とある化学の超ガテン系

実験嫌いの実験化学者が綴る企業の研究員の日常 (このブログはMac OS Xに最適化されています)




Thursday, September 28, 2006

BASF BORON CONFERENCE II

昨日、一昨日と有給休暇をとってBASF(超デカイ化学会社)主催の「BASF BORON CONFERENCE」(有機ホウ素のレクチャー)に行ってきました(参加費無料。今年で2回目らしい)。

場所は品川の東京コンファレンスセンターという(普段田舎で仕事をしているコンキチが行くことは無いであろう)洒落た施設。田舎者のコンキチはちょっと緊張してしまいました。

この催物は、「鈴木-宮浦カップリング」の話がメインで、鈴木、宮浦両教授の講義とともに、Academia, Industryの有機ホウ素化学の係るトピックスが展開されました。

演題はこちら↓
http://www.inorganics.basf.com/p02/CAPortal/en_GB/portal/Boron_Conference/content/Produktgruppen/Borane_und_andere_Borverbindungen/Boran_Conference

個人的には、

広栄化学の人の「Pd(0)/C, Pd(II)/Cが触媒する鈴木カップリング」と「広栄化学らしい基質にピリジン誘導体を使った鈴木カップリング」の話。あと、住友化学の人の「Niと2座窒素配位子を使った鈴木カップリング」の話が興味深かったです。

ところで、今回の講義は殆どが英語 Death!!!!!(シクシク涙)
日本語と仙台弁しか満足に扱えないコンキチにはかなり厳しいものがありました(脳ミソがとろけました。と同時に劣等感もひしひしと感じました)。まあ、コンキチは有機ホウ素にかなり疎いので、いい勉強になりましたが.....

今回も「ちょっと英語の勉強頑張ろうかな」という気持ちになりましたが、コンキチは意思が弱いので、多分(また)やらないと思います。

P.S.
このCONFERENCEでは、
1) ドリンクフリー(エビアン、おーいお茶、コーラ、オレンジジュース、ホットコーヒ、etc.)
2) ランチ(ビュッフェ形式のレストラン)も無料
3) Boron Reagents in Process Chemistry: Excellent Tools for Selective Reductions (Chem. Rev., 2006, 106 (7), 2617.)の別刷りをくれた。
4) あと、こんなのも貰った↓


それにつけても、BASFは懐の深い会社だなあと思った二日間でした。

さすがは、グローバル・カンパニーです。

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Sunday, September 17, 2006

「ルアーロック」ショック

今日はちょっとした化学ネタです。

製造業にカテゴライズされる企業に就社すると、KYT(KikenYochiTraining)という、危険予知訓練を行うことになります。職場単位で定期的(コンキチの勤めている会社では月1)に行われることとなるであろういこの訓練では、

第1R (危険作業の列挙) / どんな危険が、ひそんでいるか
第2R (絞り込み) / これが、危険のポイント
第3R (具体的な対策樹立) / あなたなら、どうする?
第4R (行動目標設定) / 私たちは、こうする

という4つのラウンドを順に行って行きます。

はっきり言って意味のある作業とは思いませんが、こういう活動を(一応)やっておかないと

「当社は安全第一をモットーに.....」

なんていうことが言えなくなってしまいますからやっているのでしょう(本気でこんな活動が役に立つと思っている人がいたら、かなりセンスがない人だと思います) 。

さて、先日上述したKYTを行ったのですが、その時のお題が

「ブチルリチウムとかのようなセプタム・キャップつきに試薬瓶から試薬を秤量する」

というものだったのですが、

第2R (絞り込み)

ブチルリチウムをルアーロックタイプのシリンジ(注射針)で秤量中に、ロック針がはずれて試薬がこぼれ薬傷する

というのが(多数決で)ピック・アップされました。っていうかロック針ってどうやったら外れるの?という疑問がコンキチの脳裏に浮かび上がりました。だって、外れないのがロック針でしょ!でも、実際にプレイング・マネジャーの先輩社員が最近起こした実話だそうだったので取り上げられることになりました(普通、第1Rは想定なのです)。

で、第3R (具体的な対策樹立) で出た意見は、
1) しっかりとはめる
2) ロック針の接合部分をビニールテープで巻く     以上

オイ!ピンセットの腹を使って、キュイってキツく締めればロック針って外れないんじゃないの?とコンキチは心の中で50回くらい叫んだのですが、誰もそのことについて言及せず、怖くなって発言を控えてしまいました(だって、目上の人間は、目下の人間の正しい意見を封殺する傾向が強いですから)。

最終的に、第4R (行動目標設定)

ルアーロックタイプのシリンジを使って、試薬を抜き取る際は、ビニールテープを巻いて針を固定する。ヨシ!

になりました。

これって、かなりセンスが無いと思うのですが.....

あんたらホントにこれから、シリンジにテープまくの?

