2025年5月17日土曜日

なんちゅうか、町中華・ガチ中華 (1)

ども、町中華もガチ中華も大好きな、中華大好き、なんちゅうか本中華コンキチです。
備忘録として、ボクの中華な記憶をメモしていきます。
それでは、ヨロシクです。


ENTRY 1   餃子会館磐梯山 (両国, Aug. 2018)
住所:墨田区両国3-24-2 渡辺尾崎ビル2F 

-ビール (714 JPY)- 
-REVIEW- 
キリンラガーの大瓶。 


-お通し (増税前で105 JPY)-
-REVIEW- 
塩が振られてない枝豆。 




-ぎょうざ (441 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
小振りの餃子は焼き目部分がパリッと軽やかな食感で、それなりに香ばしい。
焼き目がついていない部分は、モチッとしている。
餡のニラのフレッシュな香味が特徴的で、ニンニクと生姜の香味もするか。 
何も付けずに食べてそこそこ美味しい普通の餃子。
辣油は固形分リッチで香ばしくて美味しい。
ボク的には、醤油ダレに付けないで食べた方が美味しいと思う。
着席すると「餃子何枚にしますか?」と聞かれるほどの餃子押し(餃子会館だし)なんだけど、その割には普通めの餃子と思いました。

-レバニラ炒め (714JPY)-
-RATING- ★★★☆
-REVIEW-
フレッシュなニラともやしリッチなレバニラ。
ニラの香りが鮮烈で旨い(餃子に入ってるニラもそうだけど、この店のニラは絶品)。
そして、レバもかなり旨い。軟らかくってけっこうフレッシュな部類だと思う。大衆定食店のレバニラでこの鮮度はレベル高いと思う。
タレ(味付け)は甘めで、肉(レバ)の旨味を纏っている。 気に入った。 


ENTRY 2   餃子の王様 (浅草, visited Aug. 2018)
住所:台東区浅草1-30-8

-ビール (480 JPY)-
スーパードライ。

-王さまの餃子 (420 JPY)-
-RATING- ★★★☆
-REVIEW-
小振りの焼き餃子が6個。
こんがりキツネ色の焼き色の皮はパリッとしていて香ばしく、軽やかな食感。裏側は軽やかかつフワモチでとっても軟らかい。 
最も特筆すべきは、餡が"こんなのはじめて"な仕上がりなこと。具材はとても細かく刻まれていて、なんとも言えないまろやかな食感。野菜リッチで、いい感じにニンニクが効いている。
具材は、キャベツ、ニラ、ニンニクと少量の(多分)挽肉。
はっきり言って、かなりレベル高い仕上がり。 
何も付けずにそのまま食べて旨しだけど、今回は主にお酢でいただきました。 


-ニラレバいため (780 JPY)-
-RATING- ★★★☆
-REVIEW-
もやしがシャキシャキ。ニラもフレッシュでちょっぴり甘い。
レバはかなり新鮮で軟らかく、プルプルした食感で、程よい野趣的な香味が食欲をそそる。
薄めの味付けで、食材の旨いさが際立ちます。
店内が激狭なのが難点だけど、近所にあったら通いたい店と思いました。
 

ENTRY 3   JOE’S SHANGHAI New York Sunshine City 59 (池袋, visited Aug. 2022)
住所:豊島区東池袋3-1-1 サンシャイン60 59階

-Kirin Ichiban Shiboro Draft キリン一番搾り 生 (790 JPY)-


-スパイシー麻婆豆腐セット (1,700 JPY)-
-RATING- 
-REVIEW-
季節野菜のサラダ、Joe’s特製 蟹肉入り小籠包&豚肉小籠包、スパイシー麻婆豆腐、本日のスープ、ライス、濃厚!! パンナコッタ仕立ての杏仁豆腐のセット。
小籠包は滅茶苦茶旨い。Dingtaifengと同じくらい美味しい。皮がやわらかくて美味しい。スープがたっぷり入っていて滋味マックスにジューシー。豚、蟹どっちも香味リッチでっても美味しい。特に蟹の滋味が上品に整えられていて、堪らなく旨い。
麻婆は万人受けする味付け。辛さはピリカラ程度で山椒の効きも穏やか。マイルドながら気品漂うテイストで確実に旨い。ご飯は硬め。
スープは玉子スープで、玉子の香味がとっても濃厚。とろみが有って軽やかに濃厚。
お茶はジャスミン茶で美味しい。
フィニッシュのデザートは、そのキメ細かい舌触りは筆舌に尽くしがたくい心地よさで、神レベル。メローで上品な蜜に思わずうっとりしてしまう。あと、クコの実が控えめな清涼感を付与してすっきり

