2016年6月11日土曜日

アニリン合成の新展開

千葉の渋谷こと柏Cityで食べたカレーのメモです↓

-カレーの店ボンベイ-
-チキンカレー (鶏肉•普通) (800 JPY) memo-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
シャビシャビのほぼ液状のカレー。辛さは甘くはないが、中辛よりちょい甘か?ちょっとおとなしい味だけど、ソリッドなニュアンスもある。全体的にちょっともっさりした味。
ライスは固めで、まあ旨い(多分、山形はえぬき)。
ライス、カレーともに熱量が明らかに不足していて全体的に物足りない(猫舌仕様かと思った)。
あと、チキンがちょっと硬い(熱量不足もあって、余計に硬さが気になったか?)
デミタスコーヒー(まずまず旨い)が付く。

-ハートランド 500 ml (600 JPY)-

店内は軽くモダンな感じ。店員は黒のポロシャツのユニホームで揃えている。この日は男子3人と若くて可愛い女の子1人。
GABANのスパイス(スパイシースパイス、ハーブスパイス、ミックススパイス&シーズニングスバイス)を使用。
ところで、この店、カレーの入った寸胴鍋を床に直置きしてたんだよな。衛生面でちょっとどうかとました。行ったのは2年くらい前なんだけど、その後改善されていることを期待してます。


-BOMBAY CAFE-
店内はwoodを基調とした昭和のにおいがする落ち着いたチョイレトロ調。寸胴鍋を地べたにおくといったこともなく、クリンリネスは本店に勝る。本店(カレーの店ボンベイ)にのようにユニフォームはないが、接客面も本店よりワンランク上。
カレーは作り置きして、冷蔵庫にストックしているようだ。

-インドカレー (鶏肉•辛口) (850 JPY) memo-
-RATING- ★★★
-REVIEW-
カレーの流動性はスープの領域。心地よい辛味でそのままスープとして飲みたくなる暗いの旨さ。本店とは異なり、ホッコリしたジャガイモとチキンには熱が残っている。
同一商品ではないが、本店よりもカレーの流動性高く、もっさり感じもないく、ワンランク上の味がする。
ライスは硬めに炊きあがっている。

-カシミールカレー (鶏肉•極辛口) (900 JPY) memo-
-RATING (as soup)- ★★★★★
-RATING (with rice)- ★★★★☆
-REVIEW-
猛烈にspicyな香味。色が濃いスープ状のカレー。taseteはかなりsolidで辛い。ボンベイのメニューで最高峰の辛さ"極辛口"は相当辛いが、無理せず食べられる範囲の辛さ(但し、ここまで辛いのは久しぶりといった辛さ)。繰り返しになるが、スパイス感はかなり高い。
具は、大きめにカットされたチキンとジャガイモで、このカレーのスパイスとの相性は抜群。スパイスがこの上ないほどよく効いている。チキンは歯切れよく、ジャガイモはホクホク。辛口スープとして最高に旨い。
ただ、スパイス感が非常に強いこのカレーは、本質的にライス(白米)との相性はイマイチと思います。

-生ビール (ハートランド (400 JPY)-
カシミールカレーのような、けっこう辛いカレーを胃の中に流し込むのに
最適なのは、やっぱ、淡色ラガーだと思います。

-ボンベイカレー (野菜•普通) (1,100 JPY) memo-
-RATING (as soup)- ★★★★★
-RATING- (with rice)- ★★★★☆
-REVIEW-
刻んだキャベツ、玉ネギ、ピーマンを山盛りに盛った野菜たっぷりカレー。topにがトマトを戴き、sideにはジャガイモが鎮座する。カレーはシャビシャビの液状で、硬派なspicyな香味がやんわり漂う。野菜由来の豊潤な甘みがとてもrichに広がる。まさにカレースープの装い。グビグビと飲める。ライスなしでスープとして成立する。
具の野菜は舌触りのよい大きさに刻まれ、煮込まれていて、ボリュームもあって良い。老美味しく-Lamn菜を摂取できる。
ライスは硬め。ライスに掛けて食べると、bodyの弱さを感じる。


閑話休題


こんな文献を読んでみました↓

Transition-Metal-Free Access to Primary Anilines from Boronic Acids and Common +NH2 Equivalent
J. Org. Chem., 2015, 80, 2545-2553.

