とある化学の超ガテン系

実験嫌いの実験化学者が綴る企業の研究員の日常 (このブログはMac OS Xに最適化されています)




Monday, January 9, 2012

"I"のチカラ

←去年行ったなかなか秀逸な蕎麦屋です(店の名前は関やど)。

で、食べたもののメモです↓

-大(おお)せいろう 800 JPY memo-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
瑞々しく、良い食感。蕎麦の甘みがツユで誘起される。ツユは中庸で良い塩梅で旨い。そば粉は北海道沼田産。

-月の柱 にごり酒 大極上中汲 750 JPY memo-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
湯呑みで提供される。温度域は花冷えか。微発泡性。かなり上品な味。酸味が効いていて甘さはくどくない。bodyも強い。はっきり言って旨い。

ここのお店、席に通された後なんですが、塩味の効いた桜の花びらのとっても上品な香りのお茶を持ってきて貰えます。また、これがエクセレント!店内も趣きがあり、是非再訪したいお蕎麦屋さんでした。


閑話休題


今回は超原子価ヨウ素の話を書きます。しかも、ちょっと古い文献なんですが、名古屋大の石原一彰先生のグループが開発したIBSのおはなしです。

IBSに関しては、若き有機合成化学者の奮闘記さんの記事でも紹介されていて、日産化学も展示会とかでアピールしているので、広く周知されていることと思いますが、先日、IBSを使う機会があってなかなか好感触で嬉しかったのでメモしてみます。

IBS (2-Iodoxybenzesulfonic Acid)は、IBXの"S"アナローグで、IBXの高活性化研究より生まれた触媒で、その活性はもちろんIBXよりも高いです。で、触媒量の2-Iodobenznesulfonic Acid(もしくは、そのNa or  K塩)をOxone (2 KHSO5・KHSO4・K2SO4)で酸化することでIBSを系内で触媒的に発生させクルクル回すことで、潜在的に爆発性が懸念されるペルヨージナンの存在量を極微量(0.1 mol%〜1 mol%)に抑えることで安全性を担保しています(実機対応可能)。

反応溶媒は、CH3CN > CH3NO2 (使いたくない) >  EtOAc (ちょっと反応が遅い。けど、よりエコ・フレンドリー)が使えます。反応温度は70℃(加熱しないといけないのが欠点)。反応後のOxone残は濾過で簡単の除去できてとっても楽チン。aqueous workupで触媒由来成分も除去できます。

で、石原先生の論文では、IBXとIBSの反応の比較を行っているんですが、溶媒による影響が大きくて面白いです↓

CH3CN/H2O (2:1) → 12h, 24% conv. (IBS-catalyzed)    / 10 h, 88% conv. (IBX-catalyzed)
EtOAc/H2O (4:1)   → 12 h, <5% conv. (IBS catalyszed) / 12 h, 45% conv. (IBX-catalyzed)
CH3NO2                → 2 h, >99% conv. (IBS catalyzed)   / 6.3 h, >99% conv. (IBX catalyzed)
CH3CN                  → 1.6 h, >99% conv. (IBS catalyzed) / 24 h, <5% conv. (IBX catalyzed)
EtOAc                    → 10 h, >99% conv. (IBS catalyzed) / 24 h, <5% conv. (IBX catalyzed)

それから、粉砕Oxone (powdered Oxone)を使うと、単純に表面積がup↑するので反応(再酸化)が促進します(OxoneはCH3CN, CH3NO2 , EtOAcに溶けない。supporting informationでは、magnetic stirringで粉砕していた)。そして、1級アルコールの酸化で、Oxoneの使用量を制御することで、アルデヒド(powdered Oxone 0.6 eq.)とカルボン酸(powdered Oxone 1.2 eq.)を選択的に合成することができます。さらに、IBSはシクロヘキサノールの選択的酸化が適用可能です。

あと、DFT計算から、stoichiometricな反応では、IBSによる酸化反応の律速段階はIBX同様hypervalent twisting stepで、IBSの方がIBXよりtwisting barrierが小さく(I-OSO2結合 > I-OCO結合)、反応速度が速いという結果になるそうです。しかしながら、触媒サイクル全体でみると、律速段階はOxoneによるI (III)→I (V)の再酸化と考えるのがリーズナブルであろうということのようです(powdered Oxoneの使用で反応が促進される)。

references
J. Am. Chem. Soc., 2009, 131, 251-262.
Aldrichimica Acta, 2010, 43 (3), 83-91.
WO 2009/028676
日産化学のパンフレット

オペレーションがシンプルで、酸化反応としてはかなり安全性が高そう。そして、なかなかエコ・フレンドリーさ。はっきり言って、沢山の人に広めたい反応と思いました。

あと、pre-IBSの仲間たちは純正化学や東京化成から入手可能。そして、IBSよりもさらに高活性なMIBSのpre-cat.もアルドから入手可能です↓

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