とある化学の超ガテン系

実験嫌いの実験化学者が綴る企業の研究員の日常 (このブログはMac OS Xに最適化されています)




Saturday, January 18, 2014

スシローの研究 (2)

カッパ・クリエイト(かっぱ寿司)の中間決算が哀しい結果に終わり、2014年中にも元気寿司と経営統合するらしいですね。この統合は業績不振から抜け出せないかっぱ寿司の救済が目的という、まあ、はっきり言って後ろ向きな統合のようです(実際、かっぱ寿司の経営陣は退陣 see http://biz-journal.jp/2013/12/post_3660.html)。

売上高は前年同期比1.3%増であったものの、営業利益は89.7%減で、29億43百万円の純損失をマークしています。四半期報告書では、主な要因は、原材料価格の高騰(特にマグロ、エビ)と人件費の増加であると述べられています(原価率は43.7%→45.6%、販管費が半期で13億4千万増)。拡大戦略に失敗した香りが漂ってくる気がします。

ちなみに、くらコーポレーション(くら寿司)と元気寿司は増収増益です。円安による原材料費の高騰と人件費の増加傾向は各社共通の課題だと思うので、かっぱ寿司の経営のまずさが際立ちます。


閑話休題


100円回転寿司チェーンが世間を席巻している今日この頃、なんでそんなに流行っているのか不思議な気持で一杯のボクは、2011年9月に出版された「回転寿司の経営学」という本を読んでみました。一言でいうと回転寿司讃歌本です。以下、メモと感想↓


回転寿司というと100円寿司チェーン三強が回転寿司市場を席巻しているイメージがありましたが、2011年2月末時点で、100円寿司チェーン上位6社(スシロー、かっぱ寿司、くら寿司、元気寿司、マリンプリス、はま寿司)の店舗数は1226店舗。全国にはおよそ4000店ほどの回転寿司店があり、大手以外にも1000店ほどの店舗があると考えられているそうで、三強の市場占有率はそう高くは無いと分析しています(当時)。回転寿司の市場規模は4,385億円(富士経済「外食産業マーケティング便覧2010」)で、上位三社のシェアはその55%(2,406億6387万円)。ハンバーガー業界(マクドナルド、モスバーガー、ロッテリアで99.5%)や牛丼業界(すき家、吉野家、松屋で93%)と比較して寡占化は全然進んでいないと言います。これについて著者は、ハンバーガーや牛丼は味の差別化が難しいが回転寿司は差別化が武器の特化型事業だと考察しています。

でも、ボク的にはその意見には異論があります。この本では、「回転寿司=100円均一店(ロボットスシ)+グルメ系(一応職人が握る)」と、似て非なる全く異なったジャンルの商品をひとまとめにしていると思うから(回らない寿司と回転寿司は分けているのに、ロボットスシと人間が握る寿司を一緒くたにしている)。ボクに言わせれば、「ラーメン業界=カップラーメン+袋ラーメン+街のラーメン屋+ベビースターラーメン」と言っているようなものです。

実際、本書では回転寿司チェーンは100円均一店(代表格はスシロー、かっぱ寿司、くら寿司)とグルメ系(代表格は銚子丸とがってん寿司)とに二極化していると述べられており、各々が別カテゴリーに分類されることが示唆されていると思います。で、両者のターゲットとする客層とオペレーションも大分違います。

100均系のメインターゲットは可処分所得の低いファミリー層(客単価 900-1,100円)で、ロボットとITを駆使することで人件費を圧縮して利益をひねりだします。それに対して、グルメ系回転寿司のメインターゲットは中流ファミリー層(客単価 1,300-1,800円)で、産直や自社養殖で原材料費の圧縮や供給ルートの確保を図りつつ、ご当地ネタをウリにして差別化を図っています(産直をいち早く導入したのは銚子丸。がってん寿司はマグロをオーストラリアで養殖している)。

ところで、ボクがこの本を読んで一番凄いなあと思ったのは、100円寿司チェーンのIT化の件です。例えば、スシローでは2002年に「回転すし総合管理システム」の米国特許を取得しているそうなんですが、その中身が凄いです。具体的には、皿の裏側にICチップをつけて単品管理を行い、そのPOSデータをもとに流すスシをコンピュータ制御することで、廃棄ロス低減に成功しているそうです。可処分所得の低いファミリー層に寿司もどきのロボットスシを提供するにあたり、しっかり単品管理してるなんてちょっと感動してしまいました。廃棄ロス低減は結構なことだけど、考えようによってはとてつもなくムダなことに金かけてるなっていう気がします。だって、100円寿司チャーンの繁栄によって、台無しに処理された貴重な食材がどんどん浪費されていくじゃないですか。

例えば、マグロ(100円寿司推定原価率75%)です。マグロは回転寿司の目玉商品と位置付けられているので、その消費量は相当と思われます。マグロ資源の枯渇が危惧されているというのに、その貴重なマグロを100円スシという残念な代物にしてしまうのは「罪」とボクは考えます。はっきり言って、100円寿司チェーンでマグロ食うくらいなら、普通の店で鉄火丼食った方が味に対する満足度もコストパフォーマンスも高いんじゃないの?と思います。

P.S.
あと、この本の著者って、銚子丸を凄く推してたり、デカネタを高く評価していたりして、ボク的に彼の味覚はあまり信用できません。だって、銚子丸のネタって生臭いし、デカネタって食べにくいし、シャリとのバランスを欠くとあまり旨くないじゃないですか。

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