2012年7月29日日曜日

HPLC Tips

a) カラムの理論段数は粒子径に反比例
b) カラム内送液に必要な圧力は粒子系の二乗に反比例


Creative Intelligence: Apple's Value Chain

アップルのデザイン ジョブズは“究極”をどう生み出したのか」を読了しました。

アップルと他社との比較、iPhone 4Sの分解から見たプロダクト・デザインへのこだわり、インタビュー記事(関係者、非関係者)などからアップルのデザイン活性型経営とはどういったものかを解説した本です。

個人的には、冒頭のバリュー・チェーンへの投資からみえるアップルの思想、ジョナサン・アイブのインタビュー記事(1999年当時)、猪子寿之(チームラボ代表, ホントこの人飄々としてて面白いよね)のインタビュー記事、それからiPhone 4Sの分解にみるアップルの他社とは異なる製品デザインへのアプローチが興味深かったです。

で、特に興味深かった、アップルはバリュー・チェーンにどれくらい投資して、優れたユーザー体験を"デザイン"しているかというところをメモしてみます↓

アップルは"デザイン"の力を「製品発表会(Keynote)」、「広告」、「店舗」、「パッケージ」、「製品」、「インターフェース」、「サービス・ソフトウェア」に存分に注力してユーザーに最高の体験を供与しています。で、どれくらいリソースを注力しているかということが数字で示されています↓

a) 製品発表会/ 準備期間2ヶ月
ジョブズは2ヶ月前から準備をはじめ、何時間もリハーサルにかけたっていうのは有名な話。プレゼンの神様は誰よりもその準備に時間を掛けていたということを覚えておくべき。

b) 広告/ 774億3900万円 (2011年9月, 1 USD = 83 JPY)
ソニーの投資額は3964億2500万円(2011年3月期)でアップルのおよそ5倍の投資額。2011年10月~12月、米アップルの売上高は3兆8400億円(463億USD, 1 USD = 83 JPY)は同時期のソニーの2倍以上の売上げ(see http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK17022_X10C12A4000000/。アップルは製品ラインを絞って集中投資している。

c) 店舗/
1年間に新規オープンしたアップルストア1店舗当たりの平均設備投資額/ 12億7400万円
1店舗あたりの平均従業員数/ 100人強
アップルストアを重要な顧客接点の場と考え、相当デザインや素材にこだわったのは有名な話。1店舗あたり100人強の従業員で質の高いホスピタリティーを実現。

d) ジョブズが関与したパッケージのデザイン特許/ 8件(7件はデザイン特許)
ジュブズは、箱から製品を取り出す初めての瞬間(ユーザー体験)を重用視していたのは有名な話

e) 製品デザイン/ 1年間の設備投資額 3320億円(2011年9月, 1 USD = 83 JPY)
ソニーのそれは2049億円((2011年3月期)。凋落したとはいえ、モノ作りメーカーとしてかつて世界を席巻したブランド「ソニー」よりもはるかに大きな設備投資は注目に値する。アップルはファブレスメーカーだけど、製造委託先加工工場の既存リソースで製品を造っている訳ではない。何千台単位の切削加工機やレーザー加工機を製造委託先に貸し出すことで生産設備をしっかりと握っている。そのことにより、製造委託先が他のメーカー向けに同じ加工技術を提供することはなく、アップルのデザインの流出を防いでいる。アップルは実現したい(製品)デザインの合わせて加工設備をゼロから導入しているのだ。あるサプライヤーの幹部に「アップルのモノ作りに対する知識は、生産の現場で働く工場の技術者よりも豊富だ」と言わしめるほどという。

f) インターフェース/ 卓越したGUIみれば分かるでしょう。ゲイツマイン搭載OSは未だに漢字トークのGUIを本質的に超えてないと思う。

g) サービス/ 4482億円(iTunes Store, App Store, iBookstoreの売上げ) (2011年9月, 1 USD = 83 JPY)
全体の約5%の売上げらしいです。ちなみにグリーは1400億円(2012年6月期見込み)。


凄くないですか、アップル!


