2021年4月30日金曜日

アミノ酸(ペプチド)の化学 (9):アルギニンのグアニジノ基の件

コロナ禍でもオムライスが好き。
ども、永遠の食いしん坊中年のコンキチです。

まだ変異株が猛威を振るうまえに、深川にあるレストランでオムライスなどを食べたときのメモです。

-銀座煉瓦亭 深川本店 memo-

住所:江東区新大橋2-7-4 ブリック石倉1F

-サッポロラガー (中瓶) (700 JPY)-


-ライス (280 JPY)-


-カイフライ (10-4月) (990 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
脱力系の旨さが秀逸なカキフライ(スープ付)。
油はしっかりと切れたしっとり系の衣。牡蠣は小振りだけど、噛み心地が気持ちよくて、しっかりと熱の入った身から滲み出る滋味は、穏やかだけどクセになる味。
そのままなにもつけずに食べて美味しい。塩をちょっぴり振って食べると味が引き締て良いです。レモンを絞ってさっぱりいただくのも楽しい。でも、一番牡蠣の味が映えるのはウスターソースだと思う。ウスターのボタニカル&フルーティーな香味がベストマッチです。
付け合わせのスパゲッティーはやんわりカレー味。サービススープは、はっきり言って薄いけど、生姜のフレーバー(flavor)がちょっぴり立っていて悪くない味。



-オムライス (990 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
サービススープ付き。
玉子が薄皮タイプのベーシックなオムライスで普通に美味しい。
チキンライスの具材はチキンに玉葱。オムライス特有のご飯のねっちゃり感はやや控えめ。
オム(玉子)とチキンライスを一緒に食べると、もうベストマッチ。トマトケチャップは酸味リッチ(rich)で、オムライスの味をキリッと一段引き立てます。
調和のとれた落ち着いた味付けで、安心感のある脱力系の旨さに満足しました。


深川(森下)は銀座みたいに肩肘張らなくていいから、いいね。


閑話休題


昨年冬、大人の娯楽誌「週刊東洋経済」に

製薬大リストラ

という特集記事が組まれました。


サブタイトルは「コロナで加速するMR淘汰」です。

要は、コロナ禍で医療機関が感染予防のために外部からの訪問者を厳しく制限したことでMRの活動量が激減したわけですが、お薬の売り上げが落ちなくてMRって要らないんじゃね?ってことが白日の下に晒されたというお話です。

一言で言うと、

MR不要論Death。

「オイラMRじゃなくて良かったぜ」なんて嘯く研究部門の方がいらっしゃるかもしれませんが、安心するのは早計です。

この号には、

リストラに聖域なし 研究職も例外じゃない!

なんていう研究職様向けの記事も用意されているのです。

嘗ての画期的イノベーションにより幅を利かせてきた低分子創薬は、21世紀に入ると時代遅れのモダリティに堕し、その分野に従事している研究員がヤヴァイですよという内容です。

低分子創薬が無くなることはないと思うけど、第二の画期的イノベーションによるブレークスルーがなければはジリ貧一直線でしょうね(まるでどこかのアジアの某先進国のようです)。そして、それは合成技術ではなくって、AIとかを使ったドラッグデザイン的なブレークスルーなんだろうと予想します(まさに「ジェノサイド」)。だけど、結局はAIを使いこなす人間の創造力がクリティカルなんだろうと思います。知らんけど。

この記事によると、(業界では有名な話だと思うけど、抗体医薬だーいすきな)中外製薬は低分子創薬への投資を大幅縮小だそうです。

で、現在主力の創薬モダリティは抗体医薬なわけですが、製薬各社はネクストモダリティの研究にも取り組んでいて、その候補には核酸医薬、中分子医薬、ペプチド医薬などがあります。

なにはともあれ、低分子創薬は人余りで配置転換や転職が必至なわけです。それでも、光明がないわけではなくって、低分子創薬のバックグラウンドである有機合成化学は、核酸医薬、中分子医薬、ペプチド医薬といった次世代創薬(ニューモダリティ)に生かすことが可能です(化学合成出来っからね)。そんなわけで、バイオベンチャーの方がおっしゃることには「大手で低分子創薬の研究が隆盛だった時期に入社した40代から50代の低分子の研究者が、ここ数年の早期退職で転職してきているケースをよく見る」んだそうです。

