ども、ラム肉大好きコンキチです。
新型コロナの感染者数も減ってきて(余談は許しませんがね)、コロナ強者にはワッショイな空気感が漂う今日この頃。天候も陽気で街に繰り出してラム肉でも食べたいところです。
ということで、コロナ禍前にラム肉を食べたときの復習メモです↓
-ジンギスカン らむすけ (visited Feb. 2020)-
住所:足立区千住1-39-12
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
ぶ厚くカットされたラム肉は、生めに焼き上げるのがおすすめ。
生ラムは軟らかく歯の入りが良いけど、弾力リッチで噛み切るのはやや難儀する。生めに焼いても、良く焼いても焦げにくくて美味しい。臭みは全く感じず、ピュアな旨みがふんだん。
何もつけずに食べたり、塩、タレを試したけど、塩一択で(お塩は甘みがある)、 肉の旨味が爆発する。兎に角、絶品で淡白かつフルボディな旨さ。
タレはシャビシャビした焼肉のタレ系で、(ボク的には)野菜炒め用かなといった印象。
テーブル置いてあるにはニンニクと唐辛子を試してみたけど、ラムの味が濁るのでお勧めしないです。
-ウーロンハイ (400 JPY)-
The MALT'Sのジョッキ。
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
美品。
梅水晶にハズレなし。
口の中がさっぱりするので良いです。
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
鍋の縁でパリパリになるまで焼くように言われる。
皮(腸?)のバリバリして乾いた食感と味が堪らない。
で、中はジューシーで軟らかくアツアツを食べるのが最高。
ビールのお供に良いです。
店内にはハンガーがあって匂い移り防止のビニールが掛かっていたり、紙エプロンが用意されているけど、半端なく油が跳ねるて匂いもガッツリ服につくので、心して入店すべし。
閑話休題
遅れ馳せながら、こんな文献を読んでみました↓
Broadly Applicable and Comprehensive Synthetic Method for N-Alkyl-Rich Drug-like Cyclic Peptides
J. Med. Chem., 2022, 65, 13401-13412.
中外製薬のN-アルキルリッチな環状ペプチドのパラレル合成のお話です。
ターゲットとなる環状ペプチドは、
(1) 11残基のアミノ酸から構成
(2) 5-8個のN-アルキルアミノ酸をランダムに含む
(3) アミノ酸側鎖は水酸基、フェノール性水酸基、イミダゾール、チアゾールに限定
(4) C-末端のアスパラギン酸とN-末端のアミノ基で環化を行う
といったもので、この化合物群を沢山合成する単一メソッドの構築がお題です。
実は、N-アツキルリッチなペプチドのパラレル合成って結構難しいんですよね。
具体的には、
a) Fmoc基の脱保護時の副反応=DKP (2,5-diketopiperazine)形成
N-アルキルアミノ酸はcisが優勢なので問題となります。
今回の場合だと、Thr(tBu)-MeAlaとかLeu-MeAlaが欠落してしまいがちで、DKP形成由来のバイプロとのHPLC分離が困難です。
b) N-アルキルアミノ酸の立体障害→アミド化(カップリング)の進行が不十分
c) N-アルキルリッチなペプチドは酸性条件下で不安定(global deprotectionは酸性条件)
TFA/H2O/TIPS (90:3:7)といった標準的な条件下での加水分解が深刻
といった課題があります。
DKP形成対策としてはFmocの代わりにallocを使うとか、カップリング効率を上げるためにトリホスゲンを使うとか、酸性条件下での加水分解対策として脱樹脂・脱保護時の温度と酸の濃度を厳密に制御するとかいった対策はあるんですが、全くもってパラレル合成向きじゃないんですよね。
パラレル合成っていうのは基本ルーチンなオペレーションになるので、ランダムなN-アルキルアミノ酸の導入への対応は難しいし、ペプチドの酸に対する安定/不安定さは配列に依存するし予測するのも難しいしカスタム対応するのも困難です。
実際、標準的なメソッドで合成すると、収率は低めだし、純度も上がらないし、単離も難しかったそうです。
