2011年11月13日日曜日

滅日

元経産省官僚の古賀茂明氏が現役官僚時代に上梓した「日本中枢の崩壊」を読了しました。


感想を一言で述べれば、官僚機構(公務員システム)ではインセンティブ設定が破綻してるなということでしょうか。要は、自身が所属する官庁の仕事をムダに増やすことが評価の対象で、国家のために費用対効果を高めても全く評価されない。マジで狂ってる。それから、先輩(の施策)を批判するのは最大級のタブーだそうです(この無謬性も変態じみてる)。

あと、この本を読んで分かったことをメモしてみます↓

a) ダメな自民党から民主党へと政権交代したが、民主党は(やっぱり)ダメダメだった
b) 保護主義は(第一次産業も含めて)産業の競争力を奪う
c) 零細農家の多くは兼業農家かじっちゃんの趣味。農業生産額先進国第二位
d) 官僚は一度入省すると、その官庁は終の棲家になる
e) 無能な民主党では公務員制度改革は無理
f) 民主党議員は労組とべったり(組合は一年生議員の選挙活動を支援する)
g) 長妻氏は厚労相時代、全省的に激しいサボタージュにあったと推測される
h) 永田町言葉の特徴→「しっかりと」といったあまり意味のない表現で、ニュアンスを出す(無能宰相の菅直人が得意だった)。あと、「きっちり」とか「是々非々」とかも無能な政治やがよく言うよね。
i) 霞ヶ関言葉「○×等」と「等」を入れた場合、後で拡大解釈するための布石 「前向きに」は「やる」。「慎重に」は「やらない」
j) 橋龍は、晩節は散々だったけど、構造改革・行政改革に燃えていた(経済財政諮問会議つくったのは彼の内閣だしね)。女癖は悪かったようだけど、一廉の人物ではあったと思うな。
k) 「一元化」→「一体化」は後退。例えば、「幼保一元化」は最近「幼保一体化」と言い直しているが、「一体化」は完全に一緒にするというわけではないという意味を含んでいるという。一つの建物のなかに幼稚園と保育園がそれぞれ独立して入っていれば「一体化」されたといえる(物理的な一体化。中身は全く前と同じで、所管するのもそれぞれ文科省と厚労省)。
l) 「人事院からの(内閣人事局への)機能移管なんて絶対にできるはずないよ。僕だってやろうとしたけどできなかったんだよ」 by 石原伸晃。けっこうヘタレだな。
m) ヤマトホールディングスでは、管理職には全員、評価の順番がついていて、下位1割は、たとえ失点がなくても、自動的に入れ替えられるシステムになっている。古賀氏はこの人事システムを官僚機構に導入することを提案している。

気になったことのメモはこんな感じかな。


古賀氏は、現在の日本が凋落ぶりは危機的状況にあり、一刻も早い改革が必要だが、国家の中枢の危機感は希薄だとおっしゃる。しかしながら、改革派官僚の最右翼の古賀氏をスポイルするような政党では、改革はおぼつかないでしょう。もう、我が国は行くとことまで行っちゃわないと(尻に火がつかないと)、真剣に改革しようなんていう気にはならないでしょう。そういう観点から考えると、ダメダメな民主党を敢て応援して、彼の党に一度日本をケチョンケチョンに叩き潰してもらった方が、結果的に構造改革が推進されるんじゃないかななんて思った二流大出のガテン系研究員でした。


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