ということで、ボクもつぶしがきくようにペプリド(と核酸)の勉強してみようかなと思って始めたメモが、"アミノ酸(ペプチド)の化学"シリーズです。

それではメモっていきましょう、ペプチドのケミストリーを。
今回のお題は"アルギニン"です↓
Nδ,ω,ω'-protected Arg derivative

アルギニンの側鎖のグアニジノ基は三つのアミノ基から構成されているわけで、その何れもがペプチド合成のプロセスで(望まない)アシル化を受ける可能性があります。従って、アルギニンの側差が適切に保護されていなければ、分子内環化してδ-ラクタムが副生する危険でいっぱいです。

側鎖の三つのアミノ基Nδ,ω,ω'が全て保護されていれば、理論的には上記副反応を抑えることができるんだけど、Nδ,ω,ω'保護体であるNδ,ω,ω'-tris(Trt)-アルギニンの調製が面倒かつ低収率であるためペプチド合成の分野では普及していないそうです。

そして、二個保護体であるNδ,ω-bis-保護アルギニンは分子内環化によるδ-ラクタムの副生を防ぐことができますが、Nω'のアシル化と続く分解は回避できません。

ちなみに、Nδ,ω-bis-Boc保護体(Nδ,ω-Arg(Boc)2)とは違って、Nω,ω'-bis-保護体(Nω,ω'-Arg(Boc)2)は、グアニジノ基のアシル化と続く塩基による分解は抑制できますが、分子内環化によるδ-ラクトン形成のリスクは残ります。
それから、Nω-mono-保護されたFmoc-Arg(Boc)-OHは、グアニジノ基のアシル化とそれに続く分解が起こりやすいとです(Arg誘導体のグアニジノアシレーションと続く分解のしやすさは、Argの側鎖のグアニジノ基の保護基の按配にダイレクトに相関するのね)。

さて、ここでアルギニンの側鎖の副反応がどのタイミングで起こるか考察してみましょう(っていうか教科書に書いてあった)。
アルギニンの側鎖のグアニジノ基は塩基性(pKa 12.5)が強いので通常プロトン化されています。なので、この状態ではアシル化などの副反応が抑えられています(それ故に、ある種のペプチド合成は側鎖が無保護のアルギニンで行うことができる)。
ということで、ヤヴァイのはアルギニンが脱プロトン化したときです。で、SPPSで脱プロトン化が起こるのはピペリジンによるFmoc基の脱保護の工程で、その後に続くアミノ酸とのカップリングの際に副反応であるグアニジノアシレーションが促進します。
この困った事態を解決する施策として有効なのが、ピペリジン処理とアミノ酸カップリングとの間にHOBr溶液によるレジン洗浄を入れることです。この処理によって、フリーになった(遊離した)アルギニンが再プロトン化し、副反応(グアニジノアシレーション)を抑えることができます(HOBtが酸性だし、活性エステル形成の素だからね)。それでも、H-Pro-OtBuみたいな弱塩基性の誘導体とのカップリングではグアニジノ基が部分的脱プロトン化して副反応が起こっちゃうかもしれません(ということはあれだね、塩基性条件下でのカップリングもダメだね)。

(ボクが読んでいる教科書によると)今日ではPmcやPbfといったNω-アリールスルホニル誘導体が標準的なアルギニン側鎖の保護基として使われているようです。このタイプの保護基はアルギニンの活性化の際にδ-ラクタムの形成を完全に抑制することはできないけど、総合的に優れたパフォーマンスを発揮するのでアルギニンの保護基として最も使用されているといいます。


 それから、アルギニン側鎖の新しい保護基も開発されています。Suben, Sub, MeSubのトリオです。

デカイ置換基の立体障害がグアニジノ基のオーバーアシレーションやδ-ラクタム形成の抑制に有効です。さらなる特徴としては、アリールスルホニルタイプの保護基よりも圧倒的に酸に弱く、薄っすーいTFA溶液で脱保護可能なところです。 

あと面白いのがNω-NO2保護アルギニン誘導体 Arg(NO2)で、普通の保護基でアルギニン側鎖のアシル化や続く分解といった副反応がメインに進行しちゃうときに理想的な保護基となります。ニトロ基の強力な電子吸引性によってグアニジノ基のNωNδの求核性を低下させ、副反応への関与を抑制すところが良いです。

まあ、側鎖のNωやNω'が保護されていれば、電子吸引効果によるNδの求核性の低減や、立体障害によって副反応はそれなりに抑制されますが、副反応には目を光らせたいものです。

