とある化学の超ガテン系

実験嫌いの実験化学者が綴る企業の研究員の日常 (このブログはMac OS Xに最適化されています)




Saturday, June 25, 2016

HOW WE LIE TO EVERYONE (1) : 人は息を吐くように"ずる"をする

水道橋に鰤シャブを喰いにいったときのメモです↓

-能登美 別館 memo-

-鯖の糠漬け (へしこ) (518 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
皮は硬め、発酵した香りがする。身にはサクッと歯が入る。乾物のめざし様の魚くささ。かなり塩辛い。粕漬けチックな風味もする。
口に含むと、topに鯖の風合い。いぶりがっこにも似た風味も感じる、
これは酒が進む。

-天然ブリしゃぶ (1,706 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
お出汁は濃厚昆布風味。ブリの他に野菜がたっぷりで嬉しい。薬味は、もみじおろしと刻み万能ネギ。鰤はしっとりした食感で、脂々しておらず上品な旨味を感じるも、血合い様の生臭さを伴う(これは残念ポイント)。
Web Siteには、「当店の大ヒット鍋!!2、3回出汁に通し、ほんのり白くなったところをやっつける!!美味しさにしばらく声もでません!!」と書いてあるんだけど、もう少ししっかりしゃぶしゃぶした方がいいと思います。この辺は出汁の温度にもよるのだろうけど、あまりに短時間だと表面が冷たいままで、鍋の醍醐味に欠ける。
適度(?)に熱を加えると、表面が少し硬い食感となり、口の内でホロホロとほぐれていく感じと、身の内部のしっとり感とのコラボが素敵。表層が活性化されている。
血合い由来と思われる生臭さは、薬味(もみじおろし、刻みネギ)を十分に載せて食べれば殆ど気にならないレベル。
味付けは醤油ポン酢。ポン酢は器に全量入って提供されるので、はじめのうちは(特に野菜を食べる際に)味が濃すぎる(しよっぱい)。

-宗玄 純米 (734 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
能登の酒。日本酒度 +3
いかにも日本酒といったようなbodyの強さを感じさせる匂い。
酸→甘→苦→渋といった具合に味が流れていく。特に甘味が特徴的。膨よかでmilkyな甘み。

-黒帯 悠々 特別純米酒 (648 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
石川の酒。日本酒度 +6。雪冷えで頂く。
いかにも日本酒といや感じの匂い。ほんのり甘く、すっきりした味(日本酒度 +6だしね)。

-一の蔵 超辛口 (486 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
日本酒度 +10。熱燗で頂く。
白い素焼きの徳利で提供される。一緒に出される猪口も温められているのが嬉しい。
安定の旨さ。


閑話休題



ダン•アリエリー教授の「ずる―嘘とごまかしの行動経済学」を読了しました。行動経済学の本です。

本書によると、「人間は、一方では正直でありたいと思いながら、その一方でずるをしてトクをしたいとも考える」のだそうです。

なので、

「正直な人間」という自己イメージと、実際の行動との間にズレが生じることがある

と言います。

我々はそういったズレを解消しようとするわけですが、人はその補正項の大きさを(都合良く)自在に変えて「そこそこ正直な人間」という自己イメージを保てる水準までごまかしをするそうです。著者はその補正項を"つじつま合わせ係数 (fudge factor)"と名付けました。

で、このような鷹揚さを「認知的柔軟性」と言い、この(極めて)人間的な能力のおかげで、多くのの善良な人々は、ほんのちょっとだけ"ごまかし"をする分には、"ごまかし"から利益を得ながら、自分を素晴らしい人物だと、ご都合主義的に、思い続けることができるというのです

自分を正直で立派な人間だと思いたい『自我動機』と、ごまかしながら利益を得てできるだけ得をしたいという『金銭的動機』は相反するものですが、両者のバランスをとり自分を正当化するプロセスが我々人間にはあると著者は宣います(これが「つじつまあわせ仮説」)。

要は、小さい"ずる"は無視できるほど瑣末なことで、自身の品格に影響するものではないと識別する"言い訳"機能がボクたちに組み込まれてということなんでしょう。

こうした、ちょとした小さな"ずる"を多くの人がやっているであろうことは、本書で紹介されている実験によって例証されています。

ところで世間一般では、"ものには限度がある"と言います。なので、多くの人が許容できる"ずる"にも限度(範囲)がある訳で、その大きさも条件によって変動するはずです。

それでは、どういった場合に、"する"の大きさ(=つじつま合わせ係数)がその程度変動すりのか?また、どういった条件を課せば"ずる"を抑制できるのかについて複数回に分けてメモしてみます。

まずはじめに、どういった場合に人は"ずる"をしやすいかについて、とりあえず3例のメモです。

A) 不正からの距離感が大きいとき、人は"ずる"しやすい
ゴルフの話です。ゴルフは紳士のスポーツなどと称されますが、プレイヤーの行動が不正行為の実行から離れているときや、わりにくいとき、正当化しやすいときに不正をし易いと感じ、実際に不正をするそうです↓

