とある化学の超ガテン系

実験嫌いの実験化学者が綴る企業の研究員の日常 (このブログはMac OS Xに最適化されています)




Sunday, April 2, 2017

もっとFluorination

ども、(そこそこ前の話だけど)冬イベ(乙)を終えたオタッキーのコンキチです。


E-3(乙)ラスダン後、E-1(甲)を20周周回したけど、伊26をGETできずに哀しい気持ちです。
(ちなみに、高波、萩風、山雲、照月、翔鶴、伊401、谷風、瑞穂×2、U-511がドロップしました)

さて、比較的最近流山に出来た、金土日営業で、しかも土日はAM 9:00から営業というトリッキーな営業を行っているラーメン屋で食べたラーメンのメモです↓

-The Noodles & Saloon KiriYa-
http://tnaskiriya.jugem.jp
基本の『らぁ麺』のスープは、豚骨、野菜ベース(清湯豚骨スープ)に煮干数種(鰯煮干とか)、鯖節、宗田節、枯れ木節、昆布などを使用した魚介スープで。麺は、効加水自家製手揉み麺で、北関東ご当地麺を意識したモチモチ麺を目指したとか(そうなのか)。
醤油ダレは、万上本みりん、キッコーマン醤油、窪田味噌醤油 (野田)、甲子醤油 (野田)、川中島御用溜醤油 (野田)をブレンドした地元愛のタレだそう。
さらに、ネギは下花輪 (流山)、上貝塚 (流山)などの葱を織り交ぜて提供しているよう(入荷が一定でない)。
ところで、店名の「KiriYa」はキリヤさんがやってるからかなって思ってたけど、食品営業許可証に書いてある名前は青木さん、(交付時の)住所が桐ケ谷(キリガヤ)だからかな?ちなみに店舗の住所は西初石。

-らぁ麺 ramen (700 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
麺は平打ちの太縮れ麺。っていうか捻れてる。弾力に富み、コシが強いがキックはほどほどで食べやすい。そして、麺自体がかなり旨い。
スープは節系(魚介っていうか魚)の香りが一閃。表面にはうっすらと液体ではない脂(多分、ラード)の膜が張っている豚骨テイスト。マイルドでコク深く、嫌な匂いが全くない。脂の良い味がする。塩味はけっこう控えめだけど、物足りない感じはしない。
具は、メンマ、焼豚、カイワレ、葱、海苔、緑の物体。スープとは対照的に、メンマと焼豚は(塩味が)濃いめの味付け。メンマは柔らかく、濃くて深い味ながら上品さを感じる。焼豚はsolidで、肉々しさがあって好み(肉の旨味を感じる)。食べ進むうちに、海苔の香味がスープに染み出し、味に奥行きを与える。
かなりレベルの高いラーメンと思いました(オレって、基本、太麺はあまり好きじゃないんだけど、この太麺は旨い!)

-油そば abrasoba 並盛 200 g (600 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
麺は、多分、『らぁ麺』と同じ平打ちの太縮れ(捻れ)麺で、旨い味。油そばなので、良く掻き混ぜるわけなんですが、そうすると、この麺がoilでcoatされる。で、その麺に付与されたoilyさが良いです。それにつけても、この麺はホント旨いね。優しい小麦の味がします。
醤油ダレ(塩ダレ?白醤油使ってるのか?)は白く、ちょとしょっぱめだけど、太麺に合う。
具は、メンマ、カイワレ、葱、海苔、焼豚。
あと、油そばには辣油、胡椒、醤油ダレ(黒い)のカスターのセットが付いてくるので、それも試してみる。はじめはプレーンで食べて、その後、胡椒、辣油、醤油ダレをそれぞれ少しづつ振り掛けて食べ進めてみる。
辣油は胡麻油の香ばしい香りとピリッとした辛さがしてとっても良いアクセントになる(これが一番好き)。胡椒も美味しい。そして、胡椒と辣油のコンボもGOOD!醤油ダレは美味しいけどしょっぱくなり過ぎ。
完成度高く、具と調味料による味のバリエーションにも富んでかなり旨い。