ハイ。以上、つぶしを効かせられるテクニシャン(研究補助員)になりたい国内二流大出のテクニシャンのニューモダリティ配置転換志向メモでした(製薬業界も大変ですね)。


2021年4月23日金曜日

アミノ酸(ペプチド)の化学 (8):チオアミドペプチドの酸分解の件

コロナ禍でも回転寿司が好き。
ども、庶民の味「回転寿司」を探求する永遠の食いしん坊将軍のコンキチです。

錦糸町にある回転寿司屋に行ったときのメモです。

-もり一 錦糸町テルミナII店 memo-
住所:墨田区錦糸町1-2-47 錦糸町ステーションビル「らがーる」内

-生ビール (385 JPY)-

-まぐろ (180 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
しっとりした舌触りで、甘みがあって美味しい。
回転寿司の鏡。







-江戸前小肌 (180 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
これは美味しい!身がちゃんと軟らかくって、味はとがったところが皆無。大葉の香味もマイルドで、いい塩梅に仕立てられた小肌の繊細な香味を壊すことはない。イイネ。






-北海生だこ (180 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
いい感じに生だこらしさ全開。
薄くスライスされてるのが、食感が映えてうまいんだよね。








-自家製〆サバ (三貫) (143 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
少し塩辛さを感じるけど、美味しい。
柔らかい風味の脂で、くさみもない。
三貫でこの値段はコスパ高し!







-筋子軍艦 (180 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
普通に美味しい。海苔がパリッとしてて香ばしいね。








-ハイボール (385 JPY)-

-茶わん蒸し (220 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
率直に言って量少ないです。でも、味がしっかりしてるから。"よし"です。
椎茸の香味リッチ(rich)で、その食感にダイナミズムを感じます。あと、トップ(top)のいくらの香味ふぁけっこう効いてる。
その他具材には鶏肉など。



-鉄砲巻 (180 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
わさび入りの干瓢巻き。初めて食べたけど、、これはいいね。気に入った。








-金華いわし (180 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
くさみは全然なくて、フレッシュネス(freshness)・リッチ(rich)。
少し鯵に似たダイナミズムのある味と食感。
ビバ!金華霊山!!







-さより (143 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
そこはかとないフィッシー(fishy)さと、非ウェット(anti wet)系の食感が良いです。








-生ゲソ (143 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
ゴキュゴキュしている。









-たらこ握り (180 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
軍艦じゃなくて"握り"であることに好感が持てます。









-えんがわ (180 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
適度な身の張りと適度な脂で美味しいです。









このお店のシャリって赤舎利なんですが、旨味深いマイルドテイストでとても美味しいです(シャリが旨い!)。
ネタの鮮度が良くって、シャリとの大きさのバランスも良いです。
多分、ロボシャリを一握りして提供してると思うんだけど、いいですね。シャリ玉ロボットの技術革新が素晴らしいです。
お醤油は甘くてコク深く、辛さもしっかりしています。


閑話休題


チオアミドペプチドに関するメモです。

まずは、チオアミドの特性です。より具体的には、カウンターパートである(普通の)アミドと比較です↓

a) 安定性、活性、分子認識に係る選択性において優れてることがあり、その二次構造もまた大きく異なる。

b) 硫黄原子は酸素原子と較べて低い電子陰性と大きい半径を持つので、チオアミドペプチドの硫黄原子は、通常のアミドの酸素原子よりも弱い水素結合アクセプターとして、チオアミドの水素は強い水素ドナーとして働く。
そのため、β-turnγ-turnといった二次構造の崩壊や安定化に影響を与える。

c) 通常、チオアミド結合の回転障壁は対応するアミド結合より高いため、ペプチドの二次構造の安定化に寄与する。

こんな感じです。

で、チオアミドの合成法なんですが、対応するアミドのチオカルボニル化するわけで、P4S10とかLawwsson's reagent、Yokoyama's reagentが使用されると言います。


恥ずかしながら、Yokoyama's reagentは初めて知りました。


-Yokoyama's reagent memo-
Improved O/S Exchange Reagents (Synthesis, 1984, 827-829.)

