先日、橘玲の新著「大震災の後で人生について語るということ」を読了しました。
著者によると、この本は日本に降りたった二羽の「ブラック•スワン」の物語であるそうですが、ボク的には、ブラック•スワン化の進行により従来の成功スキームが崩壊していて、新しい成功スキームを手に入れなければならないっていう話と思いました。
ブラック・スワンとは、「ありえない or 起こりえないと勝手に人間が思っているだけで、実際に起こっちゃった想定外の衝撃的事象」で、その特徴は↓
a) 異常であること。過去に照らせば、そんなことがおこるかもしれなとはっきり示すものは何もなく、普通に考えられる範囲の外側にあること
b) とても大きな衝撃があること
c) 異常であるにもかかわらず、私たち人間は、生まれついての性質で、それが起こってから適当な説明をでっち上げて筋道をつけたり、予測が可能だったことにしてしまったりすること(後知恵バイアス)
です。
参考までに、ボクのブラック•スワンに対する感想→http://researcher-station.blogspot.com/2009/10/4th-quadrant.html
かつて、日本人は「不動産神話」、「会社神話」、「円神話」、「国家神話」の四つの神話を盲信し、一様にそれに則った成功スキームに乗って人生設計してきたと言います。巨額の住宅ローンを組んで持ち家を買う。大企業に就職して定年を迎える。円資産の集中保有。定年後は(公的)年金生活。
しかし、四神話の信者にとって現状は厳しい。不動産価格はバブル崩壊後大きく値を下げ、持ち家世帯の債務超過は必至だ。そもそも、ボクに言わせりゃ終身雇用なんて日本に存在したことなんてないし。円神話があったというのは初耳だけど、実質購買力を維持するには、為替リスクは重要だ。現在の政府債務残高と将来のい人口動態を鑑みれば、公的年金なんかこれっぽっちも期待できない。正に、神話の崩壊はブラック•スワン。要は、日本人の伝統的な人生設計プランは、もう死んでいるってことです。
じゃあ、新成功スキームはなんなの?ってことですが、ボク的にはこう解釈しました↓
a) スペシャリストを目指す(拡張不可能な仕事に従事する(月並みの国の)クリエイティブクラス=安定して給料がそこそこ高い)。弁護士、医者、会計士などの専門家。ゼネラリストや場マックジョブを志向して会社にしがみつく生き方はもはや残念な生き方だし、クリエーター(拡張可能な仕事に従事する( 果ての国の)クリエイティブクラス)として成功するのはギャンブルに近しい。
b) 資産を不動産(住宅ローン)と円預金のみに集中させない(橘氏は一貫して国際分散投資を薦めている)
c) 国家に依存しない生き方
ってところでしょうか。
あ、あと、借金しまくりの日本が財政破綻(円の信用が失墜して通貨の価値が大きく毀損)した場合確実に起こることは、
(1) 高金利
(2) 円安
(3) インフレ
だそうです( ボク的にはサクサク財政破綻してもらって一向に構わないです)。
ちなみに、著者の言う二羽の黒鳥は、1997年のアジア通貨危機を端緒とした金融機関の経営破綻(失業率の上昇と自殺者数の増加)と、「3.11」です。著者の橘氏は、「3.11」から大きな衝撃をうけて少しセンチになっているためか、本書はやや精彩を欠いているように思えて少し残念です。
最後にブラック•スワンについて一言:ボク的には、今後、ブラック・スワンの発生頻度は増大すると思います。ボクたちの関心はより開いた系へと向かっていると思うから。考慮すべき要素が指数関数的に増えていって、全てをキャッチ・アップできなくなる。その結果、想定外のビッグ・イベントにやられちゃっう。常識とか神話とか経験は、考慮すべきファクターの全てを勘案して練り上げられたものではないから玉湯等なのだと思います。
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2011年9月17日土曜日
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