアクセントになる(これが一番好き)。胡椒も美味しい。そして、胡椒と辣油のコンボもGOOD!醤油ダレは美味しいけどしょっぱくなり過ぎ。
完成度高く、具と調味料による味のバリエーションにも富んでかなり旨い。


-swallowらぁ麺 (800 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
燕三条系背脂ラーメン(だからswallow?)。
上品で優しいお醤油の香りの上に、背脂由来であろうか?コク深い香りと胡椒のspicy noteが少々。
背脂がスープの表面にふんだん。プルプルした食感で仄かに甘く、スープの味に奥行きを付与しているように思う。背脂は確かに脂なんだけど(当たり前だけど)、ギトギトしておらず、割とあっさりした脂。
それから、基本、麺(平打ち太縮れ麺)は豚骨醤油魚介のスープに良く合う。
具は、焼豚、メンマ、岩海苔、刻み玉葱。刻み玉葱の上には粗挽きの黒胡椒。黒胡椒が香り高い。玉葱のシャキシャキ感が心地良く、清涼感を付与。黒胡椒と、岩海苔の濃厚な磯の香りがスープの良いアクセントになっていて良い。
かなりレベル高い。

-devil (850 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
麺は上述した平打ち太縮れ麺。スープの色は黒緑。表面に膜が張っている。はっきりいって見た目のインパクトが凄い。
濃厚な海苔の香りと濃密な魚介の香り(ただの節だけの匂いではない)は、bodyの強烈さを想起させる匂い。 
スープには、はっきりと粘度を感じる。魚介tasteは濃蜜だけど、塩辛かったりするわけではないので、ハードな見た目とは裏腹にけっこう食べやすい。自慢の麺との相性も良い。あと、tailに少し苦味を感じる(これがまた良し)。
具の一番目立つ葉っぱはサニーレタス様(赤からし水菜らしい)。玉葱のシャキシャキした食感と味が濃厚魚介スープの箸休めにbest match!口の中がrefreshされる。で、焼豚の下には水菜(赤からし水菜?)の茎と柚子皮が仕込まれている。水菜の茎はけっこう辛いんだけど、これが良い。あと、焼豚をつまみあげたところで、顔を出した柚子皮から発する柚子の香りがフワっと漂うんだけど、この仕掛けが心憎い。玉葱の上に振り掛けられている赤いい粉は殆ど辛くない(んだけど、何これ?)。
それから、スープの底に黒い粒が残るんだけど、これはイカスミだとか。
お店の紹介文によると、「conc.の烏賊風味。少しビターな仕上がり」だそうです。
いと旨し!


閑話休題


こんな文献を読んでみました↓

PyFluor : A Low-Cost Stable, and Selective Deoxyfluorination Reagent
J. Am. Chem. Soc., 2015, 137, 9571-9574.

Deoxyfluorination (脱酸素的フッ素化)のお話です。
Deoxyfluorinationのパイオニア的試薬と言えばDASTですが、高額であり、爆発的に分解する性質、官能基許容性の制限、副反応 (脱離反応)の進行といった解決すべき問題があります。で、Deoxo-Fluor、XtalFluor、FluoleadといったDASTの熱安定性に対する改良が施された試薬が開発されてきましたが、よりコスト高となり、選択性の改善は限定的のようです。
Deoxyfluorination reagents
(see http://www.chem-station.com/odos/2009/07/dast-dast-fluorination.html)

Tobias Ritter教授らの開発したPhenoFluorは、複雑な天然物のlate-stageでのフッ素化において極めて効果的ですが、コストと安定性には問題が残ります。
see
http://researcher-station.blogspot.jp/2015/05/phenofluor-1-deoxyfluorination-of.html
http://researcher-station.blogspot.jp/2015/05/phenofluor-2-late-stage.html
http://researcher-station.blogspot.jp/2015/05/phenofluor-3-is-phenofluor-practical.html

で、上述した問題点、要は試薬の製造コストの問題と安定性と選択性、を解決した試薬がこちらです↓



PyFluor (2-pyridinesulfonyl fluoride)です。この試薬は従来のフッ素化剤ではできなかったDeoxy-radiofluorination (18F化)も可能です。

さて、どのようにしてPyFluorをデザインするに至ったかですが、著者らは以前こんな研究を行っていました↓

JACS, 2010 132, 3268.

