とある化学の超ガテン系

実験嫌いの実験化学者が綴る企業の研究員の日常 (このブログはMac OS Xに最適化されています)




Sunday, November 27, 2016

My Dear Grignard Reagent (3): そのGrignard試薬、長期熟成品?

どもSaratogaをGETしたオッタキーのコンキチです。


後れ馳せだけど、今シーズンの初秋刀魚食べてきました。

-生さんま塩焼 2016 (480 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
身がほっくほくのふわっふわ。freshでかなり旨かった。それから、塩味が良い塩梅で良かったです。

秋刀魚を食べた店は、ボクの大好きな浅草にある水口食堂。チバラキ在住のボク的には、TXの駅近なので重宝しています。

因に、去年食べた秋刀魚↓

-生さんま塩焼 2015 (480 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
少しさかなくささ感じたけど、まあ普通に旨い。(秋口には)すだちが付いてくるのが良い。この時は時季が合ったのですだち付き(嬉しい)。

このお店、秋刀魚の塩焼きは、半分に切断させれて出されるんだよね。

それから、水口食堂のその他の食べ物達↓

-千代菊 にごり酒 しろうま (一合) (580 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
甘さはベタついたものではなく、けっこうスッキリした味。それでいて、にごり酒のbodyの太さは健在。適度な辛さがキレを加える。これは旨い。

-肉豆腐 (580 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
冬季限定の超スピードメニュー。
大きなお豆腐(焼き豆腐)と良く味の染み込んだ長葱と糸コンニャクにモツ系のお肉。
ツユは甘口のあっさり系で癖のない味。万人受けしそうな味。
あと、スプーンが付いてくるのが嬉しい(忘れられるとくアリ)。
ツユをすくって豆腐と供に食べるのが良い。モツ系の肉も良く煮込まれていて良い味出してる。
胃に優しい、穏やかな味わいのにく肉豆腐。


-まぐろぶつ切 (700 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
赤身からけっこう脂ののってるところまで入っている。赤身はしっとり、ねっとりした重厚な味でけっこう好きな味。一口に赤身と言っても、それぞれのぶつのブロックで味や食感が異なっていて面白い。けっこうお得かも。薬味は粉ワサビと大根おろし。鮪と大根おろしが良く合う。


-昔ながらのナポリタン (700 JPY)-
see http://researcher-station.blogspot.jp/2015/08/2.html


-いり豚 (580 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
水口オリジナルの名物メニュー。玉葱と豚の料理。味付けは優しいカレー味と、ウースターソース様のボタニカルとフルーツが凝縮されたような味。豚肉は程よくこなれた味で、柔らかい食感と相まって旨い。味と食感のバランスが良い。玉葱はとってもjuicyでfresh。シンプルメニューだけど、はっきり言って、とても旨い。"名物"と言われるだけのことはあると思いました。


-ホタルイカ (480 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
やや小振りかものホタルイカは張りが有る食感で身がプリップリ。何もつけず、素のまま口に運ぶと、僅かに魚くささを感じる程度で、醤油を付ければもう分からない。なので、薬味無しでも美味しくいただけるんだけど、薬味と一緒に食べるともっと旨い。
醤油の上に葱を敷き、その上にホタルイカを載せ、その頂きに生姜を盛って食べるとfresh感がup↑。生姜と葱のそれぞれに強い味(エグさ)が互いに中和しあってfresh感のみを付与している気がします。とってもfreshだよ!


-冷奴 (250 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
250円は平日サービス価格(休日は350円)。
少し硬めの奴。嫌な味が全くなくて良い。やや硬めなところも適度に食感が楽しめて良い。ふんだんに載せられた薬味が嬉しい。


-カキフライ (750 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
5P。衣からは油の良い匂いがし、さっくり揚がっている(衣ははちょっと厚く、その為か硬い)。一口齧ると、切断面から顔を覗かせた牡蠣から滋味豊かな良い香りが漂ってくる。衣がやや厚いので牡蠣のjuicy感の伝わり加減がひまひとつ。そのかわり、全て食べきるまでアツアツ感が持続する。
何も付けずそのまま食べて十分旨い。タルタルソースはツブツブ感が無くて、ちょっとoilyな感じ。その流動的な形態のためか衣へのノリが悪い。
カラシはソリッドな感触と味であまり好みでない。
塩(食卓塩)を振り掛けて食べると、味が引き締まって良い。但し、バランス良く薄く衣に纏わせるのが重要で、掛け過ぎに注意が必要。
因に、定食にすると1,100円。