後で、コンキチが唯一先輩風を吹かせることができる後輩に、

コンキチ 「ロック針ってピンセット(の腹)使って締めてる?」

後輩 「いいえ、手でやってますけど」

コンキチ 「手で締めてたら、はすれるかもしれないよね。ピンセット使えば絶対はずれないよ。ほら」

とピンセットを使ってロック針を締めたシリンジを手渡してみると、

後輩 「ホントに(手では)はずれませんねえ」

コンキチ 「(針の締め方って)教えてもらったことないの?」

後輩 「会社に入るまで(シリンジ)を使ったことありませんでしたから」

といった感じでした。おそらく、コンキチの予想ではみんな手締めでシリンジに針をセットしているとみました(そうでなければ、ビニールテープで固定するっていうアホな発想が出てきませんよ)。

-CONCLUSION-
センスのあるヤツは自分で判断して危険を回避していく
どんなに御大層なマニュアルを作ったり、どんなに形だけのトレーニングをしたり、どんなに口を酸っぱくして注意したりしても、
センスの無いヤツは絶対なんかやらかす
そう思います。


どうでしょうか?

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Sunday, September 10, 2006

群衆心理

久しぶりに、読んでいると超絶眠くなる本を読みました。その本の名は「群衆心理」。ここまで眠くなったのは、平野啓一郎の「日蝕」以来です。何故こんな本を読んだかというと、コンキチがWatchingしているWeb Siteでこの本を紹介していて、ちょっと興味をそそられたからです。

さて、この「群衆心理」という本は、群集の愚かさを謳った書籍で、

群衆の精神は種族性に大きく支配されている
群衆は付和雷同する
群衆は暗示を受けやすく、白痴的
群衆は理屈よりもイマージュ(心象)に影響される
群衆は支配されることを望んでいる
群衆こそがムーブメントを起こす

といったことがひたすら述べられています(多分)。ただ、著者がフランス人で、フランスを中心としたヨーロッパの歴史的事件を引き合いにだして群集の行動を述べているので、世界史の勉強など殆どしたことのないコンキチには、イメージの湧きにくい内容でした。それから、かなり古い本なので、訳文が現代人には堅いかなと思いました。Scientificな例証がなされていなかったりするような気がするのですが、直感的に「それって、あるある!」と感じることは多々ありました。

コンキチのような会社勤めのサラリーマンは、会社組織の中で形成される様々な群衆に気が付くでしょう。例えば、会議中に、労働組合の中に、プロジェクトの中にに、あなたの職場に。そして、これら群衆は時として「何故?」と言いたくなるほど白痴的でおまぬけな決定を行いませんか?

本書を読むことによって、そういった事象を「群衆だから仕方ないよね」といった感じで、鷹揚な大きな気持ちで許してあげることができるようになるでしょう。

とりあえず、眠れない夜には、富に有効性を発揮する本であることは、身をもって体感することができました。



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Saturday, September 9, 2006

脱自己実現宣言

「自己実現(self-realization)」なんてくすぐったいような言葉が、ビジネス・パーソン対象誌を賑わせたりしていますが、実際に自己実現できている人間なんていったいどれだけ存在しているのでしょう。

ビジネス(啓蒙)誌の記事の中に登場する「働く若者」「働く女性」「働くミドル」達は、皆快活で、バイタリティーがあり、高いモチベーションを有しており、「自己実現」特集なんかを組んだ雑誌を手に取った日には、「世の中にはこんなにも多くの仕事を楽しむできる人材が溢れているんだ。自分もありたい自分になるべく、彼等・彼女等を見習って精進しなければ。」なんていう錯覚に陥りそうになります。

我が国の就労人口(労働統計要覧記載のH.17年の労働力人口2,750万人)に対して、数十頁の特集紙面に登場する人数の割合を冷静になって考えれば、雑誌インタビュアーが、(その時点で)自己実現している(ように見える)人材を選択的に探し出しているだけなのは火を見るより明らかなのですが…..まあ、TVに映し出される女性(お笑い芸人は除く)は可愛い娘ばかりなのに、僕の周囲には不細工な女性しかいないのは何故だろうか?と悩むのに似ています。

「格差社会」「負け組み」「ニート」「不祥事」といった言葉(それ自体は否定されるものではないと思いますが)が世間を跋扈する昨今、「自己実現」とはかけ離れ、現在の己の境遇を嘆きつつも、我慢して与えられた環境に甘んじている人々の方が大勢であるように思います。

ところで、先日、研究開発部門の担当役員と面談がありました。まあ、雑談みたいなもので、面談の代わりにコンキチの仕事をその役員に手伝ってもらいたいぐらいでしたが.....