地上59階からの眺望を眺めながらの食事は、天上人になった感じで気分がよかったです。


ENTRY 4   正華楼 (野田, visited Apr. 2022)
住所:野田市野田312

-サッポロ生ビール 中 (600 JPY)-

-お通し (多分100円)-
ザーサイと大根の漬物。

-玉子チャーハン (750 JPY)-
-RATING- 
-REVIEW-
中華スープ付き。
まずはじめに紅生姜の匂いが香ってくる。
チャーハンはご飯に粘りのあるシットリ系で油を感じない。
このチャーハンの最も特徴的なところは、やっぱり紅生姜が入っていること。で、この紅生姜はそんなにどぎつくなくって、チャーハンの味をまとめるのに大きな役割を果たしている。
味付けは、塩と紅生姜を基調としていて、この味は悪くないし見事と思うけど、チャーハンらしくない。
ご飯に粘りあり過ぎ。 。 
スープは普通に美味しい。

-餃子 (五個) (450 JPY)-
-RATING- 
-REVIEW-
ニンニクの香りが食欲そそる普通に美味しい餃子。 
ちょい大ぶり。
酢醤油が合うんじゃないかと思う。 


ENTRY 5   栄華光本店 (船橋)
住所:船橋市本町4-2-21

-サッポロ生ビール黒ラベル中瓶 (560 JPY, visited Apr. 2022)-


-麻婆豆腐定食 (880 JPY, visited Apr. 2022)-
-RATING- 
-REVIEW-
麻婆豆腐にライス、スープ、マカロニサラダ、ザーサイ付き。
麻婆豆腐は甘く濃い目の味付けで、格調高い油の香味を感じる。
デフォルトでは山椒は入っておらず、ミルに入れられたソフトテイストの山椒を削り出して山椒の香味を付与する形式。山椒添加でコクと風味アップするんだけど、ボク的には痺れがバチバチくるハードな山椒の方が好み。
付け合わせのマカロニサラダとザーサイは、丁寧な味付けで普通に美味しい。
あと、玉子スープがかなり旨い。食感のいい筍がけっこう沢山入っていて、滋味深い味わい。 クリンリネスに優れ、店員もテキパキ動いていていい店と思いました。 

-餃子 5個 (350 JPY, visited May 2022)-
-RATING- 
-REVIEW- 
もっちりした薄皮で、餡は豚挽肉、ニラ、(多分)キャベツから構成(されていると思う)。
食感のいい皮を噛み切ると、中から溢れ出る黄金色のスープが滋味深旨い。
ニンニクフレーバーもしっかりあって、 何も付けずにそのまま食べてけっこう旨い。
お酢たっぷりのところに、ギャバンのホワイトペッパー、餃子タレ、辣油を加えてつけタレを調製し、餃子を半分噛み切り、旨味リッチなスープとともに"生”の餃子を味わった後、残り半分を"調製したダレ”にたっぷり付けて食べるのがいいんじゃないかと思いました。

-ニラレバ炒め定食 (950 JPY, visited May 2022)-
-RATING- 
-REVIEW-
レバはソリッドかつややワイルド系で、野趣臭もそれなりに。
他の具材は、ニラ、もやし、玉葱、木耳。
醤油ベースの味付けがいい感じ。
ニラのフレッシュ感と、もやしのシャキシャキ感をしっかり残しつつ、味と油を必要十分に絡めた炒め加減が素晴らしいと思いました。。  