-マダイ塩焼 (630 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
小振りの鯛の塩焼。表面の皮はサクサク。身は適度にしっとり。淡白な身に少しキツメに塩味が効いていて旨い。




-琥珀ヱビス (樽生) (580 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
安定の旨さ。


-黒ビール ヱビスザブラック(小瓶) (450 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
これも文句無しに旨い。


-新潟 新発田 金升 小徳利 (燗) (450 JPY)-

-ビンビール 大瓶 (キリン ラガー) (580 JPY)-

-生すだちサワー (530 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
すだち1個分を搾っていただく。すだちの搾り汁でサワー全体にけっこう色が付き、香味も十分。すだちの鮮烈で清々しい酸味が存分に味わえてとても旨い。

水口食堂は、浅草の有閑マダム達が真っ昼間からフライをあてに大徳利を煽っている大衆的な店で、気取らない雰囲気ながら、料理の味は意外と気取っていて旨いです(少なくともボクは大好き)。


閑話休題


前回のブログでメモした文献


"Comparative Performance Evaluation and Synthetic Screening of Solvents in a Range of Grignard Reactions 
Green Chem., 2013, 15, 1880-1888."

の中で、市販のベンベンジルマグネシウムクロリドの純度に関してけっこう由々しきことが言及されていたのでメモしてみます。

で、"由々しきこと"っていうのは、

ラベル表示の純度と実測値(滴定値)が全然違いますから

ということ。

中にはラベル表示値の6割未満の純度しかない試薬もあって、マジ驚愕です(ドン引きするレベル)。で、詳細はこちら↓


市販Grignard試薬は買ってから1ヶ月以内に分析しています。また、HPLC純度はGrignard試薬を無水メタノールで処理してから分析しています。

不純物としてはWrutsカップリングによって生成する1,2-ジフェニルエタンの他に、ベンジルアルコールと5-フェニルペンタン-1-オールが検出されています。
ベンジルアルコールはGrignad試薬と酸素との反応の後、加水分解されて生成するといいます(なので、Grignard試薬(溶液)中ではBnOMgClとして存在するのでしょうか)。
そして、5-フェニルペンタン-1-オールはTHFとGrignard試薬とのラジカル反応由来と言います(従って、Et2Oと2-MeTHF溶液では検出されません)。

ところで、著者らは自分達でベンジルマグネシウムクロリドの1M THF溶液を調製して、3ヶ月経過した後に分析しています。その結果、5-フェニルペンタン-1-オールはトレース量(<0.1%)しか検出されなかったと言います。この実験結果を根拠に著者等は、市販のベンベンジルマグネシウムクロリドは調製してからかなりの時間が経過している(長期熟成品)か、保存状態が劣悪だったのであろうと結論付けています(ボク的には初期濃度が違うのがけっこう気になるけど)。

ベンジルマグネシウムクロリドって言ったら大昔からある試薬なので、メーカーの品質保証体制も十分に確立されてると思っていたのに、この体たらくとは残念です。国内だとTCIや和光純薬で売っているので、使う機会があったら問い合わせてみたいと思います。
)因みに、この論文の著者等の所属機関は、マサチューセッツ大学、イーライリリー、ファイザー、ノバルティス(アメリカとスイス)です。)

以上、二流大出のテクニシャン(研究補助員)のしつこく続くGrignardメモでした。


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Sunday, November 13, 2016

My Dear Grignard Reagent (2): 2-MeTHF、推して参ります

一気に秋が深まりましたね。


人形町で所謂立ちソバを食べたときのメモです↓



-きうち もりそば (290 JPY) MEMO- 
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW- 
蕎麦は中くらいの太さ(普通)。NUT様の香りがする。かなり硬めで角の立った触感で、喉越しは良いが、歯への当たりが強すぎる。ほんの僅かだけど、粉っぽい感じがする。茹であがった蕎麦は、かごであげている。瑞々しい見た目で、水っぽさはない。NUT様の香りがする割には、咀嚼した際に口腔内に広がるflavorは貧弱に感じる。
ツユは少し赤みを帯びている。かつお節様の香りが一閃。少し甘めで穏やかな味だが、bodyが弱いわけではない。それでも、強すぎるコシで決して細くない蕎麦に対して 当たり負けするのではないかと思ったが、そんなことはなく、意外にもバランスがとれている。ツユは全量蕎麦猪口に入れられて提供され、最後まで水っぽくならないのには感心する。
蕎麦にツユがよく絡んでいると思う。 薬味はワサビと葱。ワサビは粒々感があって鮮烈な辛みと甘みに加えて、さらにoilyな味と舌触り、違和感のあるエグ味を感じる。明らかに、ひなびた感のある蕎麦と良く合う山葵とは違う。あと、ちょっと度の過ぎた鮮烈な香味が蕎麦の味を全てかき消してしまう。 立ち蕎麦としては群を抜いており、コストパフォーマンスも高いと思う。


