2025年1月19日日曜日

孤独のグルメ聖地巡礼:柏市旧沼南地区のネギレバととり皮餃子が美味い件。

ども、孤独のグルメ大好き中年のコンキチです。
昨夏、千葉の渋谷こと柏にある食堂に巡礼してきました。

行ったお店は、孤独のグルメ Season 10 第五話「千葉県柏市鷲野谷のネギレバ炒と鶏皮餃子」に登場するいづみ亭です。

いづみ亭  (柏市鷲野谷, visited Jul. 2024)
住所:柏市鷲野谷901-1 

柏と言ってもアクセスは非常に悪いです。
五郎さんが「へぇー、柏ってもっと都会なイメージだったけど、長閑だなぁ」と言っている程度に、相当アクセスが悪い(柏駅から車で20分くらいらしいです)。
というのも、この地は2005年に合併して柏市となったかつての東葛飾郡沼南町だからです。
お店もロードサイドにあって、五郎さんも車で訪れています。

ドラマで五郎(松重 豊)さんがオーダーしたメニューは、ネギレバ炒定食、とり皮餃子、青ねぎラーメン。
ボクもそれに準じて、かつ食べれる範囲でネギレバ炒定食ととり皮餃子をセレクトしました。

以下、ボクの実食メモです↓

-ホッピー (白)- 
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
まさかの氷なし。このスタイルは初めてで驚いた。
レモンに加えてジンジャーの香味が特徴的。 
氷がが入ってないのでキンキンじゃないんですが、趣を感じました。













-ネギレバ炒定食 (830 JPY+tax)-
-RATING- 
-REVIEW- 
これはマジ旨い。
ソフトタッチのレバは、トップからミドルにかけて臭みは全くなし。で、テールに仄かに薫る独特の香味が食欲をメッチャそそる。
タレは塩辛めだけど、レバがタレを弾きがちなのでこれでいい。 葱はボク好みのサイズと形状にカットされていて、この葱でタレを掬ってレバに載せて食べるのがよき。 



-とり皮餃子 (580 JPY+tax)- 
-RATING- 
-REVIEW-
これもめっちゃ美味しい。
鶏皮はもっちりしてジューシー。皮の結び目にあたる両端のみパリッとしていて香ばしい。 
淡白系の挽肉がみっちり詰まっていて、満足感高い。
いい感じに味がついていて、そのまま食べて十分美味しい。
あえて味を追加で付与するなら、酢胡椒かなと思いました。 


-キリンラガー (大瓶)- 


アルコール類の値段は分かんなかったけど、トータル2,656円でした。

はっきり言って、車以外ではアクセスし難いお店なんですが、行くべき価値のある味があると思いました。
因みに、ボクは自分の脚で走っていきましたけどね。
以上、アラフィフのオッサンの孤独のグルメ聖地巡礼メモでした。

不斉還元的アミノ化でキラルアミノ酸つくってみました。

昨年の梅雨時に久しぶりに節度と敬意をもって、小料理かずよ@押上に行ったときのメモです。

-小料理かずよ (visited Jun. 2024) memo-
住所:墨田区横川3-12

-お通し- 
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
刻んだカイワレ、茗荷、大葉、葱を盛った冷奴。
それぞれの香味野菜の香り、味、食感のコントラストとシナジーが 楽しくて、家で真似しようと思いました。
茗荷を細かく刻むのがミソですね。


-生梅干しハイ (400 JPY)- 
-RATING- ★★★★★ 
-REVIEW-
やっぱ梅干しは日本人にとっての絶体的正義! 


-お新香 (250 JPY)- 
-RATING- ★★★★★ 
-REVIEW-
蕪、胡瓜、生姜、人参の甘酢漬け。
ちょい強めの甘酢と蕪と胡瓜の瑞々しさがベストマッチ。
人参はソリッドでケミカル・フレーバーが味変というかアクセント要因。 生姜は辛味が抜けてて食感が楽しい。


-刺身盛合せ (550 JPY)-
-RATING- ★★★★★ 
-REVIEW-
カンパチ、あじ、たこ、するめの四点盛り。
カンパチは張りの残った適度な軟らかさで、脂も乗っていてシュアな旨味。
あじは、身がしっとりかつモチっとしていて、フレッシュな青い旨味が最高に美味しい。
たこは、吸い付くようなねっとりした食感とちょっと熟成したかのような淡白な味わい。
するめもねっとりした食感と淡白な滋味が堪らない。 


