2013年5月12日日曜日

Organocatalystの名はピリジン

昨年、コンキチの愛読書「ラーメン発見伝」に原作協力している石神秀幸とラーメン花月嵐がコラボレーションしてできたラーメンを食べたので、メモします(http://www.k2-museum.jp/limited/103_yakuzen_03.html)↓

-薬膳火鍋ラーメン天地  (750 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
ほぼストレートの細麺は、ぷっつり歯切れが良い。スープはスパイシーでクミン様の香りにするスッキリ系のカレー風あっさりスープ。麺のスープはあまり絡まないが、そのため麺を啜ったときに薄味ヘルシー感が演出されているような気もするが、少し物足りない。具は白菜、豚バラ、ネギ、ニラ、クコの実、袋ダケ、キクラゲ、ゴマなど。ニューウェーブ系の洗練された味のラーメンと思いました。スープの素材は龍眼、朝鮮人参、クミン、クローブ、大棗、田七人参、カルダモン、花山椒だとか。


-薬膳火鍋ラーメン天紅  (750 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
「天地」に辣油や唐辛子系スパイスを加えてピリ辛風味にしたラーメン。カレー系にスパイシーさと、唐辛子系のスパイしーさのダブル•スパイシー感は秀逸。天地の物足りなさを上手くカバーしていると思う。


閑話休題


こんな文献を読んでみました↓

Pyridine Is an Organocatalyst for the Reductive Ozonolysis of Alkenes
Org. Lett., 2012, 14, 2242-2245.


(ボクはまだ一度もやったことないけど)還元的オゾン分解の話です。オゾニドが発熱して自己加速分解する傾向があることに加えて、ジメチルスルフィドにようなマイルドな還元剤との反応は遅くて、深刻な事故が発生する可能性があるようです(イントロに書いてあったけど、そうなんだ)。

(ところで、教科書的な還元的処理は、接触還元、NaI, Mg, Znなどの金属と酸、亜リン酸エステル、Ph3P、ジメチルスルフィド、BH3、LAH、SO2、NaHSO3、SnCl4、FeSO4があり、最もよく使われるのは亜鉛末/酢酸と実験化学講座とかに書いてあったような気がします。)

で、オゾン分解-還元とステップワイズな手法に代わって、in situでカルボニル・オキシドを捕捉して分解しちゃうプロセスって魅力的らしいです(まあ、安全だよね)。

っていうことで、最近報告された著者らのin situメソッドには、カルボニル・オキシドをアミンのN-オキシドや水でトラップするという方法がありますが、塩基性条件であったり、過酸化水素が副生するといったちょっと面倒な問題が生じたりしたそうです。

Org. Lett., 2006, 8, 3199-3201.; Tetrahedron, 2006, 62, 10747-10752.
N-methylmorpholine N-oxide (3 eq.くらい)が良さげ。
CH2Cl2中0℃というマイルドな反応条件。


J.Org. Chem., 2008, 73, 4688-4690.; J. Org. Chem., 2007, 72, 3558-3560.
安定なオゾニドを形成する基質には効かない。
重合生成物が副生する場合がある。

で、This Workですが↓

10 examples, 70-93% yield

ピリジンの添加は1-3 eq.必要で、CH2Cl2中、-78℃で効率的にピリジンがカルボニルオキシドを捕捉します。3-nitropyridine、DMAP、2,6-lutidine、2,6-di-tert-butylpyridine、thiophene、imidazole、1-methylimidazoleも試していますが、ピリジンがベスト。また、実験事実を検証することで上記推定反応機構を提案しています。

また、6つの基質に対して一般的な2 steps procedure (O3, CH2Cl2, -78˚C; Ph3P, 24 h)とピリジン法 (O3, 2-3 eq. of pyridine)の比較を行っていて、おしなべてピリジン法の方が高収率です。

著者らは、このオゾン分解の新手法を

First, General, High-yielding

と謳っていますが、実際、ピリジンを加えて反応するだけで、オゾン分解の安全性と効率がグッと改善されるなんてとっても素敵な反応と思いました。

著者らの一連のオゾン分解に関する研究結果は、こころに留めておいて損は無いと思った二流大出のテクニシャン(研究補助員)でした。


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