そこで著者らは鋭意検討して、素晴らしいインプルーブメントを開発したんですね。
まず、DKP形成対策としては、標準的な20%ピペラジンのDMF溶液に代えて2% DBU in DMFを用いてFmocを切断することで、副反応を大幅に低減させることに成功しました。
これは、DBUが(ジベンゾフルベンが外れた後の)カルバミン酸と塩を形成して、一時的に保護基として働くからなんですね。DBUとカルバミン酸との塩はNMRで確認されていて、濃度が薄くなると分解するんだそうです。なので、脱保護中は保護基としてワークし、樹脂をウォッシュするプロセスで分解しフリーのアミノ基となります(ピペラジンではこの様な塩の形成は確認されなかったそうです)。
次はカップリング(アミド化)効率対策です。
著者らは縮合剤にDIC/HOAtを採用しているんですが、HOAtって酸性なんですよね(pKa 3.28)。なので、調子に乗って使ってしまうとアミノ基と塩を組んでしまうことでアミノ基の求核性を奪ってしまうんですね。ということで、HOAtの量を加減して系内を中性に保つことが効果的です(J. Pept. Sci., 2006, 12, 147-153.)。
それから、保護基の選択も重要です。
Fmoc-Thr(tBu)-OHとMeValのカプリング効率は許容範囲なんですが(モデル実験で90% conv.以上)、tBu基の脱保護には強酸性条件(90% TFA/DCM)が必要で、酸に弱いN-アルキルリッチペプチドには厳しい条件です。それではということで、よりマイルドな条件(1% TFA/DCM)で除去できるTrt基が候補に挙がるんですが、こちらはその嵩高さが災いしてカップリング効率が低下してしまいます(モデル実験で6割に満たない転化率)。
ハイ、このジレンマを解決したのがTHP保護で、マイルドな条件での脱保護と満足いくカップリング効率を両立します(モデル実験で90% conv.以上)。
最後は、側鎖の保護基を残して脱樹脂→環化→側鎖の脱保護をマイルドな条件で敢行するミッションです。
切断する樹脂(固相担体)は2-クロロトリチルレジンで、残さなければいけない保護基はThrとSerの水酸基のTHP、Tyrのフェノキシ基のClt、HisのイミダゾールのTrt基の三つ。側鎖の保護基は主鎖の加水分解を抑えつつ行う必要があります。
で、著者らが採用した手法は、
A) 脱樹脂カクテルには"TFE (2,2,2-trifluoroethanol)/DCM (1:1)+DIPEA (1.8 eq.)"を使用
DIPEAの役割は、樹脂からの切り出しで生成するカルボン酸による溶液の酸性度の上昇の抑制と、TFEの反応性の維持。
TFAベースノカクテル(0.6% TFA in DCM/TFE/TIPS (10:5:1)とかTFA/DCM/TIPS (2:93:5))だと側鎖の保護基や加水分解が進行してpoor yield。
B) 環化はHATU/DIPEA (ca. 6 mM in DMF)/DCM [1:1]の高希釈条件
メインの副生成物は環状ダイマーで、HPLC分離容易。
C) フィニッシュの側鎖の脱保護は0.05 M tetramethylammonium hydrogen sulfate (HSO4NMe4)/HFIPでキメッ。
このマイルドな条件で主鎖の加水分解をコンプリートに抑制。
因みに、5% TFA/DCMだと主鎖の加水分解が起こりる。
です。
ここで鍵となるのはTEAとHFIPの使用ですね。
これらのフルオロアルコールは高いイオン化能を持っていて、カチオンの解離を促進する溶媒効果があるので、弱い酸でもTHPやTrt、Cltを脱保護できるのです(HSO4NMe4 [pKa 1.99] vs. TFA [pKa 0.23])。
こうして構築した最強メソッドはこちら↓
100 cyclic peptides, 31% yield, 97% purity on a average
この手法でLUNA 18(中外製薬が中分子技術を使った最初の臨床入りプロジェクト)も収率18%、98% purityで合成できます。
LUNA 18
素晴らしい成果ですね(なんも言えねぇ)。
以上、二流大出のテクニシャン(研究補助員)の環状ペプチド合成メモでした。
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