-ウーロンハイ (400 JPY)- 
うすはりのタンブラーは、割れやすいので緊張したです。


-牛すじ大根 (400 JPY)- 
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
女将さんの自信作。
本当は天然ブリカマ塩焼を注文したんだけど、不本意ながら気を遣ってコンバート。
で、大根がめちゃくちゃ美味しい。これは、おでんの味。優しい味わい深いツユが芯部まで行き届いている。自信作というだけの美味さ。
牛すじはゴツいフォルムで、プリプリの脂とゴリゴリの肉部から構成されている。悪くはないんだけど、苦手なんですよね牛すじ。 


-くじら刺身 (350 JPY)-
-RATING- ★★★★★ 
-REVIEW-
しっとりすいつくような食感。
淡白かつ力強い硬派な獣の滋味深い旨味。
生姜は多いので脇に除けて、ちょっとだけ載せて食べるのが吉。

-生レモンハイ (400 JPY)- 


-生ビール (550 JPY)- 


ご高齢のおねえさんが一人で切り盛りしているお店なので、ゆっくりと過ぎる時間を楽しみながらのんびり呑みましょう。
あと余談ですが、前回も 今日もグレープフルーツ(ハイ)が無かったので、注文しないのが無難と思いました。



閑話休題


こんな文献を読んでみました↓

Asymmetric Reductive Amination of α-Keto Acids Using Ir-Based Hydrogen Transfer Catalysts: An Access to Unprotected Unnatural α-Amino Acids
Org. Lett., 2024, 26, 1426-1431.

α-ケト酸を不斉還元的アミノ化して光学活性アミノ酸を合成するお話で、立命館大学の桑田先生らの報告です。

既報のアミノ酸の不斉合成には、不斉ストレッカーや、α-イミノエステルの不斉還元、α-ケト酸の酵素によるトランスアミノ化などが報告されていますが、毒性が懸念されるシアニド試薬を使ったり、基質が(安定なイミンに)限定されたり、基質一般性が十分でなかったりするようです。

Asymmetric Strecker Reaction

O'Donnell's method (Acc. Chem. Res., 2004, 37, 506-517.)

Enzymatic Transamination (J. Mol. Sci., 2020, 21, 3206.)


ハイ、本報では著者らが2022年に報告した得意の水素移動型還元的アミノ化をアミノ酸合成に拡張しています。
ケトン(α-ケト酸)にキラルアミノ化試薬として光学活性β-アミノアルコールを作用させてSchiff塩基を形成させ、ギ酸をヒドリド源としてジアステレオ選択的に還元し、最後にヒドロキシエチルユニットを酸化的に切断するという流れです。

Previous work (2022)
J. Org. Chem., 2022, 87, 8458-8468.

This work (2024)

それでは、本手法のディテールをメモしていくとしましょう。
まずは基本の2022年のJOCの論文からメモしていきましょうか。

著者らは、MeOH,中40˚Cというマイルドな反応条件下、Ir触媒と不斉補助剤としてのキラルβ-アミノアルコールのスクリーニングを行います。
著者らの持っているIr触媒は次の六つ↓

キラルβ-アミノアルコールについては、(S)-valinol, (S)-phenylglycinol, (S)-leucinol, (S)-t-leucinol, (S)-alaninol, (S)- phenylalaninol, (R)-valinol, 2-aminoethanol (achiral)を試しています。

モデル化合物を使った検討では、Ir-L6と(S)-valinolのセレクトがベストなんですが、逆の立体のアミノアルコールを使った場合の結果が気になりますよね。ハイ、答えこちらです↓

立体がスーパー・ウルトラ・クリティカルに効いてきますね。

あと、基質にβ-テトラロン類を用いた場合はIr-L6と(S)-valinolの組み合わせが最適コンボとなりますが、鎖状のα-アルキルケトンの場合はIr-L4と(S)-phenyglycinolのペアが良いです。

さらにラージ・スケール合成例です↓
還元的アミノ化の不斉収率がイマイチでも、不斉補助基の除去前のジアステレオマーの光学純度を再結晶で上げれるチャンスがあるのがいいですね(150 gスケールでこれだけできれば、ラボレベルなら、もうええでしょ!)。