アップルのバリューチェーンは、最良のユーザー体験を演出するためにデザインされていると思いませんか?


これって、なかなかできてる企業ってないですよね(ボクの中では、スターバックスくらいか)。しかも、アップルはファブレスメーカーでありながら、究極のモノ造り企業ということが分かります。

よく、日本の家電メーカー(ソニー、パナソニック、シャープ)って自動車メーカーと並んでモノ造りメーカーの代表格みたいに言われるけど、既にオワコンですよね。訳の分からないラインナップ勢揃いで、カニバリゼーション、多すぎる選択肢による顧客の商品選択の複雑化、製造ラインの複雑化を顧みない姿勢にはドウカシテルゼと思ってしまいます。せめてキャノン級に悔い改めて欲しいと思います(キャノンは御手洗社長のもと、キーテクノロジーに集中して高収益企業へと復活した)。

以上、二流大(一応、東大様に主要大学に選んでもらえた)出のなんちゃって研究員のつぶやきでした。

あっ、それからCreative Intelligenceって元米国アップルマーケティング担当バイスプレジデントの前刀禎明氏がデザイン活性型経営のことをそう評したって書いてあったような気がします。

CDIの新パラダイム

ちゃぶとん味噌らぁ麺のメモです↓

-PRICE- 780 JPY
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
あつあつのスープ。スナックライクな細麺がスープによく絡む。味噌の香りよく、くどさがほとんどない。甘苦淡麗のニューウェーブ系味噌スープは、クリーミーで大人テイストに仕上がっていると思いました(三年熟成の浮糀味噌により、上品ながらも、確かなコクが感じられる独特なスープに仕上がっているらしいです)。


閑話休題


上半期にこんな論文を読んでみました↓
Unprecedented “In Water” Imidazole Carbonylation: Paradigm Shift for Preparation of Urea and Carbamate
Org. Lett., 2012, 14, 2814-2817.
CDIを水中で使うっていう、マジ、パラダイムシフトな報告です。The fast "In Water" imidazolecarbonylation of aminesだそうです。

8 examples, 61-96% Yield

水中でCDIは0℃, 10 minで完全に分解するそうですが、アミンとの反応はもっと速いということです。

水中では、
a) 水と、イミダゾールリング、CDIのカルボニル基との水素結合がにより炭素の求電子性が高まる
b) 水素結合によりイミダゾールリングの電子密度が低下=離核性が高まる
c) 水中では有機溶媒中に較べてアミンの求核性が非常に高まる (J. Org. Chem.200772, 3679.)

といった理由から、CDIが水で壊れるよりも速く反応が完結するようです。
(ただ、不活性化されたアニリンとは反応しません)

それからこの反応、水でもいくんではなくて、水が最も良い溶媒というのがまた驚きです。テトラヒドロキノリンとの反応では、水が圧倒的に最速、最高収率をたたきだしています(他に試している溶媒はMeOH, tert-BuOH, DMSO, DMF, dioxane, THF, CH3CN, CH2Cl2, PhMe)。

さらにone-potでカルバメートや非対称ウレアへと誘導することもできます↓

34 examples, 54-98% Yield

carbonylimidazolide形成では、 1級アミンの場合は生成するcarbonylimidazolideはCDIよりも反応性が低く、低温ではさらなる置換が起こり対称ウレアが生成することはないそうです。また、2級アミンの場合は、生成するcarbonylimidazolideはとても安定で、どうやってもウレア、カルバメート、チオカルバメートへと誘導することはできません。

さらに、carbonylimidazolideへの置換反応では、脂肪族アルコール、脂肪族チオール、電子不足アミンでは反応は進行しないです。

反応自体はニューパラダイムだと思うけど、かなり用途が限定された反応ですね

2012年7月23日月曜日

ハロゲンとマグネシウムを交換せよ!