ENTRY 6   龍熊酒家 (流山おおたかの森, Jul. 2022)
流山市おおたかの森西1-2-2 サクラテラス2階 

-Aランチ (1,540 JPY)-
-RATING- 
-REVIEW-
麻婆豆腐(四川飯店 陳健一直伝麻婆豆腐)、今天上湯(ランチスープ)、白飯、搾菜(ザーサイ)、氷棋淋(シャーベット=木苺のシャーベット)のセット。
麻婆豆腐は重厚かつ香り高い油の香味ふんだんのチョイ辛仕上げ(四川にしては相当マイルド)。
痺れは極々僅かで、山椒はあまり入ってない(と思う)。
あと、かなりしょっぱいのと、トップの方は餡が固まっている部分が有った。
搾菜は普通に美味しいし、 スープは上品で重層感あってとっても美味しい。 






ENTRY 7   中華酒房 龍晶餃子 (柏, visited Mar. 2023)
住所:柏市柏1-1-8 1F


-生中 (495 JPY)-

-ピータン豆腐 (528 JPY)-
-RATING- 
-REVIEW-
絹豆腐の上にピータンと葱。
ピータンは全体的に硬い。っていうか全部硬い。
卵白(って言っても黒いんだけど)部分にゼラチン感は皆無
時間が経過すると、お豆腐から出たのであろう水分で味(タレ)が薄まる。お豆腐自体もちょい味が薄い。
残念な一品。

-レバと野菜炒め (858 JPY)-
-RATING- 
-REVIEW-
具材は、レバ、人参、木耳、キャベツ、もやし。
味付けは、ホイコーロー的。
レバの食感はそれほど悪くないんだけど、少し臭みを感じる。
まあ、そんなに旨くないけど許容範囲の味か? 
あと、キャベツがタレをはじく。


-ウーロン割り (385 JPY)-
薄い。 


ENTRY 8   東京ギョーザスタンド ウーロン (東京駅, visited Apr.  2023)
住所:千代田区丸の内1-9-1 グランスタ東京 B1F

-ギョーザエール (638 JPY)-
-RATING- 
-REVIEW-
モルト、ホップ、茶葉の個性が調和した餃子によく合うビール。 香ばしく濃厚なロースト・ノートとテイスト。
全体的にコク深い味わい。
ラムネ様のシュワシュワした甘さ。
ふつうにとっても旨い! 
(けど、量少ない)

-焼き餃子 (四個入り) (550 JPY)-
-RATING- 
-REVIEW-
丸い形状の餃子で味付き。
中華っぽいマイルド・テイスト。
皮は厚めでモッチリ。
水分多く含んでいるようで、ちょっとねちょねちょしていて食感が良くない。
餡は肉感があってけっこう主張していて、味は悪くない。
カスターには、醤油、酢、山椒(痺れないけど、けっこういい感じ)、胡椒。酢はウルトラ・マイルドで甘い。


ENTRY 9   興隆菜館 (森下, visited Dec. 2023)
住所:江東区常磐2-12-11 篠崎ビル 1F〜2F

-紹興酒 (一合) (500 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
燗をつけてもらいました。
お店で飲む紹興酒って

-ピータン豆腐 (480 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
プルプルの薄切りの絹豆腐の上に、ピータン、白髪葱、刻んだ搾菜を載せ、甘辛酸な中華ドレッシングを掛けた一品。
ピータンのプルンとしたゼラチン質の食感の滋味深い黄身が美味。 


-白果蝦仁 (1,080 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
エビとギンナンの塩炒め。
プリプリの海老とシャキシャキのピーマンの食感のコントラストがいい。
ゆるい餡はお出汁の旨味と塩味の加減が丁度いい塩梅。
銀杏は新物じゃなかったけど、美味しかった。

-干し豆腐とニラの炒め (800 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
色味のいいフレッシュなニラと、肉厚で食べ応えのある干し豆腐がふんだん。
干し豆腐は優しい味のお出汁をたっぷり纏っていて、噛むとジュワーッとツユが口の中に広がる。
ニラ好きの干し豆腐好きには堪らない逸品。


ENTRY 10  東魁楼 (船橋, visited Mar. 2024)
住所:船橋市本町4-26-17

-老酒一合 (605 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
熱燗と常温を一杯づつたのみました。
熱燗:硬めの酒質でアルコール感ある。
常温:ややねっとりしら舌触りで、落ち着いた味。


