詐欺が世の中を賑わせた昨年、っていうかそういった詐欺は今に始まったことではないと思うんだけれど、人間って学習能力が無い生き物なのかなと思う今日この頃のコンキチです。
さて、昨年のことなのですが、(コンキチの大好きな作家である)橘玲氏の著作(最新作)「亜玖夢博士の経済入門」を読了しました。
この本は5篇の物語からなる短篇集で、各章1つずつ経済学に係るテーマが割り振られています。で、その第4章はマルチ商法をネタに社会心理学をテーマとした話が展開されます。まあ、コンキチは経済学の門外漢なので、難しいことは良く分かりませんが、要はマルチが顧客(カモ)を騙す手口が平易に解説されています。その内容を少々メモしてみようかと思います。
1) コールドリーディング
占い師の技法で、相手のことを何も知らない状態から占いを当てる。何気ない会話を通じて情報を収集する。対義語はホットリーディング(あらかじめ相手の情報を調べておく)。
2) コールドリーディングの基本
a) 否定疑問(肯定しても否定しても間違いにならない質問)を多用する。
b) 当たったことしか相手の記憶に残らないようにする(話題を転換したりして)。
c) 質問の範囲を広げて当たる確率を高める。
d) 外れた占いを合理化する(気づいていないだけとか言って)。
e) 絶対に外れない予言をでっちあげる(予言の時期を明示しない)。
f) 否定不可能な表現や肯定するしかない質問を組み合わせる。
3) 権威に対する服従
権威主義に訴えるってヤツですね。虎の威を借る狐ってヤツですね。コンキチも大好きな馴染みの方法です(自分も権威に平伏す方ですが)。
4) 社会的証明による説得
「長いものには巻かれろ」っていう心理を利用した詐術らしです。狩猟時代に「群れから孤立することは死を意味した」→「生き残るためには集団と同じ行動をとるのが最も有効な戦略」という根源的な特性が人にはあるようです。自分に都合の良い「長いもの」を用意して、それを全体に拡大するのがミソらしいです。
5) 希少性の原理
割とポピュラーなテクニックかと思います。企業のブランド価値の構築にも通じてますよね。「レアメタルが鉄よりも高価な理由」、「金剛石が二酸化珪素よりも高価な理由」、「ルイヴィトンのバッグがユニクロで売ってるバッグより高価な理由」とかが説明されますね。社会心理学の実験によると、原価の定かでないものを売るときは、価格を下げるよりも希少性の原理に訴えかけた方が効果的であることが実証されているらしいです。
6) コミットメントと一貫性の圧力
i. 人間は社会的な動物であり、誰もが否応なく社会のなかで優位な立場を確保する競争に投げ込まれる。
ii. 社会的優位性=集団の構成員から尊敬される立場=信頼される立場
iii. 信頼されるには、約束を守り主張を変えない生き方、つまりコミットメントと一貫性が重要
ということを利用したテクニックらしいです。で、一般に社会的地位の高い人ほどコミットメントと一貫性に固執するそうです(自分の言ったことを撤回できない)。必要条件と十分条件を混同させ、できの悪い三段論法を構築して、ウソつき呼ばわりして冷静さを失わせ、自縄自縛におとしめていくテクニックのようです。冷静さを失わないよう気をつけたいものです。
7) 返報性
「お返しの期待」ってことのようです。人は「贈り物にはお返しをする」という返報性のルールが深く埋め込まれているそうで、他人を操る最も強力な方法なんだそうです。社会に出てからちょっぴり人が悪くなったコンキチは、「贈り物は贈り主の自己満足の形態だ」と考えて、返報性をある程度ヘッジしているつもりです。コンキチの最も好きな言葉の一つである「情けは人のためならず」と同義と思います。
以上がコンキチのメモです。はっきり言って、この章だけでもとっても勉強になりました。ちなみに他の章では、「行動経済学」、「ゲーム理論」、「ネットワーク理論」、「不完全定理」がお題となっています。
いずれも理解しやすい寓話とともに理論の解説がなされており、この書籍を学校の教科書にしてもらいたいぐらいです。そうすれば、詐欺にだまされる人がもっと減るんじゃないかなと思いますね。マジで。歴史の年号を無味乾燥に丸暗記することの100万倍は有益だと思うな。
(もしよかったら、冒頭のリンクか画像をクリックしてアマゾンからこの本を購入してみて下さい。コンキチに幾ばくかのフィーが入ります。)
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2008年1月4日金曜日
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