(随分前に)麺場龍吟っていう店で食べたラーメンのメモです。

-信州味噌らーめん memo-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
麺: 普通の黄色縮れ麺
スープ: やや濃口という表示だが、かなり濃厚。甘みもけっこう有り、finishの仄かな辛さが漂う。表層にけっこう多めの油が浮かんでいる。
日本人好みの濃厚味噌スープと油でもっているラーメンと認識。
焼豚は炙った芳ばしい香りは良いのだけれど、味は殆ど素で少し生臭い脂の匂いがして旨くない。


閑話休題


上半期のこんな論文を読んでみました↓

Leaving Group Dependence of the Rates of Halogen–Magnesium Exchange Reactions
Org. Lett., 2012, 14, 2602-2605.

Knocheらのグループの報告で、ハロアレーンとTurbo Grignardとのハロゲン-マグネシウム交換のお話で、それらの相対反応性と絶対反応速度定数を報告しています。

で、これまで定性的に知られていたハロレーンの相対反応性が定量化しました↓

ArI > ArBr > ArCl
(relative reactivities: 1011 : 106 : 1)



その他Tips↓
a) bomine-magnesium交換は芳香環上の電子吸引性置換基によって加速される
b) 置換基効果は臭素原子との距離が離れるほど減少する(para < meta << ortho)
c) トシル基は臭素よりもすくなくとも104倍遅い
d) p-tolylsulfinyl基はヨウ素よりもちょっと速い (preliminary)

はっきり言って、読んでみて損はない論文と思います。

2012年7月16日月曜日

late-stage trifluoromethylationのためのTrifluoromethylator (2)

昨年、くぼのっていう蕎麦屋にいったんですが、その時食べたそばがあまりにも印象的だったので、いまごろになってメモしてみます。

-くぼの メモ-
もりそば (630 JPY)
-RATING- 激マズ
-REVIEW-
ソバは粘土とゴムを想起させる食感で信じられないくらい太さにバラツキがある。極細からキシメンくらいの幅がある(っていうか、ちゃんと切れていない部分が多数)。ソバには黒い斑点があり、挽きぐるみを使用しているのだろうか?ツユは業務用かと思うほど風味がない。少ししょっぱめだが、圧倒的にソバに絡まずカツオ風味が少しするのみ。ちなみに、ツユはソバ徳利には入っておらず、全量が茶碗に入って提供される(従って、ソバを食べ進むうちにどんどんツユが薄まっていく)。また、ワサビも業務用か?
全てのテーブルには無造作に灰皿が置いてあるという無神経さで、店員の愛想も良くない。
席に着いて出される飲み物は冷たい麦茶。個人的には二度と行かない店リストにランクインしたのだが、店は客で混み合っていた。
-DATA-
栃木県馬頭産そば粉100%使用
二八そば
-SHOP OWNER- 久保野 源司


閑話休題


今年上半期に読んだ論文のメモです↓

Copper-Catalyzed Oxidative Trifluoromethylation of Terminal Alkynes and Aryl Boronic Acids Using (Trifluoromethyl)trimethylsilane
J. Org. Chem., 2012, 77, 1251-1257.

アルキンとアリールボロン酸のトリフルオロメチル化のお話です。銅が触媒するトリフルオロメチル化には以下のようなものがあります↓

Electophile + Nucleophile Protocol

Nucleophile + Nucleophile Protocol

Nucleophile + Electrophile Protocol
(トリフルオロメチル化剤が高額らしいです)

で、今回著者らが開発したのはこちら↓

This work

Nucleophile + Nucleophile Protocolの触媒バージョンです。系内でTrifluoromethlator (see http://researcher-station.blogspot.jp/2012/03/hartwig-trifluoromethylation-late-stage.html)を発生させてトリフルオロメチル化を行っています(stoichiomethic reactionだと殆どの場合、収率up↑)。



触媒的なNucleophile + Nucleophile Protocolという新たな方法論を確立したことは凄いと思うけど、この反応、はっきり言って操作が超面倒そうです。TMSCH3とKFからトリフルオロメチルアニオンを発生させるんですが、CF3-は不安定で、普通に反応させると、発生したCF3-が壊れちゃって触媒サイクルが回らなくなってしまいます。そこで、CF3-の分解を抑える滴下法を採用する必要があります。なのでCuI, 1,10-phenanthrolin, KF, DMFのmixtureにTMSCF3 (2 eq.)を加え、100℃に加熱した後、TMSCF3 (2 eq.)と基質をシリンジポンプで4時間かけて滴下しなければなりません(基質もゆっくる加えるのはホモカップリングを抑制するため)。