-swallowらぁ麺 (800 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
燕三条系背脂ラーメン(だからswallow?)。
上品で優しいお醤油の香りの上に、背脂由来であろうか?コク深い香りと胡椒のspicy noteが少々。
背脂がスープの表面にふんだん。プルプルした食感で仄かに甘く、スープの味に奥行きを付与しているように思う。背脂は確かに脂なんだけど(当たり前だけど)、ギトギトしておらず、割とあっさりした脂。
それから、基本、麺(平打ち太縮れ麺)は豚骨醤油魚介のスープに良く合う。
具は、焼豚、メンマ、岩海苔、刻み玉葱。刻み玉葱の上には粗挽きの黒胡椒。黒胡椒が香り高い。玉葱のシャキシャキ感が心地良く、清涼感を付与。黒胡椒と、岩海苔の濃厚な磯の香りがスープの良いアクセントになっていて良い。
かなりレベル高い。

-devil (850 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
麺は上述した平打ち太縮れ麺。スープの色は黒緑。表面に膜が張っている。はっきりいって見た目のインパクトが凄い。
濃厚な海苔の香りと濃密な魚介の香り(ただの節だけの匂いではない)は、bodyの強烈さを想起させる匂い。 
スープには、はっきりと粘度を感じる。魚介tasteは濃蜜だけど、塩辛かったりするわけではないので、ハードな見た目とは裏腹にけっこう食べやすい。自慢の麺との相性も良い。あと、tailに少し苦味を感じる(これがまた良し)。
具の一番目立つ葉っぱはサニーレタス様(赤からし水菜らしい)。玉葱のシャキシャキした食感と味が濃厚魚介スープの箸休めにbest match!口の中がrefreshされる。で、焼豚の下には水菜(赤からし水菜?)の茎と柚子皮が仕込まれている。水菜の茎はけっこう辛いんだけど、これが良い。あと、焼豚をつまみあげたところで、顔を出した柚子皮から発する柚子の香りがフワっと漂うんだけど、この仕掛けが心憎い。玉葱の上に振り掛けられている赤いい粉は殆ど辛くない(んだけど、何これ?)。
それから、スープの底に黒い粒が残るんだけど、これはイカスミだとか。
お店の紹介文によると、「conc.の烏賊風味。少しビターな仕上がり」だそうです。
いと旨し!


閑話休題


こんな文献を読んでみました↓

PyFluor : A Low-Cost Stable, and Selective Deoxyfluorination Reagent
J. Am. Chem. Soc., 2015, 137, 9571-9574.

Deoxyfluorination (脱酸素的フッ素化)のお話です。
Deoxyfluorinationのパイオニア的試薬と言えばDASTですが、高額であり、爆発的に分解する性質、官能基許容性の制限、副反応 (脱離反応)の進行といった解決すべき問題があります。で、Deoxo-Fluor、XtalFluor、FluoleadといったDASTの熱安定性に対する改良が施された試薬が開発されてきましたが、よりコスト高となり、選択性の改善は限定的のようです。
Deoxyfluorination reagents
(see http://www.chem-station.com/odos/2009/07/dast-dast-fluorination.html)

Tobias Ritter教授らの開発したPhenoFluorは、複雑な天然物のlate-stageでのフッ素化において極めて効果的ですが、コストと安定性には問題が残ります。
see
http://researcher-station.blogspot.jp/2015/05/phenofluor-1-deoxyfluorination-of.html
http://researcher-station.blogspot.jp/2015/05/phenofluor-2-late-stage.html
http://researcher-station.blogspot.jp/2015/05/phenofluor-3-is-phenofluor-practical.html

で、上述した問題点、要は試薬の製造コストの問題と安定性と選択性、を解決した試薬がこちらです↓



PyFluor (2-pyridinesulfonyl fluoride)です。この試薬は従来のフッ素化剤ではできなかったDeoxy-radiofluorination (18F化)も可能です。

さて、どのようにしてPyFluorをデザインするに至ったかですが、著者らは以前こんな研究を行っていました↓

JACS, 2010 132, 3268.

