千葉県は流山市の西端にあるイタリアンのお店でランチしたときのメモです(理科大の野田キャンパスから近いです)。
イタリアンバル Bambino
-Pasta A set (1,500 JPY + tax = 1,620 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
パスタ、サラダ、ドリンクのセット。
ドリンクは、オレンジジュース、グレープフルーツジュース、コーラ、ジンジャーエール、コーヒー、カフェラテ、カプチーノから選べるんんだけど、+300 JPY + taxで白ワインに変更できました。
パスタは、茄子とトマトのパスタ、ペペロンチーノ、カルボナーラ、本日のパスタからセレクト。
ボクは、パスタはペペロンチーノ、ドリンクは白ワイン(+ 300 JPY + tax)をセレクト。
パスタはエッジが立ったアルデンテ、香ばしいニンニクの香りがとってもいい匂い。あと、nuttyで美味しいね。それから、ふんだんに使用されているオイルが旨い!
白ワインは良い香りのApple-like note。ちょいdryで悪くない。
ちなみにこのお店、嵐の松潤が主演したドラマ「バンビ〜ノ!(2007年)」のモデルとなったシェフのお店とも囁かれています。
閑話休題
前回のジアゾ基転移試薬のメモの最後の方で取り上げた論文のメモです↓
Diazo-Transfer Reagent 2-Azido-4,6-dimethyl-1,3,5-triazine Display Highly Exothermic Decomposition Comparable to Tosyl Azide
J. Org. Chem.,
2019,
84, 5893-5898.
Bull et al. (Imperial College London, GlaxoSmithKline)
ボク的に興味深いことが報告されていたのでメモしてみたいと思います。
ADTの熱分析に焦点が当てたれていますが、各種ジアゾ基転移試薬の熱分析データもある程度まとめられています↓(ADMPのデータは書いてなかった)
ref.
TsN3 : Synth. Commun., 1981, 11, 947-956., (Tonset: New J. Chem., 2008, 32, 47-53.(DSC runs performed under nitrogen))
p-DBSA : Synth. Commun., 1981, 11, 947-956.
p-ABSA : Synth. Commun., 1987, 17, 1709-1716., (Tonset : Chem. -Eur. J., 2015, 21, 7016-7020.)
PSS-BSA : J. Org. Chem., 2001, 66, 2509-2511.
NfN3 : J. Org. Chem., 2015, 80, 1098-1106. (Sealed Al pan), (Tinit : J. Chem. Soc., Perkin Trans. 1, 1994, 113, 2077-2081.)
ADMP : Synthesis, 2011, 1037-1044. (DSC measurement, argon atmosphere, open Al pan)
ジアゾ基転移試薬の登場した経緯なんかが軽く触れられているのでメモしてみました↓
TsN3が登場したのが50年くらい前らしくて、その後より安全な代替試薬として分解熱が小さく、衝撃感度が低く、熱安定性が改善された
p-DBSAが導入されます。
p-ABSAは
p-DBSAと同様な安全性を有し(って書いてあるけど
Tinitが低い)、生成物との極性差が大きく分離が容易なためよく用いられているそうです。
PSS-BSAもまたより安全な試薬として開発されましたが、High Costで原子効率に乏しいです。
高活性だけど敏感で爆発性の
TfN3の代替として開発された
NfN3は高活性を維持しつつ、非爆発性で、分解熱も小さくなり、単離して保管も可能なんだとか(
J. Org. Chem.,
2018,
83, 10916-10921.にはused as freshly preparedって書いてあったけど)。
IMSA•HCl(塩酸塩)は爆発性だけど、
IMSA•H2SO4(硫酸塩)は非爆発性で安全に取り扱えるという触れ込みです。その調製段階において衝撃感度の高いimidazole-1-sulfonyl azideを単離する必要がありましたが(
J. Org. Chem.,
2012,
77, 1760-1764.)、最近合成ルートが改善されました(
J. Org. Chem.,
2016,
81, 3443-3446.)。
そして
ADTですが、摩擦や衝撃に対しては陰性ですが、熱分解時の分解熱がかなり大きいです。
こうしてジアゾ基転移試薬の新規開発が続いてきた経緯を鑑みるに、何は然れ、より安全かつ安定なジアゾ基転移試薬が求められているってことなのでしょう。
さてそれでは、本報のメイン・ディッシュであるADTの熱分析に移りましょう。著者等の実施したADTのDSC測定結果です↓
DSC Date of ADT and TsN3
aEstimated from DSC plot.
bCalculated from reported Δ
HD (kg/mol) value.
cUsing DSC method A.
dUsing DSC method B (lower measured temperatures are due to a shorter scan rate).
eUsing DSC method C with unsealed crucible.
DSC Method A. DSC analysis was performed using a TA Instruments Q2000 DSC with LNCS. Approximately 5 mg was wighted into a reusable PerkinElmer B0182901 stainless steel high-pressure crucible with disposable gold-plated copper seal rated to 150 bar and sealed under air with the appropriate B0182864 sealing tool. After equilibrating at 25˚C, samples were heated at 5˚C/min. data analysis was conducted using TA Instruments Universal Analysis 2000 software version 4.5.0.5.
DSC Method B. DSC analysis was performed using a Mettler Toledo DSC 823e. Appropriately 5 mg was weighted into a Mettler Toledo ME-26731 gold-plated 40 μlL high-pressure crucible with seal insert and lid rated to 150 bar, and sealed under air with the appropriate sealing press. After equilibrating at 25˚C, samples were heated at 2˚C/min. Data analysis was conducted using Mettler Toledo STARe software version 12.00 build 5342.