はっきり言って、TMSCF3を無理して5 eq.つかうくらいだったら、stoichiomethic reactionでよくね?って思うのはボクだけでしょうか?殆どの場合、収率もアップするみたいだし。

cf.
TSMCH3 (Mw. 142.20)/   28,800 JPY/25 g (TCI)
1,10-phenanthlorin monohydrate/   6,800 JPY/25 g (TCI)
CuI/ 12,000 JPY/500 g (Kanto)
(CuOTf)2・C6H6 (Mw. 251.67)/ 29,600 JPY/5g (TCI)
KF/ 9,000 JPY/500 g (Kanto)

Beautiful Improvement

人形町にある鯛焼屋で鯛焼食べてみました。

-柳屋の鯛焼 (140 JPY) memo-
-RATING- ★☆☆☆☆
-REVIEW-
創業大正5年(1916年)の老舗。芳ばしい香りは秀逸だが、皮の厚さと餡の入り具合が不均一ではっきり言って大して旨くない。老舗の高級鯛焼が聞いて呆れる。銀のあんの方が圧倒的に旨いと思います。


閑話休題


上半期にこんな論文を読んでみました↓

Development of a Robust Procedure for the Copper-catalyzed Ring-Opening of Epoxides with Grignard Reagents
Org. Process Res. Dev., 2012, 16, 435-441.

Merk (Merk Sharp and Dohme)の研究グループの報告です。


Grignard試薬によるエポキシドの開環反応です。まあ、一見するとなんてこと無い反応ですが、古典的でシンプルな反応であっても意外と難しかったりするものです。そして、突き詰めて検討を重ねることで当該反応に対する造詣が深まり、これまでは思いもしなかった新たな知見が得られたりもします。

さて、このトランスフォーメーションなんですが、additive無しで普通に反応させるとハロヒドリンが副生するそうです(恥ずかしながら初めてしりました)。しかも、場合によってはハロヒドリンの方がmajorになることもしばしばらしいです。

で、ハロヒドリンの生成を抑えるために、cryogenic conditionが必要になったり、Grignard試薬のrapid additionが必要になってきて、scale upすればするほど厄介な気持ちでいっぱいになってしまいます。

ところで、上記schemeに示される反応をstandard literature conditions (vinyl magnesium bromide, THF, under 20℃)で反応を行うと、ブロモヒドリンがmajor productとして得られるそうです。

で、著者らのimprovement (X=Clで実施)↓
a) 銅触媒の添加がハロヒドリン生成抑制に効果があり、CuCl > CuI。
b) Grignard試薬を滴下する方法では、滴下時間が長くなるにつれてハロヒドリンの生成が増える(銅触媒の増量が必要になる)
c) エポキシドを滴下する方がハロヒドリンの生成抑制に有効
d) エポキシド滴下条件では、 ハロヒドリン生成抑制には温度が効いている(-5 to 0℃がよい)。Grignard試薬の使用量やエポキシドの滴下速度は重要ではない。
e) 反応温度: -20 to +20℃; Grignard試薬: 1.5-2.5 eq.; エポキシドの滴下時間: 15-105 minで堅牢性を担保 (General Procesureは、Grignard reagent (1.5 eq.), CuCl (5 mol%), エポキシド滴下時間: 1 hr, エポキシ度滴下温度: -10 to -5℃)。


基質一般性↓



よく選択性とかが上がらないときって、温度下げたり、試薬の量を増やしたりといったことをすると思いますが、それってけっこう下品な改善策で、あまり美しくない。

プロセスケミストの仕事は「美しい改善」。そんなことを感じさえてくれる論文と思いました。

2012年7月15日日曜日

超原子価ヨウ素でトリフルオロメチレーション

メディカルエンターテインメントの旗手海堂尊の最新作「ケルベロスの肖像」を読了しました。帯には「バチスタ」シリーズついに完結!とあるように、所謂「田口・白鳥シリーズ」はこれにてひとまず終幕といった感ではありますが、桜宮サーガはまだまだ続きそうです。