この論文によると、硫化水素、硫化ホウ素 (B2S3)、トリブロモホスフィンスルフィド (Br3PS)、五硫化二リン (P4S10)、ローソン試薬、2,4-bis[4-phenoxyphenyl]-1,3-dithia-2,4-diphosphetane 2,4-disulfide、2,4-bis[alkylthio:-1,3-dithia-2,4-diphosphetane 2,4-disulfideがO/S交換試薬として知られているそうです(当時)。で、これらの試薬は入手性に問題があったり、危険だったり、反応条件が過酷だったりして、満足に足らないみたいです。

そして、こういったドローバックを改善した試薬がYokoyama's reagentなのです↓
R=H : 58% yield;  R=OMe : 60% yield

アミドやラクタムのチオカルボニル化、スルホキシドからスルフィドへの還元反応についてローソン試薬と収率比較していますが、Yokoyama's reagentの完勝です。
それから、カルボン酸との反応ではジチオカルボン酸のフェニルエステルがメインプロダクトになります。

Yokoyama's reagent memo 終了
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次にチオアミドユニットの導入ですが、6-nitrobenzotriazole thioamino acidを用いた方法が確立されていて、その合成法はこんな感じです↓

 Boc保護アミノ酸を4-ニトロ-1,2-phenylenediamineと縮合させた後チオカルボニル化し、分子内ジアゾ環化することで6-nitrobenzotriazole thioamino acid(活性エステル)へと誘導します。そして、この活性エステルをペプチドシーケンスに組み込んで一丁上がりです(ちなみに、こに種の活性エステルは0℃で二ヶ月は安定なようです)。 

この方法はアスパラギン酸以外の天然アミノ酸(タンパク質を構成するアミノ酸)に対して有効です。
どうしてアスパラギン酸には使えないかというと、副反応(しかも、圧倒的)が起こってしまうからなんですが、具体的にはこういうことになります(シクシク涙 orz.....)。↓


 あと、チオアミドペプチドでヤヴァイのがエドマン分解様(Edman degradation)の酸分解です。脱樹脂・脱保護工程は危険なので、できるだけ濃度の低いTFAで、処理時間をできるだけ短くするのが大事です。

ところでBoc(Nα-Boc)基に関していえば、AlCl3やSnCl4のようなマイルドなLewis酸で脱保護可能で、TFAを用いた脱保護と比較してチオアミドの酸分解を抑えられます。この場合は溶媒効果が大きく、SnCl4を用いた脱保護ではMeCN中で反応が促進します。 


また、Bocよりも酸に弱いなBpocやDdzで保護して、"Mg(ClO4)2/MeCN"や"ZnCl2/THF"みたいなよりマイルドな条件で処理すると、チオアミド結合を棄損することなく選択的にBpoc/Ddz基のみを脱保護することができるようです。この手法は極めて酸に弱いSieberやSASRINレジンを使ったSPPSに使用されるそうで、Bpoc基は50℃でMg(ClO4)2/MeCNで除去できるのに対し、Boc基やチオアミド結合は影響を受けません。
ちなみに、ZnCl2/Et2Oでペプチドの結合したレジンを処理すると、脱樹脂とBoc/OtBuの脱保護が即座に起こります。

ふーん。チオアミドペプチドは強酸条件が苦手なのね

それでは最後に、チオアミドペプチドのSPPSの合成戦略(Scheme)をメモしてフィニッシュです↓


以上、国内二流大出のテクニシャン(研究補助員)のペプチドスーパー初心者級メモでした。


2021年2月13日土曜日

アミノ酸(ペプチド)の化学 (7):C-TERMINAL N-Me-Xaa

コロナ禍でも、たまには美味い肴で一杯やりたい。
ども、お魚大好き。魚食いの日本人のコンキチです。

仕事をサボって効率的に進めて早めに切り上げて、コロナ禍の6月頃に美味い肴で一杯やったときのメモです。

-野口鮮魚店 memo-

住所:墨田区東駒形4-6-9
最寄駅は本所吾妻橋です。

-フリージングハイボール (500 JPY+tax)-
-REVIEW-
普通にウィスキー・ハイボールです。

-あじたたき (650 JPY+tax)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
とってもフレッシュ(fresh)!軟らかくて張りのある身は素晴らしくしなやか。フィッシーノート(fishy note)は極めて軽微で、淡白めな綺麗な味。
お醤油は甘め。
何も付けずにそのまま食べて美味しい。
薬味(生姜と葱)をほんのちょっとだけ載せて醤油につけて食べるのがいい。
真剣、旨いです。



-生ビール (550 JPY+tax)-
-REVIEW-
やっぱ暑い時期は淡色ラガーの生が一番!