それから、検討の末に著者らが導き出した推定反応機構がこちら↓

さて、続いて表題のアミン酸合成(OL, 2024)についてメモしていきます。
上述したJOCの論文と同様にIr触媒とキラルβ-アミノアルコールのスクリーニングを行った結果、Ir-L4と(S)-phenyglycinolのコンボを採用し、基質一般性の検討を行っています。
23 examples, up to 88% yield, up to 99%ee

23例のうちX=PhとtBuの収率はtraceで反応点周りの立体障害には弱いようですが、α位がメチレンorメチルの残り21例は49-88%, 96-99%eeという結果でまずまずいい感じなんじゃないでしょうか(不斉収率はかなりいい感じですね)。
あと、2段階目の酸化的脱保護はJOCの方法では副反応メインとなってしまうため、アミノ酸合成向けに反応条件の最適化を行い上記schemeの条件を設定しました。

光学活性アミノ酸合成の基質一般性検討は5 mmolスケールなんですが、プラクティカル性を示すために基質に3-(4-fluorophenyl)-2-oxopropanoic acidを用いた反応では100 mmolスケールまで上げています↓
5 mmol scale : 74% yield, 97%ee
100 mmol scale : 83% yield, 97%ee
という結果でスケールアップもちゃんといけそうです。

それから、著者らは立体選択性にまつわる興味深い実験を行っています。
不斉補助基に水酸基なくても収率・立体選択性に殆ど影響を及ぼさない一方で、基質のカルボキシル基がベンジルアミドになると不斉収率が大幅低減します。
そしてこの対照的な結果に基いて導き出した推定反応機構がこちら↓
α-ケト酸と(S)-2-フェニルグルシノールから生成するSchiff塩基に対するヒドリド・アタックが、立体障害の小さいE体の方が有利っていうことですね。

因みに、著者らの開発したIr触媒は関東化学さんからIr-PSA cat.として市販されています。
https://www.kanto.co.jp/dcms_media/other/OFC-12.pdf

S-体、R-体両方の触媒が売っています。
操作が簡便そうだし、立体選択性も良さげだし、活性も高そうだし、触媒も売ってるので、キラルアミン(アミノ酸)が欲しいときは使ってみてもいいのかなと思いました。

以上、二流大出のテクニシャン(研究補助員)のキラルアミン大好きメモでした。

2025年1月5日日曜日

孤独のグルメ聖地巡礼:スカイツリーのお膝元で食べた町中華ラーメンは生姜焼きの香りがした

ども、孤独のグルメ大好き中年のコンキチです。
昨夏に巡礼した町中華のメモです。

赴いたお店は、孤独のグルメ2021大晦日スペシャルで、舞鶴からミニクーパーを駆って東京に戻ってきた五郎(松重 豊)さんが、年越しそば代わりにラーメンを啜った、スカイツリーのお膝元、本所吾妻橋にある町中華のお店です。

下総屋 (本所吾妻橋, visited Jul. 2024)
住所:墨田区吾妻橋3-2-9 


ドラマで五郎(松重 豊)さんは焼肉ラーメンを食していたので、ボクもそれに倣ってみました。あと、ビールと餃子も。


-ビール (650 JPY)- 
スーパードライの大瓶 

-焼肉ラーメン (750 JPY)- 
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
昔ながらのあっっさり中華そばの豚の生姜焼き載せ。 
あっさりだけど、しっかりした旨味のスープ。 
僅かにぬめりを感じるゆるふわウェーブな細麺は、ツルシコで歯切れ良く甘味も感じる。
麺がスープをしっかり纏っていい感じ。 
生姜焼きは生姜の香味やんわりで、甘味強め。 
で、意外だったのが生姜焼きの味がお肉に留まっていてスープに溶け出していなくて、スープの清湯度がキープされていること。 
ラーメン自体の洗練度が高いと思いました。

-餃子 (300 JPY)- 
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
かなりアツアツで提供される小振りの餃子は、薄皮がモチッとしている。 
餡は熱の入ったニンニクのふんだんな香味と酸味がちょっとクセになる。 
最初は酢胡椒で戴いたけど、お醤油を足した方が美味いと思う。


五郎(松重 豊)さんは、焼肉ラーメンを
「いい、いい、これ好きだ」
「生姜が効いてる。あったまる」
と評していました。

メチャクチャ美味しいハイスペック系のラーメンとは全然違うけど、なんだろう、ノスタルジックな旨さの普段使いしたい「いい、いい、これ好きだ」っていうラーメンに仕上がっているんじゃないかなと思いました。

