2007年6月24日日曜日

シャドー・ブランド戦略

「Harvard Business Review 2007年2月号」の記事です。

この記事では、あえて商品やサーヴィスの闇の部分(Dark Side)に焦点をあてることによって成功した広告戦略を紹介しています。

以下、事例↓

1) リプトンの<カップ・ア・スープ>

当初(70年代以前)、「やさしいママとにこにこ笑う子どもたち」というイメージで売られてきたが、現在の常識に照らし合わせれば、当該商品は塩分が高く、栄養価も低いというのが実態で、当初のコンセプトとは明らかに異なる性質の商品となってしまっていた。

そこで、「オフィスで食べるスナッック」と位置づけ、<スニッカーズ>や<コカ・コーラ>の代替商品としてプロモートすることにより、20%の値上げにもかかわらず、売上げが60%伸びたそうです。



2) ユニリーバのパスタ・ソース<ラグー>

ライバルとの競争の過程で、パスタ・ソース全般がどんどん濃厚な味になっていたが、<ラグー>はライバル商品ほど濃厚ではなく、味わいも貧弱だったといいます。

そこで、濃厚スープは大人にはいいかも知れないが、子供には向かないという視点から、「ボリュームたっぷりで食べ応えのあるソース」に見せかけるのをやめ、「子どもたちが大好きなパスタ・ソース」というポジショニングで販促を展開したそうです。

結果→10年に渡って落ち込んでいた売上げが一転して上昇↑



3) ロサンゼルス市警の警察官募集広告

輝かしいキャリアや優れた技能、子どもたちの憧れといった要素をいっさい排除し、「警察官の仕事がいかに困難か」ということを遡及したという。

その結果、応募者は殺到し。広告を見たグループでは、警察への尊敬の念が高まったという。

誰もが進んではやりたくない、それでいて誰かがやらねばならない仕事を粛々と遂行する警察官の姿をアピールすることにより、リアルな警察官の崇高な姿がブランドとして遡及した結果だといいます(あと、社会的インセンティブから道徳的インセンティブへのインセンティブの移転を起こした例だと思う)。


商品やサーヴィスの良い点(明るい点)ばかりにスポットを当てたプロモーションに消費者は辟易しているといいます。筆者は完全無欠は独自性に欠けると述べています。。少なくとも、商品の性質を的確に表した広告でなければ、消費者はいずれそのウソに気が付き、その商品から離れて行くのでしょう(少なくともコンキチは、そういう商品に出会ったら、二度と買わないリストにランクインさせます)。

当たり障りの無い、ステレオタイプの単に商品を褒めたたえるばかりで、その商品に実が伴っていない場合、所謂誇大広告は、長期(中期)的にみて、解約率(そっぽを向かれる率)が上昇し、その商品が市場から駆逐さてしまうことを示唆しているように思いました。

商品特性に合ったセグメントをターゲットにすべしということなのでしょう。

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