-鮪希少部位赤ワイン煮 (1,180 JPY+tax)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
部位は「はらも」。
かなりソリッド(solid)な身質で、キックが心地よい。煮汁は濃いめの甘辛で、粘度が高いフルボディー(full body)の味わいで、僅かに生姜フレーバー(flavor)を感じる。
「はらも」の淡白な旨みの白身に濃い汁がよく合う。

-フリージングハイボール (500 JPY+tax)-


-仲卸し雑汁(あら汁) (430 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
「本日仕入れた店内ほぼ全ての鮮魚を豪快にぶち込み、繊細に作りました」という一品。
お出汁の香味リッチ(richで、)圧倒的な滋味深い味わいのあっさり味噌仕立て。濃蜜なフィッシー・フレーバー(fishy flavor)も嫌な臭みは全くなくて、魚介てんこ盛りの味わいを存分に堪能できる。
汁に入ったお魚たちの身はとっても軟らか。硬くて食べれない骨と、簡単に崩れて美味しく食べれる骨が入っている。
兎に角、魚感のパワフルさに惚れました。
「野口鮮魚店の裏の名物」らしいです。

このお店、掲示されている酒類は生ビールとハイボールだけなんだけど、常連のおじさんは焼酎をボトルキープして呑んでたので、お店の人に聞けば他にも何かあるのかもしれません。
あと、刺身盛合せは二千円から(安いのはやらないそうです)


閑話休題


一般的に、ペプチドのC末端のN-Me-Xaa残基はN-Meのないもの(N-H)と比較して酸性条件下での安定性に欠けます。これは、C末端のN-Me-Xaa残基はシス配置が選好し、C末端のカルボキシル基の求核攻撃を受けやすくなるからです。

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ってオレが読んでる本(Side Reactions in Peptide Synthesis)に書いてあるんだけど、どうなんですかね?
基本ペプチド(-(NH)-)の二級アミドはトランス配置で、αヘリックスなんかは分子内水素結合ネットワークによって立体配置がガチガチに安定化してんだと思います。で、三級アミドの場合は二級アミドのような水素結合が形成できないので、立体配置間のエネルギーバリアが低減してアミド結合の束縛回転のフレキシビリティがあがって、二級アミドと比較して相対的にシス配置の比率が高まるっていうことなんじゃないかと思うんですが。
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ペプチド合成において酸を用いた脱保護、脱樹脂は必須なので、酸分解によりN-Me-Xaa残基の欠落が常に懸念されます

 副反応です↓ 


 五員環の中間体を経てN-Me-Xaa欠損してしまいます。 

通常この副反応の進行は遅く、副生成物の生成もごく少量だと言いますが、もしものときのために覚えておこうかと思いました。

以上、国内二流大出のテクニシャン(研究補助員)のペプチドスーパー初心者級メモでした。


2021年2月11日木曜日

実験化学者のための還元的アミノ化入門 (2)

プレ・コロナの時代に、ちょと苦手な渋谷で焼鳥を食べたときのメモです。

-渋谷 森本 memo-
住所:渋谷区道玄坂2-7-4

-生酒 冷酒 (小瓶 300 ml) (増税前で1,239 JPY)-
-RATING- ★★☆☆☆
-REVIEW-
銘柄は、生貯蔵酒 本醸造喜久水 生貯です(原材料:米(国産)・米麹(国産)・醸造アルコール;精米歩合:65%;日本酒度:+1.0前後;酸度:1.3前後;アリコール分:14%)。
ちなみに当時の定価は389円(税込)だったと思います。
清酒 喜久水 (619円)を冷やで注文したら、お店の人に「冷たいの?あったかいの?」と聞かれたので、「冷たいの」とこたえたら冷酒がきたです。カッコつけて「冷や」と言わず「常温で」と頼むべきでした。

-つくね (
増税前で200 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
塩味。粗挽きで肉々感リッチ(rich)。野趣的な風味で肉の旨味ふんだん。レモンの香味がついていて、食欲がより一層そそれられるいい匂い。文句なく旨い。








-若鶏ねぎま (増税前で200 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
塩味。葱の焼き目の芳ばしい香り。弾力の強いフレッシュ(fresh)なモモ肉はとってもジューシー(juicy)。葱とモモ肉のコンボはやっぱり最強。







-東京軍鶏 (増税前で400 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVEW-
塩味。濃厚な旨味。歯に吸い付くような噛み心地が堪らなく気持ちいい。噛むほどに味が染み出して来るようで、真剣旨い。



-らっきょうワイン漬 (増税前で334 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
ボタニカルリッチ(botanical rich)な香味で、フルーティー(fruity)ささえ感じる。ドギツい真っ赤な色合いとは裏腹に、けっこうマイルド(mild)な味わい。これ、相当旨いね。