-四川風麻婆豆腐 (小皿) (2,090 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
山椒の香味が濃厚(かなり効いてる)。
黒色の麻婆は濃い味で甘味強め、(格調高い)油少なめ。
全体的にソリッドな味わいで、(やっぱり)山椒の清涼感(痺れ)が特徴的。
山椒の痺れ好きには堪らない一皿と思いました。 


-海老炒飯 (1,210 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
玉子のとってもいい匂い。
塩味控えめも十分な旨さのいい感じのしっとり系炒飯に仕上がってる。
プリプリの海老の塩味が絶妙な塩梅で美味しい。
絶対的美味な大満足の一皿。 


いやー、ホント中華って安くて美味しいですよね。
コスパ最強ですよ。
ビバ!町中華、ガチ中華。
これからも中華道に精進していきたいと思いました。

2025年5月4日日曜日

疎水性タグの世界へようこそ (東京農工大学)

ども、お魚大好きコンキチです。
MAD City松戸でお魚を食べたときのメモです。
ボクは幼少の頃に週刊少年マガジンで連載されていた加瀬あつし先生のカメレオンをそこそこ愛読していて、松戸苦愛(マツドクラブ)とか(いう愚連隊が)あんのかよ、恐ぇーとか思っていたんですが、税務署とか保健所とか法務局とかあっていい街だっていうことに大人になって気付きました。
今ではMAD City(マッドシティ)というまちづくりプロジェクトが展開されていて、素晴らしいですね。

メモです↓

-鬼平せんぎょてん (北小金, visited Jan. 2025)-
住所:松戸市小金きよしヶ丘2-5-1

-瓶ビール (サッポロ) (780 JPY)-

-海鮮ばらちらし (980 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
ねぎとろ、赤身、白身、サーモン、卵焼きのばらちらし。
中央に配置されたねぎとろのトップに卵黄を戴くフェイスに驚いた
こういうの初めてだったんだけど、卵黄とねぎとろが至福のマリアージュで、ちょっと信じられないくらい良く合う
ねぎとろにちゃんとキックがあって美味しいし。
赤身は色味が良く、しっとりした舌触りと上品な甘味でいい。
白身は適度に張りがあって、淡白な旨味で、綺麗に脂が乗っている。
サーモンも脂脂してなくていい。
はっきり言って、かなりハイレベルなばらちらしに仕上がっていると思いました。
セットのあら汁は、あら感はマックスなんだけど、薄っすいのはご愛嬌。


-カキフライ3個 (480 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
小振りの普通なカキフライ
タルタル or ウスターソースで。


閑話休題


古いんですが、こんな論文を読んでみました↓

Improved Tag-Assisted Liquid-Phase Peptide Synthesis: Application to the Synthesis of the Bradykinin Receptor Antagonist Icatibant Acetate
Org. Process. Res. Dev., 2019, 23, 2576-2581.

東京農工大学の千葉先生のグループの報告で、疎水性タグを用いたペプチド合成のお話です。

ペプチド合成はSPPS (Solid-Phase Peptide Synthesis)による自動合成がルーチンで行われていますが、コンバージョン向上のためにけっこう過剰量のアミノ酸や縮合剤の使用が必要であったり、反応溶媒や樹脂のウォッシュのために大量の溶媒が必要であったりして、グリーン・サスティナブルケミストリーの観点からインプルーブメントが求められています。
加えて、スケーラビリティーの問題もあり、製造コストを押し上げます。

上述したSPPSの問題点を解決するための処方性としては、古典的なコンベンショナルな普通の液相合成(CSPS, Clasical Solution Peptide Synthesis)が挙げられますが、タイムコンシューミングであり、各工程でカラム精製が必要であることが多かったりして、より実用的な液相合成(LPPS, Liquid-Phase Peptide Synthesis)の開発、即ち固相合成にみられるような反応混合物からの効率的なペプチドの分離手法の開発が鍵となります。

