とある化学の超ガテン系

実験嫌いの実験化学者が綴る企業の研究員の日常 (このブログはMac OS Xに最適化されています)




Saturday, May 10, 2014

メシマズ実験は必然か

昨年、自炊する機会があったんですが、そのときにとあるレシピ本をみながら作った"男料理"のメモです↓

-冷やし豚しゃぶカレーおろしうどん-
-REVIEW-
小学生の子供達にもバカウケメニュー。赤缶カレー、ポン酢しょうゆ、砂糖、ごま油で味付けした大根おろしが鍵。うどんに豚しゃぶを載せて、大根おろしをかけて、最後にカイワレダイコンを載せてフィニッシュ。大根おろしとカレーとカイワレダイコンのシナジーが凄い!



-赤缶カレーライス(画像無)-
-REVIEW-
「赤缶」に書いてあるレシピ。恥ずかしながら、初めてカレーつくったんだけど、レトルトよりは圧倒的に旨い!(カミさんが作ったカレーよりも旨いかも)


-キャベツのカレー炒め-
-REVIEW-
久しぶりに野菜炒め作ったんだけど、キャベツを炒め過ぎたせいか、しんなりし過ぎて全体的にちょっと水っぽくなってしまった(反省)。








-ゆで野菜のカレー風味サラダ-

-REVIEW-
ブロッコリーをラップに包んでレンジでチン。これに赤缶カレー、マヨネーズ、粒マスタード、醤油のソースをよく混ぜ、塩で味を整えておわりの超速レシピ。酒のつまみにも良く、くせになりそう。
レンジでチンしたブロッコーリーにクレイジーソルトを振りかけてたべるのもイケてる。


-ツナと大根のカレー煮-
-REVIEW-
大根とツナだけで出来る簡単レシピ。味付けはめんつゆ、みりん、塩、赤缶カレー。味なかなか良し。







-もやしのカレーナムル-
-REVIEW-
さっと茹でたもやしに赤缶カレー、塩、ごま油で味付けすればオッケーのスピードレシピ。茹ですぎたせいか、シャッキリ感に乏しくなってしまった。以後、気をつけたい。






-豆腐ステーキのカレーあんかけ-
-REVIEW-
子供達にもバカウケメニュー。「カレーと豆腐って合うのかよ?」と疑心暗鬼で作ってみたけど、かなり良かったです。
もともとのレシピでは青じその細切りを載せてるけど、S&Bのパセリで代用。





-バジル入りチキンドライカレー-
-REVIEW-
写真写りはイマイチだけど、子供達に一番受けたメニュー。鶏挽肉、玉ねぎ、カットトマトで超簡単かつスピーデーに出来る。トマトの酸味がフレッシュ感を演出していて良し。







これらの料理は「S&B社員のとっておき赤缶カレー粉レシピ-想像を超える辛いだけじゃない魔法の調味料」に載ってるレシピをもとに作ってみたんだけど、なかなか楽しかったです。個人的にはおすすめレシピ集よ思いました(特簡単なレシピもけっこうあるので、ボクみたいな初心者にもおすすめ)。






閑話休題


こんなまとめサイトを見つけました↓


レシピがあるのに、何故メシマズ?
(http://blog.livedoor.jp/news23vip/archives/4670036.html;
http://ikumamasokuhou.com/archives/37972952.html)


内容はレシピ通りに調理しても、出来上がった料理がマズいという人に対する考察です。

で、レシピ通りに料理してメシマズな人には

(1) レシピを守らない
(2) センスの悪いアレンジしはじめる
(2) アレンジを加えているのに「レシピ通りに作った」と言い張る
(4) やるべきことをきちんとやらない(面倒という理由で手抜きをする)
(5) 調味料を目分量で入れる(計量カップや大中小の匙を使わない)
etc.

具体例↓
<引用開始>
スレ主、彼氏に飯がまずいと怒られる。
彼氏「ニンニク入ってない餃子は認めない!」
→メシマズならレシピ見ろよ
→スレ主「レシピ見てます。レシピ通りに作りました」
→レシピ見せろよ
→スレ主「クックパッドです」
 →レシピにニンニク入ってるじゃん!レシピ通りに作ったんじゃないのかよ!
 →スレ主「ニンニクの代わりに鶏ガラスープ入れました」
→ふぁっ!? 

レシピ通りに作る、それすら守れない。 アレンジ加えても自覚がない。 ニンニク代わりが鶏ガラスープという致命的センスのなさ。 こうやってメシマズが生まれるんだとわかった。 お前ら説明書読まない女に注意しろよ。 メシマズの可能性が高いぞ。
<引用終了>


といった特徴があると言います。率直に言って信じ難いけど、ボクにも同種の心当たりがあります(ウチのカミさんはメシマズではありません)。といっても、それは料理の話ではなくて、有機合成の話です。

仕事(=テクニシャン)がらトレース実験をすることが多いのですが、よく

(実験ノートに)書いてある通りに実験したけど、上手くいかなくて再現性がなかった

という人がいます。

でも、よくよくそういう人の実験ノートをみてみると、全然書いてある(レシピ)通りに実験してなかったりするんですよね。まさに、

(1) レシピを守らない
(2) センスの悪いアレンジしはじめる
(2) アレンジを加えているのに「レシピ通りに作った」と言い張る
(4) やるべきことをきちんとやらない(面倒という理由で手抜きをする)