以上、孤独のグルメ大好き中年の孤独のグルメ聖地巡礼メモでした。

SNArで2-アミノピリジンつくってみましょう。

昨年末、鳥すき焼きを食べたときにメモです。

12月の冬至の週は年に一度のお楽しみ、ボクの大好きな神田まつやの冬の風物詩"ゆずきり"の季節です。
もう何年も前から食べ続けていて、当然今冬も芳しい柚子の香味を楽しもうと息巻いていたのですが、ダメでしたシクシク涙orz.....
今シーズン(2024年)のゆずきり提供期間は、12月18日-12月21日の四日間。18日は出遅れ(忘れてた)、19、20日は品切れ。21日(土曜日)は行列の長さに心が折れました。

毎年楽しみにしてたけど、寒空の中長蛇の列に加わるほどMではないので、ターゲットをチェンジすることにしました。

神田まつやのある神田須田町界隈は、神田まつやもそうなんですが、いせ源(あんこう鍋)、竹むら(甘味)、ぼたん(鳥すきやき)と東京都選定歴史的建造物に指定された趣のある木造建築が軒を連ねています(1回焼けちゃったかんだやぶそばもかつては指定されていた)。
いせ源は二度、竹むらでは何度も食べてるので、まだ行ったことのない"ぼたん"をセレクトして、ガッツリ鳥すきを食べてきました。以下、メモです。


ぼたん memo (visited Dec. 2024)
住所:千代田区神田須田町1-15 


-キリンラガー中瓶 (800 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW- 
お通しの蒸し鶏のほぐし身は、クセのないウルトラ淡白な味。





-鳥すき焼きコース(9,000 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
鳥すきやき1人前、お新香、ご飯、果物のコースで、締めを親子丼、おじや、おつゆかけご飯から一つセレクト。
鳥すきやきは、備長炭と鉄鍋で供される。
正肉(皮も付いてる)、レバー、砂肝、つくね、焼き豆腐、白滝、葱の鍋で、割り下はかなり濃いめの甘じょっぱい味。 
ムネ肉はとてもあっさりしていて上品、程よいキックで食感がいい。
モモ肉は、このムネ肉してこのモモ肉ありと言った感じで、締まった中にも軟らかみにある食感で、ピュア感のある綺麗な旨み。
皮まで締まった感触で、清楚味わいなのにはびっくりした。
鶏肉はそのまま食べてもいいんだけど、やっぱり溶き卵ととても良く合いますね。
で、ここでちょっと思ったのが、鶏肉には内部まで味が染み込まないのでツユをちょっぴり啜りながら食べたいんですが、ツユを掬うレンゲ的な物がないんですよね。そこで重宝するのが白滝。
ツユをふんだんに担持した白滝を加えてお肉と一緒に頬張るといい感じの味の濃さに。
ただ、白滝には限りがあるので、ボクは継ぎ足し用の割り下を溶き卵にちょい足しして鶏肉を味わいました。

あと、つくねが味わい深かったです。お肉は粗めに挽かれていて、粒々感としっかりした味のアンサンブルがかなり美味しいです。
食材を全て食べ尽くした後は、残っている割り下と煮詰まりを抑えるためのお出汁を全部鍋に加えた中にご飯を投入しておじやを作ってもらいました。
鍋の中に滲み出たエキスを全て吸い込んだ”おじや”が一番美味かったです。
お櫃の中の白いご飯をある程度残しておいてもらえるので、器にとっておいたお豆腐と葱とツユを掛けて食べたんですが、これがまた旨いです。
やっぱ。白い飯は最高ですね。
それから、セットのお新香が超絶美味しかった。
普通に超絶旨い(こういうのがいいのよ)。 
〆のデザートである本日の果物は、和歌山のポンカン。
思いの外あっさりしたお味で、よく出来たみかん水を想起させるテイスト。
コースの最後を締め括る口直しとして、とても良かったです。
一筋の清涼感ってこれだなって思いました。
正直、プライシングは割高だと思うけど(個人の感想)、"歴史的建造物で鉄鍋と炭火で鳥すきを楽しむ料"も入ってると思えば悪くないかもと思いました。


-櫻正宗 一合 (800 JPY)-
燗をつけてもらいました。
寒い冬は燗。これでいいのよ。


閑話休題


こんな論文を読んでみました↓

Bench-Stable 2‐Halopyridinium Ketene Hemiaminals as Reagents for the Synthesis of 2‐Aminopyridine Derivatives
Org. Lett., 2024, 26, 9805-9810.