古典的な液相合成(CSPS)の問題点を解決する手法としては、不溶性の樹脂の代わりに可溶性のタグ(Tag)と呼ばれる分子を用いる手法が開発されてきました。具体的には、ペプチドのC-末端の保護基として疎水性タグ(疎水性の分子)を導入し、均一な溶液中で縮合や脱保護といった化学反応を行い、貧溶媒として極性溶媒を加えてタグが結合したペプチドを結晶化(析出)させ、溶媒でリンスすることで洗浄を行う手法などです。
一言でいうと、疎水性タグを用いたLPPSは、SPPSとCSPSのいいとこ取りした実用的な合成手法であると言えます。

ハイ、一旦ここでペプチド合成法に係る用語の整理をしておきましょう。

SPPS (Solid-Phase Peptide Synthesis):固相ペプチド合成
CSPS (Classical Solution Peptide Synthesis) : 古典的液相合成。普通のコンベンショナルな液相反応。
LPPS (Liquid-Phase Peptide Synthesis):疎水性タグを用いた液相固相合成。

というのが一般に認識されているところと思います。

続けます。
疎水性タグを用いたLPPSの草分け的報告は、立命館大学の民秋先生の論文でしょう(2024年に退職されたようです)。この手の研究で、いの一番に論文(Bull. Chem. Soc. Jpn., 2001, 74, 733-738.)が引用されています。

疎水性タグ分子はそこそこ低分子量なので、ペプチド合成をTLC、NMR、MSでモニター可能なのも合成上のメリットとになりますね(固相合成では脱FmocをUVでモニターするのは可能だけど、基本、樹脂から切り出さないと無理)。

その後、疎水性タイプのタグの研究は続き、ベンジルアルコールタイプのタグ(Hydrophobic Benzylic Alcohols, HBAs)はそのバリエーションを増やしていきました(Fig. 1)。
Chem. Commun., 2009, 46, 8219-8221.
J. Org. Chem., 2013, 78, 320-327.
Org. Lett., 2015, 17, 4264-4267.
Asian. J. Org. Chem., 2017, 6, 1584-1588.
Fig. 1 A series of HBA tags.

Fig. 1に示した5種類のタグはそれぞれ特色があって得手不得手がるわけなんですが、本法では最もスタンダードな民秋先生が開発したタグを用いてブラジキニン受容体拮抗薬であるイカチバント酢酸塩の合成にチャレンジしています。

Fmoc-LPPSの合成スキームです↓
縮合とFmoc基の脱保護をTHF/DMF中の均一系で行い、アセトニトリルを加えて結晶化(析出)させることで疎水性タグの結合したペプチを取り出しています。HPLC精製は最後に一回だけと効率的です。

このプロセスで特筆すべきは、ピンクで描画した結晶化(Precipitation)プロセスの回数の少なさと、水色で描画したトラッピング(Trapping)ステップです。
従来のLPPSだと、ダブルヒット(副反応)を回避するためにDeprotetion (Fmoc基の脱保護)の前に残存するFmocアミノ酸(の活性エステル)を除去しなければばらないので、Coupling→Precipitation→Deprotection→Precipitationというプロセスを踏むんですが、スピードとコストの面からウォッシュに大量の溶媒(アセトニトリル)を使用して、かつオペレーションに手間のかかるPrecipitation工程を減らしたいというニーズがあるので、Coupling→Deprotection→Precipitation的な感じにPrecipitation工程を減らしたいんですが、何も考えないで実行するとダブルヒットの餌食となってペプチド伸長1サイクル当たりの収率低下は必至です。
そこで、Precipitation工程を削減しつつダブルヒット問題を解決するために編み出したのが、水色で描画したトラッピング(Trapping)です。

即ち、望みのカップリング反応の後に適当な1級アミンを作用させることで過剰のFmocアミノ酸の活性エステル(Fmoc-AA-CA)をアミド化することで不活性化し、脱保護後のPrecipitation工程で母液に洗い流して除去するという手法です。
著者らは、プロピルアミンを用いてトラッピングすることで、見事目的を達成しました。

いい感じなんじゃないでしょうか。

以上、トラッピングテクを覚えておきたいと思った、二流大出のテクニシャン(研究補助員)のLPPSメモでした。