とある化学の超ガテン系

実験嫌いの実験化学者が綴る企業の研究員の日常 (このブログはMac OS Xに最適化されています)




Monday, August 15, 2016

その構造、アミニウム?ウロニウム?

夏ですね。

今夏も大好きな新子を食べることができました↓


新子の香りって凄く繊細で、絶妙な塩梅の酢の香りと相まって、なんとも言えない可愛らしい香りを醸し出すんだよなぁ。舌触りももの凄く繊細で、この世のものとは思えない、なんとも形容し難い可愛らしい味わいで、真剣、癒されます。
(ちなみに、添えてあるのはカボチャの漬け物)

折角なので、去年食べた新子の写真もアップ↓


今年は去年より早めに食べにいったんだけど、去年が四枚付けで今年が三昧付け。初夏の限られた時期にしか食べられない夏の風物詩は、その食べる頃合いをはかるのが難しいです。


閑話休題


先のエントリーで、ベンゾトリアゾール系縮合剤のメモを書きましたが、その関連で(大分有名な話だけど)HATUに代表されるAminium (Guaniinium)/Uroniumタイプの縮合剤の構造についてメモしてみます(以下、HATUを例に挙げてメモしていきます)。

まず最初に、Aminium (salt)、Uromiun (salt)って何よ?っていう話ですが、HATUで説明すると、Bis(dimethylamino)methylene基がベンゾトリアゾールの"N"に結合しているのがAminium (N-form)で、"O"に結合しているのがUronium (O-form)です。


HBTUはHOBtとtetramethylchlorouronium塩(TMUCl)との反応によって誘導されるんだけど、当初はBOPのアナローグとしてUroniumタイプの構造だと考えられていました。


しかしながら、後にX線結晶構造解析から実際はAminium塩(guanidinium N-oxide)であることが示され、HBTU, HATU, HAPyUはAminium構造であることが分かっています(Chem. Rev., 2011, 111, 6557.)。

ところで、これらの試薬のO-form (Uronium salt)は絶対に取得できないのかというと、そんなことはなくて、合成法を工夫することで調製可能です。ではどうするのかというと、後処理を迅速に行うことと、三級アミンを使用しないことです。

Angew. Chem. Int. Ed., 2002, 41, 441-445.

迅速な後処理が必要というのは当然異性化(O-form→N-form)を防ぐことが目的(=三級アミンを完全に排除しても異性化が進行しないわけではない)なので、ラージスケールでのO-form(リッチな試薬)の調製は困難でしょう。なので、市販試薬は(大部分が)N-form (Aminium salt)のはずです(O-formの構造が描いてある試薬メーカーもあるけど)。

あと、HBTUとHATUは、N-form (Aminium salt)よりO-form (Uronium salt)の方が活性が高いと言われていますが、実際の反応条件とかを鑑みて、そこまでアピールするほどのクリティカルな違いなの?って思う二流大出のテクニシャン(研究補助員)のメモでした。
O-form (Uronium salt)とN-form (Aminium salt)のこれでもかっていう反応性の(バカでも分かる)明確な差異が報告されている論文があったら、浅学なボクに教えて下さい。


Labels: ,

0 Comments:

Post a Comment

<< Home