2013年6月19日水曜日

B層オリエンテッドマーケティング

先日、柏市の公設市場の中にある大和寿司っていうお店に行ったので、メモします↓

-大和寿司 memo-
席はカウウター7席と小上がりに6人がけのテーブル×2と4人がけテーブル×3。見た目元ヤンっぽい(多分)夫婦が営業。旦那さんは強面で、奥さんは金髪美人(染めてるだけで日本人ね)。

-天狗舞山廃純米 (600 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
雪冷えで提供。やっぱ、鉄板の旨さ。

-Bランチ(並握り七貫、サラダ、小鉢、お新香、お椀) (1,000 JPY)-
-RATING- ★★☆☆☆
-REVIEW-
並握り七貫は、赤身(肉厚でjuicy。フィニッシュにはすっきりした酸味。ネタの形は悪い)、サーモン(肉厚で旨い。しっかりしたコク。舌触りも良し)、寿司海老、帆立(大きくて、少し水っぽい)、カンパチ(プリップリのヌルッヌル)、真鯛、(多分)甘鯛(あまり旨くない)。全体的にネタが肉厚で寿司としてのバランスが悪い。シャリは少し硬くてあまり旨くない。ネタの鮮度は良いのかもしれないが、握りの技術には全く感心できない。

きっともう行かないと思います。


閑話休題


適菜収の「日本をダメにしたB層の研究」にはクリティカルマスたるB層をターゲットにしたマーケティング手法が軽く開陳されています。

B層向けマーケティングについて上から目線で解説した本といえば、瀧本哲史の「僕は君たちに武器を配りたい」を思い出しますが(see http://researcher-station.blogspot.jp/2012/04/blog-post.html)、「日本をダメにしたB層の研究」はさらなる上から目線で語られています。

薄利多売スキームで商売している企業は、マス・マーケットをターゲットにローエンド品を売るので、自然とB層という愚かな大衆を攻略することになると思われます。

で、適菜収のこの本にはローエンド・グルメにちなんだ話があります↓

B層がこよなく愛し行列をつくる飲食店、すなわち「B層グルメ」というのがあって、B層グルメは、行動心理学から動物学まで最新の知見を駆使し、B層の趣味嗜好・行動パターンを分析した上で商品設計されているといいます。店の立地、席の配置、照明の角度をマーケティングにより決定し、さらに「産地直送」「期間限定」「有機栽培」「長期熟成」「秘伝」「匠の技」といったB層の琴線に触れるキーワードを組み合わせてB層に訴求しているのだそうです。

これってあれだね。ボクの愛読しているラーメンマンガ「ラーメン発見伝」で出てきた話と一緒だね、要は、


客はラーメンを食ってるんじゃない!! 情報を食ってるんだ!


という台詞に集約されると思うんだけど、そういうこと。

多くの大衆は味なんかよく分かってなくて、「産地直送」「期間限定」「有機栽培」「長期熟成」「秘伝」「匠の技」といった「実際の味」とは何の相関関係も見出すことのできない薄っぺらな付加情報を脳内で咀嚼することで旨く感じているだけなのかもしれません。実際、お笑い芸人とかアイドルのグルメレポートは「旨い」とか「美味しい」とかしか意味のないことしか言わない。

さらに適菜氏、B層は即物的な快楽に流されると言い、B層向けの飲食ビジネスは動物としてのヒトのエサをつくることであり、食文化とは関係がないとバッサリ切り捨てています。具体的には砂糖をぶちこむことがB層向けの解だといいます。

B層寿司では酢飯に無闇に砂糖をぶちこむみ、弁当屋では惣菜に砂糖をぶちこむみ、焼き肉にもハンバーグにも玉子焼きにもたくさん砂糖を入れるらしいです。そして、逆に味を洗練させると売れなくなってしまうといいます。  
(本書では酢飯にサッカリンもぶち込んでるって書いてあるけど、食品衛生法の規制範囲内でぶちこんでるってこと?)

なかなか辛辣で、けっこうキてるね。でもこの本の内容を盲信するのは危険だ。だって、適菜氏は「卑劣な人間は卑劣な顔をしているし、悪人は悪人顔をしている」といった、人の本質は人相に現れると主張しているんだけど、これってブーメランで、ボク的には適菜氏の写真をみて人相判断すると、「日本をダメにしたB層の研究」というこの本は信用に足らない駄本であると結論付けることになるから。

この本を盲目的に信用して読むか、批判的な視座を持ち取捨選択しながら読むか。ボクはこの本がA層とB層とを峻別する踏み絵にたいな役割を果たしているんじゃないだろうかと考えています。

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