Table 紳士(ゴルファー)の不正 (インタビュー)

ゴルフを嗜む紳士たちがボールを動かす"ずる"をする際、クラブ(道具)>足>手(明確な意思)と不正行為の距離が自分から離れるに従って、不正し易くなります。マリガン(1打目のショットだけは無打罰で無かったことにできるというローカルルールでもないく、ルールブックに存在しないルール)やスコア記録の"する"も同様です。
(とんでもない紳士がいたもんだね)。


B) 利益相反のある場合、人は"ずる"しやすい
利益相反は至る所で、頻繁に見られるといいます。そして、利益相反のよくある原因は、「恩義を返したい」という人間が本来もっている欲求(=返報性)によるとことが大きいといいます(返報性は詐術における最も強力な手段でもある see http://www.mag2.com/p/news/122934)。あと、ハイテク機器を導入したいときはそのマシンを活用したいということが、学校の先生が論文書けそうな感じだったら論文の中身を充実させたいいう動機が利益相反行為を促す。

で、本書で紹介されてる返報性を利用した最も強力な例として紹介されているのは製薬企業のMR (Medical representatives, 医薬情報担当者)の行動です)。

本書によれば、(多分、アメリカの)MRの「とにかく至れる尽くせり」攻撃(返報性期待トラップ)には次にようなものがあるそうです(いっぱいある)。

a) 自社のロゴが入った無料のペンやメモ帳、マグ(を配る)
b) サンプル薬
c) 医師を神のように扱う
d) 医院の職員にについて、好きな食べもの、担当者と面会できる時間帯、一番面会時間の長い担当者のタイプを調べる。
e) 看護師、受付係にお菓子や粗品を配って、最初からみんなに気に入ってもらえるよう努める。
f) 教育という名目で、指定したテイクアウト店に医師が行けば、何でも好きなものをただでもち帰れるように手はずを整える。
g) 自社のロゴ入りにの黒いマグカップを医師や研修医に配り、これを地元のコーヒーチェーンに持っていけば、エスプレッソかカプチーノを好きなだけついでもらえるように手配
h) ハンサムで人好きのする20代前半の男性が、テコでも動かなかった女医の社交ダンスの相手を買って出た
i) 医院の職員全員に豪華な食事をおごる。
j) 医師に報酬を与えて、自分たちの売りこもうとしている医薬品について、ほかの医師たち相手に簡単な講演をしてもらう(当の医師が自分の言葉を信じるようになり、薬を処方し始める)。
k) 社交上の友人関係の領域にまでおよぶこともある(医師と友人として海釣りとか、バスケットボールの試合をしたりとか)。

ペンとかメモ帳といったジャブ程度のものからはじまって、まあ、いろいろ大変だなと思いますが、もっとえげつないことやってる東洋の先進国がありませんでしたっけ?製薬業界に限らずに。でも、以前聞いたMRの豪気な接待の(噂)話は凄いなと思ったことがあります。

マジ、パネーです

的レヴェルで。

実際、MRの接待規制(医療用医薬品製造業公正競争規約の改正, 2012年)が入りましたし、かつては相当なものだったのでしょう(多分)。ちなみに、欧米ではMRの接待は一切認められておらず、上に列挙した『(多分、アメリカの)MRの「とにかく至れる尽くせり」攻撃』は、極東のどこかの先進国のそれと比較すると、「至れる尽くせり」と言う割りには極めて可愛らしく感じられるのは気のせいではないと思います。
(製薬会社の「接待」規制、その後も抜け道だらけという実情なんていう記事(http://www.mag2.com/p/news/122934)もあるし、我が国のなんとか伝統を守り抜こうとする姿には頭が下がります。)


C) 疲れているとき、人は"ずる"しやすい
イスラエルでのリサーチです。仮釈放審査会の判事が仮釈放を許可するのが最も多いのは、一日の最初の審問と、昼食休憩直後の審問だったそうです。
審査委員会の標準的な決定は、仮釈放を認めないことだそうです。したがって、標準的な決定を覆すこと=「仮釈放を認めること」はより大きな努力を要するわけで、最も疲労の蓄積が少ない時間帯にその決定がなされるという寸法です。
なので、一日のうちに多くの困難な決定を下し認知付加が高まるにつれて、仮釈放を認めないという、より単純で標準的な決定を判事は選ぶようになります。
一般に、人は意思力がすり減ると、欲求を抑えるのにとても苦労するようになり、その苦労のせいで正直さまでもすり減ってしまうと著者は言います。


以上まとめると、不正との距離感が大きい場合、利益相反(特に返報性)がある場合、疲れているときに"ずる"しやすくなるということを学習しました。どうですか皆さん?心当たりありませんか?
少しでも正直で品行方正に生きたいと考えている現代社会では希有な方は、上述した人間の特性を理解•注意して生活を送れば、望みの真っ当な人生を歩む一助になるでしょう。

つづく.....


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