本書では、ボクの大好きなスカラムーシュが敗北したり、ケルベロスの塔が崩壊したりと、一見するとAiにいいところないような気もしますが、Aiが世の中に広く深く空気のように浸透するためには、桜宮サーガにおいてAiの象徴的・圧倒的な勝利があってはならないんだろうなと思いました。


閑話休題


今年上半期に読んだ文献のメモです(しつこくトリフルオロメチル化の話です)↓

Copper-Catalyzed C(sp3)–C(sp3) Bond Formation Using a Hypervalent Iodine Reagent: An Efficient Allylic Trifluoromethylation
J. Am. Chem. Soc., 2011, 133, 16410-16413.


15 examples, 44-97% yield

Togni試薬を使ってAllylic Trifluoromethylationっていうお話です。

脂肪族アルデヒドを基質に用いる場合は、アセタールの形成を防ぐために溶媒をMeOH→DMFにチェンジすればオッケー。TBDMSエーテル、エステル、アミド、ベンゾエート、ベンゼンスルホナート、フタルイミドがあってもオッケーです。ベンゼン環のついた基質では、直鎖と分岐のmixtureとなり効率が低下します。

また、TEMPOを加えて反応を行うと、TEMPOのO-トリフルオロメチル化体が優先的に生成することから、トリフルオロメチルラジカルの関与が支持されます。

で、推定反応機構はこちら↓


ちなみにこの反応、初期のスクリーニングでCF3源の検討してるんだけど、Ruppert-Prakash reagent/CsF/PhI(OAc)2, Ruppert-Prakash reagent/CsF/tert-BuOOH, Umemoto reagent, Togni reagent (1-Trifluoromethyl-3,3-dimethyl-1,2-benziodoxole)では全然ダメでした。

Togni reagentで、

× : 1-Trifluoromethyl-3,3-dimethyl-1,2-benziodoxole
◎ : 1-Trifluoromethyl-1,2-benziodoxol-3(1H)-one

っていうのは、超原子価ヨウ素まわりのLewis酸性が効いてるんですかね?

Togni reagent IIは結構高いけど(TCI, 12,700 JPY/g)、反応はクリーンそうでちょっとそそられます。

2012年6月24日日曜日

Hartwig Difluoromethylation

先日、ちばき屋っていうラーメン屋に行ってきました。

-ちばき屋 メモ-
支那そば (700 JPY)
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
麺はコシのある超極細縮れ麺でボクの好みの仕上がり。スープは魚介と獣系のmix(多分)でかなりあっさりしている。中華系の定食屋のスープに酷似しているが、それよりもしっかりした味で粘度を少し感じる。麺へのスープの絡み具合は良好で、はっきり言ってとても旨いオーソドックス系ラーメンに仕上がっている。具は、チャーシュー、メンマ、カイワレ、のり、ネギ。のりはとても美味しい。チャーシューは脂が抜けているが歯ごたえは楽しめ可もなく不可もなくといった印象。オーソドックス系ラーメンでもここまで旨くなれることに驚き。


閑話休題


流行ってるぜフッ素化(-F, -CF3, -CF2H)ということで、こんな文献を読んでみました↓

Copper-Mediated Difluoromethylation of Aryl and Vinyl Iodides
J. Am. Chem. Soc., 2012, 134, 5524-5527.