1人30分の面接時間のはずだったのですが、

役員 「今の仕事は楽しいですか?」

という問いに、つい

コンキチ 「楽しくありませんねえ」

と応答してしまったら、役員が食いついてきて、話がはずみ50分も談笑してしまいました。けっこう自分もキレてるなあとチョット思ったのですが、まあいいでしょう。

件の役員との雑談で、コンキチのあまりのモチベーションのなさ具合に

役員 「人生の大半を占める仕事にやりがいを見いだせないのは哀しいねえ」

みたいなことを言われたのに対して、

コンキチ 「仕事にやりがいを見いだしている人は、ごく一部分の人だけなんではないでしょうか?仕事は(自分にとって)人生のワン・シーンでしかありませんから。だから、毎日早く家に帰りたいですし。」

という返事に、ちょっと哀しそうな顔をしていました(演技かもしれませんが)。

しかも、だめ押しで、

コンキチ 「上の人間は、下の人間が困っていても助けてくれないということを学習しましたから。もう仕事に掛ける情熱も殆ど残っていませんし。」

なんて言っちゃいましたし(これでもかなり遠慮して発言してたんですが)。

曲がりなりにも上場企業の役員ともなれば、どちらかといわれれば、人生の成功者であり、仕事における自己実現を体現してきた可能性が高い人達でしょうが、コンキチのような人材に上述したようなことを言われて、本心ではどう思っているのかに興味をそそれれますが、まあ、本人のみぞ知るというところでしょうか?

序盤、延々と「自己実現」について述べましたが、自己実現なんて耳触りのいい甘い言葉に騙されちゃいけないと思うんですよね。確かに自己実現を目指して努力する姿や、自己実現している人の姿は素晴らしいと思うし、美しくもあると思います(ちなみにコンキチの嫌いな言葉は「努力」です)。だからといって、それを万人に押し付けたり、社会から洗脳されてもいいというわけにはならないと思うんですよね。

結局、仕事での自己実現なんていう言葉は、成功した人にしか当てはまらない。成功者の存在確率なんて数%なんじゃないでしょうか(想像ですが)。

ゴミ収集車の運ちゃんは仕事で自己実現してるのでしょうか?
岐阜県の職員は仕事で自己実現してるのでしょうか?
スーパーでパック酒の銘柄を一生懸命選んでいるおっさんは自己実現してるのでしょうか?
昔の雪印の社員は自己実現していたのかなあ?
etc.

仕事以外にもやりがいや生き甲斐を見いだすことも、人生における重要な処方箋だと思うのです。

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Monday, September 4, 2006

「香りの本」でライバル発見?

「香りの本」というマニアックな雑誌があります。日本香料協会が出している季刊の雑誌で、その名の通り香料業界関係者が執筆した記事と業界各社の広告から構成される雑誌なのですが、広く衆人の目に触れるのは殆ど皆無といっていい雑誌かと思います。

余談ですが、コンキチは学生時代に学校の図書館の地下(書庫)でこの雑誌をはじめて発見しました。最新号でさえ地下室に直行してしまう、何のために購読しているのか分からない雑誌だったのですが、香料会社の広告が沢山載っていたので、当時香料業界を志向していたコンキチは就職資料請求の葉書を送る時に重宝しました。

さて、この雑誌には化学系英文誌に掲載された香料関連論文の概要を抄録したコーナーがあるのですが、今回はそのコーナーにまつわる話です。

合成香料の仕事からはずされて5年半、今ではすっかりファインケミカルズのアウトソーシング引き受け部隊になったコンキチではありますが、就社以来7年半ずっと、「香りの本」の抄録の原稿を執筆する任を受けています。この抄録のコーナーは、香料会社各社にWatchingする雑誌が割り振られており、その雑誌の中で香料に関連している論文をピックアップして、概要を紹介するといったものです。

天然香料、合成香料、食品香料、分析法、その他の5つにカテゴライズされて、コンキチのJOBは(一応)有機合成化学なので、当然合成香料の抄録を担当しています。ちなみに、この抄録の原稿料は1本1,111円(税引前)。コンキチの能力はあまり高くないので、時給換算したらかなり割に合いません(でも、業務なので勿論勤務時間内にやっているのでプチダブルインカム状態です)。他の執筆者達は面倒くさがって1~2本くらいしか執筆しないのが常なのですが、コンキチはお小遣い稼ぎの為&こうでもしないとなかんか新着文献を読むための動機付けとして、できうる限り沢山投稿するようにしています(といっても6~8本くらいですが)。

ということで、コンキチは自分が、香料抄録コーナーの投稿数No.1を独走中だぜと勝手に思っていたのですが.....

先日、久しぶりに雑誌「香りの本」を眺めていたら、そうでないことが発覚してしまいました。複数のカテゴリーにまたがって10本超の抄録をUPしている輩が!!!コンキチは自分の担当の合成香料の項しかあまりチェックしていなかったので気付くのが遅れてしまいました。

この人物に対してコンキチの(勝手な)ライバル意識が超燃えてきました。明日から、気合いを入れ直して、バリバリ執筆活動に励みたいと思います(勿論業務なので勤務時間中に)。

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