-なんこつ (248 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
塩味。なんとも中庸な食感が素晴らしい。肉の部分の味わいに深みがあって、かなり旨い。









-白レバぽん酢 (381 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
ソフトタッチなレバの口溶けが最高に心地いい。レバ特有の野趣的な香味は穏やかながらしっかりあって丁度いい旨さ。
レバのうえにはぽん酢のジュレと刻み葱が載っている。ぽん酢ジュレはレバとしっかり絡んで相性抜群。ジュレの量が少なめなのが唯一の不満。




-ウイスキー (505 JPY)-
-REVIEW-
on the rocks。銘柄はサントリーの角。


このお店で熱燗をたのむと、電動式自動酒燗器からマイヤー(三角フラスコ)に一旦とった後コップに注がれるんだけど、ちょっと引くね。でも、焼き鳥は文句なしに旨かったです。


閑話休題


ハイ、また還元的アミノ化の総説的論文を読んでました。
そして、またまたアセトキシボロハイ(NaBH(OAc)3)推しです↓

A Review on the Use of Sodium Triacetoxyborohydride in the Reductive Amination of Ketones and Aldehydes
Org. Process Res. Dev., 2006, 10, 971-1031.

ジョンソン・エンド・ジョンソンの論文です。

著者らが還元的アミノ化のREVIEWをまとめようと考えたきっかけの反応はこれです↓


合成しようとしていたのは薬剤候補化合物の前駆体で、最初はシアノボロハイ(NaBH3CN)を使うプロセスを考えていたそうですが、シアニドのコンタミがあり、簡便な方法では精製できない状況でした。そこで、アセトキシボロハイ(NaBH(OAc)3)を使ってみたら、当たり前だけどシアニドのコンタミ問題は解決し、収率も良好であることが分かりました。

この成果をもってアセトキシボロハイ(NaBH(OAc)3)に開眼した著者らは、この総説を執筆するに至ったのです。

まずは、この総説で紹介している一般的な反応条件(Reaction Conditions)のメモです↓

a) ケトンを用いたときのStandard Conditions:ketone (1 eq.), amine (1.05-1.1 eq.), AcOH (1 eq.), NaBH(OAc)(1.4 eq.) in DCE or THF as solvent at rt.
b) アルデヒドを用いたときのStandard Conditions:aldehyde (1 eq.), amine (1.05-1.1eq.), NaBH(OAc)(1.4 eq.) in DCE or THF as solvent at rt. (ケトンのときとの違いは、酢酸添加の有無だけ)
c) 1当量程度の弱酸やアミン塩を添加するのも有効で、最もよく使われるは酢酸です。
d) 強酸や強酸のアミン塩は、反応を完全に停止させてしまうかもしれず、基質にアミンの塩酸塩を使用する場合は、三級アミンを加えてフリーにしてやる必要がある。
e) ほとんどのケトンの還元的アミノ化では酢酸添加で反応が加速するが、そでも反応が遅い(> 24 hr)ケースでは、出発物質もしくは生成物のN-アセチル体またはN-エチル体が副生(GC:< 5%)する場合があるので心に留めておきましょう。
f) 酢酸の代わりにTFAを使うことで、N-アセチル化またはN-エチル化を回避できる
g) の還元的アミノ化では、酢酸添加はまず必要ない。
h) アルデヒドと一級アミンとの反応でジアルキル化が問題となる場合、一級アミンを5%以上過剰に加えれば大抵改善する。
i) それ(h)でもダメなら、stepwise procedure (イミンを形成させた後に還元)。MeOH、THF、DCE溶媒中でイミン形成が速い。特にMeOHが速いのでオススメ。MeOH使ったときは、イミンのMeOH溶液をNaBH4で還元するとよい。

ほぼ前回メモったスタンダード・コンディションと同じです。やっぱadditiveでよく使うのは酢酸かTFAだよね。

ハイ、あとはひたすら実際の反応例の紹介になります。具体的には、

Reductive amination of saturated alicyclic and heterocyclic ketones : 49 examples
Diastereoselectivity in reductive amination of alicyclic ketones and bicyclic ketones : 23 examples
Reductive amination of saturated acyclic ketones : 18 examples 
Reductive amination of aldehydes and primary amines : 94 examples
Reductive amination of aldehydes with secondary amines:119 examples
Use of formaldehyde in reductive amination:10 examples
Reductive amination of α- and β-keto acids/keto esters:13 examples
Reductive amination of γ- and δ-keto acids/keto esters:7 examples
Reductive amination of γ- and δ-amino acids/esters:6 examples
Reductive amination of substrates containing ketals and acetals:17 examples
Reductive amination of ketones and aldehydes with weakly basic amines:23 examples
Reductive aminations using solid supports:17 examples
Preparation of primary amines:7 examples
Miscellaneous reactions:17 examples
Limitations:15 examples