Hartwigの開発したジフルオロメチル化のお話です。

前回のブログでメモしたBaranの芳香族複素環に対するC-Hジフルオロメチル化でしたが、今回のHartwigの報告は、ヨウ化アレーンとVinyl-Iに対するジフルオロメチル化です。


Ar-CF2Hの合成法は、Ar-CHOをSF4, DAST, Deoxofluorといった試薬で処理するのが一般的らしいですが、これらの試薬は水との接触でHFを放出したり、加熱すると爆発的に分解したりするらしいです。

また、最近、網井らによって報告された3段階からなる合成法(上記Scheme中段)では、最初のクロスカップリングが電子不足のヨウ化アリールでしか進行せず、3段階トータルで控えめな収率に留まるようです(Org. Lett., 2011, 13, 5560. 読んでないけど)。

で、著者らが着目したCF2H源は、TMSCF2Hで、これはTMSCF3 (Ruppert-Prakash reagent)をジグリム中、室温でSBHを作用させることで調製できます(70% yield, マルチグラムオッケー)。

最初、著者等は以前報告したトリフルオロメチル化(http://researcher-station.blogspot.jp/2012/03/hartwig-trifluoromethylation-late-stage.html)と同様に(1,10-phenanthroline)CuCF2Hでジフルオロメチル化を試みますが、多くはアレーンとなり、目的のジフルオロメチル体はトレース量しか得られなかったそうです。

で、最終的に見出された条件は↓

14 examples, 37%-quant. (19F NMR yield), 30-90% isolated yield

electron-neutral, electron-rich, sterically hinderdな基質で高収率。アミン、エーテル、アミド、エステル、芳香族臭化物、THPエーテルに対して適用可。ケトンやアルデヒドはジフルオロメチル基のカルボニル基への付加と競合してしまうけど、アセタール保護したケトンはオッケー。

電子不足な基質だとアレーンが主生成物となり、トレース量のトリフルオロアレーンとテトラフルオトエチルアレーンが副生するそうです。

あと、この反応はVinyl Iodideにも適用可能です↓

NMR収率、括弧内は単離収率

著者等はいろいろと検証実験を行い、その結果を考察することで、この反応は、まずCu(CF2H)2-が生成し、これが不安定なCuCF2Hのリザーバーの役割を果たし、その結果CuCF2Hが低濃度に抑えられることによってCuCF2Hはその分解が抑えられてヨウ化アレーンと反応すると考えているようです。

それにつけてもHartwigの仕事って、ホント、スマートでカッコいいなあと思う二流大出のなんちゃって研究員でした。


ちなみにTMSCF3はTCIで9,300 JPY/5g, 28,800 JPY/25 gで売ってます(http://www.tcichemicals.com/eshop/ja/jp/commodity/T1570/)。

DFMS: Baran's New Reagent

最近愛読している「めしばな刑事タチバナ」(漫画)に名代富士そばのカレーかつ丼なる商品が紹介されていて、その味を確かめてみたと思って、とうとう初めての富士そばに行ってきました(ちなみに、「めしばな刑事タチバナ」はジャンク・グルメ紹介漫画だ)。

いざ富士そばに入ってみたんですが、ボクって一応蕎麦喰いなので蕎麦食べたくなるじゃないですか?
(一応、富士そばも蕎麦屋なので)オーダー変更して「かつ丼セット」=かけそば(大盛り)+かつ丼+温泉卵をチョイスしました(なんとか、かつ丼をたのむことでカレーかつ丼の雰囲気を維持した感じ)。ということで、富士そばメモです↓

-富士そば 神田今川橋店 かつ丼セット (690 JPY)メモ-
-RATING-   激マズ
-REVIEW-
・かつ丼/ 学税時代学食で売ってたかつ丼ライクな味と食感。はっきり言って、油が良くない(けっこうクサい)。
・蕎麦/ ソバは茹で加減が不均一で全然ダメ。とても不味い。ツユもスーパーで売ってる市販品級。しかもデカイお椀に全てのツユが入っていてネギまで投入済みで提供される。ワサビの不味さも天下一品。「スーパーの味を店舗で」以上にダメダメ。

ちなみに、店内のクリンリネスも全然ダメで、店員も愛想がいいとは言い難かったですね。っていうか、どうでもいいけど、良いところが一つもない。


閑話休題


今年上半期に読んだ論文のメモです↓

A New Reagent for Direct Difluoromethylation
J. Am. Chem. Soc., 2012, 134, 1494-1497.

