2013年10月20日日曜日

C-Nカップリングの新展開 (1)


先日、ネスプレッソ(Nespresso)デビューして、気分は軽くGeorge Clooneyなコンキチです。




閑話休題


こんな文献を読んでみました↓

Copper-Catalyzed N- and O-Alkylation of Amines and Phenols using Alkylborane Reagents
Org. Lett., 2013, 15, 1544-1547.

B-アルキルピナコールボロネートを用いたCsp3-NカップリングとCsp3-Oカップリングの話です。

[Buchwald-Hartwig]

Csp2-Nカップリングの代表格というと、Buchwald-Hartwig aminationがその最右翼だと思いますが、強い塩基が必要であったり、脂肪族アミンを用いたCsp3-Nカップリングではβヒドリド脱離と競合します。

[Chan-Lam-Evans]

また、Chan-Lam-Evansクロスカップリングの場合、過剰の銅塩と過剰のボロン酸が必要となることに加えて、安定性の悪いボロン酸は使えないし、Csp3-Nカップリングの報告例は少ないそうです。

[Yamamoto-Miyaura]
Pd version: Angew. Chem. Int. Ed., 2008, 47, 928.
Cu version: Chem. - Asian J., 2008, 3, 1517.

比較的最近の例としては、トリオールボレートを使用した報告があり、中性条件下でいけるそうです。


でThis workです↓
Csp3-Nカップリング: 19 examples, 45 - >99% yield
Csp3-Oカップリング: 7 examples, 42 - 91% yield

反応温度は50˚C or 100˚C。50˚Cの方が100˚Cのときより高収率の場合もありです。酸化剤は、(tBuO)2の替わりにAg2CO3を使っても同等に有効(値段は全然違う)。この反応はアミンの触媒的アルキル化の稀な例なんだそうです。あと、医薬品合成へ応用可能なことをアピールしています。

ちなみの、ボラン試薬はB-alkyl-9-borabicyclo[3.3.1]nonaneやカリウムトリフルオロボレート塩よりも、ピナコールボロネートの方が反応性が高いです。また、脂肪族アミン、脂肪族アルコール、チオフェノールとは反応せず、それらの官能基の共存下で選択的カップリングができます。

あと、one-potでステップワイズに非対称にジアルキル化することもできます↓


それからラセミ化も軽く起こりえるようです↓

そして、著者らの提案している反応機構はこちら↓

Cu(OAc)2の代わりにCu(OtBu)2を使うことで反応が進行することから、Cu(OtBu)2が触媒活性種として働くと著者等は考えています。それと、重ベンゼン中での反応で、1H NMRと11B NMRから(tBuO-Bpinが加水分解して生成すると思われる)HO-Bpinが検出されたということです。

「塩基にセンシティブな官能基を含む基質に対して有効」ってことをアピールしていますが、そうなんだろうなと思いました。

以上、二流大出のテクニシャン(実験補助員)のメモでした。

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