ちょっと古い文献を読んでみました↓
[Bmim]PF6: A Novel and Recyclable Ionic Liquid for Conversion of Oxiranes to Thiiranes in Aqueous Media
J. Org. Chem. 2003, 68, 2525-2527.
イオン性液体を使ったepoxide→tiiraneというtransformationに関する報告で、ウリは高収率、マイルド•コンディション、中性条件、溶媒(イオン性液体)リサイクルです。ちなみに、イオン性液体を使った上記transformationの報告例は本報が初めてらしいです。
(本報のイントロによると)上記官能基変換の手法としては、水中またはアルコール水溶液中で、KSCN, NH4SCN, チオ尿素等を使う方法というのが一般的のようです(特にKSCNがwidely)。
他の方法(試薬)としては、phosphine sulfide (J. Am. Chem. Soc. 1972, 2880.)、3-methylbenzothiazol-2-thione (J. Chem. Soc. Chem. Commun. 1975, 62.)、dimethylthioformamide-CF3CO2H (Synthesis 1986,779.)の報告例が例示されています。
で、上記コンベンショナルな手法の問題点として以下のようなことが挙げられています↓
a) 強酸、強塩基性条件
b) 長い反応時間
c) 高い反応温度
d) 転位や重合による副反応による収率の低下(特に、cyclohexene episulfide、styrene episulfideなどで)
そして、著者らが構築したプロセスはこちら↓
15種類の基質について試していて、汎用性はそれなりにありそう(85-96% yield)。脂環式エポキシドやC-C二重結合があってもOK!副反応•副生成物もなし。コンベンシュナルな方法と比較して、反応速度UP↑、収率UP↑、選択性UP↑だそうです。
あとこの反応、1eq.の水の添加がキーなのだそうです。というのも、KSCNがイオン性液体に対する溶解がvery poorで、水の添加でKSCNの溶解性がUP↑して反応速度もUP↑すると考察しています。ちなみに、反応溶媒が水だけだと、反応はunsuccessful。DMF-H2Oでは加熱しても反応進行せず。HPF2/H2Oでは反応するよう。TBAC/H2Oや1-n-butyl-3-methylimidazolium chloride/H2Oは85℃に加熱しないと反応しないらしいです。
チイランって還元してチオールとかに誘導できるので、そういった観点から興味もってこの論文を読んだけど(チオールはシトラス系の重要な香料化合物)、やっぱりイオン性液体って高いよね。
あと、この論文ってエーテル抽出してるんだけど、Greenなプロセスをアピールするんだったら、プラントで使いやすい溶媒をチョイスして欲しいな(コンキチはイオン性液体素人なので、有機溶媒とイオン性液体の溶解性分かんないですが.....)。
こんなところが、二流大出のなんちゃって研究員の勝手な言い分でした。
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2008年9月21日日曜日
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