とある化学の超ガテン系

実験嫌いの実験化学者が綴る企業の研究員の日常 (このブログはMac OS Xに最適化されています)




Sunday, May 19, 2013

"Practical"なのか?

先日、東武動物公園に行ったときに撮影した大王ペンギンの遊泳シーンです↓

video

ホント、気持良さそうに泳ぐよね、ヤツらは。


閑話休題


こんな文献を読んでみました↓

Practical and Efficient Large-Scale Preparation of Dimethyldioxirane
Org. Process Res. Dev., 2013, 17, 313-316.


ボクは使ったことないけど、Dimethyldioxirane (DMDO)っていう試薬があります。


DMDOは酸や塩基に不安定な基質や加水分解を受け易い基質の酸化に有効な試薬のようです。炭酸水素ナトリウム存在下、アセトンにオキソンを作用させることで調製できますが、その精製・保存は面倒です。やんわり減圧で蒸留し、ドライアイスでトラップして-25℃で保存します(Org. Synth., 1998, Coll. Vol. 9, 288.)。

で、本報は生成したDMDOを、400 mbar、-40℃のコンデンサー二基でトラップするというインプルーブメントです。

また、著者らはDMDO (60-80 mM)を-20℃で保存している間の活性の経時変化を明らかにしています→http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/op300338q
(72 mMの初期濃度が徐々の失活して行き、12ヶ月後にはおよそ40 mM程度になり、そこから濃度は安定し、23ヶ月後でも38 mM)。

DMDOの安定性をより具体的に明らかにした仕事は地味で泥臭いながらもGoog Job!と思うけど、はっきり言ってそれほど"Practical"とは思えませんでした。

著者らは"commercially viable preparation"を謳っており、その意味では"Practical"なのかもしれないけど、ボク的には「超絶面倒くさい」のが「超面倒くさい」方法に改善されたっていう印象です。少なくとも、ボクはラボベースではやる気にならないし、cryogenic conditionが幾分緩和されていますが、はっきり言って-40℃の冷媒流せるコンデンサーって相当ハードル高いと思うんですけど.....orz(今は安くて簡単に導入できるの?)

ところで、"Practical"なオペレーションといえば、"in situ" methodが思い浮かびます。で、軽くサーチしてみると、DMDOをin situ preparationして反応に処すっていう方法がやっぱり報告されてますが、当然、基質や生成物が酸にセンシティブな場合は適応できないです(e-EROS, 但し、酸に安定なものならin situ法が推奨されている)。

ところで、共酸化剤にオキソンを使って、系内でIBXの"S"アナローグを触媒的に発生させる酸化法があります(http://researcher-station.blogspot.jp/2012/01/i.html)。
この反応は、反応の進行とともに水が生成するので、スタンダードな条件では酸に不安定な基質に対しては適応できないと思われますが、Na2SO4を共存させることで酸に不安定な基質にも適応可能となります。

素人考えだけど、DMDOによる酸化も、同様なストラテジー(例えば、加熱が必要になるかもしれないけど水を使わないとか)でインプルーブメントできないのかなと思う二流大出の研究補助員(テクニシャン)でした。


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