遷移金属フリーでアリールボロン酸をアニリンに変換するお話です。

遷移金属が触媒するクロスカップリングを用いたアリールアミンの合成法としてすぐに思いつくのは、Buchwald-Hartwig Cross-CouplingとChan-Lam-Evans Couplingではないかと思います。
cfhttp://researcher-station.blogspot.jp/2013/10/c-n-1.html

Buchwald-Hartwig Cross-Couplingは、sec-アニリンやtert-アニリンの合成には有効ですが、primaryアニリンのマイルドかつ有効な合成はチャレンジングだと言います。さらに、primaryアニリン合成に用いられるアンモニア等価体には、イミン類やTMS2N-Metal salts、同様に切断可能な保護基を持つ含窒素化合物がありますが、step economyやatom economyが悪くなります。

Chan-Lam-Evans Couplingも、sec-アニリンやtert-アニリンの合成には成功を収めていますが、primaryアニリンの合成例は殆ど報告されていません。

こんな具合にprimaryアニリン合成が難しいことに加えて、遷移金属フリーのarylative amination自体がレアで、一般性に乏しく過酷な反応条件が必要となります。
遷移金属フリーのarylative aminationとして、アリールGrignard試薬とクロロアミンの反応が有効な方法だと報告されていますが、tert-アニリンの合成に限定されるようです(Org. Lett., 2010, 12, 1516.)。

ここまで述べたように、クロスカップリングによってアンモニア等価体を導入してprimaryアニリンを合成するのはハードルが高いですが、遷移金属フリーのhydroboration-aminationによる脂肪族アミンの有効な合成法は開発されています。

さて、一旦遷移金属フリーのarylative aminationの過去の報告例をおさらいしてみましょう↓

何れの方法も目的物取得のためには昇温(加熱)が必要で、primaryアニリンを合成できるのは「JACS, 2012, 134, 18253.」の方法が唯一だそうです。

で、This Workですが、著者らは簡便かつ室温で反応が進行する遷移金属フリーのprimaryアニリン合成を模索する中で、hydroxylamine-O-sulfonic acid (HSA)に目を付けます(なんで目を付けたかの根拠はあまり説明されてないとオレは思った)。因に、脂肪族ボロン酸エステルはHSAによりアミノ化されるという大昔の報告例が既にあります(JOC1986, 51, 3150.; JACS, 1986, 108, 6761.)

mp. 210˚C (dec.)
hygroscopic
Aqueous solutions are unstable, decomposing readily above 25˚C
47,800 JPY/ 500 g (TCI)

中性条件下でアリールボロン酸に対してHSAは低活性ですが、塩基性水溶液下で反応を行うことで望みのarylative aminationが進行します。

29 examples
(28 examples of them, 69-99%)

この反応の特性ですが↓

トリフルオロメチル基(電子吸引性置換基)の導入により反応性が低下します。ニトロ基やカルボニル基が入ると室温では反応が進行せず、refluxするとcomplex mixtureになってしまい、この反応に適合しません。
立体障害の影響は軽微で、置換位置も収率にあまり影響しません。とりあえず、電子供与性置換基で環が活性化されていれば嵩高い基質であってもイケイケみたいな感じです。
また、水酸基やアミノ基があってもへっちゃらで、ハロゲンがあってもブイブイ言わせちゃいます。
あと、複素環のボロン酸はこの種の反応は難しいと言われていますが1例だけだけど、quinolineboronic acidはいい感じに反応が進行します(但し、4-pyridineboronic acid、3-furanboronic acidを基質に用いて反応を行うとcomplex mixtureになってしまいます)。

それから、この反応はボロン酸だけでなく、ボロン酸誘導体にも適用できます(ボロン酸が不安定な場合があるので、これはポイント高いです)。

(過剰のシリカの添加によって、トリフルオロボレートの加水分解が促進するらしいです。ref. JOC, 2009, 74, 7354.)

さらに著者等は、ボロン酸の前駆体からOne-Potでアニリン誘導体を合成する手法も開発しています↓
7 examples, 24-91% Yield
(収率24%は4-bromobenzotyifluorideを基質に用いた場合)

6 substrates, 40-93%
(Derected Metalation GroupがN,N-diethylaminocarbonylだと0% Yield)

最後に著者らは1,2-aryl B-N migrationの反応機構のついて言及していて、HSAが二回脱プロトン化を受けるdianionic mechanismを推しています。


それにつけても、こんなにマイルドな条件でTransition-Metal-FreeでPrimary Aniline合成できるなんて信じ難いです(まあ過酸化水素による酸化反応のアナローグではあるけど)。けど、今回使った"NH2"等価体は大昔からある古典的試薬だけど、古い試薬でもまだ分かってないいろんな可能性があるんだなって思う、二流大出のテクニシャン(研究補助員)のメモでした。


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