JOC, 2012, 77, 4177.

これらの反応では、フッ化ベンゾイルとアルコールとのエステル化によってフッ化物イオンが生成します。
で、アシルフルオリドの電子吸引性を増加させれば、生成したエステルの置換反応が起こり、脱酸素的フッ素化が進行するのではないかと著者らは考えました。


この発想から、スルホン酸フッ化物のスクリーニングを行い、(コストも込みで)最も有用だったのがPyFluorです。

最適条件は、
・PyFluor : 1.1 eq.
・base : DBU or MTBD (2 eq.)
・solvent : not highly dependent
                 best → toluene, cyclic ethers
                 reasonable yield → DMSO, CH3CN
です。スルホン酸エステルの形成は数分の間に定量的に進行し、続くフッ素化は徐々に進行していきます。

因に、4-phenyl-2-butanolを基質に用いてスクリーニングしたときの、フッ素化剤(Sulfonyl Fluoride)の評価結果はこちら(conditions: sulfonyl fluoride (1.1 eq.), DBU (2 eq.), toluene (0.4 M), rt., 72 hr)↓
Yield: combined elimination side products as determined GC.
(SIをみると、もっと沢山のSulfonyl Fluorideに対してスクリーニングしています)

そして、気になる基質一般性はこちら↓

幅広い1級・2級アルコールをフッ素化でき、ステロイド、アミノ酸、フタルイミド、複素環化合物、保護・無保護のアミン・アニリンが許容です。殆どの反応は室温で進行しますが、立体的に混みあった基質は穏やかな加熱(50˚C)が必要になります。あと、3級アルコール存在下、1級と2級のみがフッ素化されます。著者等はlate-stageでのフッ素化にも自身を示しています。残念ながら、酸性度の高いα水素を持つβ-ヒドロキシカルボニル化合は、脱離反応のみが進行してしまいますが。
 (アルドのWeb Siteに、4-phenyl-2-butanolとepiandrosteroneのフッ素化で、フッ素化剤の比較情報があります→ http://www.sigmaaldrich.com/japan/chemistry/chemical-synthesis/technology-spotlights/deoxyfluorination-with-pyfluor.html)

それから、deoxy-radiofluorinationの例です↓


では最後に、PyFluorの合成法と物性とコストについてメモして終わりにしましょう。
まず、合成法はこちら↓


著者等は、上記の最適化されていない合成法における原材料費は180 USD / molで、他のフッ素化剤(例えばDAST)と比較してコスト優位性が高いと主張しています。まあ、現材料費だけ示されてもイマイチピンとこないので、試薬グレードの市販価格を比較してみるとこんな感じになります(TCIのPhnenoFluor MIxは31 wt% as 2-Chloro-1,3-bis(2,6-diisopropylphenyl)-1H-imidazolium Chlorideで計算)↓

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選択性と値段の兼ね合いになるけど、PyFluorはけっこうコスト競争力があるように見えます。

PyFluorは融点23-26˚Cの固体で、普通に保存しておけば少なくとも30日は分解物は検出されません。さらにSulfonyl Fluorideは水のエマルジョン中では加水分解されず、熱安定性も良いです(0-350˚Cの範囲で発熱分解しない)。
で、反応(Deoxyfluorination)は空気や湿気を排除する必要がないわけなんですが、これはポイントが高いです。ハンドリングに気を使うフッ素剤が多い中、PyFluorの物性はかなり光ってるとボクは思います。

まあ、オレって今までフッ素化やったことないわけで、この先もやることはないかもだけど、機会があったら試してみたいフッ素化剤と思いました。

以上、二流大出のテクニシャン(研究補助員)の久々のメモでした。

2017年2月2日木曜日

Annual Income 2016

冬休みに、ボクの大好きなアメリカテレビドラマの「THE MENTALIST」を鑑賞しました(他に映画2本と安楽椅子探偵ON STAGEも堪能しました)。今回観たのはFinal SeasonであるSeason 7。これで大好きなパトリック•ジェーン(サイモン•ベイカー)とさよならかと思うと残念です。あと、フィッシャー特別捜査官(エミリー•スワロー)がこのシーズンの初っ端から転勤を理由にいきなり降板していて残念でした(シクシク)。