といったことが励行(?)されているのです。ボクはこういった実験をメシマズ実験と呼びたいと思います。
(ボクはトレース実験するときは、基本的に過去に実施された同種の実験ノートは全部目を通すのでメシマズ実験があるとすぐ分かる)


そもそも、レシピ(実験ノート、実験項、マニュアル)通りに追試実験をするっていうのは極めて難しくて、厳密には全く同じ実験を実施するとこはまず不可能にだとボクは考えています。有機合成実験に限って言えば、原料・副原料品質、反応温度、昇温速度、熱履歴、滴下時間、スケーリング、濃度、撹拌効率、滴下速度、etc. etc. etc......と制御すべきパラメーターは多岐に渡り、その全てをコントロールするのが至難であることに加えて、それらの情報を適切にコミュニケートすることも同様に難しいです。そして、多少アバウトに実験をやってもそこそこ再現性を担保できるのは、有機合成化学がサイエンスであり、先達の知恵によってそこそこ堅牢なプロシージャーが構築されてきたという過去の遺産にあぐらをかいているに過ぎないと思います。

最近科学界を騒がせている小保方晴子さんのようなメシマズ実験ノートしか書けなくてドヤ顔してる人や、上述したような科学に対して真摯に向き合っていないメシマズ実験科学者は悔い改めて欲しいと思います。

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Monday, May 5, 2014

Friedel-Crafts Alkylationは実用的足り得るか?

2-3年前に浅草の尾張屋本店に行ったときのメモです。

-尾張屋本店 もり(600 JPY) memo-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
蕎麦はスナックライクな感覚と個人的に感じる面白い食感の蕎麦と歯切れで、「信州戸隠おびなた蕎麦通のそば」に似ていると思いました。
ツユは甘めだけど、bodyもあって良い。
支店(http://researcher-station.blogspot.jp/2010/07/blog-post_18.html)が神谷バーの近くにあるんだけど、気のせいかもしれないけど本店の方が蕎麦がしっとりしている気がした。あと、支店は食堂って感じだけど、本体はシックで上品な造りで、接客も本店の方がよりホスピタリティに優れている。


閑話休題


こんな文献を読んでみました↓

Trifluoromethanesulfonic Acid Catalyzed Friedel-Crafts Alkylation of 1,2,4-Trimethoxybenzne with Aldehydes or Benzylic Alcohols
Org. Lett., 2013, 15, 2494-2497.


Friedel-Craftsタイプのアルキル化のお話です(Symmetrically substituted di- and tri-arylmethaneの合成)。
18 examples, up to 97% yield

Friedel-Craftsと言えば、実務面では"アシル化"が重宝される一方で、"アルキル化"はその特性からイマイチ使えないヤツと考えられていると思います。要は、芳香環上への求電子剤のポリアルキル化がネックになるからなんですが、本報ではその発想を転換させています。すなわち、同一炭素上にカルボカチオンを連続的に発生させ、逐次Friedel-Crsftsを起こすことで複数のアリール基(求核剤)を導入し、対称性の高い化合物を合成しています(多分)。

このstrategyを見出す発端となったのがこちら(rubromycin類の合成研究の一環)↓


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で、これまでのSymmetrically substituted di- and tri-arylmethaneの合成法は量論量のLewis酸やBrønsted酸が必要だったり、キツイ反応条件が必要なようです。

最近、ヨウ素が触媒する反応が報告されていますが、反応に長時間を要するのがネックのようです(だいたい72時間)↓
Tetrahedron Lett., 2009, 50, 6012-6015.

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ところで、TfOHを使ったFriedel-Craftsアルキル化なんて過去に山の様に報告されてるんじゃないのと思うわけですが、実際TfOHを使用した報告例は1972-2013年にかけて沢山あるそうですが、求電子剤にアルデヒドを使って"Symmetrically substituted methane"を構築するというコンセプトが新しいんだろうと思います(多分) 。

さて、この反応の適用範囲ですが、

electron-poorなアルデヒドは(当然)、high yield。エノール化するアルデヒドは僅かに収率が低減。立体障害の大きい基質の場合は、まあそれなりの収率(R = tert-Buで58% yield)。

あと、アルデヒドじゃなくてジメチルアセタールでもオッケーで、ケトンとは反応しません。これ↓

あと、光学活性な天然物合成の例((-)-Tatarinoid C)↓

反応中にシリル基が切れるのは不可避です(それによってアルデヒドのオリゴマー化 が進行し、収率が低減しているのかもしれない)。収率はイマイチですが、ラセミ化は起こりません。

求核剤が1,2-dimethoxybenzeneだとかなり活性が下がり、アニソールではもっと下がります(かなり電子リッチでないと厳しい)。

上述したアルデヒドのdouble arylationは対応するベンジルアルコール中間体を経由して進行するものと考えられるので、ベンジルアルコールのアルキル化、アリール化も進行します↓

ターゲットや基質は限定・制限されると思うけど、ハマればパワフルで実用性に足る反応と思いました。

その辺にある試薬の組み合わせでも案外やられてない反応ってあるんだなと改めて感じた二流大出のテクニシャン(研究補助員)のメモでした。

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