 の全約435例がTableにまとめられています(沢山あります)。
前回メモした総説(see http://researcher-station.blogspot.com/2019/08/1.html)と重複しない感じで、適当にメモしていきます。

まずは、キラルな環状ケトンを基質に使ったときのジアステレオ選択性の例です。基本、ヒドリド試薬は立体障害の最も小さい方がら接近していくので、新たに形成するC-N結合は基本cis (syn)体がメインになる傾向にあります。それでも世の中広いので、選択性が全くでないものから、中程度、エクセレントな選択性を示すものまで色取り取りです。


cis-N-benzyl-3-methylamino-4-meythylpiperidine(直上スキーム最後)の合成は25 kgスケールで実施していて、普通のボロハイ(NaBH4)と酢酸からin situでアセトキシボロハイ(NaBH(OAc)3)を調製しています。中間体のイミンはトルエン/THF/EtOHの混合溶媒中で調製され、イミン溶液をアセトキシボロハイの懸濁液中に加えていくという、プロセス仕様(っていうか、お釜使ってるよね)の合成法で造っています(Org. Process Res. Dev., 2003, 7, 115.)。

もう一つ実用的な合成例(4モルスケール)がこちら↓
Chirality, 2005, 17, S149. 

一段階目の還元的アミノ化は水酸基が配向基となってtrans-体が優勢となります。DCE中室温下アセトキシボロハイ(NaBH(OAc)3)で還元するとtrans:cis=1.9:1ですが、D-バリンのtert-ブチルエステルの量を増やし、CH3CN中50˚Cで反応を反応させることにより選択性が7:1に向上します。さらに、還元剤にボロハイ(NaBH4)とプロピオン酸からin situで調製したSodium Tripropoxyborohyrideを用いて70˚Cで還元すると選択性がさらに高まります(trans:cis=10:1)。

続きです↓

あと(おきまりですが)、よりデカいアシルオキシ基の"ボロハイ"で選択性が高いです。

あと、(総説の)著者らも推してる興味深い例です↓

安定なオゾニドアルデヒドの還元的アミノ化↓
Reductive Amination of Ozonide Aldehyde 
J. Org. Chem., 2004, 69, 6470.


ジアルデヒドとジアミンの還元的重縮合なんていうのもあります↓

Reductiove Condensation  of Dialdehyde and Diamine 
Polym. J. (Tokyo), 1998, 30, 857.

この反応はLiClの添加がキモで、それによって収率が大きく改善します。(元文献の)著者らは中間体のヒドロキシルアミンの水素結合を開裂させイミニウムイオンの形成を促進する効果があるのではなかろうかと想像しています。ちなみに、AcOHの添加や加熱(70℃)、冷却(5℃)は反応改善の効果はありません。あと、Ti(Oi-Pr)4/NaBH4, Cl3SiH/DMF, ボラン-ピリジン錯体では全然ダメです。

溶媒にDMAC (N,N-dimethylacetamide)を使用した例です↓

4.4モルスケールで実施しています。DMF溶媒だと二級アミンがホルミル化されるという副反応が起こりますが、DMAC溶媒では改善されます(Org. Process. Res. Dev., 2005, 9, 490.)。

α-ケトエステルはエステルの電子吸引性によりケト基が活性化されていて、還元的アミノ化を促進しますが、それと同時にケトンも還元されやすくなるので、目的の還元的アミノ化の反応速度が遅い場合は注意が必要です。

β-ケトエステルの還元的アミノ化はちょっと特殊で、はじめに形成する中間体はイミンではなくエナミンなんだそうです。

γ-ケトエステルとδ-ケトエステルは、アルキル鎖がいい感じの長さになるので、反応条件下で環化してラクタムを形成します。"reductive ractamization"って言うそうです。