JOC, 2012, 77, 4177.

これらの反応では、フッ化ベンゾイルとアルコールとのエステル化によってフッ化物イオンが生成します。
で、アシルフルオリドの電子吸引性を増加させれば、生成したエステルの置換反応が起こり、脱酸素的フッ素化が進行するのではないかと著者らは考えました。


この発想から、スルホン酸フッ化物のスクリーニングを行い、(コストも込みで)最も有用だったのがPyFluorです。

最適条件は、
・PyFluor : 1.1 eq.
・base : DBU or MTBD (2 eq.)
・solvent : not highly dependent
                 best → toluene, cyclic ethers
                 reasonable yield → DMSO, CH3CN
です。スルホン酸エステルの形成は数分の間に定量的に進行し、続くフッ素化は徐々に進行していきます。

因に、4-phenyl-2-butanolを基質に用いてスクリーニングしたときの、フッ素化剤(Sulfonyl Fluoride)の評価結果はこちら(conditions: sulfonyl fluoride (1.1 eq.), DBU (2 eq.), toluene (0.4 M), rt., 72 hr)↓
Yield: combined elimination side products as determined GC.
(SIをみると、もっと沢山のSulfonyl Fluorideに対してスクリーニングしています)

そして、気になる基質一般性はこちら↓

幅広い1級・2級アルコールをフッ素化でき、ステロイド、アミノ酸、フタルイミド、複素環化合物、保護・無保護のアミン・アニリンが許容です。殆どの反応は室温で進行しますが、立体的に混みあった基質は穏やかな加熱(50˚C)が必要になります。あと、3級アルコール存在下、1級と2級のみがフッ素化されます。著者等はlate-stageでのフッ素化にも自身を示しています。残念ながら、酸性度の高いα水素を持つβ-ヒドロキシカルボニル化合は、脱離反応のみが進行してしまいますが。
 (アルドのWeb Siteに、4-phenyl-2-butanolとepiandrosteroneのフッ素化で、フッ素化剤の比較情報があります→ http://www.sigmaaldrich.com/japan/chemistry/chemical-synthesis/technology-spotlights/deoxyfluorination-with-pyfluor.html)

それから、deoxy-radiofluorinationの例です↓


では最後に、PyFluorの合成法と物性とコストについてメモして終わりにしましょう。
まず、合成法はこちら↓


著者等は、上記の最適化されていない合成法における原材料費は180 USD / molで、他のフッ素化剤(例えばDAST)と比較してコスト優位性が高いと主張しています。まあ、現材料費だけ示されてもイマイチピンとこないので、試薬グレードの市販価格を比較してみるとこんな感じになります(TCIのPhnenoFluor MIxは31 wt% as 2-Chloro-1,3-bis(2,6-diisopropylphenyl)-1H-imidazolium Chlorideで計算)↓

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選択性と値段の兼ね合いになるけど、PyFluorはけっこうコスト競争力があるように見えます。

PyFluorは融点23-26˚Cの固体で、普通に保存しておけば少なくとも30日は分解物は検出されません。さらにSulfonyl Fluorideは水のエマルジョン中では加水分解されず、熱安定性も良いです(0-350˚Cの範囲で発熱分解しない)。
で、反応(Deoxyfluorination)は空気や湿気を排除する必要がないわけなんですが、これはポイントが高いです。ハンドリングに気を使うフッ素剤が多い中、PyFluorの物性はかなり光ってるとボクは思います。

まあ、オレって今までフッ素化やったことないわけで、この先もやることはないかもだけど、機会があったら試してみたいフッ素化剤と思いました。

以上、二流大出のテクニシャン(研究補助員)の久々のメモでした。

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