閑話休題


しつこく、Grignard反応のはなしです。
先日のブログではCPME中でのGrignard反応の挙動についてメモしましたが(http://researcher-station.blogspot.jp/)、今回はGrignard反応の溶媒効果についてのメモです。

読んだ文献はこちら↓

Comparative Performance Evaluation and Synthetic Screening of Solvents in a Range of Grignard Reactions
Green Chem., 2013, 15, 1880-1888.

幾つかのGrignard反応について溶媒効果を明らかにし、2-MeTHFが一番という結論を導きだしています。特に、Grignard試薬調製時のWrutzカップリングの抑制に有効みたいです。

本報で検討してる溶媒は、Et2O, THF, 2-MeTHF, CPME, DEM, Toluene, Diglymeの6種類。各々の溶媒の物性まとめです↓


この中で著者らがSafetyでGreenerだと注目しているのが(当然)2-MeTHFとCPMEです。なので、ここでちょっとGrignard反応における2-MeTHFとCPMEの特性をおさらいしてみましょう↓

2-MeTHF:
a) 5M程度までの高濃度Grignard溶液を調製できる(Green Chem., 2010, 12, 381.)。
b) THFよりも酸と塩基に対して安定。
c) 過酸化物を形成ににくい。
d) 水と混ざらない。
e) 乾燥しやすい。
f) 遺伝毒性と変異原性は陰性 (Merck, OPRD, 2011, 15, 939.)。

CPME:
a) 過酸化物を形成しにくい。
b) 水との共沸混合物を形成するので乾燥しやすい。
c) 遺伝毒性と変異原性は陰性 (Merck, OPRD201115, 939.)。

こんな感じです。

で、溶媒効果はどうなのよ?ってことですが、
まず、ベンジルグリニアとMEKの反応における溶媒効果の結果です↓


因に、臭化ベンジルはWurtsカップリングが起こりやすい基質です。で、X=Br, Clの両方で2-MeTHFが素晴らしい選択性を示しています(Et2Oは同等以上だけど、溶媒としての好ましさが圧倒的に違う)。
ついでにこの結果から、Girignard反応の正否は極性パラメーター(単体)では説明できないことが示唆されます。
あと、個人的にちょっと驚いたんだけど、トルエン単一溶媒でGrignard Preparationが出来るんですね。

それから、3-Bromoanisoleを用いたとき(Aryl Grignard reaction)の溶媒効果の結果↓
(因に、3-Chloroanisoleでは反応が進行しません)


ここでも、2-MeTHFの優位性が光っています(Et2Oは除く)。

参考までに、THF中、Turbo Grignardを使ってハロゲン-金属交換を行って反応を行うとこんな感じで、まあ、普通にTHF中でGrignard反応やるのと同様の結果になります。

(著者等は、Turbo Griganrdを用いる手法は、Griganrd試薬調製時のMgの活性化が不要で、反応も室温で進行し(もっと低温でも進行するよね、確か)、(それ故)Wrutz反応による副生成物の生成がトレース量に抑えられるという利点を挙げています。ついでに、2-MeTHF溶液も市販されています(Alfa Aesarで売ってるのは確認した))。

あと、3-Bromoanisole (Aryl Grignard reaction)の医薬品(Tramadol)合成への応用です↓


2-MeTHF、かなりいい感じですね

さらに、3-メチルチオフェン (Heteroaromatic Gregnard reaction)を用いた場合↓


2-MeTHFがチャンピオンデータです。

以上、試した基質は少ないけれど2-MeTHFって『いいね!』っていう気持ちで一杯になります。

今後、Grignard反応における溶媒としての2-MeTHFの動向に注目していこうと思った二流大学出のテクニシャン(研究補助員)でした。


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