2022年10月10日月曜日

スーパー初心者のためのオリゴ核酸合成入門 (不純物編) (3):ショートマーとかPO変化体とか3'-terminal phosphorothioate monoesterとか

ども、コロナも収束傾向で、(コロナ弱者には運が悪かったと諦めてもらうことで)社会的には収束した空気に今日この頃、大好物の麻婆豆腐を食べたときのメモです。
(ボクもコロナ弱者になりつつあって、人ごとじゃないんですけどね)

-四川雅園 (visited Aug. 2022)-

住所:港区赤坂4-3-11 1F 

-麻婆豆腐定食 (850 JPY)- 
-RATING- ★★★★★
-REVIEW- 
中華のスパイスの濃厚な香りと重厚感のあるコク深い味わいが素晴らし!。葱と山椒っぽいのがトップに振り掛けてあって、麻婆本体内部の痺れはほぼほぼ無い。
油はちょい控えめで、旨味が強くて旨すぎる! 


デザートの杏仁豆腐も清涼感のある甘い香りで 美味しかったです。



閑話休題


時代はニューモダリティ。ホスホロアミダイト法で副生する(微量)不純物のメモの続きです。

これまでのメモはこちら↓


それでは今回は下の「5」「6」「7」についてメモっていきます。

1.   chloral adducts (trichloroacetaldehyde modified oligonucleotides, トリクロロアルデヒド反応物)
2.   DMTr adducts (4,4'-dimethoxytrytyl-C-phosphonate, C-ホスホネート体)
3.   acrylonitrile adducts (シアノエチル付加体)
4.   isobutyryl adducts
5.   short deletion sequences (shortmer, ヌクレオチド欠損体)
6.   phosphodiester analogs (PS→PO変化体)
7.   3'-terminal phosphorothioate monoesters
8.   phosphorothioate oligonucleotides as impurities in oligonucleotide dithioates
9.   lomgmers (ダブルカップリング)
10.   depurinated oligonucleotides and formation of apurinic site (脱プリン体)
11.   deaminated oligonucleotides (deamination, 脱アミノ化)
12.   methylamine adducts (メチルアミン付加体)
13.   solid support由来の不純物

5.   short deletion sequences (shortmer, ヌクレオチド欠損体)

schematic image

ヌクレオチド欠損体(塩基欠け; n-1, n-2, ...)は、カップリング、キャッピング、脱トリチル化の失敗で生じます。一般的に(n-2)-merやもっと短いshortmersの分離は容易ですが、(n-1)-merはfull-lengthのオリゴヌクレオチドと物性が似ているので分離が難しくります。
対策は、反応時間延ばしたり、試薬を変えたり、濃度高くしたりして各サイクルで反応をしっかり進行させることですかね?


6.   phosphodiester analogs (PS→PO変化体)

ホスホジエステル(PO)アナログは、S化オリゴ合成におけるチオ化の失敗によって副生します。また、S化オリゴを過酸化水素とかの酸化剤に曝すとPO変化体が生成するようです。あと、ヨウ素/N-メチルイミダゾール/水/THF, 37℃でPS→POの変化が進行するんですね(Bioorg. Med. Chem. Lett., 2005, 15, 4118-4124.)。
それから、上述したような積極的な酸化条件下でなとも、S化オリゴのホスホロチオアート結合がホスホジエステル結合に戻ってしまったりしますね。
この不純物は"PS→PO"変化体一個につき16Da小さい質量で検出されるので、その点を注意してマス・データを解析しましょう。
POとPSの分離は、逆相HPLCよりも陰イオン交換クロマトグラフィーで良いそうです。


7.   3'-terminal phosphorothioate monoesters

Org. Proc. Res. Dev., 2003, 7, 259-266.
Bioorg. Med. Chem., 2003, 11, 4673-4679.

固相担体(Pharmacia HL 30 dA Primer Support)に結合したdA (デオキシアデノシン)が最初の脱トリチル化中に脱プリンし、アンモニアを使った脱樹脂・脱保護過程でβ-脱離からのフラグメンテーションが起こってfull-lengthのn-1の3'-terminal phosphorothioate (3'-TPT) monoesterが副生します。
最初の脱トリチル工程の処理時間を長くすると、3'-TPTが増えるのが確認されています。
因みに、アデニンからリンカーを生やして合成すれば3'-TPTの副生を抑制することができます↓

でも、スキーム上段の実験項がスゲー怪しいんですよね。1 mmolの原料から目的物(中間体)を3.5 mmol取得して収率42%とか、ボクの計算が間違ってなければ質量分析の質量数が合わないんですけど。
っていうか、他の固相担体を使えばいいんじゃないでしょうか?(知らけど)。
Nucleos. Nucleot. Nucleic Acids, 2011, 30, 475-489.
Org. Proc. Res. Dev., 2008, 12, 399-410.
Tetrahedron, 2021, 92, 132261-132266.

ところで、固相単体にはCPG (Controlled Pore Glass)ベースのものとPS (ポリスチレン)ベースのものがあります。
CPGは細孔が大きく長鎖合成向きで200mer程度の合成も可能です。膨潤はぜず、loadingは20-50 μmol/g程度 (多くても90 μmol/g)。
PSは30mer程度までの合成に向いていて、膨潤するのが特徴です(反応サイクルは膨潤-収縮を繰り返す)。因みに、NittoPhase®️ HLの場合、アセトニトリル中で4.0 ml/g、トルエン中で6.1 ml/g程度まで膨潤するそうです。


以上、オリゴ核酸合成覚えて合成稼業にしがみついていきたい、二流大出のテクニシャン(研究補助員)のオリゴ核酸スーパー初心者級メモでした。

 

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