DSC Method C (Open Crucible). DSC analysis was performed using a TA Instrument G2000 DSC with LNCS. Appropriately 2 mg was weighted into a TA Instruments 901683.901 Tzero aluminum crucible and 901684.901 Tzero hermetic lid, sealed under air with the appropriate 901600.901 Tzero sample press and 901608.904 Tzero hermetic die set, and then pierced with a needle to leave two holes of approximately 1 mm diameter. After equilibrating at 25˚C, samples were heated at 5˚C/min. Date analysis was conducted using TA Instruments Universal Analysis 2000 software version 4.5.0.5.
DSCの測定法に関して非常に詳細に記述されていて素晴らしいです(他の人達も見習って欲しいです)。Ma等の”CORRECTION"でも言及されているけど、やっぱオープンで測定してたわけで、分解熱はTsN
3と比肩するという相当なレヴェルです。
それから、著者らはADTのTGA-EGMS測定も実施していて、その結果がこちら↓
(
a) 質量損失は85℃から確認された
(
b) 大きな質量損失は150-200℃
(
c) 300℃で元の重量の3.23%が残存(要は、殆ど残ってない)
(
d) 205℃の時点で、ADTの質量の90%が気体に変わっている
(
c) 以下のマスイオンを検出 → 28 (N
2, normalized to 100% intensity), 14 (N, 7.7%), 40 (NCN, 2.2%), 29 (
15N≡N, 0.76%), trace mass ions (<0.1% relative intensity, 27 (HCN), 20, 15 (
15N or CH
3), 18 (H
2O), 12 (C), 30 (NO), 36, 44 (CO
2), 54, 70)
正直、「こんなにガス発生しまくるのかよ!」と浅学なボクはかなり驚きました(マジで)。
さらに著者らはDSCの熱分析データ(
Tonset,
Q (the energy released upon decomposition, in cal/g)から
"Yoshida correlation"(
Kogyo Kayak.,
1987,
48, 311-316.)っていうのを使って、ADTの爆発性(explosive propagation (EP) : 爆発伝播(って訳でいいのかな?)に係るアセスメントを行なっています。式はこんな感じ↓
EP = log
10(
Q) - 0.38[log
10(
Tonset - 25)] - 1.67
値が正(>0)なら爆発性で、負(<0)なら発熱を伴うけど爆発的に分解はしないと予測されるようです。
さらにファイザーによってモディファイされたより保守的な式(
Org. Process Res. Dev.,
2018,
22, 1262-1275.)もあって、それがこちら↓
EP = log
10(
Q) - 0.285[log
10(
Tonset - 25)] - 1.67
ハイ、ADTとTsN
3の数値を代入して得られた値がこちらになります↓
ノーマルなYoshida correlationは負の値(閾値近く)で、ファイザーのEPは正。微妙な感じですが安全サイドに考えれば"凄ェー注意して取り扱えよ!!!"っていうところでしょうか?
因みにこの論文では、ラージスケールプロセスで取扱う際は、specially modified accelerating rate calorimeter (ARC) (
J. Hazard. Mater.,
2004,
115, 101-105.)やdefinitive UN Class 1 testing (
Org. Azides: Synthesis and Applications, 1st ed.; John Wiley & Sons, Ltd.: Chichester, UK, 2010.;
UN Recommendations on the Transport of Dangerous Goods: Manual of Tsats and Criteria (ST/SG/AG.10/11.Rev.6. ISBN 978-92-1-139155-8, link:
http://www.unece.org/trans/areas-of-work/dangerous-goods/legal-instruments-and-recommendations/un-manual-of-tests-and-criteria/rev6-files.html)といったさらなる爆発性に係るスクリーニングをしてから使用することを強く推奨しています(分解のエナジーがデカイし、殆ど気体になるからね)。そして、ADTは衝撃感度こそ陰性なものの、潜在的な熱分解の危険性は残っているとし、GSKの推奨マックス取り扱い温度(maximum recommended safe process temperature)は、
TD24 = 0.7 ×
Tinit - 46
の式より、55˚Cが推奨されます(因みに、TsN
3は45˚C)。
さすがREM (Reaction Mass Efficiency:
see https://researcher-station.blogspot.com/2007/05/gsc-oriented-indices.html)というプロセス指標を生み出したGSKです。プロセスに対する意識が違います。
折角なので、(ADTとTsN
3以外は、データのとりかたがぬるいけど)データの有る範囲で他のジアゾ基転移試薬の数値も計算してみましょう↓
(手元にある)データ不足だけど、ADMPのTD24 (maximum recommended safe process temperature) = 94˚Cが光ります。
TCI(1,7100 JPY / 5 g)やアルド(20,800 JPY / 5g; 80,400 JPY / 25 g)から市販されてるし、かなりイケてるんじゃないかと思うんですが、どうでしょうか?市販されてるぐらいだから、しっかり熱分析はやってると思うんだけど、そのデータを教えて欲しいです(公開して欲しいです)。
ということで、
イチ押しのDizao-Transfer試薬はADMPで決まりッ!!!(暫定)
反応性も良さげだし(再掲)↓
Comparison of Different Diazo-Transfer Reagents
以上、二流大出のテクニシャン (研究補助員)個人の感想に基づく感想(特に終盤)メモでした(アジドの取り扱いは慎重にね)。