2-アミノピリジン合成用試薬のお話です。

2-アミノピリジンはドラックライクな化合物に頻出する構造で、それゆれエクセレントな合成法が望まれています。
最も安直な合成法は2-ハロピリジンのSNArや遷移金属触媒を使ったクロスカップリングとかですが、前者は反応条件がキツく、後者は遷移金属のコンタミが問題となることがしばしばです。
著者らのこれまでの研究から、N-(1-エトキシビニル)-2-ハロピリジニウム塩がマイルドな条件でSNArすることを見出しました。
J. Org. Chem., 2021, 86, 13025-13040.

N-(1-エトキシビニル)基が環の活性化基とピリジンの保護基となっているのがミソですね。

以前の報告はプレリミナリーなものでしたが、本報ではより実用的かつブラッシュアップした2-アミノピリジン合成法を報告しています。

まずは一段階目のSNArの最適化です。
ここで問題となるのがイミノピリジン経由のピリドンの副生で、求核剤(アミン)を過剰に用いたりトリエチルアミンのような有機塩基を添加して反応を行うとより顕著になります。
また、副生する求核剤(アミン)の塩酸塩の除去が面倒で複数回の精製が必要になるそうです。

ということで、イミノピリジンの形成を回避しつつコンバージョン向上目指し、種々additive (base)と溶媒について鋭意検討したところ、ジクロロメタン中、40℃、additive (base)としてK2CO3を作用させるという最適条件を見出しました。
26 examples, up to 98% yield

基質一般性について色々と試していて、
ベンジルアミン誘導体は、中程度からいい収率。ベンゼン環の電子状態に関わらず推し並べて高収率で、ベンジル位に置換基のある嵩高い基質で中程度。
二級アミンも中から高収率。

あと、2,3-ジクロロピリジニウム塩を使うと、3-位のクロロ基が残るので、ピリジン環のさらなる修飾が可能です。

ちょっと収率がイマイチなのは、こんな化合物達↓


ジベンジルアミンやジイドプロピルアミンの様な嵩高い二級アミンであったり、ベンズアミドやベンゼンスルホンアミドといった強い電子吸引性置換基を持つ求核性の低い基質だとインコンパチブルでピリドンしか取れてきません(先に、目的の生成物が有機塩基存在下、イミノピリジン経由で加水分解してピリドンになると書きましたが、原料も加水分解し易いんですかね)。


続いて、二段階目のSNArプロダクトのの開裂反応(脱保護)です。
開裂反応は、酸、熱、酸化的条件で達成されます(酸化的条件では、対応するピリジンN-オキシド得られます)。

13 examples
secondary amines (10 examples), 53-99%
tertiary amines (3 examples)
conditions
Acidic method : 3 M HCl in MeOH, rt. or 3 M HCl in MeOH, 40℃ or 4 M HCl in 1,4-dioxane, 40℃ or conc. HCl; basic workup
Thermal method : 2-PrOH, 125℃ (sealed vial)
Oxidative method : AcOOH, AcOH, rt.

何でか分かんないけど、ジベンジルアミン誘導体はN-(1-エトキシビニル)基の開裂が殆ど進行しません。

ハイ、最後に著者らはアミン以外の求核剤を使ったSNAr反応のバラエティーを拡充しています。こんな感じ↓

オット、そう言えばベンチ・ステーブルなこの試薬(N-(1-エトキシビニル)-2-ハロピリジニウム塩)の調製法について全く言及していなかったですね。
合成法はこちらです↓
Org. Synth., 2024, 101, 242.

OSで6-8 gスケールで合成できてるので大丈夫です(キリッ)。

ウン、そこそこいい感じに使えそうな化合物なんじゃないでしょか。
あと素朴な疑問なんですが、インドールと4-ペンチン-1-オールを熱的条件でSNArさせる反応でどうして溶媒にベンゼン使ってるんでしょうか?トルエンじゃだめなん?ベンゼンがいいんか?どうしてもベンゼンがいいんか?

以上、二流大出のテクニシャン(研究補助員)のベンチ・ステーブル・リージェント・メモでした。