とある化学の超ガテン系

実験嫌いの実験化学者が綴る企業の研究員の日常 (このブログはMac OS Xに最適化されています)




Sunday, August 5, 2012

レヴィット vs. 橘玲 (Super Freakonomics)

Super Freakonomics」の感想メモの続きです。

橘玲氏(http://ja.wikipedia.org/wiki/橘玲)は、その著書「残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法」の中で、才能の先天性に言及して、才能が無ければ努力はムダ(無駄な努力)で、行動遺伝学を論拠に「やってもできない」といことを主張しました(see http://researcher-station.blogspot.jp/2010/10/blog-post_11.html, 行動遺伝学ってそこまで強力なのかっていうつっこみを入れたくなります)。

一方、スティーヴン・D・レヴィット(シカゴ大学経済学部教授。ジョン・ベイツ・クラーク・メダルの受賞者。)は本書で、「努力の勝る才能無し」というようなことを言っていたと思います。

この真っ向から対立する意見のどちらに軍配が上がるか興味深いです。

ところで、レヴィットがそういった結論を下したのには統計学的なデータに基づいていたと思います(たしか...)。で、分かっているだけで、才能が先天性に依存しないということを以下の事例で例証しています↓

a) ラマダンが及ぼす胎児への影響
→ラマダンの影響を受けた胎児は、障害を持つものが多い

b) スペイン風邪が及ぼした胎児の健康と生涯所得への影響
→スペイン風邪が流行ったときに母体のいた胎児は、健康状態が良くなく、生涯所得が低い

c) スポーツ選手にみられる相対年齢効果(これってかなり有名な話だよね)

step 1: 生まれ月が早いと成長が早い
step 2: 成長が早いと所属チームで活躍する可能性が高い
step 3: 活躍すれば試合に出るチャンスは更に増える
step 4: 試合に出るチャンスが増えれば更にレベルアップする
step 5: レベルアップすれば地域トレセンに選ばれる可能性も高くなる


橘氏は自己啓発の女王様に対するアンチテーゼの意味も込めて「やってもできない」と主張したんだと思いますが、行動遺伝学で例証された科学的エビデンスを拡張しすぎているような気がします(ボクは全くの門外漢なのでイメージだけでそう考えてますが)。ただ、「やればできる」というのも万能な処方箋ではないとも思います(経験的に無駄な努力というものが存在することを我々は知っている)。

「やればできる」と「やってもできない」の戦いはボクの中ではまだ決着がつきそうにありません。まあ、「やらなければ始まらない」とか「正しい努力」といったあたりが大人の落としどころなのかなと思う二流大出のなんちゃって研究員でした。

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