ということで、γ-およびδ-アミノ酸(エステル)の還元的アルキル化においても、反応条件下で環化してラクタムまでいっちゃいます。

スルホンアミドを使った還元的アミノ化は、相手のカルボニル化合物がアルデヒドなら脂肪族でも芳香族でもイケイケですが、ケトンだとダメダメだそうです。



アセトキシボロハイ(NaBH(OAc)3)は樹脂(Solid Support)に付きのカルボニル化合物(ケトン、アルデヒド)やアミンとの還元的アミノ化(アルキル化)にも適用可能で、BAL、BAL-PEG-PS、FMPB、FBMP、HMBA-POEPOP900、Merrifield、PEG-OMe、PS-Trityl-Cl、Rink、Rink Amide、Wang、4-(4-formyl-3-methoxyphenoxy)butyric resinといった樹脂がcompatibleです(オイラ、レジンは全然分かんないけど)。

あと、トリアセトキシボロハイドライドが樹脂(MP resin)にくっついた試薬もあるんですね。MP-BH(OAc)3)っていう試薬です。
Tetrahedron Lett., 2003, 44, 4957.

この試薬をジャブ程度に使ったことがあるんだけど、反応の進行が遅いと思いましたね。まあでも、後処理は楽です。スカベンジャーレジンを加えて濾過するだけなんで。

それから1級アミンの合成法です。よく用いられるアミンソースはアンモニアと酢酸アンモニウムで、還元剤としてはシアノボロハイ(NaBH3CN)が有効です。何故なら、アンモニアや酢酸アンモニウムがよく溶けるメタノール中での反応が普通に可能であるためです(シアノボロハイの加溶媒分解速度は十分に遅い)。酢酸アンモニウムのDCE, THF, CH3CNへの溶解度が小さいため、アセトキシボロハイ(NaBH(OAc)3)の使用は厳しく、10 eq.の酢酸アンモニウムを使用してもジアルキル化が進行してしまいます。
(アンモニアガスを吹き込んで、アンモニア溶液を調製して反応を行えばいいかもだけど、実験室では面倒だよね)
それでも著者らは鋭意検討して、トリフルオロ酢酸アンモニウムならTHFに十分に溶解するので、アセトキシボロハイ(NaBH(OAc)3)を用いた還元的アミノ化に使えることを見出しました。

Abdel-Magid, A. F.; Maryanoff, C. A. Use of Sodium Triacetoxyborohydride in Reductive Amination of Ketones and Aldehydes. In Reductions in Organic Synthesis: Recent Advances and Practical Applications; Abdel-Magid, A. F., Ed.; ACS Symp. Ser. 641; American Chemical Society: Washington DC, 1996; p 201.

他のグループからの報告(特許)もあります↓
U.S. Patent Application 04/0224954A1, 2004.

さて、けっこうメモッてきましたが、最後にアセトキシボロハイ(NaBH(OAc)3)を使った還元的アミノ化のスタンダードコンディションの限界(15 examples)をメモってフィニッシュしましょう↓

やはりネックとなるのは芳香族ケトンやα,β-不飽和ケトンや嵩高い立体障害の大きい反応性の低いケトンとの反応です。
アセトフェノンとベンジルアミンとの反応では、10日間反応させてやっと収率55%です。

アセトフェノンとシクロヘキシルアミンとの反応や、1-アセチルシクロヘキセンとモルホリンの反応も遅いです。

ベンジルアミンとの競合反応では、やはり反応性の高い飽和のケトンとの反応が効率的に進行し、活性の低い芳香族ケトンやα,β-不飽和ケトンは原料回収に終わります。

それから、立体的に嵩高いアミン(ジイソプロピルアミン)やケトン(カンファー)は還元的アミノ化が苦手です(基本、嵩高い化合物は反応性低めだよね)。

2,4,6-トリクロロアニリンや2,4-ジブロモアニリンといった非常に塩基性の弱いアミンでケトンとの反応は厳しいです。


イミノスチルベンはヘキサナールと反応しますが、そのジヒドロ体であるイミノジベンジルは活性を示しません。

[60]フレロピロリジンは非常に塩基性が弱い化合物ということで、全然ダメです。


ベンズアルデヒドとフェニルヒドラジンとの反応では、生成するヒドラゾンが安定で還元されません。

同様にオキシムも還元されません。


前述したようにベンズアルデヒドとスルホンアミドは反応するけど、カルボキサミド程度ではノーリアクションです。


ハイ、ここまで徒然なるままに反応例をメモってきましたが、ボク的にこの総説を一言で締めくくると、

1級アミンの還元的アミノ化による合成は、トリフルオロ酢酸アンモニウムつかうとイイよ

以上、国内二流大出のテクニシャン(研究補助員)の還元的アミノ化入門メモでした。