またPhil S. Baranの報告で、heterocycleのダイレクト・ジフルオロメチル化のお話です。ジフルオロメチル化は、(i) アルデヒドをSF4やR2NSF3 (DAST, Deoxofluor)で処理する方法や、(ii) ハライドとTMSCF2CO2Etとのクロスカップリング/加水分解/脱炭酸、(iii) Ar-CF2Brのラジカルデブロミネーションなどがあるようですが、いろいろと問題があるみたいです。

で、著者らが見出したのがZn(SO2CF2H)2 (DFMS)という試薬(CF2HSO2ClをZn(0)と反応させて合成する)。

22 examples, 30-90% Yield

こいつを使うとマイルドな条件(室温)で反応が進行し、オープンフラスコでオッケーで、電子欠乏部位で選択的に反応が起こるようですこれは、前回のブログでメモしたBaranのとダイレクト・トリフルオロメチル化とは対称的で、その点についてorthogonalityをアピールしています (see http://researcher-station.blogspot.jp/2012/06/700-jpy-rating-review-innate-c-h.html )。


また、使用する溶媒によって伴う位置選択性も変わります↓



さらに、チオールやエノンへも適用可↓


それにしても、凄いバイタリティーとクリエイティビティとプロダクティビティだなと思う二流大出のなんちゃって研究員でした。

あ、あとDFMSはアルドで18,400 JPY/gで売ってます(http://www.sigmaaldrich.com/catalog/product/aldrich/l510084?lang=ja&region=JP)。


2012年6月23日土曜日

ダイレクトにlate-stage trifluoromethylation

先日、柏にある東池袋大勝軒いちぶんに行ってきました。で、そこで食べた中華そばのメモです。

-中華そば (700 JPY) メモ-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
麺は細麺と中太麺を選択可能で細麺をチョイス。ただ、個人的にはどうみても中太にしか見えなかったが、モチモチしてプッツリとした食感のとても美味しい麺。
スープは上品で粘度を感じる魚介系も塩味が足らず、麺の強さにうまく対応できていない。
具はナルト、タマゴ、焼豚、海苔、シナチク、万能ネギ。




閑話休題


今年上半期の読んだ論文のメモです↓

Innate C-H trifluoromethylation of heterocycles
Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 2011, 108, 14411-14415.

Phil S. BaranのC-Hトリフルオロメチル化のお話です。

23 examples, 33-96% Yield

反応はマイルドな条件で進行し、オープン・エアでオッケー。官能基許容性も高く、様々な電子状態の複素環に対して適応できます。置換箇所が複数ある基質では選択性はでるものの位置異性体のmixtureになってしまいますが、late-stage C-H trifluoromethylationを具現化している点は純粋に凄いと思います。

しかしながら反応条件は、NaSO2CF3 (3 eq.)とtert-BuOOH (5 eq.)で反応させて、反応が完結しなかったらさらにNaSO2CF3 (3 eq.)とtert-BuOOH (5 eq.)を加えるというお世辞にもスマートなプロシージャーとは言い難いように思います。

あとこの反応、普通に撹拌して反応を行うと発熱が凄くて、試薬がぶっ壊れてコンバージョンが上がらない(ってことだったような気がする)。なので、無撹拌状態(=有機相と水相が分離した状態)、もしくはあまり調子にのって強撹拌しない条件で反応した方が、良好な撹拌状態で反応を行った場合よりも系内の発熱が抑えられ、コンバージョンもUP↑するという検討初期段階のデータがあります。

で、実際の反応ではどんな操作してるのかと思って、SIを見てみたら、基質、NaSO2CF3, CH2Cl2, H2Oのmixtureに0℃で強撹拌下、ゆっくりとtert-BuOOHを加えて、その後室温に昇温するっていうものでした。

ちなみに、気ままに創薬化学さんの記事によると、「すでにいくつかの製薬会社で使われている」らしいです(プロセス・ケミストはあなどれないね)。
see http://medchem4410.seesaa.net/article/246126702.html

あと、この反応の特徴として著者等はorthogonalityと溶媒の適切な選択による位置選択性のチューニングを挙げています↓


最後に、著者等の考える推定反応機構はこちら↓



以上、メモでした。