ネタバレだけど、エンディングはジェーンとリズボンのマリッジでフィニッシュで、ホント良かったなーと思いました。


閑話休題


2016年もとっくに終わり、必然的に2016年の年収も確定しました。ということで、ボクが社会に出てから今日に至るまでに得てきた給与収入を晒してみます↓


まあ、まいどのことだけど、中流ド真ん中の社畜です。そして、ボチボチ給料頭打ち確定です(シクシク)

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ところで、TVのワイドシューでやってたんだけど、中学受験のために小学校を欠席する児童(=親が欠席させる児童)が急増しているらしいですね
一応、受験日前(数日間)のインフルエンザ対策っていうのがメイン(or 表向き)の理由らしいですが、なかにはガッツリ学校を休んで塾で勉強している強者(?)もいるようです(特定の塾に通っている児童にみられるそうです)。

正直、そこまでして中学をお受験する必要ってあるのかなって思います。
(ウチの娘も中学受験したけどね。ただウチは中流ど真ん中で裕福な家庭じゃないから、近所の公立の中高一貫校だけど。)

なにで読んだのか覚えてないけど、ミツバチとか働き蟻の二割くらいは働かないっていう話を読んだ気がします(しかも、働かない固体を取り除いた後でも、二割くらい働かなくなる)。で、そういった傾向はいろんな社会や組織にみられると(うろ覚えだけど)。

このような傾向が人間の社会•組織にも適用できるとすると、お受験の費用対効果はガッカリしてしまうほど小さく思えます。学業でドロップしない確率(各ステージにおける成功確率)が80%だとすると、中学受験に成功したからと言って、その後の人生の成功確率を滅茶苦茶ザックリ勘定してみると、

0.8(中学)×0.8(高校)×0.8(大学)×0.8(社会)=0.4096

たったの四割ですよ。ついでに言うと、社会に出てから過ごす時間は中•高•大学(10年+α)よりも圧倒的に多い訳で、一般の多くの人が送るであろう会社人生を送る上で、異動や転職、場合によっては分社化、買収、合併といった劇的な環境の変化により、その都度ドロップの可能性がつきまとうと予想できると思います。なので、実質成功率はもっと低くなるとオレは想像します。まあ、ここで言ってる成功っていうのは"言語的能力と数学的能力"を駆使する分野でってことなので、他の分野、例えばスポーツ、音楽、藝術、芸能といった"言語的能力と数学的能力"を駆使する仕事よりも圧倒的に少数の人しか成功しない分野に挑戦してみるのも良いかもしれません。それに、価値観は人それぞれなので、マックジョブで日銭を稼ぎ、趣味の世界に没頭して生きていく人生も幸せ(=成功)かもしれません。

そういえば最近、モンスターペイシェントが増えてるらしいです(これもワイドショーでやってた)。医師(医療従事者)に対して理不尽な要求をしたり脅迫したり暴力を振るう患者が増えている。特に暴行は一発アウトでガッツリ犯罪だけど、病院は警察沙汰にするのには及び腰で、現場のお医者さん(医療従事者)は泣き寝入りしているらしいです。
一生懸命お勉強して、(私大の場合)高額な授業料を払って、やっと手にした医師の地位なのに、知能の低いモンスターペイシェント(理不尽な要求をしたり脅迫したり暴力を振るのは低能の証左)に絡まれなきゃいけないなんて、どんだけ罰ゲームだよって思います(30年くらい前はお医者様様だったような気がするなぁ)。

っうか、勉強って作業は一生続くものだと思うんだけど、小学生もころからガリガリ勉強するのって疲れちゃうんじゃねーの?ってボクは思います。混み混みのTXで、でっかいランドセル背負って通学してる小学生とかみると、人ごとながら大変だなって思います。だって、小学生って友達と遊びたいじゃん。オレなんて、放課後遊びたいから、授業中に宿題やってた口だし。

兎角、人生の波を上手く乗り切って生きるのは難しいなと思う、二流大(駅弁大)出のテクニシャン(研究補助員)のメモでした。